15分単位の勤怠管理は違法?正しい勤怠管理や残業時間について解説

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  • 15分単位の勤怠管理は違法であり、1分単位での勤怠管理が義務付けられている
  • 正しい勤怠管理には、法令の遵守はもちろん従業員の勤務状況を把握することも重要
  • 残業時間についても、1分単位での算出が必要だが切り捨てが可能な場合もある

現代では、法改正により原則として1分単位での勤怠管理が義務付けられており、15分単位での切り捨てや切り上げは違法です。本記事では、正しい勤怠管理や勤務形態ごとの残業時間の考え方や残業時間の計算方法なども詳しく解説します。

目次

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  1. 15分単位での勤怠管理は違法になる
  2. 労働時間は原則1分単位で計算する
  3. 正しい勤怠管理とは
  4. 残業時間について
  5. 勤怠管理におけるその他の注意点
  6. 勤怠管理システムの導入で正しい勤怠管理を
  7. おすすめの勤怠管理システム3選
  8. まとめ
  9. 勤怠業務を効率化!関連サービスはこちら

15分単位での勤怠管理は違法になる

15分単位で計算される勤怠管理は、違法になります。労働基準法第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められており、15分単位では労働者に全額を支払えないためです。

たとえ会社の就業規則に、労働時間が15分単位で切り捨てになる旨記載があるとしても、法令上は違反しているため労働契約は無効とみなされます。賃金は原則として、1分単位の労働時間で支払われなければなりません。

参考:労働基準法第24条(賃金の支払)について|厚生労働省

打刻まるめとは

打刻まるめとは、勤務時間の端数の切り捨てや切り上げを行うことです。例えば、5分単位でまるめ処理を行う場合、9時3分に出社した場合は切り上げて9時00分が勤務開始時間として打刻されます。勤怠管理を効率化できる手段として利用されています。

ただ、従業員の労働時間分の給与を支払わなければ、労働基準法に違反することとなるため注意が必要です。打刻まるめによる切り捨てが認められる時間は、労働基準法に定められています。

1カ月単位の計算で時間外労働の合計が1時間未満の端数がある場合、30分未満の端数は切り捨て、それ以上は1時間に繰り上げるという処理が認められています。

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

法律違反による罰則

15分単位で勤怠管理を行い労働時間分の給与を支払わなかった場合、労働基準法の第24条に違反します。第120条で定められた罰則として、30万円以下の罰金に処されます。(第23条~27条に該当する者と記載あり)

また、労働基準監督署からの是正勧告を受けることもあります。是正されない場合、刑事手続に移行して捜査が行われる可能性が出るでしょう。

参考:労働基準法 第十三章 罰則 | e-Gov法令検索

遅刻や早退時間の切り上げも注意

遅刻や早退が発生しても、労働基準法の第24条に則り、1分単位での労働時間の記録が義務付けられています。15分単位での管理はできません。切り上げて計算した場合は労働基準法の違反となるため、注意が必要です。

朝礼(終礼)や着替え時間にも注意

朝礼(終礼)が強制参加の場合や着替えの時間は、企業に拘束される時間として賃金が発生します。業務が開始していないため労働時間に含まない企業も多いですが、労働基準法に違反する可能性があるため注意が必要です。

朝礼や終礼、着替えの時間にも、1分単位での労働時間を計算しましょう。

労働時間は原則1分単位で計算する

労働基準法の第24条に定められているように、賃金は労働時間の全額分を支払われなければなりません。そのため労働時間は、原則1分単位で計算します。

しかし、1カ月単位で時間外労働を計算した際、30分未満のものは切り捨て、それ以上のものは1時間に切り上げることが認められています。割増賃金における端数処理として、労働基準法に定められています。

正しい勤怠管理とは

労働基準法に則り従業員に適切な額の賃金を支払うためには、正しい勤怠管理を行わなければなりません。勤怠管理に問題がある場合、ブラック企業のレッテルを張られることにもつながります。ここでは、正しい勤怠管理の方法について詳しく解説します。

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一人一人の勤務状況を把握・記録する

勤怠管理は、従業員一人一人の始業時刻と終業時刻、遅刻や早退などを1分単位で正確に把握し、記録することが必要です。また、残業や休日労働、深夜労働など時間外の労働は、割増賃金を支払う対象です。

ずさんな管理体制では、労働時間に見合った賃金が支払われずに労働基準法に違反する可能性があります。勤怠管理の責任者は、勤怠管理が正しく行われているかを常に監視することが求められます。正確な管理ができるように、体制の構築が必要です。

法令を遵守する

企業や勤怠管理の担当者は労働基準法を正しく理解し、遵守することが大切です。36協定では時間外労働の上限が定められており、特別な事情がなく上限を超えた場合、企業は罰則を受けることになります。

また、労働基準法の第39条では、定められた労働日数を勤務した従業員に対して有給休暇を与えることも義務付けられています。法令を正しく理解し、従業員が健全に働ける環境を維持することが大切です。

参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省

参考:労働基準法 第三十九条 | e-Gov法令検索

過重労働を防止する

勤怠管理をする上で、過重労働は阻止しなければなりません。過重労働は従業員の疲労が蓄積し、健康被害に影響を与えるリスクがあります。36協定では、労働時間の限度時間が1ヶ月に45時間、1年に360時間と明確に定められています。

過重労働が発生している場合、業務の見直しや分散が必要です。限度時間を超えた労働が発生していないか適切に管理し、従業員が良好な健康状態で働ける環境作りが必要不可欠です。

勤務形態に合わせた対応

正しい勤怠管理をするためには、勤務形態に合わせてそれぞれの労働時間を把握することが必要です。

正社員や契約社員は労働基準法に則って正確に労働時間を把握しておかなければなりません。社員の中でもフレックスタイム制や裁量労働制など働き方が多様化しており、管理が複雑になりがちです。

また、シフト制が適用されるアルバイトやパートは、個人の勤務日や勤務時間で賃金が変動するため管理に柔軟性が求められます。従業員の複雑な勤怠管理は、管理ツールを利用すると作業を効率化できます。

残業時間について

残業時間は勤務形態や時間帯によって扱いが異なります。ここでは、残業時間の概要や計算方法などを解説します。

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時間外労働と法内残業の違い

時間外労働とは、労働基準法で定められた1日8時間、週40時間を超えて行われた残業のことです。時間外労働は、従業員への割増賃金の支払い義務が生じます。

法内残業は会社が定めた労働時間を超えて、労働基準法で定められた時間内での残業時間です。法令上の割増賃金の支払い義務は発生せず、会社で定められた就業規則に則って賃金が支払われます。

正しい残業時間の計算方法

残業時間は労働時間と同様、1分単位で計算して支給されることが義務付けられています。たとえ1分の残業であっても、計算して支払われる必要があります。

ただ、1ヶ月の残業時間の合計は、30分未満は切り捨てて30分以上は繰り上げることが例外として認められています。そのため、計算する際には留意しておくことが必要です。

残業代は、残業した従業員の1時間当たりの賃金×割増率×残業時間で算出できます。また、1時間当たりの賃金は、月給(基本給+諸手当)÷1ヶ月の平均所定労働時間で求めることができます。

深夜時間帯の残業に注意

22時~5時の時間帯は深夜とみなされ、割増賃金を支払う義務があります。深夜手当の割増割増率は、労働基準法の第37条で「2割5分以上」と定められています。 割増賃金の計算方法は、1時間あたりの賃金×1.5(時間外労働1.25+深夜労働0.25)になります。

深夜労働にも関わらず手当が支払われない場合は、法令違反です。また、18歳以下の未成年や、妊婦である従業員が請求した場合は、深夜労働をさせるのは不可能です。深夜労働する従業員の管理も注意が必要です。

参考:労働基準法第37条 | e-Gov法令検索

残業時間の切り捨てが可能な場合

残業時間は割増賃金における端数処理として、1カ月単位の残業時間を合わせた端数で、30分未満のものは切り捨て、それ以上のものは1時間に切り上げることが認められています。

例えば1カ月の残業時間の合計が20時間15分だった場合、端数の15分を切り捨てて20時間として処理が可能です。

勤務形態ごとの残業時間

残業時間は、勤務形態ごとに取り扱いが異なります。そのため、一人ひとりの勤務形態を把握し、それに合わせた残業時間の管理が必要です。それぞれの取り扱いの注意点を解説します。

パート・アルバイト

パート・アルバイト従業員の時間外労働は、正社員と同様に割増賃金が加算されます。1日8時間、週40時間を超えてパート・アルバイト従業員が労働する場合、36協定の締結が必要になります。

フレックスタイム制度

フレックスタイム制度では、36協定の締結が行われることで時間外労働が認められます。定時制と違い1日単位で残業時間を割り出せません。会社が定めた総労働時間に対し、実際に働いた実労働時間がどれほど超過しているかで、時間外労働が計算されます。

例えば1カ月単位で労働時間を管理する場合、総労働時間が110時間で実労働時間が115時間であれば、超過した5時間が1ヶ月の残業代として加算されます。

また、柔軟に計算が必要なフレックスタイム制は、法定労働時間も正しく計算しなければなりません。法定労働時間=(清算期間の暦日数÷7)×一週間の法定労働時間で算出できます。他の勤務形態と同様で、法定残業には割増賃金が必要です。

裁量労働制

裁量労働制は、「みなし労働時間」に基づいた賃金が支払われるため、残業代にあたる賃金はあらかじめ給与に含まれた状態で賃金が支払われます。しかし、1日8時間以上の労働が発生する場合は、36協定の締結や時間手当の割増が必要となります。

支払う賃金が一定とされる裁量労働制は、残業代が関係ないため実労働時間を把握しないという事例もありますが、従業員の健康管理や法外残業の把握のため記録することが大切です。

勤怠管理におけるその他の注意点

勤怠管理におけるその他の注意点を解説します。正しい勤怠管理を行う際の参考にしてください。

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入力ミスに注意する

勤怠管理にエクセルを使用している場合、手作業により、打ち間違いや数字の転記ミスといったヒューマンエラーが生じやすくなります。勤怠管理での入力ミスは給与計算や労務管理に影響を与えます。

誤った情報が支給や労働条件に歪みを生じさせ、業務効率も低下させます。そのため、正確なデータは法令順守や労働環境改善のためにも重要です。入力ミスを防ぐためには、データの二重入力や確認作業を行う他、自動化やシステムの利用がおすすめです。

打刻時間と労働時間のズレを減らすようにする

1分単位での厳密な勤怠管理が求められているため、打刻時間と労働時間のズレが生じないようにする工夫も必要です。例えば、タイムレコーダーが就業場所を離れている場合、打刻時間と労働時間のズレが大きくなります。

ズレを減らすためには、打刻を適切な場所に設置し、打刻ミスを修正する仕組みや、定期的な打刻記録の確認も行いましょう。また、従業員とのコミュニケーションを通じて、意識を高め、正確な勤怠記録を共有する文化を育てましょう。

勤怠管理システムの導入で正しい勤怠管理を

勤怠管理システムは従業員の出退勤や残業時間、休暇や給与計算が自動化できるシステムです。複雑な管理を一括で行えるため、正確な勤怠管理に非常に役立ちます。ここでは、勤怠管理システムについて解説します。

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1分単位で正確な労働時間の管理

勤怠管理システムは、各々で打刻した時間の1分単位で正確な労働時間を管理できます。賃金の支払い漏れ防止につながるため、従業員の健全な労働環境の確保と法令の遵守が可能です。

担当者が手入力で労働時間を管理している場合、計算のミスや入力漏れにより正しい賃金が支払われず、法令違反につながるリスクもあるでしょう。勤怠管理システムを利用することで、人為的なミスを減らし、正確な労働時間の管理が可能になります。

一人一人の勤務形態に合わせられる

スケジュール機能が備わった勤怠システムでは、一人一人の勤務体系に合わせた勤怠管理が可能になります。勤務形態や雇用形態が多様化する中で、勤怠管理は複雑化しています。担当者が全員の勤怠を手入力していては、膨大な時間がかかるでしょう。

また、シフト制を導入している場合は、シフト管理機能を搭載した勤怠管理システムを取り入れることで、稼働日時や希望シフト、必要人数など必要な項目を合わせてシフト表を作成できます。

勤務形態に応じた勤怠管理が行えることで、複雑な勤務形態でも正確な労働時間を算出でき、作業時間の短縮が可能になります。

法改正にも対応

従業員の勤怠管理に関わる労働基準法は、今後も改正されることがあるでしょう。勤怠管理システムはアップデートにより、法改正にも対応できるメリットがあります。新しく定められた法令に則った形で、正しい勤怠管理が可能になります。

法令を遵守することで労使間の認識の相違を防ぎ、企業の信頼性を高めることができます。

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まとめ

勤怠管理は労働基準法にも定められているとおり、従業員へ全ての賃金が支払われるために正しく管理されなければなりません。そのため、15分単位での労働時間を基準とした賃金の支払いは違法とされ、1分単位でカウントが必要です。

また、時間外労働による割増賃金や残業時間の計算も、勤務形態に合わせて計算しなければなりません。勤怠管理は労働基準法に則って行われるため、36協定や第24条など、該当する部分の理解が求められます。

働き方が多様化する中で勤怠管理は複雑化しているため、正確な労働時間の算出や賃金の支払いのためには勤怠管理システムが有効です。スケジュール管理やシフト管理機能が搭載されているため、作業が簡略化される上に正確な労働時間の把握が可能です。

勤怠管理システムを導入し、従業員の権利を守ることができる環境を徹底しましょう。

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