経費精算になぜ領収書が必要?紛失時の対処法や領収書の電子化も解説
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- 領収書は、商品やサービスに金銭を支払った証明となる公的書類のため、経費精算に必須
- 領収書を紛失した際は、素早く再発行を依頼するか、レシートで代用する
- 領収書を電子化することで、コストの削減・経費精算業務の効率化に期待できる
経費精算を行う際は、領収書が必須です。しかし、領収書はもらい忘れや紛失が多く、提出する側にとっても確認をする側にとっても扱いが難しい存在です。本記事では、領収書が必要な理由や紛失時の対処法、経費精算を効率化できる領収書の電子化について解説しています。
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経費精算・経費精算書に領収書が必要な理由
領収書は、商品やサービスの代金がその提供者へ支払われたことを証明するものです。領収書の存在は、適切な代金を支払い済みであることの証拠となります。そのため、経費精算も領収書の記載をもとに行います。
従業員の経費精算に領収書の提出を義務付けているのは、経費の不正利用を防ぐためです。もし領収書の提出が義務でなければ、実際の費用より多い金額を請求して差額を着服しようとする従業員が出るかもしれません。
また、税務署に対しても、領収書によりその費用の内容や金額を示すことができ、故意の税負担逃れや誤計上でなく経費として処理すべきものであると証明できます。
領収書として必要な要素
経費精算に使う領収書には、消費税法第30条9項1号により下記の項目を記載するよう定められています。
- 日付:代金を支払った日付(年号の略称や西暦の省略は不可)
- 宛名:支払い側の個人名・組織の正式名称
- 但し書き:商品やサービス名を具体的に記載
- 金額:支払った金額(税込・税抜も記載)
- 発行者の住所・氏名:受け取り側の名前と住所
しかし、これらの項目はあくまで法律上の定義です。項目が足りなくても領収書の効力を持っているため、経費精算に使用できます。また、支払額が税抜で50,000円を超え、かつクレジットカード払いでない場合、収入印紙が必要です。
ただし、支払い額が税抜50,000円以上でもクレジットカードやキャッシュレス決済の場合、キャッシュレス決済だと記載されていれば収入印紙は不要です。厳密にはまだ支払いは済んでいないため、収入印紙は不要とされています。
領収書と領収証の違い
領収書と領収証はよく似ているため、違いがわかりにくいですが、大きな違いはありません。どちらも正式名称は「受取証書」と同じです。現代において区別されるケースは少ないです。
ただし、厳密に区別することもでき、商品や金銭の受け取りがあったことを記した書類を領収書、発行目的は同じでも証券として扱われるものは領収証と分類されます。発行目的自体は同じなため、先述の通り現代では同じものとして扱われることがほとんどです。
領収書を紛失した場合の対処法
経費精算において重要な領収書ですが、大抵の領収書はサイズが小さいため、紛失しやすいのも事実です。ここでは領収書を紛失した場合の対処方法を解説します。
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領収書を紛失した場合の対処法
領収書の再発行を依頼する
領収書の紛失が分かった場合、発行元に領収書の再発行を依頼できます。ただし、領収書の再発行は脱税などの不正に使われることもあるため、再発行に応じる企業は少ないです。
再発行は応じないことが多いというのを念頭に置いて再発行の依頼を行い、相手に強要しないようにしましょう。
レシートで代用
領収書がない場合、宛名以外の項目を満たしていれば経費として認められるため、レシートが残っていれば領収書代わりになります。ただし、古いレジを使用している場合は、宛名以外の要素も欠けていることもあるので、項目に不足がないか確認しましょう。
また、レシートには感熱紙が使用されていることが多く、年月が経つにつれ印字が薄くなることがあります。保存する場合は印字が光に当たらないようにするか、スキャンによる電子化を行うなどの対策を取りましょう。
出金伝票に記載する
領収書の紛失が分かった場合、領収書に必要な項目のうち、宛名以外の項目を忘れないうちに速やかにメモに取っておきましょう。その内容を出金伝票や所定の書類に記入し、経費精算を行うことができます。
なお、支払額が税込30,000円未満の場合、消費税の仕入れ税額控除について領収書保存の義務がないため、帳簿に正確な内容を記載しておけば問題ありません。
領収書にさまざまな問題があった場合の対処法
経費精算には領収書が必要ですが、そもそも領収書が発行されないケースがあります。また、領収書をもらっても不備がある可能性もあります。ここでは、領収書に問題があった場合の対処法を解説します。
領収書が発行されない場合
電車・バスなど公共交通機関の運賃や香典などの慶弔関連費には、原則領収書が発行されません。この場合は、出金伝票で対応できます。
領収書の紛失の場合と同じく、「日時」「内容」「金額」「相手の氏名・名称」をメモに取り出金伝票に記載します。交通費は、企業によって別に所定の書類を持っている場合があるため、自社のルールに従いましょう。
領収書に収入印紙が貼っていない場合
領収書の記載金額が税抜50,000円以上の場合、決められた額の収入印紙を貼付し消印する必要があります。しかし、収入印紙がない領収書でも経費の処理には問題ありません。
収入印紙の貼付や消印は領収書の発行者に義務付けられるものであって、受取側では特段問題がないからです。
宛名が空欄の場合
領収書の宛名が空欄の場合、経費として処理すること自体は問題ありません。支払いの日時や金額・目的・支払いの相手さえ明確なら、高額でない限り有効です。ただし、仕入税額控除については宛名記載の領収書が必須となります。
その仕入れ額控除でも、発行者が小売業・飲食業・旅客運送業・駐車場業・旅行業などの業種については、宛先の記載がなくても有効とみなされます。
仕事での支払いなのか判断しにくい場合
取引先との打ち合わせや接待で飲食店を使用した場合、「飲食代」とだけ書かれた但し書きでは、本当に仕事での飲食なのか判断が難しいです。場合によっては、領収書以外の証明できるものの提出を求められることもあります。
飲食代や手土産代などの仕事のための出費だと証明しにくいものは、「株式会社×× 〇〇様への贈答品」のように、但し書きに追記をしましょう。
領収書は経費精算システムで保存可能
領収書は法律により保管期限が決められています。そのため、年月が経ち取引が多くなるほど、保管場所の確保や管理の手間がかかり、まとめ方に工夫が必要になります。
電子帳簿保存法の改正により、事前申告がなくとも領収書を電子化でき原本保管が不要になったことで領収書の電子化に対するハードルが下がりました。また、PDFなど電子データの領収書は紙保存ができなくなっています。
領収書を電子化すると、保管場所が不要な上に必要な領収書も検索ですぐに見つけられます。管理しなければならない領収書は増える一方なため、領収書を電子化し経費精算システムで管理するメリットは大きいと言えます。
電子帳簿保存法の要件
電子帳簿保存法に対応するには、「真実性の確保」と「可視化の確保」の2つの要件を満たさなければいけません。ここでは、この2つの要件について解説します。
参考:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則|e-GOV法令検索
真実性の確保
「真実性の確保」とは、保存した記録が改ざんなどをされていない本物であるという確認ができることです。施行規則第3条第1項により、下記の3つが定められています。
- 訂正・削除履歴の確保
- 相互関連性の確保
- 関係書類等の備付け
そのため、帳簿にかかわるシステムでは、データの訂正・削除をした事実および内容、通常の業務処理時間経過後に入力した履歴を確認できるシステムのみ利用できます。
また、データの記録と関連するほかの帳簿の記録事項との関連性を確認できるようにする必要があります。そのほか、データを保管する際はシステムの説明書や事務処理マニュアルなどのシステム関係書類を備え付けなければなりません。
可視化の確保
「可視化の確保」とは、誰もが視認・確認ができる状態を確保していることです。施行規則第3条第2項により、下記の2つが定められています。
- 見読可能性の確保
- 検索機能の確保
そのため、データをすぐに表示・出力できるよう、ディスプレイやプリンタを備え付ける必要があります。また、システムは日付や取引金額などの主要な項目を検索条件として設定できる機能がなければいけません。
JIIMA認証のシステムがおすすめ
JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が電子帳簿保存法の要件を満たしていると認証したシステムのことです。認証を受けたシステムは、パッケージや製品紹介ページなどにJIIMA認証ロゴの使用が認められます。
電子帳簿保存法の改正で不備があった際の罰則が厳しくなったため、システムの機能もあらかじめ法律に対応しているか確かめる必要があります。JIIMA認証を受けているシステムなら、法に対応しているか細かく確認する必要がなく安心して利用できます。
経費精算の領収書を電子化(Web領収書)するメリット
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経費精算の領収書を電子化(Web領収書)するメリット
コストの削減
領収書は、法人の場合7年間保管するよう法律で定められています。領収書を紙の状態で保管すると、バインダーや棚など物理的な保管場所が必要です。
領収書を電子化すると、このような領収書の保管場所を確保する必要がなくなり、保管のためのコストも削減されます。また、電子化することでメールに添付して送れるため、郵送費などのコストも減らせます。
経費精算の効率化
紙の領収書を電子化することによって、保存したデータを簡単に検索して探せるようになるため、目的の領収書を探す時間が大幅に短縮され、経理部門の業務効率化につながります。
また、電子化により領収書を提出する側も経理部へ出向く必要がなくなります。自宅や出張先からでも領収書を受け取り次第、簡単に提出できるようになります。
消失・紛失リスク軽減
領収書を紙で保管していた場合、地震などの災害で保管場所が倒壊・焼失してしまうと二度と復元できません。しかし、電子化してクラウドサーバー上に保管しておくと、データが残っているため、被害が少なくて済みます。
また、提出する側も領収書をもらってすぐにスマホから送れるため、出張などが終わってからオフィスへ出向く前に紛失してしまうリスクを避けられます。
領収書の劣化が起こらない
紙の領収書の場合、適切な管理をしていても次第に書かれている字が色褪せ、紙が破れやすくなります。特にレシートは感熱紙が使われることが多いため、年月が経つと印字が薄くなりがちです。
その点、領収書を電子化して保管しておくと、適切に管理している限り劣化して破損することはありません。
経費精算の領収書を電子化する流れ
領収書の電子化を進めるには、さまざまな準備が必要です。この準備をしっかり行わずに進めてしまうと、導入したシステムが活用できず労力や費用が無駄になってしまいます。ここでは、導入後のトラブルを避けながら電子化するまでの流れを解説します。
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経費精算の領収書を電子化する流れ
経費精算の業務フローを見直す
経理精算システムを導入する前に、まずこれまで行っていた経費精算の業務フローを見直しましょう。システム導入をした際にどうしても外せない規則があるならば、この段階で把握し、不要な作業を行っていないかもチェックします。
経費精算システムには多くの機能がありますが、製品によって搭載する機能が異なっています。そのため、自社の業務フローを見直し、必要な機能を明確にすることが重要です。
経費精算システムの導入
経費精算システムには、領収書の電子化以外にも交通費精算の手間が省ける乗換案内との連携、仕訳や振込のデータを自動作成するなどの便利な機能が豊富にあります。
しかし、便利な機能が多いシステムは一般的に高額です。また、その機能をすべて使いきれるとは限りません。そのため、自社にとってどの機能が必要か事前に見極めることが重要です。
機能の数や提供業者の知名度だけで選ぶのではなく、なるべく複数業者から見積もりを取って検討することをおすすめします。
運用フローの改善
経費精算システムの導入ができたら、テスト環境でトラブルなくシステムを使えるか検証しましょう。この段階で、導入前に設定した運用フローや社内規定を見直す必要があるか判断できます。
現場ではこれまでの経費精算の手順や規則が異なってくるため、運用フローや社内規則の見直しには現場の声を聞いて改善していきましょう。
社内研修・周知
テスト運用が完了すると、従業員がシステムを使えるようマニュアルの配布や研修などで社内への周知を徹底しましょう。特に、従業員にとって新たにシステムの操作やルールを覚えるのは、億劫になりがちです。
使ってもらえなければシステムを導入する意味がありません。どうして導入するのか目的を明確にし、従業員側にも活用するとメリットがあることを伝えてシステムが浸透していくようにしましょう。
運用開始・改善
社内への周知完了後にようやく本稼働となりますが、運用開始後も作業は残っています。まず、運用開始の際に問い合わせ担当者を決め、問い合わせが来てもすぐに対応できるようにします。
なお、稼働当初は従業員が戸惑うことが多いため、想定される質問事項をまとめてQ&A集を作成しておくといいでしょう。また、システム提供業者のマニュアルとは別に自社ルールに従ったマニュアルがあると、従業員もスムーズにシステムを活用できます。
まとめ
領収書は、商品やサービスに対して適切な代金を支払った証拠です。企業で経費精算の際、従業員に領収書の提出を義務付けているのは、経費の不正使用を防ぐためです。また、領収書により税法上も適正な経費として処理した証明になります。
領収書に必要な項目は法律上規定がありますが、不足していても経費精算には有効です。なお、紛失または取引の性質上領収書が存在しない場合は、出金伝票などの書類でも代用できます。
電子帳簿保存法の改正で、領収書の電子化と経理精算システムの導入が増えています。システム導入には多くのメリットがありますが、システムの活用には運用フローの改善や従業員への周知徹底が重要です。
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