CMS導入にかかる費用とは?ランニングコストの相場や内訳を解説

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  • CMSの費用は、サイトの規模・機能性・デザイン性などにより算出される
  • 費用は依頼する制作会社によっても異なるため、複数の見積りを取るのがおすすめ
  • 費用を抑えるには、必要な機能を絞り込む・デザイン案を用意しておくなどの方法がある

専門知識を持たない人でもWebサイトの作成・編集ができるCMSは、近年多くの企業で導入されています。本記事では、CMS導入を検討する際に気になる費用面について、サイトの規模による費用相場・内訳・注意点・安く抑えるポイントを分かりやすく解説します。

目次

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  1. CMSにかかる費用
  2. CMS自体は無料で利用できる
  3. CMS導入の費用相場と内訳
  4. CMSの導入・運用費用に関する注意点
  5. CMSの導入・運用費用を抑えるポイント
  6. まとめ

CMSにかかる費用

CMSとは「Contents Management System」の略で、Webサイトのコンテンツ制作や更新・管理が簡単にできるシステムです。テキストや画像、レイアウト、デザインなどのデータが一元的に管理されています。

一般的にWebサイトの構築には、HTMLやCSSなどを扱うための知識や技術が必要です。しかし、CMSを利用したWebサイトの構築では、それらの知識や技術が必要なく、専門知識を持たない人でもコンテンツの作成が可能です

特に最近では、多くの企業でWebマーケティングが盛んに行われるようになり、より効果的かつ効率的なWebサイトの運用・管理と、スピーディーなWebコンテンツの更新が求められています。そのため、CMSは各企業で積極的な導入が進められています。

では、このCMSを利用するにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。この記事では、CMSを導入するにあたってかかる費用について、計算方法や相場、内訳などを紹介します。

CMSとは?導入のメリット・デメリットや選び方をわかりやすく解説

CMSとは、コンテンツ・マネジメント・システムの略称で、Webサイトの専門知識がない人でもコンテンツの編集・更新ができるシステムのことです。本記事では、CMSの概要・メリット・デメリット・選定ポイントなど、CMS導入を検討している方に向けて詳しく解説します。

CMS自体は無料で利用できる

WordPressなどのCMSは、一部を除いて基本的には料金はかからず無料で利用できるものがほとんどです。では、CMSでホームページを作成する際にかかる費用の内訳は何なのでしょうか。

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CMSでホームページを作成する際にかかる費用の内訳

  1. 費用のほとんどは人件費
  2. ページ数が増えるたびに費用はかかる

費用のほとんどは人件費

無料で利用できるCMSで費用がかかってしまう理由は、人件費です。ホームページを制作会社に依頼する場合にかかる費用の多くが人件費なので、「CMS導入にかかる費用=CMSを活用したホームページを作成する人件費」といえます。

CMSのインストールやアカウント設定などの初期設定のほか、企画・ディレクション、デザイン・コーディング、運用・保守など、各工程にはディレクターやプログラマー、デザイナーなど、それぞれ専門職の人材が担当します。

こういった人材費がいくらかかるのかを事前に調査し、予算にうまく組み込む必要があります。もちろん、個人でWebサイトを作成する場合は、知識やスキルさえあれば無料の範囲内でも高いクオリティのものを作成できるでしょう。

ページ数が増えるたびに費用はかかる

CMSで作成するページ数が多ければ多いほど工数が増えるため、人件費は高くなります。例えば、プロのカメラマンによって写真素材を撮影したり、動画編集をしたりなど、凝ったWebコンテンツの作成は多くの制作費を必要とします。

後述して費用を抑えるポイントを詳しく紹介しますが、CMSにある既成のテンプレートや自社で作成したデザインテンプレートを使用したり、必要な機能性を絞っておいたりすることで、ある程度の費用を抑えることができます。

CMS導入の費用相場と内訳

CMSの導入・運用費用がかかる場面は、大きく分けて要件定義、企画や設計、導入と実装、運用です。しかし、それらにかかる費用は、構築するサイトの種類や規模によっても大きく異なります。

ここでは、サイト規模を小規模・中規模・大規模の3段階に分けた場合のCMS導入・運用にかかる総額相場と、それぞれの内訳について解説します。まず、専門業者に委託して行う場合の費用について下の表で紹介します。

小規模サイト中規模サイト大規模サイト
ページ数の目安5ページ程度15〜30ページ程度300ページ程度
合計費用の相場30万~100万円100万~200万円500万円以上
費用相場
要件定義〜60万円程度
企画・設計30万〜100万円程度
導入・実装40万〜300万円程度
運用5,000~3万円程度(月額)

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CMS導入の費用相場と内訳

  1. 費用相場
  2. 費用内訳

費用相場

初めにサイト規模ごとの費用相場について解説します。しかし、ここには社内の人件費は含みません。人件費はCMSを導入することで効率化され、導入前よりも抑えることが可能です。

小規模サイト

ここでいう小規模サイトとは、Webページが5ページ程度であり、個人経営の小売店や飲食店など店舗や商品、メニュー、サービスの紹介に利用されるWebサイトです。これらのサイトの場合、多くはCMSの基本機能で対応できます

そのため、費用は30万~100万円程度で抑えられ、中には無料プランを選択できる製品もあります。豊富なテンプレートが用意されたツールもあり、魅力的なコンテンツの作成が可能です。最近はスマホユーザーが多いので、マルチデバイス対応のCMSがおすすめです。

中規模サイト

ここでいう中規模サイトとは、Webページが15〜30ページであり、中小企業などでよく運用されているWebサイトです。小規模サイトに比べて、ページ数が多い分制作コストが高くなります。また、問い合わせ機能などの追加機能が必要になる場合もあります

この規模のサイトは、無料プランでは効率的な運用ができず、有料版に追加機能を付加する必要が出て、費用相場は100万~200万円程度になります。追加機能が多くなると導入・運営コストは上がるので、費用を抑えたい場合は、追加機能の絞り込みが必要です。

大規模サイト

ここでいう大規模サイトは300ページを越え、ECサイトの運営など幅広いWebマーケティングが行われる企業で利用されているサイズです。大規模サイトはページ数が膨大なため、サイト作成に大きなコストがかかります

また、そのページ数の管理・分析は手作業では難しく、自動でログ記録を取り、分析するツールも必要になります。また、ECサイトの運営には顧客管理も必要となり、多くの機能追加が必要になります。

この規模のサイトには、企業の機密情報や顧客の個人情報等も含まれる場合も多く、強固なセキュリティ対策が必要です。そのため、費用相場は500万円以上と高額になります。

費用内訳

サイト規模による費用相場の違いについて解説してきましたが、ここでは、それらの費用の内訳を解説します。

要件定義

要件定義とは、導入するCMSの基本仕様を決める作業です。一般的に専門業者に依頼すると、10万~60万円程度の費用がかかります。CMS導入のための要件定義には、大きく分けて、機能部分の要件定義と非機能部分の要件定義があります。

機能部分の要件定義は、搭載すべき機能を決定する作業です。Webサイトの用途によって、搭載すべき機能は異なるので、CMSの導入目的や活用方法を明確にしておくことが重要です。この過程は、運用する際の費用対効果を大きく左右します。

非機能部分の要件定義とは、主にサイトの動作や見た目を決定する作業であり、フォントの種類・大きさ・色・行間などを定義します。この過程は、運用時のアクセス数に大きく影響します。また、セキュリティ対策やマニュアル・運用サポートなどの定義も行います。

企画・設計

企画・設計は、自社Webサイトの全体構成を決定する作業です。ここでは、CMS導入の目的達成のために必要なコンテンツを洗い出し、ページ割当てやデザインなどを決定していきます。

Webデザインは、CMSに標準搭載されたデザインテンプレートなどを利用して、自社で行うことも可能です。また、CMSを提供するベンダーが、企画設計を手助けしてくれるサービスを行なっている場合もあります。

デザイン性の高いコンテンツにしたい場合は、専門業者への依頼もおすすめです。その場合、30万~100万円程度かかります。また、一部のページを専門業者に依頼して、残りの部分は自社でデザインすることでコストを抑えることも可能です。

導入・実装

導入・実装では実際にCMSを導入して、足りない機能の実装を行います。導入方法には、自社でサーバーを用意する必要のないクラウド型、カスタマイズしやすいパッケージ型、コストが抑えられるオープンソース型があります。

クラウド型は、ベンダーにあるCMSにインターネットを介してアクセスする方式です。サーバー設置の必要がなく、無料プランを設定しているベンダーもあるので、導入費用は無料〜100万円程度まで抑えられます。実装は、プランの変更やオプションの追加で行います。

パッケージ型は、買い取ったCMSを自社のサーバーにインストールして運用する方法です。製品化されている物を利用する方法と、ベンダーに要件定義を伝えてCMSを制作してもらう方法があります。パッケージ型の導入費用は、50万〜100万程度が相場です。

オープンソース型は、無料で利用できるソースコードを利用して、自社の要件定義に合ったCMSの構築を行う方法です。ただし、CMSの構築・メンテナンスには、高度なプログラミング技術を有する人材が必要です。

運用

運用にかかる費用は、CMSのメンテナンス費用やベンダーからのサポート費用などです。クラウド型は毎月の利用料が発生し、5,000〜3万円程度が必要です。

パッケージ型は毎月の利用料は必要ありませんが、メンテナンスは自社で行う必要があり、月額1万〜3万円程度が必要です。また、オープンソース型のメンテナンスも自社で行うため、パッケージ型と同等の費用がかかります。

CMSの導入・運用費用に関する注意点

CMSの導入には機能面での検討はもちろんですが、ほかにも費用面での注意事項があります。ここでは、下記の3点について解説します。

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サーバー代が必要な場合もある

CMSの運用には、ベンダーのサーバーを利用するクラウド型以外は、自社でサーバーを用意する必要があります。サーバーには、自社サーバーとレンタルサーバーの2つの方法があります。

自社サーバーは自社で物理サーバーを用意して、サーバーの構築と運用・管理を行います。大きなWebサイトの運用や機密情報を扱う企業におすすめです。サーバー本体の購入と構築なども含めると、導入時に50万〜300万円程度の費用がかかります。

レンタルサーバーには、共用サーバー・専用サーバー・VPS・クラウドサーバーなどの種類があります。共用サーバーは低コストで利用できますが、Webパフォーマンスやサイト規模から、企業の利用にはあまりおすすめできません

ほかのレンタルサーバーは、導入や運用の費用の安い順に、VPS・クラウドサーバー・専用サーバーとなります

最近では、サーバーの構築や管理が必要なく気軽に利用ができるクラウドサーバーでの運用が多くなり、毎月の利用料は5,000円前後です。

費用はツールや依頼先によって異なる

CMSの導入や運用のためにかかる費用は、ツールの選び方や依頼先によって大きく異なります。CMSを自社の要件定義に合わせて作成を依頼すると高額になり、既成の製品を選べば費用は抑えられます。しかし、それらの依頼先によってもかかる費用は異なります。

また、CMS搭載のテンプレートを使ったり、自社で画像を用意したりすれば、運用費用は抑えられます。ただし、デザインにこだわって業者に依頼すると高額になる傾向にあります。

この場合も業者間の差が大きいので、さまざまなシーンで相見積りを取って比較するのがおすすめです。

安さだけを重要視しない

コスト面だけを重要視して導入すると、業務の効率化が十分に進められず思ったような人件費の削減ができないこともあります。そして、後から機能追加を行うと予想以上のコストがかかってしまう上に、操作性が悪くなる場合もあるので注意が必要です。

費用が安い原因には、サポート体制の弱さにある場合もあります。サポート体制も依頼先を選ぶ上での重要なポイントです。特に、自社にITの専門知識や技術を持った人材がいない企業では、サポート体制がしっかりした依頼先の選択がおすすめです。

CMSの導入・運用費用を抑えるポイント

企業として、少しでも導入や運用のための費用を抑えて、費用対効果の高いCMSにしたいと考えるのは自然です。そこで、CMSの導入・運用費用を抑える下記にある5つのポイントについて解説します。

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オープンソース型CMSを検討する

オープンソース型CMSは、ソースコード(プログラム)が無料で一般公開されており、誰でも改変や再配布が可能なCMSです。ソースコードを書き直すことで、無料で自社の要件定義を満たした使いやすいCMSの構築ができます

しかし、ソースコードで機能追加やセキュリティ対策などを行うには、プログラミングの必要があるため、高度な専門技術を持った人材が必要です。また、基本自社開発になるので、外部からのサポートは受けられません。人材確保できる場合は、導入費用を抑えられます。

必要な機能性・デザインを絞る

基本的にCMSの搭載機能が多いと、導入や運用の費用が高くなります。したがって、費用を抑えるには、必要な機能のみを搭載したCMSの導入が大切です。そのためにも、CMSの導入目的や目標の明確化、必要機能の洗い出しが重要になります。

また、Webデザインの追求も運用費用を高くする原因です。外部発注をする場合は、全ページを依頼するのでなく、一部のページだけ依頼するようにすると、運用費用を抑えられます。また、自社でWebデザインできる人材の育成や確保も費用を抑える一つの方法です。

あらかじめデザイン案を用意しておく

Webデザインコストを最も簡単に抑えられる方法は、CMS搭載のテンプレートを利用することです。導入前にサイトのデザイン案を用意し、それに近いテンプレートを持ったCMSを選択することで、費用を抑えることができます。

また、業者にWebデザインを依頼する際に、あらかじめデザイン案を用意しておくと、業者の工数が減り、制作費用の削減が図れます。自社で画像やテキストなどを用意しておけば、さらなる経費削減が可能です。

スモールスタートで運用を始める

Webサイトの作成や運用の経験が少ない企業では、どのようにCMSの導入をしたらいいか迷い、対応範囲が広い多機能なCMSを導入するケースも多いです。しかし、導入・運用費用が高額になり、結果として費用対効果が見合わない場合も多く見られます。

このような場合は、導入・運用費用を抑えた最小限の機能で導入するスモールスタートがおすすめです。クラウド型では無料プランから始められるCMSもあり、必要に応じて機能追加で有料プランに変更していくことも可能です。

補助金・助成金を活用する

良質なWebサイトの作成をしようと思うと高額な費用がかかり、小規模事業者にとっては大きな出費となってしまいます。そこで、国や地方自治体では、小規模事業者向けに資金補助を行う補助金や助成金の制度が実施されています。

ここでは、Webサイト作成に利用できる「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」について解説します。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者のITツール導入を支援するための経済産業省が行っている補助金制度です。補助金額は最大450万円で、補助率は通常枠では2分の1となっています。

ただし、CMS導入がすべて該当するわけでなく、Webサイトが企業の売上や成果につながっている必要があります。よって、IT導入支援事業者などとよく相談しての申請がおすすめです。

参考:IT導入補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、数人から20人程度の小規模事業者を対象に、日本商工会議所が行う補助金制度です。

持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行う販路開拓や、生産性向上の取り組みに対する補助金で、補助額は最大50万円・補助率は3分の2となっています。

参考:小規模事業者持続化補助金

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業庁が創設した補助金制度です。新型感染症による経済変化に対応するための、企業の思い切った事業再構築を支援しています。したがって、CMSの導入が、新分野展開・業態転換などにつながる場合に補助金申請が可能になります。

補助額は最低100万円からですが、限度額は従業員数によって異なり、2,000万~7,000万円までの4段階で設定されています。補助率は2分の1または3分の1です。ただし、必須要件や成長枠も定められているため、よく確認して申請する必要があります

参考:事業再構築補助金

まとめ

Webサイトの作成・編集が専門知識を持たない人でも簡単にできるCMSは、近年多くの企業で導入されています。CMSの導入や運用にかかる費用を危惧している企業も多いですが、費用はサイトの規模や機能性・デザイン性などにより算出できます。

CMSの導入・運用費用は、CMSの制作やコンテンツの作成を依頼する業者によっても大きく異なります。したがって、常に複数の見積りを取って費用を抑えるのがおすすめです。また、機能の絞り込みやWebのデザイン案の事前準備で費用を抑えることも可能です。

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