PBXと主装置の共通点・違いを解説|PBXにしかない機能も
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- PBXと主装置は、どちらも電話通信を制御する機器である
- PBXは大規模な環境で使われるが、主装置は中規模・小規模な環境で使われる
- PBXは単体で使えるが、主装置はビジネスフォンと組み合わせて使う
PBXと主装置はどちらも電話通信を制御する機器ですが、使い方や対応規模に違いがあります。中には、PBXにしかない機能などもあります。本記事では、PBXと主装置の共通点や違いを、仕組み・適した環境・接続台数・基本機能・価格などに着目して解説します。
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PBXと主装置の共通点・違い
PBXと主装置はどちらも電話通信を制御する機器ですが、どのように違うのかを把握していないと、どちらが自社に適しているか判断できません。ここでは、共通点と違いについて詳しく解説します。
PBX | 主装置 | |
---|---|---|
仕組み | 独自電話網を作り、オフィスの電話やコールセンターなどの電話回線を集約する | 電話機やドアホンなどを主装置に接続し、外線や内線の発着信を制御する |
適した環境 | 大規模なオフィス | 中小規模オフィス |
接続台数 | 数百〜数千台 | ・Sクラス:10台 ・Mクラス:30台 ・Lクラス:80台(増設可能) |
基本機能 | ・内線同士を繋ぐ機能発着信制御機能 ・転送機能 ・ダイヤルイン機能 ・代表番号着信機能 ・パーク保留機能 など | ・内線同士を繋ぐ機能 ・保留機能 ・転送機能 ・モニター機能 ・通話録音機能 など |
コスト | ・レガシーPBX:数百万円 ・IP-PBX:数百万円 ・クラウドPBX:数万円 | 10万円〜50万円程度 |
周辺機器数 | 多い | 少ない |
PBXと主装置の共通点
PBXと主装置は、どちらも電話通信を制御する点では同じです。主に外線と内線の接続を制御したり、内線同士を繋いだりする役割を担います。
また、代表電話番号に着信があった際、複数の電話機で同時に着信できる代表電話番号機能や転送機能、保留機能などを備えている点も共通しています。
PBXと主装置の違い
PBXと主装置は、対応できる電話機の接続台数が異なります。PBXは数百台〜数千台接続できるのに対し、主装置は10台〜80台と比較的少ない傾向にあります。
また、PBXはさまざまな周辺機器に接続できるのに対して、主装置はビジネスフォンと呼ばれる専用の電話機と組み合わせなければ使うことができません。
PBXにしかない機能
PBXと主装置は似ている機能が多いですが、以下のようにPBX特有の機能があります。
- パソコンと接続できる
- スマートフォンを内線端末として接続できる
- CTI機能がある
- 複数拠点を内線で接続できる
ISDN回線とは、NTT東日本・NTT西日本が提供している回線サービスです。内線では使えない回線ですが、PBXを導入することで内線でも使用できます。ただし、ISDN回線は2024年1月でサービスが終了します。
CTI機能とは、電話とパソコンを連携させる機能のことです。電話機を使わずにパソコン操作だけで電話をかけたり、電話番号から顧客情報をパソコンの画面に表示できたりします。
PBXとは
PBX(Private Branch Exchange)とは、日本語で「電話交換機」を意味します。外線から内線、もしくは内線同士の接続を制御するシステムのことです。ここでは、PBXの概要について解説します。
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PBXの仕組み
PBXは自社に独自の電話網を作り、オフィスの電話やコールセンター、社用スマートフォンなどの電話回線を集約する仕組みであり、集約した電話を指定された電話機へ転送します。
社員の人数や部署が多い企業の場合、1つの電話機では電話対応ができず、複数人に対して1台の電話機や、1人1台スマートフォンが渡される傾向にあります。しかし、1台ずつ電話回線を繋ぐと費用がかかり、管理も煩雑になってしまいます。
PBXは発着信の制御や管理を可能にし、電話の取り次ぎをスムーズにできるため、上記のような問題の発生を防ぎます。
PBXの種類
PBXには、レガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXの3種類があります。以下の表でそれぞれの特徴を詳しく解説しています。
PBXの種類 | 特徴 |
---|---|
レガシーPBX | ・施設内に機器を設置するタイプ(オンプレミス型) ・電話回線利用のため通信の安定性・セキュリティ性が高い ・セキュリティが強固 |
IP-PBX | ・IPネットワークを利用するタイプ ・パソコンやスマートフォンでも通話が可能 ・専用の機器を設置する『ハードウェアタイプ』と、自社サーバーにインストールする『ソフトウェアタイプ』がある |
クラウドPBX | ・ベンダーのサーバーを使い、インターネットを経由して利用するタイプ ・オンプレミス型に比べて低コストで、メンテナンスする必要がない ・複数の拠点を構える場合でも利用しやすい |
PBXの基本機能
PBXの機能は、主に以下の6つです。
- 内線同士を繋ぐ機能
- 発着信制御機能
- 転送機能
- ダイヤルイン機能
- 代表番号着信機能
- パーク保留機能
「内線同士を繋ぐ機能」は、言葉のとおりPBXに接続している電話機器同士で通話・転送ができる機能です。「発着信制御機能」は、外線用の電話番号と発信する内線番号を紐付けできる機能をいいます。
「転送機能」は、社内の電話機で受けた電話を、外出している社員のスマートフォンなどに転送できる機能です。
「ダイヤルイン機能」は、1つの電話回線で複数の電話番号を追加できる機能であり、カスタマーサポートに電話をかけ、オペレーションの指示に従って要件を選択し、担当の部署に電話が繋がるケースがあげられます。
「代表番号着信機能」は、代表電話番号に着信があった際、複数の電話機で同時に着信できる機能のことで、「パーク保留機能」は、保留にした電話を他の電話機で解除し、電話を引き継ぐことをいいます。
PBXのメリット
PBXを導入するメリットは、パソコンと接続したり、スマートフォンを内線端末として接続できたりする点があげられます。ここでは、PBXにしかない機能によって得られるメリットについて解説します。
パソコンと接続できる
PBXを導入することで、電話業務をパソコンで行えるようになります。取引先からの電話への対応などは一般的な電話機でも行えますが、コールセンターのような1件でも多くの電話応対が求められる現場では、パソコンでの電話業務の方が効率的です。
また、パソコンがあれば自宅でも電話業務が可能となるため、コールセンターでのリモートワークの推進にも貢献します。
スマホを内線端末として利用できる
PBXは、スマホを内線端末として利用できるようにしてくれます。会社宛にかかってきた電話に出先でも対応できるため、電話をかけてきた相手との連絡がスムーズに行えます。
また、スマホの電話番号ではなく会社の番号での発信も可能になり、取引先にスマホの番号を教える必要がなく、プライバシーを守ることにもつながります。
主装置とは
主装置とは、ビジネスフォンを使用するために必要な装置です。そもそもビジネスフォンとは、ビジネス向けの電話機のことをいいます。前述の通り、主装置はビジネスフォンと組み合わせなければ利用できません。
ここからは、主装置の仕組みや種類、機能やメリットについて解説します。
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主装置の仕組み
主装置には、ユニットと呼ばれる基盤が内蔵されており、用途に合わせてユニットの種類や数を組み合わせて使用する仕組みです。ユニットはたとえば以下があげられます。
- 外線ユニット
- 内線ユニット
- 電源ユニット
- 交換ユニット
- 拡張ユニット
そして、電話の発着信やドアホン、FAX、内線などは全て主装置を介して接続されます。外線や内線の発着信を制御するという意味では、PBXと同様の仕組みです。
主装置の種類
主装置には、SSクラス・Sクラス・Mクラス・Lクラスの4種類があります。それぞれ接続できる電話機の台数や回線数などが異なる点が特徴です。
SSクラスは「ホームテレフォン」と呼ばれ、ビジネスフォンと家庭用電話機の中間程度の機能しかありません。5台程度の接続台数で2チャネルしか接続できないため、企業用としては不十分な傾向にあります。
そのため、一般的に企業用で利用されるSクラス以降についてを、以下の表に詳しくまとめました。
主装置の種類 | 接続台数 | チャンネル数 | 回線数 | 増設の可否 |
---|---|---|---|---|
Sクラス | 10台 | 4チャネル | ・アナログ回線:4回線 ・ISDN回線:2回線 | 不可 |
Mクラス | 30台 | 12チャネル | ・アナログ回線:12回線 ・ISDN回線:6回線 | 不可 |
Lクラス | 80台 | 24チャネル | ・アナログ回線:24回線 ・ISDN回線:12回線 | 可能 |
主装置の基本機能
主装置の機能には以下のような機能があります。機能はユニットを装着することで増やすことができ、カスタマイズ性が高い点が特徴です。
- 内線同士を繋ぐ機能
- 保留機能
- 転送機能、スマートフォン転送機能
- モニター機能
- 通話録音機能
主装置のメリット
主装置は、接続台数が10台〜80台と少ない傾向にあるため、費用が安価で済む点がメリットです。導入コストを抑えつつ、電話回線を整えたいと考える中規模や小規模の企業に最適といえます。
また、必要な機能をカスタマイズしたり拡張できたりするため、事業規模に合わせられる点もメリットです。
PBXと主装置のどちらを選ぶべきか
PBXと主装置の導入は、自社に適したものを選ばなければメリットを得られません。ここでは、選ぶ際のポイントを解説します。
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PBXと主装置のどちらを選ぶべきか
接続する電話機の台数で選ぶ
PBXか主装置にするかを選ぶ際は、接続する電話機の台数で決めることがおすすめです。PBXは、数百台〜数千台の電話機を接続することが可能です。一方で主装置は、Sクラスは10台・Mクラスは30台・Lクラスは80台と決まっています。
そのため、80台以上を希望する場合はPBXを選ぶ必要があります。会社の規模は年々拡大する可能性もあるため、将来的な事業拡大を考慮して選ぶことが重要です。
目的に合った機能を搭載しているかで選ぶ
PBXか主装置かを選ぶ際は、目的に合った機能が搭載されている方を選びましょう。大きな違いは、利用する拠点が1か所か複数かという点です。複数拠点で内線を繋ぎたい場合には、PBXの導入がおすすめです。
一方で、利用する拠点が1か所で、発着信以外の機能を重視しない場合は主装置の導入が適しています。自社の導入目的を明確にして、必要な機能を絞り込むと決めやすいです。
導入・運用にかかるコストで選ぶ
導入・運用にかかるコストで、PBXか主装置かを選ぶことも1つの方法です。PBXと主装置は、導入の初期費用に加えてメンテナンス費用がかかるケースがあります。
PBXの初期費用に関しては、オンプレミス型は初期費用のコストが高い傾向がありますが、クラウドPBXの場合は比較的安価で導入できます。ただし、月額料金で提供しているケースが多いため、長期的なコストを算出して選択することをおすすめします。
まとめ
PBXと主装置は、どちらも電話通信を制御するシステムです。内線の接続を制御したり、内線同士を繋いだりします。ただし、PBXは数100台以上電話機を接続できるのに対し、主装置は80台より少ない台数が一般的です。
他にも、接続できる周辺機器の数や拠点数、機能などが異なります。そのため、PBXと主装置を選ぶ際は、長期的な視点で自社の事業規模や予算を考慮し、必要な機能を備えた方を選択しましょう。
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