フルコミッションとは?インセンティブとの違いやメリットも解説

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  • フルコミッション(完全歩合制)とは、成果に応じて報酬が支払われる制度のこと
  • フルコミッション制は、成果を出せば一般的な給料制度よりも高額な報酬が得られる
  • フルコミッション制は成果を出さないと報酬を得られず、収入が不安定になる

完全歩合制とも呼ばれるフルコミッションは、成果に応じて報酬が支払われる制度のことです。不動産業などで導入されていますが、フルコミッション制で働く際に注意すべき点がいくつかあります。本記事では、フルコミッション制の概要や働く際の注意点などを解説します。

目次

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  1. フルコミッションとは
  2. フルコミッション制のメリット
  3. フルコミッション制のデメリット
  4. フルコミッション制が向いている人
  5. フルコミッション制が導入されている業界
  6. フルコミッション制で働く際の注意点
  7. まとめ

フルコミッションとは

フルコミッションは「完全歩合制」とも呼ばれており、成果に対して報酬が支払われる制度のことです。具体的には、個人の業績や販売成果など、明確に測定可能な成果に基づいて報酬が発生します。

フルコミッションは、高いモチベーションと成果を重視する業界や職種で採用されることが多く、成果を出せば出すほど収入が増えるため、高い報酬を得るチャンスがある点が特徴です。

しかし、成果を出せなかった場合は収入が得られず、収入が安定しないといったマイナスの面もあります。

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インセンティブとの違い

インセンティブとは、従業員が特定の目標や成果を達成した際に、基本給とは別で支払われる追加報酬のことをいいます。基本的には、目標達成のためのモチベーションを高め、従業員の努力と成果を認めるために導入されていることが多いです。

一方フルコミッションは、従業員の収入全体が成果に直接結びついている報酬制度です。つまり、「成果を出せば収入が得られるが、成果がなければ収入もない」という仕組みになっています。

高い成果を出すことができれば、インセンティブ制度よりも遥かに高い収入を得る機会があります。そのため、自身のスキルと努力に自信がある人にとっては、フルコミッション制度は魅力的な選択肢です。

歩合制との違い

フルコミッションは完全歩合制であり、従業員の収入が販売実績や達成した業績など、完全にその人の成果に依存する制度です。これに対し、歩合制では基本給に加えて、成果に応じた追加の報酬が一律の割合で支払われます

従業員は安定した基本給を確実に受け取ることができ、その上で業績に応じた追加報酬を得ることが可能です。フルコミッションとは異なり、基本給が保証されていることから比較的リスクが少なく、収入の安定性が高いと言えます。

日本では業務委託契約が必要

現在、日本において通常の雇用契約で完全歩合制を採用することは、労働基準法に抵触します。そのため、フルコミッション制を採用する場合は、業務委託契約を結ぶ必要があります。

業務委託契約では、個人や法人が独立した業務提供者として扱われ、その成果に応じて報酬が支払われる仕組みであることから、フルコミッション制の適用が可能となります。

しかし、業務委託契約を結ぶには、その業務が独立した職務であること、契約者がその業務を自由に遂行できることなど、一定の条件を満たさなければなりません。

参考:さまざまな雇用形態|厚生労働省

参考:労働基準法|e-Gov 法令検索

フルコミッション制のメリット

フルコミッション制は成果に基づく報酬体系であり、努力と成果が直接収入に反映されます。また、労働者は自分の時間をより柔軟に管理できるため、ワークライフバランスを重視する人々にも適しています。

さらに、自分の努力やスキルが直接収入に結びつくことで、自身の能力を最大限に活かすことができ、さらなる成長へのモチベーションに繋がるなどのメリットがあります。

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高額な報酬を得ることが可能

成果の大きさが直接報酬に反映されるため、高いパフォーマンスを発揮するほど、その対価として受け取る報酬も増加します。成果によっては、一般的な給与体系を大きく上回る収入を実現することも可能です。

一般的な給料制度では、従業員の給与は役職や勤務年数、一定のパフォーマンス基準に基づいて決定されます。しかし、フルコミッション制では、そのような固定的な要素にとらわれることなく、実際に達成した成果が直接報酬に結びつきます。

自由な時間で働きやすい

働き方は個々の裁量に任せられており、労働者は自分の業務スケジュールを自由に設定できます。そのため、個々の生活スタイルや優先事項に合わせて仕事を組み立てられ、仕事とプライベートのバランスが取りやすいです。

特に創造性や集中力が求められる業務に従事する人にとっては、自分のベストなパフォーマンスを発揮できる時間に仕事ができるため、生産性の向上が期待できます。また、自己管理能力を高められ、自身の仕事への責任感を強化する機会にもなります。

自分に合った戦略を採用できる

フルコミッションでは、時間だけでなく戦略なども自由に決めることができるため、自分に合った戦略で仕事を進められます。会社や上司の意向に合わせたり、無理に不向きな戦略に挑戦したりする必要がありません。

ある程度のルールは設けられていることが多いですが、そのルールさえ守れば自由なスタイルで働けるため、成果を出しやすいです。

モチベーションが上がりやすい

フルコミッションは、個々の成果が直接報酬に反映されます。自分の努力が明確な形で評価され、対価として返ってくることを実感しやすく、より高い目標を設定し、それを達成するためのモチベーションの向上に繋がります。

また、競争心が刺激され、常に自己を超える成果を目指し、その過程で新たなスキルを獲得したり、既存の能力を磨き上げたりすることが期待できます。

フルコミッション制のデメリット

フルコミッション制には多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。この報酬体系では、成果が出せない場合に収入を得られません。また、高い自己管理能力が必要となります。

さらに、業務委託契約に基づく働き方では、健康保険や雇用保険など、通常の雇用契約で受けられる社会保障の対象外となります。

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成果が出せないと収入が得られない

個々の成果が直接収入に反映されるため、売上が上がらない月や業績が振るわない期間は、収入が大きく減少することになります。そのため、金銭的な安定性を求める人々にとっては、大きな不安要因となる可能性があります。

また、市場の変動や経済状況の悪化など、個人のコントロールを超えた外部要因によっても収入が影響を受ける可能性が考えられ、これらのリスクに対する準備が必要です。

さらに、このような不安定な収入は、長期的な計画や大きな買い物、ローンの返済など、個人の財務計画にも影響を及ぼしかねません。安定した収入がないことで生じる心理的なプレッシャーは、仕事のパフォーマンスにも悪影響を与える恐れもあります。

高い自己管理能力が必要

フルコミッションは、個人の裁量で自由に働けます。しかし、適切な自己管理ができない場合は、業績が下がるリスクがあります。時間管理や目標設定、モチベーションの維持など自己管理が必須となり、これらが欠けると成果を出すことが難しくなります。

また、仕事の時間とプライベートの時間が曖昧になりがちなケースもあり、仕事に没頭しすぎることでプライベートな時間が犠牲になる可能性もあります。そのため、自分自身で明確なルールを設け、それを守る自己規律が必要です。

社会保障の対象外になる

正社員などの通常の雇用契約に基づく働き方では、厚生年金や雇用保険などの社会保障制度の対象となります。しかし、フルコミッションは業務委託契約に基づく独立した契約者と見なされるため、これらの制度の恩恵を受けることができません。

そのため、将来の年金受給額に影響が出たり、仕事を失った際の失業手当など経済的なサポートを受けられなかったりといったリスクが生じます。このようなリスクを避けるためには、健康保険や年金制度に加入するなど、自身で対応する必要があります。

フルコミッション制が向いている人

フルコミッション制は、自己管理能力が高く、自らの努力で直接的な成果を上げることに喜びを感じる人に向いています。このようなタイプの人は、自分の成果が収入にダイレクトに反映されることにやりがいを感じ、最大限のパフォーマンスを発揮することができます。

また、自分のスケジュールを自由に管理したい人や、プライベートな時間を大切にしたいといった柔軟な働き方を求める人にも適しています。

フルコミッション制が導入されている業界

フルコミッション制は、成果に基づくサービス提供が中心となる営業代行などで、広く導入されています。営業職では、個々の営業成績が直接企業の収益に影響を及ぼすため、この制度が従業員に対する強いモチベーションとなり、高い成果を促します。

そのため、営業代行業界で導入されている場合、営業担当者が新規顧客を獲得するたびに報酬が支払われることが一般的です。また、不動産や保険、金融商品の販売など、顧客に直接サービスや商品を提供する業界でも、フルコミッション制が導入されています。

このような業界では、成約数や契約金額に基づいて報酬が決定されることから、個々の努力が収入に直結しやすい環境が整っています。

フルコミッション制で働く際の注意点

フルコミッション制で働く際は、自分に合った商材や業界を慎重に選択することが重要です。また、スケジュール管理の徹底や、業務量の増加を理解し、それに対応できる体制を整えておく必要があります。

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自分に合った商材・業界を選ぶ

フルコミッション制で成果を出すためには、自分自身の興味や得意分野に合致する商品・サービスの選択が重要です。自分が情熱を持って取り組めるものを扱うことで、自然とモチベーションが高まります

また、自身の専門知識や経験を活かせる分野であれば、市場のニーズを的確に捉え、顧客の問題解決に貢献することができます。そのため、より多くの成果を生み出すことが可能です。

さらに、興味や情熱を持続させることができれば、継続的にスキルアップを図り、業界内での専門家としての地位を確立することができます。

スケジュール管理を徹底する

フルコミッション制は、働く時間の自由度が高いです。しかし、適切なスケジュール管理を行わないと、成果を出すことが難しくなったり、逆に過労に陥ったりするリスクがあります。

そのため、タスクの優先順位を明確にし、必要な作業に集中するための時間を確保することが重要です。また、休息の時間も計画的に取り入れることで、継続的な働き方を実現できます。

業務が増えることを理解しておく

本来の業務以外にも多くの付帯する作業が発生することを理解し、それに対応する準備をしておくことも必要です。例えば、通常の雇用契約での働き方と比較して、税務処理や請求書の管理、顧客情報の整理など、自らが行う必要のある雑務が増えます。

これらは直接収入に結びつく業務ではありませんが、ビジネス運営には欠かせません。また、追加業務には相応の時間が必要となるため、全体の業務スケジュールを計画する際には、管理業務にも十分な時間を確保することが重要です。

経費は誰が負担するか確認しておく

フルコミッション制で働く際は、経費を誰が負担するか確認した上で契約しましょう。経費を自己負担としている企業も存在し、成果を出せなかった場合は交通費などの経費がマイナスとなる可能性があります。

経費を気にしながらでは業務に集中できず、成果を出しにくくなってしまうため、契約する前に企業が経費を負担してくれるかを確認しましょう。

まとめ

フルコミッションとは、成果に応じて報酬が支払われる報酬体系です。この制度は、営業代行や成果に基づくサービス提供が中心となる業界で広く採用されています。フルコミッション制で働く場合、自分に合った商材や業界を選択し、スケジュール管理の徹底が重要です。

また、業務量の増加を理解し、税務処理や請求書管理などの追加業務に対応できる体制を整える必要があります。メリットとデメリットを理解してフルコミッション制を選択することで、自由度が高く収入を増大させることが可能です。

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