タイムカードの打刻ルールの必要性|具体例や問題点も解説
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- タイムカードの打刻ルールを定めることは、企業側の義務を果たすために必要である
- タイムカードの打刻ルールを定めたら、それらを周知させていく必要がある
- タイムカードによる打刻には問題点があり、勤怠管理システムの導入も検討する
従業員の労働時間を客観的に把握することは、企業側の義務になっています。そのため、打刻ルールを定め、それを従業員に徹底していくことが必要です。本記事では、打刻ルールの必要性と具体例・従業員への周知の仕方の他、タイムカードによる打刻の問題点についても解説します。
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タイムカードの打刻ルールが必要な理由
2019年の働き方改革関連法施行に伴い、従業員の労働時間を客観的な記録により把握することが、企業に義務づけられました。
労働時間の算出は、原則、1分単位とし、タイムカードの打刻後に残業を命じたり、労働時間を15分単位で丸めることは、法令違反となります。(※1ヵ月単位で残業時間・休日出勤を算出する場合は、30分単位の切り捨て・切り上げは可能)
タイムカードの打刻のタイミングが従業員ごとに異なると、労働時間を客観的に把握できないだけでなく、不正打刻を見過ごすことに繋がります。
そのため、タイムカードの打刻は社内ルールにより明確化し、周知徹底する必要があります。社内ルールは、改正労働基準法に準拠して、作成されなければなりません。
企業は、これまでの不明瞭な管理法ではなく、法律に沿ったルールに基づいて、従業員の労働時間を管理することが求められているのです。
タイムカードの打刻ルールの具体例
労働時間を客観的に把握するには、タイムカードの打刻ルールを作成する必要があります。ここからは、タイムカードの打刻ルールの具体例を紹介していきます。
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タイムカードの打刻ルールの具体例
打刻のタイミングの明確化
タイムカードの打刻ルールを紹介する前に、まずは「労働時間とは何か」を考えてみましょう。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことです。
厚生労働省のガイドラインでは、「使用者の明示、又は黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」と定められています。そのため、業務上必要な着替えや朝礼の時間、業務後の後片付けなどは、労働時間として扱われます。
一方、自主的に動きやすい服装に着替える、勉強のために自主的に朝礼に参加している、といった状況は使用者からの指示ではないため、労働時間にカウントすることはできません。
上司の指示による現場待機やセミナー参加、業務上必要な資格取得のための学習など、使用者から指示された行動は、すべて労働として考えることができます。
出勤時の打刻ルール
出勤後は、直ちにタイムカードを打刻するよう徹底しましょう。出勤後は、原則、使用者の指揮下にある時間(=労働時間)とみなされます。
制服・作業着への着替え、義務付けされた朝礼・ラジオ体操は、タイムカードの打刻後に行うのが基本です。
メールのチェック・朝イチの会議の準備は、前日の就業時間内に済ませておくか、始業時刻後に行うようにしましょう。
タイムカードの打刻後は、速やかに業務を開始することが望ましく、コーヒーを買いに行く・喫煙所に行く、といった行為は、始業時刻の前に済ませておくべきです。
タイムレコーダーの設置場所が仕事場所と離れている場合、定刻ピッタリに打刻すると、遅刻とみなされる場合があります。打刻時間と業務開始時間にズレが出る場合は、対処法をルール化し、従業員に周知しておきましょう。
遅刻の場合、いかなる理由であっても、本人以外が打刻することは認められません。代理打刻は不正に繋がる可能性があるため、遅刻の際のルールは明確にしておかなければなりません。
休憩時の打刻ルール
休憩時間の打刻は、義務ではありません。労働基準法では、6時間を超える労働には、45分以上の休憩、8時間を超える労働には、1時間以上の休憩が義務付けられています。
従業員が所定の休憩時間を取得できていなければ、企業は法律違反に問われる可能性があります。そのため、企業側は、従業員が十分に休憩を取れているか確認する必要があります。
タイムカードによる休憩時間の打刻を習慣化すれば、従業員の休憩時間を把握できるだけでなく、従業員の健康管理にも役立ちます。
退勤時の打刻ルール
退勤時は、業務終了と同時に、タイムカードを打刻するよう徹底しましょう。業務終了時の打刻を習慣づけることで、打刻忘れや不正打刻の防止に繋がります・
業務に関連する後片付け・掃除・着替えは、労働時間にカウントされるため、タイムカードの打刻前に行うのが基本です。
タイムカードの打刻後に残業が必要になった時は、もう1度打刻するか、残業申請を出しましょう。残業は、事前申告と上長の許可が必要なことを周知すれば、残業代の未払いや長時間労働を防ぐことができます。
直行直帰・テレワーク(リモートワーク)・在宅勤務時の打刻ルール
働き方改革により、テレワークや在宅勤務を選択する従業員が増えています。外回りや出張の際の直行直帰も含め、従業員によって勤務形態が異なる場合は、業務開始時刻と終了時刻の確認方法をルール化しておきましょう。
テレワーク・在宅勤務の場合は、PCのログオン・ログオフを目安に、労働時間を管理するのも1つの方法です。
直行直帰の際は、メール・チャット・電話での報告を以って、開始時刻と終了時刻を管理するのもいいでしょう。
通常の勤務形態と比較して、テレワークや在宅勤務は、サボりや長時間労働のリスクが高いと言えます。そのため、テレワークや在宅勤務に対しては、客観的な記録による労働時間の管理ができるよう、対策を講じる必要があります。
ミスや不正への対処法の統一
タイムカードの運用に当たっては、ミスや不正が発生しやすくなります。とりわけ、打刻忘れや本人以外による代理打刻は、重大な不正に繋がる可能性があります。
代理打刻による「遅刻のごまかし」や「残業代の水増し」、打刻なしの「中抜け」といった不正は、たとえ僅かな時間であっても、積み重なれば大きな額になります。
勤務時間の適切な管理のためにも、打刻ミスが度重なる場合は、ペナルティが必要です。ペナルティのルールは明文化し、従業員に周知徹底しておかなければなりません。
ただし、ペナルティとしての罰金・損害賠償の請求は違法行為に当たるため、始末書や減給(法律で定められた上限まで)といった処置が一般的と言えます。
打刻ミスは手書きで修正することになるため、修正の仕方もルール化する必要があります。紛失の際の再発行など、トラブルの際の統一した対処法も考えておきましょう。
タイムカードの打刻ルールを周知させる方法
タイムカードの打刻忘れを防止するには、打刻ルールの周知が必要です。ここからは、タイムカードの打刻ルールを周知させる方法を解説していきます。
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環境づくり
タイムカードの打刻忘れを防ぐには、打刻しやすい環境づくりが必要です。タイムレコーダーの設置場所は、部屋の出入り口など、出勤・退社時に必ず通る場所がおすすめです。
出勤時と退社時でタイムカードの収納場所を分ければ、打刻されていないカードが一目で分かります。打刻忘れに対する声掛けが習慣化されれば、打刻忘れの防止に繋がります。
貼り紙・ポスターの掲示も、打刻忘れの防止に効果的です。廊下や仕事部屋の柱に貼り紙をすれば、嫌でも目につくことになり、タイムカードの打刻忘れが軽減されるはずです。
教育・指導
タイムカードの打刻ルールを周知するには、教育・指導の機会を設けることが大切です。従業員の労働時間に対する考え方を統一し、社内ルールに基づいた時間管理を徹底させましょう。
労働時間の考え方に関する研修・教育を定期的に実施し、タイムカードの打刻の重要性を訴えることにより、従業員の意識向上にも繋がります。
チェック体制の整備
タイムカードの運用に当たっては、管理者によるチェック体制の整備が欠かせません。管理者はタイムカードの打刻ルールを定期的にアナウンスし、従業員との間に認識のズレがないか、確認する必要があります。
管理者が実際にタイムカードの打刻を確認することで、従業員の意識の引き締めになり、打刻忘れの防止に役立ちます。
管理者が定期的にタイムカードをチェックすることにより、従業員の時間外労働や休日出勤の状況が分かり、法律違反を防ぐことにも繋がります。
タイムカードによる打刻の課題・問題点
タイムカードによる打刻は、さまざまな課題や問題点を抱えています。ここでは、課題や問題点の具体例と、その理由について解説していきます。
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タイムカードによる打刻の課題・問題点
集計や計算にかかる時間
タイムカードを基に給与計算を行う場合、タイムカードの回収・計算・集計フォームへの転記といった業務が発生します。
従業員数の多い職場では、タイムレコーダーが複数台設置されていることもあり、回収するだけでも時間と手間がかかります。
手作業による集計は、計算ミスや転記ミスを起こす可能性があり、給与の未払い・過払いの発生にも繋がります。給与計算は重大な業務のため、ダブルチェックも必要です。
打刻忘れやミスがあった場合は、該当者に問い合わせることになり、担当者の業務負担が大きくなることが予想されます。
ヒューマンエラー
タイムカードの打刻において、ヒューマンエラーは避けられません。とりわけ、繁忙期は打刻忘れが多くなり、残業時間を正確に把握することが難しくなります。
打刻忘れを手書きで修正する場合、客観的な管理ができているとは言えません。代理打刻についても、協力する同僚がいる限り、完全になくすことは不可能と言えます。
ヒューマンエラーをなくすのは、非常に難しいことですが、ルールと対処法を明確にすることで、ヒューマンエラーの軽減に繋がります。
リアルタイムでの把握の難しさ
出退勤の把握だけであれば、タイムカードは手軽で便利なツールと言えます。通常、タイムカードは月ごとの集計になるため、遅刻・早退・残業・休日出勤などの状況をリアルタイムで把握するのは難しくなります。
残業時間の上限は法律により定められているため、超過した場合、企業はペナルティを課されることになります。
月ごとの管理では、気付いた時には法律違反を犯している可能性があり、企業側のリスクが高くなることも否定できません。
集計ルールのブレ
タイムカードの集計担当者が複数いる場合、集計ルールにブレが生じる可能性があります。25分の遅刻を30分とするなど、計算しやすいように数字を丸める場合もあれば、仲の良い従業員と示し合わせて、数字を有利に改ざんすることも考えられます。
担当者が複数いる場合は、集計ルールにブレが発生し、正確な数値が把握できなくなる可能性があります。
担当者による集計ルールのブレは、従業員の間に不公平感をもたらし、深刻な問題に発展する恐れもあります。
タイムカード以外の勤怠管理方法
タイムカードの課題・問題点を解決するには、タイムカード以外の勤怠管理方法も検討してみましょう。最後に、勤怠管理システムの概要とメリット・デメリットを解説します。
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タイムカード以外の勤怠管理方法
勤怠管理システムとは
働き方改革関連法の施行に伴い、勤怠管理システムを導入する企業が増えています。勤怠管理システムとは、労働時間をオンラインで管理するシステムのことです。
勤怠管理システムの活用により、出退勤の時間・遅刻・早退・残業・休日出勤などの状況をリアルタイムで把握することができます。
製品によっては、シフト作成や給与の自動計算、他システムとの連携機能を備えたものもあり、労働時間の集計にかかる業務負担を大幅に軽減することができます。
勤怠管理システムの導入により、労働時間を客観的な方法で管理することができ、不正や法律違反のリスク軽減にも繋がります。
勤怠管理システムのメリット・デメリット
勤怠管理システムには、タイムカードによる打刻の問題点をカバーする多くのメリットがあります。クラウド型システムの場合、社外でも勤怠の入力ができるため、勤務形態に関係なく、同一のルール下で労働時間を管理することができます。
勤怠管理システムでは、入力漏れやミスがある場合、アラートが表示されるため、タイムカードによる打刻忘れの問題を解決することができます。
静脈・指紋・顔認証など、生体認証によるログインを設定すれば、代理打刻の問題をなくすことができます。
労働時間の集計と同時に、遅刻・早退・残業時間の集計もリアルタイムで行えるため、手入力によるヒューマンエラーを防ぎ、担当者の業務効率の改善に繋がります。
残業時間が上限に近づくと、アラートが表示されるほか、休日出勤・有給休暇の取得日数も一目で分かるため、法律違反を防ぎ、従業員の健康管理にも役立ちます。
システムによっては、自動で給与計算やシフト作成ができるほか、人事管理システム・給与計算ソフトとの連携機能を備えたものもあります。
一方、導入コストがかかる点と、システムの運用に当たって、ルール作成と従業員へのリテラシー教育が必要になる点がデメリットと言えます。
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まとめ
働き方改革関連法の施行に伴い、タイムカードの打刻ルールの作成は、企業の義務となりました。タイムカードの打刻ルール作成後は、従業員に周知するための取り組みを行う必要があります。
タイムカードによる打刻には、さまざまな課題や問題点があり、タイムカードの打刻のルール化だけでは、解決できない問題もあります。
勤怠管理システムは、導入時こそコストや手間がかかりますが、労働時間の集計にかかる業務効率を大幅に改善し、不正や法律違反といったリスクの軽減にも役立ちます。
従業員の労働時間をシステムで管理することは、働き方改革にスムーズに対応できるだけでなく、従業員の満足度向上や、会社全体の生産性向上にも繋がります。
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