勤怠管理システムによる入退室管理の重要性は?導入のメリットを解説
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- 入退室の適切な管理は、労働安全衛生による労働時間把握の義務と深く関係する
- 入退室管理システムの導入で、セキュリティ強化や管理業務の削減ができる
- 適切な入退室管理を行うには、勤怠管理システムとの連携が有効である
入退室の適切な管理は、労働安全衛生法の改正により従業員の労働時間を客観的に把握しなければいけないことと密接に関係しています。本記事では、入退室における適切な管理の必要性や、入退室管理システムのメリット・勤怠管理システムとの連携の有効性を解説します。
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入退室管理とは
入退室管理とは、建物や部屋への人の出入りを管理することです。入退室管理のための機能を搭載したシステムが「入退室管理システム」であり、カメラや認証システムでの本人確認や入退室の履歴の管理のほか、入退調整も可能です。
入退調整とは、入室できる人数や権限を設けることで、入退室に制限をかけることです。過密状態を作らないためや、機密性の高い情報を扱う会議を行う際などに活用されます。
入退室管理システムにより本人確認も可能で、不審者の侵入や無資格者の入室を防止できます。また、勤怠管理システムとの連携で従業員の勤務状態を把握できるなど、多くのメリットがあります。
大企業で使われるイメージを持ちがちな入退室管理システムですが、最近では小規模事業所向けや工事不要のサービスもあり導入のハードルは下がっています。
法律による労働時間把握の義務
これまでの日本では労働時間が長いのを美徳とすることが多く、残業や休日出勤など長時間労働が多く行われてきました。長時間労働は必要な休息時間を減少させ、過労死や精神的な疾患の発生が問題になっています。
働き方改革関連法は労働者が多様な働き方を選択できる社会の実現を目的とし、残業時間の上限や有休休暇取得の義務化、中小企業には残業60時間超の割増賃金率引き上げなどが掲げられています。
労働者の健康を確保するため、企業には長時間労働を防ぐよう従業員の労働時間の適正な把握が求められています。
参考:客観的な記録による 労働時間の把握が 法的義務になりました|厚生労働省
適切な入退室管理が必要
働き方改革関連法により労働安全衛生法も改正され、健康管理を目的に労働時間の把握が義務付けられました。厚労省の解釈では、労働時間の把握は「客観的な記録」により行うものとされています。
自己申告やタイムカードによる労働時間の把握では、打刻後にサービス残業をして実際の労働時間と異なる可能性があります。これでは、客観的に労働時間を把握しているとは言えません。
入退室管理システムなら出退勤や入退室の時刻を記録しているため、従業員個人の出退勤や入退室の時刻を客観的に把握することができます。
入退室管理と勤怠管理システムとの連携が有効
労働安全衛生法では正確な労働時間の把握が求められています。しかし、自己申告やタイムカードによる労働時間の記録では、サービス残業などで実際の労働時間とかけ離れていることがあり、労働基準監督署から指摘を受ける可能性があります。
入退室管理システムと勤怠管理システムとを連携すると、入退室の記録で客観的な労働時間の把握が可能です。また、勤怠管理システムには、時間外労働の管理などの機能も搭載されており、適切な労働時間の管理がしやすくなります。
入退室管理システムの種類と特徴
入退室管理システムの種類は、解錠方法によってICカード・暗証番号・生体認証・スマートフォン認証などに分かれます。ここでは入退室管理システムに使われる認証技術の特徴とメリット・デメリットを解説します。
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種類 | 特徴 |
---|---|
ICカード | 扉にカードリーダーを設置し、ICカードをかざして解錠 |
暗証番号 | 扉にテンキーを設置し、設定した暗証番号を入力して解錠 |
生体認証 | 顔や指紋、静脈など身体の一部で認証して解錠 |
スマートフォン認証 | スマートフォンを機器にかざす、または専用アプリから解錠 |
ICカード
ICカードをカードリーダーにかざしてスキャンさせ、ICチップの情報から権限の有無を判断して解錠する方法です。使用するICカードは、ICチップを埋め込んだ社員証など別に用意する場合と交通系ICカードを使う2パターンがあります。
個人でカードを持っているため、個人の入退室記録が残せるのがメリットです。しかし、カードを個人が管理していることから、紛失や盗難のリスクが大きいのがデメリットです。
暗証番号
テンキー認証は0から9までの10個の数字を用いるテンキーを扉に設置し、事前に設定した暗証番号を使って解錠する方法です。鍵を持つ必要がないため、鍵の管理や紛失した際の交換費もありません。性質的に、大勢の従業員が利用する場所に向いています。
古くから用いられている方法で、低コストで利用できるのがメリットです。しかし、暗証番号が漏れると誰でも侵入できるリスクと入退室者を個人特定できないデメリットがあります。
生体認証
生体認証は、指紋や顔・声や網膜・静脈など人間の身体的特徴の情報を読み取ることで、権限の有無を判断し解錠する方法です。
個人に付属している固有の情報を用いているため、紛失や盗難・なりすましなどのリスクが低くセキュリティが高いのがメリットです。ただし、導入コストが高額なのがデメリットです。
スマートフォン
スマートフォンをリーダーにかざしたり、専用アプリから認証したりして解錠する方法です。元から使っている個人や法人用のスマートフォンを使用できるため、ICカード発行の手間や費用がかかりません。
対象を細かく設定できるため、来客が多い場所や期間限定の従業員が多い職場にも使えます。ただし、スマートフォンを持っていない場合には使えないのがデメリットです。
入退室管理システム導入のメリット
入退室管理システムを導入すると、従業員の入退室時間が記録できるようになります。導入に伴って、多くの効果が生まれます。ここでは入退室管理システムを導入するメリットを解説します。
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入退室管理システム導入のメリット
セキュリティの強化ができる
入退室管理システムを導入すると鍵が不要になるため、鍵の複製やピッキングによる外部からの侵入リスクがなくなります。また、鍵の紛失や盗難による交換費用や手間も削減できます。
入退室管理システムにはいつ・誰が・どれぐらいの時間滞在していたかの履歴が残るため、従業員による機密情報の持ち出しなどの内部不正の防止に役立ちます。万一、トラブルが発生した場合も入室者が特定しやすくなります。
セキュリティ対策のコスト削減に繋がる
たとえ入退室管理システムを導入していなくても、持ち出されては困るものがある以上セキュリティ対策を行う必要があります。
従来のままなら、入退室する人を管理するために警備員を雇ったり、全従業員に入館証を発行したりしなければいけません。しかし、入退室管理システムならシステムが一括管理するため、そのような費用や手間も削減できます。
鍵などの管理業務を削減できる
出入り口や部屋の数が多い建物では、鍵の数が多く管理が煩雑になりがちです。また、従業員の増員や離職が激しい企業では、入室できる従業員の管理も大変になります。
入退室管理システムの場合、物理的な鍵を作る必要がないため、鍵の管理が不要になり管理の手間が省けます。また、管理画面で入室権限の有効期限や時間・曜日などの設定ができるため、従業員が大勢いても管理の手間が少なく業務効率化につながります。
勤怠管理システムとの連携で適正な労務管理ができる
従業員の労働時間を管理するには、従来自己申告やタイムカードを使う方法がありました。しかし、これらの方法はサービス残業の可能性もあり正確とは言えません。また、従業員が打刻や入力を忘れてしまう恐れもあります。
入退室管理システムなら従業員が入退室した記録を自動的に取っているため、打刻や入力忘れによる労務管理の手間を削減できます。また、実際に入退室しないと記録されないため、正確な労働時間の把握が可能です。
入退室管理システム導入のデメリット
入退室管理システムは、解錠の認証方法や搭載されている機能のほか、サービスの提供方式や費用も異なっています。ここでは自社に合ったシステムを選ぶためのポイントを解説しています。
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入退室管理システム導入のデメリット
環境整備や準備にコストや時間を要する
入退室管理システムの解錠には、物理的な鍵以外で解錠する方法が使われています。特に出退勤アプリを用いるスマートフォン認証の場合、インターネット通信がないとできません。そのため、場所によって通信を新たに整える費用や手間がかかります。
もしインターネット通信の不安な場所で使いたいならば、Bluetooth通信で解錠するシステムなどインターネット通信がなくても使えるものを選びましょう。
紛失・盗難・バッテリー切れなどトラブル対策が必要
入退室管理システムは物理的な鍵を使うかわりに、認証方法によってICカードやスマートフォンで解錠します。しかし、ICカードやスマートフォンは個人の管理に委ねられるため、紛失や盗難に遭うリスクがあります。
また、後付けの入退室管理システムの場合、デバイスのバッテリーが切れてしまい認証が反応しないことがあります。このようなトラブルが起きたときのために、従来の鍵を使えるか、または遠隔操作など代わりの方法ができるかも確認しておきましょう。
入退室管理システムの比較ポイント
入退室管理システムは、解錠の認証方法や搭載されている機能のほか、サービスの提供方式や費用も異なっています。ここでは自社に合ったシステムを選ぶためのポイントを解説しています。
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入退室管理システムの比較ポイント
自社に合った開錠方法か
入退室管理システムの認証方法はテンキーやICカードなど複数ありますが、それぞれセキュリティの高さや個人特定の可否、必要なコストなどが違っています。
たとえばテンキーは個人の特定ができませんが、入退室した個人を特定する必要がないならテンキー認証は低コストなので導入しやすいでしょう。
従業員が多い企業や出入りの激しい場所の場合は、個人特定ができるICカードや生体認証が必要になってきます。一方、従業員が少なく長い間増減もない場合なら、生体認証などは反対に過剰なセキュリティでコストの無駄になります。
簡単に設置できるか
入退室を管理するにはスマートロックの設置が必要なため、簡単に設置できるかを確認しましょう。昨今では自宅にも設置できるほど簡単なものも多いですが、設置費用が発生する場合もあるため、事前の確認が必須です。
後付け型
後付け型は、設置の工事なしで既存の鍵の上に貼り付けるタイプです。工事もドアの交換もせずに取り付けられることが多く、賃貸オフィスでも導入できます。
ただし、後付け型のすべてがどのようなドアにも対応しているわけではないため、自社のドアに設置できるか確認しましょう。また、固定が不十分だと外れてしまうため、しっかりと固定する工夫が必要です。
交換型
鍵そのものを交換して設置するタイプのため、後付け型のように外れる心配がないタイプです。専門業者に依頼せずとも交換できる場合もありますが、穴を開ける必要があるケースもあります。その場合、別の鍵に交換する時や退去する際に取り外さなくてはなりません。
賃貸オフィスの場合は原状回復費用がかかることを把握した上で、管理会社の許可を得てから設置しましょう。
自社に合った導入形態か
入退室管理システムには、オンプレミス型とクラウド型の2つの提供方式があります。導入コストはもちろん稼働後の運用方法やコストも異なっているので、どちらが自社に合っているかよく検討しましょう。
オンプレミス型
オンプレミス型は自社で用意したサーバにソフトウェアをインストールして運用する方法です。自社サーバのためカスタマイズ性が高く、ほかのシステムとの連携もしやすいのが特徴です。
しかし、サーバーの設置やネットワークの構築を自社で行う必要があり、導入までの時間や費用がかかります。運用後も、アップデートなどに専門スキルとコストを必要とします。また、外出先から入退室管理を行えないのもデメリットです。
クラウド型
クラウド型はシステム提供業者のサーバを通して運用する方法です。自社でサーバを用意しないため、導入コストが低く稼働するまでの時間も短いのが特徴です。現在では、このクラウド型が主流になっています。
稼働後も運用は提供業者が行い、運用スキルが不要でコストも安くなっています。また、インターネット通信を通じて、1つのシステムで離れた拠点すべてを一括管理できるのもメリットです。
しかし、自分でサーバを持たずインターネット通信を介して行うことが多いため、通信環境が悪いと利用できなくなるリスクがあります。
セキュリティの度合いを検討する
オフィスなどで保管している情報は、比較的セキュリティ性の低いものから外部に漏らしてはならない機密情報までさまざまです。特に機密情報に関しては、外部からの侵入と内部不正による漏洩に注意する必要があります。
入退室管理システムを導入する場合、どの出入り口も同じ認証方法にする必要はありません。たとえば、機密情報を扱う施設や部署にはセキュリティの高い生体認証を使い、資格のない人物が出入りするのを防ぐようにします。
一方、多くの従業員が出入りできる場所は暗証番号やICカードにするなど、扉がある場所の重要度に応じて工夫をしていくことも大事です。
費用対効果は高いか
入退室管理システムは製品によって認証方法はもちろん、搭載されている機能や提供方式などが異なります。たとえばオンプレミス型の場合、自社サーバとネットワーク構築が必要なため初期費用が比較的高額です。
クラウド型の場合、サーバが不要な上、拠点が増えた際に工事不要で後付けできるなど初期費用を抑えられるのが長所です。ただし、オンプレミス型は初期費用こそかかるもののカスタマイズ性があり、満足度の高いシステムを設定できます。
勤怠管理システムなどと連携できるか
入退室管理システムは、多くがほかのシステムとも連携可能です。特に出退勤時刻の打刻は労働安全衛生法に基づく労働時間の客観的な記録となるため、勤怠管理システムとの連携で従業員の労務管理を効率化するのに役立ちます。
また、防犯カメラなどのセキュリティや設備管理システムと連携すると、人件費や光熱費などのコストを削減できる可能性があります。
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まとめ
入退室管理とは、建物や部屋への人の出入りを管理することです。その入退室管理のための機能を搭載した入退室管理システムは、認証システムなどでの本人確認や入室資格の有無を管理するほか、入退室の履歴も保管します。
近年では働き方改革により、労働時間の把握が重要になりました。入退室管理システムは個人の入退室も記録でき、勤怠管理システムと紐づけると労働時間の「客観的な記録」に基づいた労務管理を行えます。
システム導入には初期費用がかかることと、クラウド型の場合通信環境が悪いと利用できないデメリットがあります。しかし、セキュリティレベルや連携できる他システムをしっかり検討することで満足度の高いシステムを選択できます。
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