PBXは停電時に使用できる?電源の入切に関する注意点も解説
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- PBXが停電時に使用できるかどうかは、PBXの導入形態や利用状況によって異なる
- 停電時にPBXを使用する方法は、利用している回線やPBXの種類によって異なる
- 可能な場合は停電前に機器の電源を切っておき、復旧後は正しい順番で電源を入れ直す
PBXが停電時に使用できるかどうかは、PBXの種類や状況により異なります。自社でどのようなPBXを使っているか確認し、対処法を把握しておきましょう。本記事では、停電時にPBXを使用する方法や、停電前・停電後の電源の入切に関する注意点などを解説します。
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PBXは停電時にも使用できるのか
PBXとは、企業内に設置する電話交換機のことで、内線通話や外線通話を効率化させるシステムです。電話業務の根幹を支えるシステムであるため、トラブルなどで使えなくなると、企業の業務に支障をきたして大きな損失を招く恐れがあります。
特に心配されるのが、電源そのものが落ちてしまうケースです。中でも停電は、社内の機器が使えなくなる原因の代表例です。
PBXの導入形態には、社内にPBXを設置するオンプレミス型と、クラウド上の仮想PBXを利用するクラウド型が存在し、停電時に利用できるかどうかは導入形態によって異なります。2つの導入形態の特徴と停電時の対応について解説します。
PBXとは?メリット・デメリット、機能などをわかりやすく解説
PBXとは、企業内の電話交換機を意味し、複数の電話回線を集約して、内線同士や外線と内線の接続をコントロールするシステムです。PBXには3種類あり、コストやメリットなどが異なります。本記事では、PBXの選び方や種類ごとのメリット・デメリットを解説しています。
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導入パターンの特徴と停電時の対応
オンプレミス型PBXの場合
オンプレミス型PBXは、自社内に主装置を設置し、電話回線によって通信ネットワークを構築する形態です。電力供給の影響を受けない電話回線を利用していることから、停電時でも内線・外線ともに利用できます。
PBX本体の稼働には電力供給が必要ですが、内蔵バッテリーなどがあれば一定時間の通話は可能です。
オンプレミス型PBXは導入時に大きなコストが必要であり、機器の保守費用なども必要になりますが、稼働の安定性という点では優れている形態です。
PBXにはオンプレミス型とクラウド型があります。オンプレミスPBXは主装置をオフィス内に設置するタイプで、クラウドPBXはインターネット上で通話できるサービスです。この記事では、おすすめのオンプレミスPBXやクラウドPBXと比較した場合のメリットを解説します。
クラウド型PBXの場合
クラウド型のPBXは、インターネットを通してベンダーがクラウド上に構築したPBXにアクセスする形態です。
クラウド型PBXの場合、自社のオフィスが停電してもベンダーのPBXは正常に作動しています。しかし、停電時に社内のオフィス電話(固定電話機)・ルーター・ハブ・VoIPなどが停止し、インターネットに接続できなくなると、事実上PBXの利用はできなくなります。
クラウドPBXはインターネット回線の利用状況などにより通話品質が左右される側面がありますが、ベンダー側ではさまざまな対策が施されており、PBXサービスそのものは停止しにくいため、停電時でもインターネットにつながれば、通常通りに利用可能です。
クラウドPBXとは、インターネットに接続して利用できるオフィス向け電話システムです。クラウドPBXの導入で、社外からでも会社宛の電話に出られたり、通話料の削減ができたりします。本記事では、クラウドPBXを導入するメリットや選び方などを解説しています。
停電時にPBXを使用する方法
停電時にPBXを使うための備えは、自社が利用している回線やPBXの種類によって異なります。ここでは、メタル回線・INS1500回線・IP回線・クラウドPBXの4つの場合に分けて、停電時にPBXを使用する方法を解説します。
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停電時にPBXを使用する方法
メタル回線の場合
メタル回線は、銅線で音声データを伝送する仕組みであり、代表的なのはアナログ回線やデジタル回線です。光回線が登場する以前は、インターネット接続のための回線として一般的に利用されていました。
メタル回線では電話回線が電話機への給電を行うため、停電時でも問題なく通話できます。また、PBXには多くの場合バッテリーが搭載されていることから、10分程度の給電なら可能です。
オプションで数時間給電できるバッテリーの搭載も可能で、数時間の停電でも耐えうるカスタマイズも実現します。ただし、FAXは代替バッテリーでないとカバーできない点に注意しましょう。
INS1500回線の場合
INS1500回線とはISDN回線の1つで、光ファイバーを利用したデジタル回線です。PBXから先の電話回線はメタルケーブルが用いられるため、PBXに信号が入る前に、光回線の信号をメタル回線の信号に変換する必要があり、それを行うDSUに電力の供給が必要です。
光回線は、メタル回線と違って電力の供給ができません。したがって、停電時にはDSUの動作が停止してPBXに信号が届かなくなり、通話不可能になります。
つまり、停電時にはDSUへの給電が必要です。DSUは直流電源で動作しているため、PBXの直流出力からDSUに給電すれば通話は可能になります。ただし、その分PBXのバッテリーの持続時間が短縮される点には注意が必要です。
IP回線の場合
IP回線とは、インターネット回線を利用した通話回線で、通話にはIP電話を利用します。IP回線では、電力供給が必要なVoIPゲートウェイとONUが使われています。停電時にはIP回線からの電力供給はないため、これらの機器は停止し、通話ができなくなります。
停電時でもIP回線を利用できるようにするためには、無停電電源装置(UPS)でVoIPゲートウェイとONUに電源を供給する必要があります。しかし、長時間の供給はできないことから、万が一のために停電時でも使える通信手段を用意するのも大切です。
クラウドPBXの場合
オフィスが停電している時でも、携帯電話会社が提供するモバイルデータ通信や公共Wi-Fiが利用できる場合は、クラウドPBXにアクセスして通常通り内線・外線の利用が可能です。
これらの観点から、クラウドPBXは「災害に強い電話回線」ともいわれており、災害時の従業員の所在確認や緊急連絡の手段としても活用できます。また、自宅からオフィスの内線・外線が利用できるため、テレワークを含めた働き方の多様化にも適しています。
キャリア回線が混雑する際には冷静な判断で対応
地震などの災害や地域ごとの通信障害が発生した場合、安否確認のためにモバイルデータ通信が多用され、キャリア回線が混雑します。その結果、クラウドPBXも上手く利用できなくなることがあります。
よって、社外でクラウドPBXを使用する際、キャリア回線が混雑していると予想される場合には、公共や家庭のWi-Fiに切り替えることが大切です。停電時を含め、緊急時には冷静な判断での対応も求められます。
「BYOD」を導入するのもおすすめ
クラウドPBXを使う場合は、BYOD(Bring your own device)を導入して災害時における事業停止リスクを抑えるのもおすすめです。BYODとは、従業員の私物の端末を業務にも用いる手法です。
災害時には従業員がオフィスに出社できないことも予想されます。その場合、オフィスにある端末は使うことができません。しかし、BYODを導入していれば、従業員の手元の端末でPBXの機能を使えるので、インターネットさえ繋がれば業務を行うことができます。
停電前・復旧後の電源の入切に注意
正しく動作していた機器に突然電源供給がなくなると、機器が破損してしまう恐れがあります。また、停電復旧時も適切な手順で再起動させないと、正常に動作しないことが考えられます。ここでは、停電前・復旧後の電源の入切について解説します。
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停電前・復旧後の電源の入切に注意
雷サージによる停電ではケーブルなども確認する
停電の原因が付近に落ちた雷によるものだった場合、PBXに関わるケーブルのいずれかにショート・断線が発生している可能性があります。特に、多回線を使用するPBXでは雷サージの影響を受けやすく、常に急な停電が発生するリスクを持ち合わせています。
そのため、雷対策を行うのはもちろんのこと、電源の入切を行う際には雷の影響で故障が発生していないかも考慮しましょう。また、経年劣化による断線にも注意し、ケーブルに負荷がかかっている部分がないかの特定を行うなど、事前の停電対策も重要です。
停電前が予想される場合は各機器の電源を切っておく
もし、事前に停電することがわかっている場合や予想できる場合は、機器の故障を防ぐため、停電前に各機器の電源を切っておくのがおすすめです。また、急な停電でバッテリー駆動している場合も、駆動している間に機器を正常に終了させることで、機器の破損が防げます。
無停電電源装置(UPS)は、停電した際に機器へ給電を行い、給電能力が下がってくると自動的にシャットダウンソフトを動作させて、機器を正常終了させる機能を備えています。簡単に交換できない機器に接続しておくと、機器の故障を守ることができます。
電源を切る手順に注意
電源の正しい切り方は、機器によって異なります。間違った手順で切ってしまうと正常に再起動できない可能性もあるので、事前にメーカーが提示している手順を確認しておきましょう。
主装置とサブ機器のどちらを先に切るのか、装置のどのボタンをどのように押せばよいのかなど、安全に電源を切るために細かな部分までよく確認し、間違いがないように1つ1つの作業を慎重に行いましょう。
復旧後は末端装置から電源を入れる
電源復旧時に電源を入れる順番が違うと、機器の破損をはじめ動作に異常が出る場合があります。よって、停電したときには、電源が復旧する前に電源スイッチのある機器はすべてOFF状態にしておくのがおすすめです。
電源の入れ方の基本は、末端装置から入れることです。基本的には、終端装置→ルーター→PBX→無線ルーター→PoEハブなどの機器→パソコンの順で電源を供給していきます。製品により細かな手順に違いがある場合もあるので、こちらも公式の情報を確認しておきましょう。
まとめ
PBXが停電時に使用できるかどうかは、自社のPBXがオンプレミス型かクラウド型かで異なります。自社でどのようなPBXを使っているか確認し、対処方法を把握しておくことで、停電時にも正常な業務を続けることができるでしょう。
停電時にもPBXを使用できるようにするには、メタル回線・INS1500回線・IP回線など、自社の回線の種類によって異なった対策が必要です。そして、停電前の対処によって機器を守ること、正常な復旧方法についても認識しておくことが大切です。
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