IP電話とPBXの違いとは？仕組みやIP-PBXとクラウドPBXも解説

IP電話とPBXはどちらも多くの企業で利用されている機器ですが、双方の違いはよく知らないという方も多いかもしれません。この記事では、IP電話とPBXは何が違うのか、その目的・仕組み・機能などを詳しく解説し、両方の特性が活かせるIP-PBXについても紹介します。

目次

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1. IP電話とPBXの違いとは
2. IP電話とPBXのメリット・デメリット
3. 両方の特性が活かせるIP-PBX・クラウドPBX
4. まとめ

IP電話とPBXの違いとは

IP電話とPBXは、どちらも企業で多く使用されている機器サービスです。両者の役割は似ているため混同される場合もありますが、実はそれぞれ仕組みは異なります。

この記事では、IP電話とPBXの違いについて解説します。まずは、両者の仕組みや目的について詳しく見ていきましょう。

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IP電話とは

IP電話は、インターネットプロトコル（IP）を使用して音声通信を行う技術のことです。この技術では、従来のアナログ回線を使用せず、インターネットによるデータネットワークを通じて音声通話を行います。

IP電話の特徴は、リアルタイムの音声データを授受することによって通話を可能にするという点です。そのため、IP電話では、音声だけでなく動画などの通信も可能です。また、従来の電話と比較して、通信コストを削減できるなどのメリットがあります。

なお、IP電話には以下の3タイプがあります。

種類	特徴
0AB-J型	市外局番で始まる10桁の電話番号
050型	「050」で始まる11桁の電話番号
電話番号不要型	アプリによって音声や映像をデータ化するため、電話番号を持たない

IP電話の仕組み

IP電話とは、デジタルデータによって音声通信を行う技術のことです。IP電話では、まずアナログ音声をデジタル化し、パケットに分割します。パケット化された音声データは、インターネットを経由して通話相手に転送されます。

転送された音声データは、ネットワーク機器によって経路を確保され、通話相手の元に届きます。その際、デジタルデータは、再度アナログ信号に変換されます。復元されたアナログデータは音声として聞き取れるため、通話が可能になるのです。

PBXとは

PBXとは「Private Branch Exchange」の頭文字をとった言葉で、通信を一元管理するための電話交換機システムのことを指します。PBXの主な目的は、内線および外線を含む複数の電話回線を接続することです。

PBXの導入により、通信費の節約や社内コミュニケーションの統合が実現します。また、PBXには3つの種類があり、それぞれ異なる特徴を備えています。以下に、PBXの3つのタイプを記載します。

タイプ	特徴
レガシーPBX	社内に主装置を設置し、通信回線には電話回線を使用する
IP-PBX	社内に主装置を設置し、通信回線にはIPネットワークを使用する
クラウドPBX	社内に主装置を設置せず、クラウド上のPBXを使用する

IP電話とPBXのメリット・デメリット

ここでは、IP電話とPBXのメリット・デメリットについて紹介します。なお、PBXについてはレガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXの3種類があるため、種類別にメリット・デメリットをまとめました。

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IP電話のメリット・デメリット

IP電話を活用する上で得られるメリットは以下の通りです。

1. 初期費用や通話料金を抑えやすい
2. 人数の増減など環境に対応しやすい
3. システムやアプリケーションと連携しやすい

IP電話はネット接続が必須であるため配線工事が必要ですが、すでにネット環境が整っている場合は工事は不要です。また、通話に必要な端末はパソコンを利用できるため、別途新たに端末や機器を購入する必要もありません。

さらに、ネット環境を活用することでアナログ回線よりも通話料金を抑えることができ、人数の増減に合わせて回線の数を調整できるのも大きなメリットと言えるでしょう。

続いて、デメリットには以下のような項目が挙げられます。

1. インターネット環境に依存しやすい
2. 停電時には利用できない
3. 050の電話番号では緊急通報ができない

IP電話はネット環境が整っていればすぐに利用できる利点がありますが、その分ネット環境に依存しやすくなり、停電時には利用できません。回線が混んでいたり接続状況が悪かったりすると、繋がりにくくなることもあります。

また、110や119といった緊急通報を必要とする場面では、050の電話番号は利用できません。そのような場合では、個人の携帯を利用して対応しましょう。

PBX（レガシー・IP・クラウド）のメリット・デメリット

レガシーPBX・IP-PBX・クラウドPBXの3種類に分けられるPBXのメリット・デメリットは、それぞれ以下の通りです。

レガシーPBX

レガシーPBXは電話回線を利用するためネット回線に依存せず、サーバーダウンや停電時でも利用できるメリットがあります。すでに電話回線を引いている場合は工事が必要なく、導入費用を抑えることができます。

デメリットとしては、電話回線を引いていない場合は工事が必要であるため初期費用が高くなったり、PBXを設置するためのスペースが必要だったりします。

また、接続は電話線が届く範囲に限定されるため、オフィスの広さによっては何箇所もPBXを設置する必要があります。

IP-PBX

IP-PBXを活用する上で得られるメリットは以下の通りです。

1. 簡単に導入できる
2. 初期費用や通話料金を抑えやすい
3. パソコンとの連携が可能

IP-PBXは電話回線や固定電話を必要とせず、社内LANに接続するだけで導入できるため、初期費用がかかりません。また、内線同士の通話は無料で使用できるため、通話料金もカットできます。さらに、パソコンと連携したり着信を振り分けたりと、カスタム性も高めです。

続いて、デメリットには以下のような項目が挙げられます。

1. インターネット環境に依存しやすい
2. 社内LANの整備にコストがかかる場合がある
3. 強固なセキュリティ対策が必要

IP電話と同様ネット回線を活用するため、接続が悪い場合は通話の途切れや繋がらないなどのトラブルが発生しやすくなります。また、きちんとした社内LANの環境整備が必要だったり、ハッキング防止のための強固なセキュリティ対策が必要だったりもします。

クラウドPBX

クラウドPBXを活用する上で得られるメリットは以下の通りです。

1. サーバー不要でコストカットできる
2. メンテナンスはベンダーが行う
3. CRM・CTIと連携できる

クラウドPBXはクラウド環境を利用するためサーバーが必要なく、コストカットが可能です。また、メンテナンスはベンダーが行うため、管理の手間もかかりません。端末はスマホやタブレットを活用できるため、別途機器の購入も不要です。

さらに、顧客情報を管理する「CRM」というシステムと連携することで、着信時における電話番号から顧客情報などを瞬時に確認できるCTI機能により、スムーズな電話対応が可能です。

続いて、デメリットには以下のような項目が挙げられます。

1. 音質が安定しないこともある
2. 110や119、0570などの番号に発信できない
3. ベンダー側のセキュリティが重要

クラウドPBXはネット回線を利用するため、回線が混雑していたりWi-Fi環境が不安定だったりする場合は音質低下を招きやすくなります。クラウドPBXを提供するベンダーのサーバー環境の質によっても大きく左右されやすいです。

また、IP電話と同様に110や119といった番号に電話をかけることができません。こちらも緊急時には個人携帯から電話をかけるなどの対策が必要です。

セキュリティに関しても管理を行うベンダー側に左右されます。導入前にセキュリティ面に不安要素がないかをチェックしましょう。

両方の特性が活かせるIP-PBX・クラウドPBX

電話機同士の接続を効率化する機能を備えたPBXとIP電話の特性を活かしたものが、「IP-PBX」や「クラウドPBX」です。IP-PBXは社内の電話機同士をインターネットで接続でき、クラウドPBXと同様に通信の際にアナログ回線を経由しません。

システムとの連携やデータ管理などが可能であり、業務効率化やコスト削減などのメリットが得られます。

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IP-PBXとクラウドPBXの違い

IP-PBXとクラウドPBXは、どちらもインターネット回線を使って通信するという共通点を持っています。しかし、IP-PBXは主装置を設置する必要があるため、場所の確保や導入コストなどがかかります。

対して、クラウドPBXは、主装置をクラウド上に設置するため、比較的容易に導入できます。

近年はクラウドPBXが人気

クラウドPBXの特徴は主装置をクラウド上に設置し、インターネットを介してアクセスする点です。オフィスに主装置を設置する場合、配線工事などが必要になるケースもあり、設置費用がかかってしまいます。

対して、クラウドPBXでは設置費用が不要です。導入コストを抑えられることは、クラウドPBXの大きなメリットのひとつです。

また、クラウドPBXは固定電話だけでなく、パソコンやスマホなどの端末でも使用できます。リモートワークなどにも向いていることから、近年はクラウドPBXの人気が高まっています。

まとめ

IP電話とPBXは、通話の手段として多くの企業で利用されています。IP電話は、インターネットプロトコルを利用して音声をデータ化し、通信を行う仕組みです。対してPBXは、企業内の電話回線を接続する交換機のことを指します。

PBXには、レガシーPBX・クラウドPBX・IP-PBXの3つの種類があります。中でもIP-PBXやクラウドPBXは、IP電話とPBXの両方の特性を活かせるというメリットがあり、近年ではクラウドPBXが注目を集めています。