営業代行に業務委託しよう|メリットや契約時の注意点を解説

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  • 営業を代行会社に業務委託することで、コスト削減や営業活動の効率化が可能
  • 業務委託には請負契約と委任契約の2種類の形態があるため、契約時に確認する
  • 契約する際は、業務範囲・料金体系・支払時期・秘密保持条項などを契約書に明記する

営業は、代行会社やフリーランスに業務委託することができます。業務委託することで、コスト削減や営業活動の効率化が可能です。この記事では、営業代行に業務委託するメリット・デメリット、また契約時に知っておきたい注意点などを解説します。

目次

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  1. 営業を業務委託して生産性を向上させよう
  2. 営業代行に業務委託するメリット
  3. 営業代行に業務委託するデメリット
  4. 営業代行に業務委託する際の注意点
  5. まとめ

営業を業務委託して生産性を向上させよう

各企業の今日的課題の一つに、労働人口の減少による労働力不足があり、生産性の向上が阻害されている企業も少なくありません。これは営業業務でも同様で、その解決のために、自社の営業を業務委託して成果を上げている企業が増えています。

営業の業務委託では、新規顧客の開拓・テレアポ・既存顧客のアップセルやクロスセル・商談・クロージングなど、クライアントが希望する営業業務を委託することが可能です。委託する業務を決定する際は、自社の営業を業務委託する目的を明確にすることが重要です。

また、業務委託とよく似た意味合いの言葉に「業務代行」があります。業務代行が外部業者に業務を依頼することに対し、業務委託は契約の名称であり、必ず契約の下で委託を行います

本記事では、業務委託のメリット・デメリットや契約時の注意点などを解説していきます。

営業代行に業務委託するメリット

営業の業務委託は、近年注目されているサービスの一つであり、多くの企業が採用し、成果を上げています。ここでは、それらの企業が営業を業務委託した際に得られた、下の3つのメリットについて解説します。

営業代行とは?メリット・デメリットや代行できる仕事内容を解説

営業代行とは、企業や個人の営業業務を代わりに行うサービスのことです。本記事では、営業代行をよく知らない・導入を検討している方のために、営業代行のメリット・デメリットや代行を依頼できる仕事内容、営業代行会社の選び方や活用がおすすめの企業を解説しています。

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コスト削減に繋がる

労働人口が減っている日本の現状から、各企業での人材確保は年々難しくなるとともに、採用のためのコストも年々高まっています。その現状は営業職でも同じです。営業のスキルを身につけるには教育と経験が必要になり、同様にコストと期間がかかります。

そこで、業務代行に業務委託することで、採用コスト・育成コストの削減が図れ、人件費の削減にもつながります。業務代行業者には、豊富な営業経験と業界知識を持つエキスパートがそろっているため、上手に利用すれば費用対効果に優れたサービスです。

労務管理の工数を削減できる

自社の従業員が営業を行う場合は、一人ひとりの労務管理が必要となります。しかし、営業代行に業務委託する場合、営業担当者の労務管理は業者側が行うため、自社で勤怠管理や年末調整、給与計算、福利厚生、社会保険の手続きなどを行う必要はありません

また、営業担当者は外出が多く、交通費などの経費の承認作業も必然的に多くなります。そのような手間もなくなるため、労務管理の工数を大幅に削減でき、バックオフィスの負担軽減にもつながります

効率的な営業活動ができる

営業活動をスタートするためには、ターゲットリストを作成したり、イベントやセミナーを開催して名刺を集めたりするなど、さまざまな手順を踏む必要があります。その手順を踏んでいる間に、タイミングがずれて営業チャンスを逃してしまうことも少なくありません。

その点、多くの営業代行業者は、独自に収集した既存の企業や個人のデータベースを持っているため、自社が営業を掛けたいタイミングで効率的な営業が行えます。中には、数百万件もの情報を持っている業者もあり、事業拡大の足がかりになる場合もあります。

営業代行に業務委託するデメリット

営業代行に業務委託することのメリットは大きいですが、デメリットもあります。デメリットを事前に把握し、デメリットを少しでも抑えられる利用の仕方をするのが業務委託する際には重要です。ここでは、下の2つのデメリットについて解説します。

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営業代行に業務委託するデメリット

  1. 報酬の支払いが必要
  2. ノウハウが蓄積されにくい

報酬の支払いが必要

営業代行に業務委託するメリットとして、採用活動や人材育成でコスト削減できると解説しました。しかし、当然委託費用が発生します。費用は、委託する営業業務の内容や難易度によって異なるので、費用を抑えるためには委託する常務内容の精選も必要です。

場合によっては、自社社員の営業に必要な人件費などの必要経費を含めた利益率に比べ、営業代行に業務委託した利益率の方が下回ってしまうこともあります。事前に委託する内容と費用対効果を検討することが重要です。

ノウハウが蓄積されにくい

営業活動のノウハウの蓄積がない企業が、ノウハウを持った即戦力の人材を持った営業代行に業務委託することは、大変価値のある投資になります。しかし、委託業者に依存しすぎると、自社での営業活動のノウハウの蓄積が難しくなるケースがあります

将来的に自社での営業活動を考えるのであれば、自社で営業のノウハウやスキルを学ぶためのプログラムを立てて取り組むことが大切です。営業代行業者の中には、ノウハウやスキルを学ぶことができるコンサルティングサービスを提供しているところもあります。

営業代行に業務委託する際の注意点

営業の即戦力が得られる営業の業務委託は、さまざまな機会で利用することができ、大変便利です。しかし、実際に営業代行に業務委託する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、下の3つの注意点について解説します。

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契約形態を確認する

営業代行を依頼する場合、契約書は必須ではなく、両者の合意でも可能です。しかし、後々発生する可能性のあるトラブルを防ぐためにも、契約書を交わす業務委託で行うのが安全でおすすめです。

一般的に業務委託契約は、民法で定められた請負契約や準委任契約で行います。以下で、請負契約や準委任契約について解説します。

請負契約

請負契約は民法第632条で定められた契約で、依頼した企業が委託業者に報酬の支払いを約束する契約です。請負契約では得られた成果に重点が置かれ、契約で定められた成果が達成されなければ、原則として費用が発生しない「成果報酬型」の契約です。

営業代行での請負契約では、アポイントメントや受注などの成果に対して料金が発生し、それぞれの成果に一件当たりの単価が決められている場合が多いです。成果の定義や完了期日などの具体的な内容は、事前に両者で話し合い確認・理解した上で契約を取り交わします。

しかし、2020年の民法改正では、「請負人が既にした仕事の結果」が注文者に利益をもたらす場合、その部分を仕事の完成と見做し、「請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる」との規定が追加されました。

つまり、請負契約で完全に成果が達成できなかった場合でも、一部の成果で企業に利益が生じるのであれば、委託業者はその利益の割合に応じて報酬の請求ができるということです。

参考:民放第632条|e-Gov法令検索

参考:民放第634条|e-Gov法令検索

準委任契約

準委任契約は民法第656条で定められた契約で、委託業者が委託された業務を遂行することに重点が置かれた契約です。したがって、準委任契約では、業務がしっかりと遂行されていれば、成果が出なくても契約で定められた一定額の支払いが必要となります

コンサルティング業務やイベントの開催の支援など、成果が見えにくい業務などでよく準委任契約が行われます。しかし、準委任契約であっても、テレアポやアポイントなど、成果が明確な業務が含まれている場合は、成果に見合った報酬の設定を行う場合もあります

参考:民放第656条|e-Gov法令検索

雇用契約ではないことを理解しておく

営業代行に業務委託は、営業派遣のような雇用契約ではありません。そのため、委託した企業側には基本的に営業活動の指揮権はなく、営業の戦略立案からアプローチ方法まですべて代行業者の指揮下で行われます

その代わりに、業務委託費用以外に、給与や交通費・福利厚生費などを委託した企業が負担する必要はありません。営業の業務改善に自社の指揮下に置ける営業派遣を利用するのも一つの方法ですが、全く新しい顧客の獲得や業務改善には営業代行の利用がおすすめです。

契約書の内容を精査する

営業代行に業務委託する際の契約書には、数多くの条件が定められています。委託する場合は、必ず契約書の内容を精査する必要があります。ここでは、特に注意したい業務範囲・料金体系と支払い時期・秘密保持条項・報告に関する規定について解説します。

業務範囲

業務を委託する範囲は、代行業者に支払う費用にも直結するため、慎重な精査が必要です。そのためにも業者に委託する前に営業を委託する目的を明確にして、その目的を達成するために、営業活動のどの部分を委託するかを明確にしておく必要があります

業者に委託できる業務には、テレアポの代行・商談への同行・商談や交渉の代行・営業組織や戦略の構築・インサイドセールスなど幅広くあります。委託する業務が多かったり、委託する業務が難しかったりすると、かかるコストは高くなります

料金体系・支払時期

契約書には、必ず料金体系と支払方法・支払い時期が指定されているので確認しましょう。支払い時期には、支払期限と支払期日があり、支払期限はその日まで、支払い期日はその日に支払うことを意味しています。

また、料金体系は、固定報酬型と成果報酬型の2種類があり、どのような営業業務を委託するのかで選び方が異なります。2つの報酬型の特徴とメリット・デメリットを下にまとめておきます。

固定報酬型成果報酬型
特徴・一定の月額料金を支払う
・準委任契約を結ぶ
・成果に対して料金が発生する
・請負契約を結ぶ
メリット・決められた予算内で収められる
・想定以上の成果が出ても同一料金
成果がない場合は費用が発生しない
デメリット成果が出なくても費用がかかる・料金設定が高め
・費用が変動し、予算化しにくい

秘密保持条項

秘密保持条項は、営業代行業者と共有した情報を外部へ漏えいしないようにさせるための条項です。しかし、契約書に必ず必要な条項ではないために、契約条項に含まれていない場合もあるので注意が必要です。

営業代行では、大量の顧客情報を代行業者に提供する場合もあります。そのような場合に代行業者から顧客情報が漏れると、その責任は代行業者にありますが、被害を受けるのは委託した側の企業です。情報漏えいは企業イメージを下げ、企業利益の損失につながります

委託業者に、顧客情報や企業の機密情報を提供する場合は、必ず秘密保持条項を設け、情報管理の方法などを確認しておくことが重要です。しかし、システム上の情報管理ができていても、人からの情報漏えいは防げません。そのため、信用のできる業者選びが重要です。

報告に関する規定

自社で営業活動を行う場合は、自社のセールスパーソン一人ひとりの情報を共有したり、集約したりして、営業業務の進捗状況の把握が可能です。また、進捗状況によって、セールスパーソン同士が補完し合うなどの改善策を立てることができます。

しかし、営業代行に業務委託する際は、指揮権が代行業者にあるため進捗状況の把握が難しいです。進捗状況が分からないまま、最終的に成果が上がらなかったことを業者から報告されると、対策が手遅れになる場合もあります。

そのようなことが起こらないように、契約書の中で報告に関する規定を入れておくのがおすすめです。報告に関する規定では、代行会社からの業務報告の機会設定や連絡の手段・営業方針などについて事前に取り決め、条文に残しておくことが重要です。

まとめ

営業の人的リソースが不足している企業や、営業のノウハウを持たない企業では、代行サービスや営業派遣・フリーランスなどの利用で、人材確保ができます。その中でも営業代行の業務委託は、営業ノウハウとスキルを持った即戦力の人材が確保でき、大変効果的です。

また、営業代行に業務委託すると、コスト削減や営業活動の効率化も図れます。業務委託契約には、請負契約と準委任契約の2種類あり、それぞれに特徴が異なるので自社の委託内容に適した契約を選ぶ必要があります。また、契約書の内容精査は慎重に行いましょう。

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