PBXの法定耐用年数は何年?寿命との違いや古いシステムのリスクも

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  • PBXの法定耐用年数は6年、電話ケーブルの法定耐用年数は10年である
  • 法定耐用年数は寿命とは異なるので、越えても全く使用できないわけではない
  • 法定耐用年数を超えたPBXの入れ替えには、クラウドPBXがおすすめ

PBXの法定耐用年数は6年とされています。しかし、法定耐用年数は寿命とは異なり、法定耐用年数を超えたら全く使用できないわけではありません。本記事では、PBXの法定耐用年数や寿命との違い、法定耐用年数を超えたシステムを使用するリスクを解説します。

目次

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  1. PBXの法定耐用年数
  2. 耐用年数を超えたPBXを使用するリスク
  3. 耐用年数を超えたらクラウドPBXへの入れ替えがおすすめ
  4. その他のPBXからの入れ替え手段
  5. まとめ

PBXの法定耐用年数

PBXとは、主に企業などで使用される電話交換機のことです。PBXは、外線と内線の通信を効率的に繋げるために不可欠であり、ビジネスコミュニケーションをスムーズにする役割を担っています。

現在の日本の法律においては、PBXの法定耐用年数は6年と定められています。これは、企業がこの機器を資産として計上する際、税務上の減価償却の基準となる期間を意味します。

また、電話システムの中核を成す電話ケーブルに関しては、法定耐用年数が10年と定められています。しかしそれぞれの耐用年数は、期間を超えた場合、機能しなくなるというわけではありません。

参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

法定耐用年数と寿命の違い

法定耐用年数とは、税法上で資産の減価償却の基準とされる期間を指します。企業が使用する機器や設備は、その価値が時間と共に減少していくものですが、税務上の計算でどのくらいの期間で価値が減じると見なすかが定められています。

PBXのような通信設備も該当しており、PBXが経済的に利用可能とされる標準的な期間を示しています。しかし、法定耐用年数と実際の寿命は必ずしも一致しません。

寿命とは、ある機器や設備が物理的、または技術的に使用不能になるまでの期間を意味します。多くの場合は、適切なメンテナンスによって、法定耐用年数よりも長く機能し続けることが可能です。

新品と中古で耐用年数は異なる

通常、新品のPBXの場合、国税庁が定める減価償却資産の耐用年数は6年とされています。この期間は、新品のPBXが経済的に使用できると想定される平均的な年数を表しており、企業はこの期間に基づいて税務上の計算を行います。

一方、中古のPBXの場合、耐用年数は新品のものとは異なります。中古品の耐用年数は、その品質や使用されていた期間、現在の状態などによって変化します。

新品の耐用年数が6年であるPBXを2年使用した後に購入した場合、残存する耐用年数は約4年となることが一般的です。

参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

耐用年数を超えたPBXを使用するリスク

PBXは、法定耐用年数を超えて使用することも可能ですが、いくつかのリスクが伴います。例えば、故障やトラブルの増加・メーカーの保証やサポートの終了・コストパフォーマンスの低下・新しいシステムに比べた機能性の劣化などが挙げられます。

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故障・トラブルが起こりやすくなる

長期間にわたって使用されるPBXは、時間の経過と共に経年劣化が進み、故障やトラブルが発生しやすくなります。このような故障の原因としては、機器内部へのほこりの侵入やユニット(主装置)の劣化などが挙げられます。

ほこりは電子機器の敵であり、長期間にわたり蓄積すると、内部の回路や部品に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、接触不良や過熱、システムのショートなどが発生し、突然機能しなくなる恐れがあります。

また、湿度や温度の変化も電子機器の劣化を加速する要因です。特に湿度の高い環境では、部品の錆や腐食が進みやすく、これが故障のリスクを高めることになります。

機会損失のリスクが高まる

経年劣化したPBXを使い続けて突然故障した場合、電話が長期間使えなくなる可能性があります。企業にとって、電話を受けることも掛けることもできない状態は、ビジネスに多大な影響を与えるでしょう。

せっかくサービスや商品の購入を検討している顧客がいても、電話が繋がらないという状況では、クレームや機会損失を生んでしまいます。修理や入れ替えには時間を要するため、完全に壊れるまでPBXを使い続けるのは非常にリスキーです。

メーカーの保証・サポート期間が終了する

メーカー保証やサポート期間は通常、新品購入時から一定期間と定められています。この期間内は機器の故障や不具合に対して、メーカーから無償で修理やサポートを受けることができます。

保証期間の長さはメーカーやモデルによって異なりますが、購入から3年〜5年程度が一般的です。しかし、この期間が終了した後に故障や不具合が発生した場合、修理や対応に関しては全て自己責任となり、修理費用は企業の負担になります。

コストパフォーマンスが悪くなる

古いPBXの機種を使い続けることは、表面上はコスト削減のように思えるかもしれません。しかし、古い機器は故障しやすくなり、それに伴う修理費用や部品の交換費用が増加します。

特に製造が終了したモデルの部品は入手が困難であり、必要な部品を見つけるための追加コストがかかることも珍しくありません。また、古い機種は最新の機種に比べて、消費電力が高い傾向にあるため、電力コストの面でも不利になります。

新しいシステムに比べて機能性が劣る

古いPBXシステムは、新しいシステムに比べて機能面で劣る場合もあります。特に現代の働き方改革やテレワークの普及を考えると、その差はより顕著です。

新しいシステムは、クラウドベースのサービスや高度な通話管理機能、統合されたコミュニケーションツールなど、最新の技術を採用しています。また、操作性も直感的で使いやすく、様々な業務アプリケーションとの連携も容易です。

一方で古いシステムは、操作が複雑かつ非直感的で、新しいアプリケーションやシステムとの連携ができないことも多いです。また、新しいシステムに備わっているような機能がない場合も少なくありません。

耐用年数を超えたらクラウドPBXへの入れ替えがおすすめ

耐用年数を超えた従来のPBXシステムは、多くの場合、機能性において制約が見られます。新しいものと入れ替える際には、クラウドPBXがおすすめです。クラウドPBXは、インターネットを活用してビジネスフォンの機能を提供する通信システムです。

クラウドPBXは、低コストで導入し、場所を問わず利用できるなどのメリットがあります。一方デメリットも存在するため、それぞれのポイントを理解した上で、耐用年数を超えた際はクラウドPBXの利用を検討しましょう。

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クラウドPBXとは

クラウドPBXとは、従来の物理的なPBXシステムと異なり、インターネットを介して提供されるシステムのことです。このシステムは、クラウドベースで運用されるため、企業は物理的な電話交換機を設置する必要がありません

ユーザーはインターネット接続があれば、どこからでもアクセスすることができます。そのため、テレワークを導入している企業にも最適です。

クラウドPBXのメリット

クラウドPBXは、従来の物理的なPBXシステムと比較して短期間での導入が可能であり、耐用年数を気にする必要がありません。また、従来のPBXに比べて機能が充実しており、ビジネスニーズに応じたカスタマイズが容易であるなど、多くのメリットがあります。

低コストかつ短期間で導入できる

クラウドPBXは、従来の物理的なPBXシステムと異なり、機器の導入や配線工事などが必要ありません。従来のシステムでは、電話交換機の購入や設置、オフィス内の配線工事が必要であり、それに伴う時間とコストがかかりました。

しかし、クラウドPBXはこのような過程が不要であるため、導入にかかるコストが大幅に削減できます。また、インターネット接続さえあれば、簡単な設定手順に沿って進めるだけで、短期間で稼働を開始することが可能です。

耐用年数を気にする必要がない

物理的なPBXシステムは、時間の経過と共に機器の劣化が見られ、定期的な交換が必要になります。しかし、クラウドPBXの場合、システムはクラウド上にあり、ベンダーによってメンテナンスされるため、このような問題が発生しません。

そのため、常に最新の機能を利用できるだけでなく、システムの安全性や信頼性も保たれます。また、耐用年数の心配がなくなるため、物理的な故障による影響を受けることなく、長期にわたって安定した通信サービスを利用することが可能です。

アップデートして常に最新機能を使用できる

クラウドPBXは、クラウド上で運用され、プロバイダーがセキュリティシステムの更新や新機能の追加を継続的に行なってくれます。そのため、ユーザーは常に最新バージョンのサービスを利用することができます。

また、クラウドPBXプロバイダーは、サイバーセキュリティの脅威に対抗するために、システムのセキュリティ対策を定期的に更新・強化しています。そのため、企業はデータを安全に保護し、情報漏洩のリスクを大幅に減らすことが可能です。

インターネット環境があれば場所を問わず使用できる

クラウドPBXは、クラウドベースで運用されるため、物理的な機器のある特定の場所に依存することなく、世界中どこからでも利用可能です。

また、従来の物理的PBXシステムでは、各拠点ごとに機器の設置や管理が必要でしたが、クラウドPBXは、インターネット経由で全拠点が1つのシステムに統合されます。

そのため、自宅でのテレワークや外出先、海外の出張先などからでも、オフィス内にいるかのように通話することができます。地理的な制約がなくなり、必要な時にすぐコミュニケーションが取れれば、ビジネスの迅速な発展も期待できます。

従来のPBXに比べて機能が充実している

クラウドPBXは、自動応答システムやコール転送など高度な通話管理機能が標準で提供されているものが多いです。また、システムによってはビデオ会議・メッセージ・ファイル共有など、様々なコミュニケーション機能も搭載されています。

従来のPBXに比べて機能が充実しているため、ビジネスのコミュニケーションを円滑化し、業務効率や生産性、顧客サービスの質の向上などが期待できます。

BYOD導入を推進できる

クラウドPBXを利用すれば、BYODの導入を進めやすくなります。BYODとは「Bring Your Own Device」の略で、個人が所有しているモバイルデバイスを業務に使用することを指します。

BYODを導入すれば、企業は社員用の端末を用意する必要がなく、コスト削減に繋がります。クラウドPBXは、専用アプリをダウンロードするだけでスマホを簡単に内線化できるため、BYODをスムーズに推進可能です。

クラウドPBXのデメリット

クラウドPBXは多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。例えば、既存の電話番号をクラウドPBXに引き継げない可能性があります。

また、セキュリティ面では、安全性がサービスプロバイダーの対策に依存します。さらに、通話品質はインターネット環境によって左右されます。このようなデメリットを理解することは、システムの導入を検討する際に重要です。

既存の電話番号を引き継げない可能性がある

クラウドPBXはインターネットベースであるのに対し、従来のシステムは、地理的な位置に依存する電話回線を使用しています。この技術的な違いにより、既存の電話番号を引き継げない可能性があります。

また、国や地域によっては、番号ポータビリティに関する法律や規制が厳格に定められている場合があり、これも移行を複雑にする原因になりえます。

さらに、既存のPBXシステムが特定のハードウェアやソフトウェアに依存している場合、そのシステムとクラウドPBXの間で互換性の問題が生じる可能性もあります。

セキュリティ面はベンダー側に依存している

クラウドPBXのセキュリティ対策は、サービスを提供するベンダーによって行われます。そのため、ベンダー選びがセキュリティレベルを左右します。

ベンダーは、システムの安全性を保証するために、データの暗号化やアクセス制御、ネットワークの監視、定期的なセキュリティアップデートなど様々なセキュリティ対策を講じています。

しかし、全てのベンダーが同じレベルのセキュリティを提供するわけではありません。そのため、企業はベンダーを選定する際に、セキュリティ対策の詳細や実績について慎重に確認する必要があります。

通話品質がインターネット環境に左右される

クラウドPBXは、従来の電話線を使用する代わりに、インターネット接続を通じて音声データを送受信します。そのため、通話品質はインターネット環境に依存します。インターネット回線の帯域幅が広く安定しているほど、通話品質は向上します。

具体的には、インターネットの速度や安定性が、通話中の音声のクリアさや遅延の少なさ、途切れの発生頻度などに直結します。インターネット接続が遅かったり、不安定だったりする場合、通話中に音声の途切れや遅延が発生するなど支障をきたすリスクがあります。

クラウドPBXを導入する際は、事前にインターネット環境の質を把握し、必要に応じて改善しましょう。

番号によって発信できない可能性がある

クラウドPBXは、一部の番号に対して発信ができない可能性があります。具体的には、110・119などの緊急通報番号や、0120などの特殊なサービス番号に対して、クラウドPBXからの発信が制限されることがあります。

このような番号は、通常の電話網を通じて特別にルーティングされているため、インターネットベースのシステムでは対応が難しいことが理由です。特に緊急通報番号への発信が制限されることは、企業の安全管理上の問題となり得ます。

また、特殊なサービス番号への発信ができないことは、顧客サービスやビジネスの運営に影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。

クラウドPBXを選ぶ際のポイント

クラウドPBXはランニングコストがかかるため、費用が予算に見合っているか、長期的に使い続けられるかを検討することが大切です。

また上述のようにセキュリティ面でベンダーに依存するため、具体的な対策を確認しておくと良いでしょう。以下では、クラウドPBXを選ぶ際に注意したいポイントを解説します。

コスト・利用規模を確認する

クラウドPBXを選定する際は、利用規模とコストを確認することが重要です。クラウドPBXの料金は、ユーザー数や内線の回線数などによって変動します。利用人数や台数を明確にし、増員の可能性も考慮した上でプランを選びましょう。

またクラウドPBXには、IVR(自動音声応答)や通話録音など様々な機能を搭載したものがあります。機能によってはオプション料金が発生するため、必要・不要な機能を洗い出してから選択するのがおすすめです。

どのようなセキュリティ対策機能があるか

機密情報や個人情報を扱うクラウドPBXは、セキュリティ機能が高いものを選ぶべきです。セキュリティが優れているかどうかは、以下のような対策機能の有無で確認できます。

  1. ログイン時の二段階認証や生体認証
  2. IPアドレス制限
  3. 24時間365日監視
  4. アクセスログ取得

多くのクラウドPBXはセキュリティ対策を徹底しており、安全性にほぼ問題ないと言われていますが、導入前には公式サイトなどで具体的な対策をチェックしてみましょう。

その他のPBXからの入れ替え手段

従来のPBXから入れ替える手段として、クラウドPBX以外にもIP-PBXや、新しいレガシーPBXへの移行があります。IP-PBXは、インターネットプロトコルを利用して通信を行うシステムです。

また、新しいレガシーPBXに入れ替えることは、既存のアナログシステムをより最新の技術を持つPBXシステムにアップグレードすることを意味します。自社のニーズや予算、将来的な拡張性など、様々な点を考慮し、入れ替え手段を検討しましょう。

IP-PBXに入れ替える

IP-PBXは、インターネットプロトコルを使用して音声通信を行うシステムです。従来のPBXシステムとは異なり、データネットワークを介して音声を送受信します。

企業は従来の電話線に依存せずに、安定したインターネット接続を利用して通信を行うことができます。また、インターネット回線を利用するため、長距離通話や国際通話の費用を大幅に減らすことが可能です。

拡張性にも優れており、ビジネスの成長に合わせて、容易に追加の電話ラインや機能を組み込むことができます。

新しいレガシーPBXに入れ替える

レガシーPBXは物理的な電話交換システムであり、電話線を使用して内線や外線通話を管理します。新しいレガシーPBXに入れ替える選択は、既存の基盤を活用し、比較的低コストで通信システムを維持したい企業に特に適しています。

メリットとしては、従来のモデルと比べて高度な機能を持ち、管理やメンテナンスが容易な場合が多いことが挙げられます。また、既存の電話システムとの互換性が高く、追加の設備投資を最小限に抑えられます。

まとめ

PBXの法定耐用年数は通常6年とされていますが、これは資産としての減価償却の基準であり、実際の機能面での寿命を意味するものではありません。適切なメンテナンスを行えば、法定耐用年数を超えてもPBXは機能し続ける可能性があります。

しかし、技術の進化やビジネスニーズの変化に対応するためには、システムのアップグレードや入れ替えを検討する必要があります。入れ替えの選択肢としては、クラウドPBX・IP-PBX・新しいレガシーPBXが挙げられます。

それぞれ特徴が異なるため、自社の通信ニーズや予算、将来のビジネス計画を総合的に考慮し、最適なPBXシステムを選択しましょう。

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