CMSにおけるセキュリティの重要性とは?リスク・有効な対策も解説
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- CMSにはウイルス感染などのリスクがあり、利用時にはセキュリティ対策が重要
- CMSは大きく分けて3種類あるが、特にオープンソース型はセキュリティリスクが高い
- CMSを安全に利用するには、最新バージョンへのアップデートやサイトのSSL化が有効
CMSは専門知識がなくても比較的簡単にWebサイトが作れるため、多くの企業が利用しています。しかしその反面、ウイルス感染などのリスクがありセキュリティ対策は非常に重要です。この記事では、CMSにおけるセキュリティリスクや有効な対策などを解説します。
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目次
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CMSにおけるセキュリティの重要性
CMSとは「Content Management System」の略称で、Webサイトやオンラインコンテンツを管理・編集するためのプラットフォームです。テキスト・画像・動画などのコンテンツを簡単に追加・更新でき、Webサイトの制作や運営を効率的に行うことができます。
しかし、CMRを運用していくにはセキュリティ対策が必要です。セキュリティ対策が不十分な場合には、不正アクセスやウイルス感染などのリスクが高まります。
そこで本記事では、CMSにおけるセキュリティの重要性・CMSのタイプ別セキュリティリスク・サイバー攻撃の種類・有効なセキュリティ対策などについて、分かりやすく解説します。
CMSとは?導入のメリット・デメリットや選び方をわかりやすく解説
CMSとは、コンテンツ・マネジメント・システムの略称で、Webサイトの専門知識がない人でもコンテンツの編集・更新ができるシステムのことです。本記事では、CMSの概要・メリット・デメリット・選定ポイントなど、CMS導入を検討している方に向けて詳しく解説します。
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CMSにおけるセキュリティの重要性
個人情報が流出する可能性があるため
CMSのセキュリティが不十分な場合には、ハッカーやサイバー攻撃によりCMSに不正アクセスされ、個人情報を盗み出される可能性があります。
CMSで扱う情報には、氏名・住所・電話番号・クレジットカードなどが含まれるため、不正な使用や詐欺に利用されるケースが多いです。
また、個人情報の流出は、データ保護法やプライバシー規制に対する違反と見なされる可能性があります。規制に適切に対応していないことは、サイトの信頼性を損なうだけでなく、法的な問題を招くことにもなります。
さらにCMSには、企業の機密情報や戦略的な情報も含まれることがあります。セキュリティが不十分で外部から不正にアクセスされた場合、これらの情報が競合他社や攻撃者によって悪用される可能性があります。
Webサイト運営停止のおそれがあるため
CMSにおけるセキュリティ対策を怠ると、Webサイト運営停止のおそれもあります。不正アクセスやウイルス感染によりWebサイトが改ざんされたり、脆弱性を突いてマルウェアが侵入したりすれば、正常に稼働できなくなります。
さらに、攻撃者は感染したサイトを通じて悪意のあるコードや悪性リンクを拡散し、他サイトに感染を広げることもあります。サイト訪問者のデバイスがウイルスに感染すれば、ユーザーがフィッシングサイトへ飛ばされることもあり、甚大な被害となりかねません。
このような事態に陥れば、Webサイトは運営停止に追い込まれ、長期間にわたるサービス提供の停止や、市場での競争力低下などにも繋がります。
CMSが攻撃されやすい理由とは
CMSがサイバー攻撃の対象になりやすい理由としては、CMSの利用者が多いことが挙げられます。CMSは技術や知識がなくても簡単にWebサイトが作成できるがゆえに、世界中に多数のユーザーがいます。
攻撃者としては、独立した個別のWebサイトを狙うよりも、一度に広範囲に攻撃できたほうが効率的です。そのため、ユーザーの多いCMSを利用する際は特にセキュリティ対策が重要となります。
CMSのタイプ別セキュリティリスク
主なCMSのタイプには、オープンソース型・パッケージ型・クラウド型の3種類があります。ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットなどについて表にまとめ、以下の項目ごとの詳細について解説します。
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オープンソース型 | パッケージ型 | クラウド型 | |
---|---|---|---|
特徴 | ソースコードが無料で公開され、柔軟性が高い | 機能がプリセットで使いやすい | インターネット経由でどこからでもアクセス可能 |
メリット | 拡張性が高く、低導入コスト | 導入が容易 | プロバイダがセキュリティや更新を担当 |
デメリット | 技術的な知識が必要 | 更新の制約など、柔軟性が低い | クラウド障害による業務停止のリスク |
オープンソース型の場合
オープンソース型CMSは、ソースコードが一般に公開され、誰でも閲覧や変更が可能です。カスタマイズ性が高く、ユーザーが機能やデザインを変更できるため、特定のニーズに適したWebサイトを構築できます。
その一方で、公開されたソースコードを利用してサイバー攻撃者などが脆弱性を見つけ、不正アクセスを試みる可能性が高まります。また、悪意のあるコードとして、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなどが注入されるリスクもあります。
カスタマイズ性が高いため、ユーザーが導入したプラグインや拡張モジュールがセキュリティホールなどを含んでいる可能性も考えられます。適切なアクセス権限管理を行わなければ、不正アクセスや情報漏洩の危険性が高まります。
パッケージ型の場合
パッケージ型CMSには、あらかじめ多くの基本的な機能が組み込まれています。これには記事の投稿・画像のアップロード・ユーザー管理などが含まれます。多くの場合、用意されたテンプレートを利用して、Webサイトのデザインを容易に作成・変更できます。
パッケージ型CMSは多くのWebサイトで利用されるため、一度の攻撃で多くのサイトに影響を与えることができる格好の標的となります。また、共通の脆弱性を抱えていることが多く、攻撃が広まる恐れがあります。
さらに、パッケージ型CMSはデフォルトの設定のまま運用されることがあり、この設定が悪用される可能性を高めます。例えば、デフォルトの管理者パスワードがそのまま使用されている場合、攻撃されるリスクは非常に高くなります。
クラウド型の場合
クラウド型CMSは、クラウドプラットフォーム上で提供され、インターネットを介して利用します。通常クラウド型CMSは、サブスクリプションベースの料金体系を採用しており、必要に応じてユーザーや機能を拡張できます。
クラウド上にデータが保存されるという性質上、ベンダーによるセキュリティ対策が十分でない場合、個人情報や機密情報が漏洩するリスクが生じ得ます。またデータの転送もインターネットを介するため、第三者による傍受や改ざんの可能性もあります。
CMSにおけるサイバー攻撃の種類
CMSのサイト運用においては、さまざまなサイバー攻撃などセキュリティリスクが存在します。ここでは、想定される代表的なサイバー攻撃として、以下の項目について解説します。
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CMSにおけるサイバー攻撃の種類
SQLインジェクション
SQLインジェクションとは、Webアプリケーションやデータベースに対するサイバー攻撃手法の一つです。攻撃者は、Webアプリケーションの入力フォームやURLパラメータなどに不正なSQLコードを挿入し、データベースに対して予期せぬ操作や障害を発生させます。
このSQLインジェクションは、不十分な入力検証やエスケープ処理が行われている場合に発生しやすく、重大なセキュリティの脆弱性を突いた問題を引き起こす可能性があります。
SQLインジェクション攻撃により、データベース内の正規データ削除や不正データの追加など、情報の破壊を引き起こす危険性があります。
クロスサイトスクリプティング
クロスサイトスクリプティングは「XSS」とも呼ばれ、Webアプリケーションにおいて発生するサイバー攻撃手法です。攻撃者は、悪意のあるスクリプトをWebページに挿入し、ブラウザ上で実行させ、個人情報の窃取などの不正な操作を行います。
攻撃者が被害者のセッション情報を盗むことで、被害者のアカウントに不正アクセスできます。これにより、ユーザーが入力した個人情報やクッキーなどを盗み、機密情報などの漏洩が発生します。
また、攻撃者がWebページの内容を書き換え、ユーザーに悪意のある情報を提示して、不正なサイトに誘導するなどフィッシング攻撃に利用されることがあります。
DoS攻撃
DoS攻撃(Denial of Service Atack)は、攻撃者が特定のWebサービスやシステムに対して、意図的に大量のトラフィックやリクエストを送信することによって、サービスを妨害し、正規の利用者がサービスを使用できない状態に陥らせるサイバー攻撃です。
具体的には、攻撃者が対象となるサーバーに対して、通常の利用パターンを超える大量のリクエストを送りつけます。これにより、サーバーがリクエストの処理に追われ、ユーザーのリクエストへの応答が遅延したり、拒否されたりします。
また、分散型DoS攻撃として複数の攻撃者が連携して、大規模なトラフィックを対象のサーバーやネットワークに送りつける攻撃方法もあります。これにより、分散された攻撃源からの攻撃を一箇所に絞って防ぐのが難しくなり、被害を最大化させることが狙いです。
ゼロデイ攻撃
ゼロデイ攻撃(Zero-Day Attack)とは、セキュリティホールや脆弱性が対応されていない状況や、ベンダーが対策パッチを更新していない状態で、攻撃者がその脆弱性を悪用するサイバー攻撃です。攻撃者は、対策がゼロの期間(ゼロデイ)に攻撃を仕掛けます。
攻撃者が脆弱性を悪用することにより、システムやネットワークの制御権が奪取され、不正な操作が行われる可能性があります。これにより、サーバーの停止や改ざん、不正なアクセスなどが発生します。
CMS利用時に有効なセキュリティ対策
CMSを利用してWebサイトやアプリケーションを構築する際には、強化されたセキュリティ対策が求められます。CMSはWebコンテンツを管理する便利なツールですが、不適切な対策や脆弱性が悪用されることで重大なセキュリティリスクが生じます。
ここからは、CMSの利用時に有効なセキュリティ対策として、以下の項目について解説します。
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CMS利用時に有効なセキュリティ対策
常に最新の状態にしておく
CMSや関連するコンポーネントやプラグイン、サーバーなどに常にセキュリティパッチを適用し、最新の状態にしておくことが重要です。これにより、既に発生したセキュリティ上の脆弱性などに対処できることになり、安全性も高くなります。
また、プラグインには未知のセキュリティホールが含まれている可能性があります。そのため、不要なプラグインを削除することで、攻撃者がこれを悪用するリスクを最小限に抑えられます。
CMSのバージョンを常に最新の状態に更新することや、不要なプラグインの削除は、セキュリティ対策の基本です。定期的なアップデートとセキュリティに対する意識を常に持ち、サイトに対する外部からの悪意のある攻撃を防ぐことが大事です。
強固なログインパスワードを設定する
CMS利用時には、強力なパスワードの利用がおすすめです。パスワードは、大文字と小文字のアルファベット、数字、特殊文字を組み合わせることで複雑性を高められます。例えば、「P@ssw0rd!」のような、通常誰も発想しないような形式がおすすめです。
また、パスワードが長いほど、総当たり攻撃に対する耐性が向上します。一般的には、12文字以上が目安になっています。さらに、定期的にパスワードを変更することが重要です。定期的な変更はセキュリティを向上させ、古いパスワードが漏洩しても被害を防止できます。
パスワードには、攻撃者が簡単に推測できるような、自分の名前や誕生日などの個人情報を含めないようにしましょう。またCMSのみならず、運用するパソコンのログイン情報などのパスワードについても同様に留意しましょう。
WebサイトをSSL化しておく
WebサイトのSSL(Secure Sockets Layer)化は、サイトとユーザーのブラウザの間でやり取りされる通信を暗号化するプロセスです。公開鍵暗号化技術を用いてデータを暗号化し、第三者が情報を傍受・改ざんできないようにする仕組みです。
SSL化のプロセスでは、サイト訪問者とサーバー間でセキュリティの通信チャネルが確立され、情報の送受信が暗号化されます。そのため、クレジットカード情報やログイン情報など、高い機密性の求められる情報が傍受されても意味の解読が難しくなります。
WAFを導入しておく
WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションとそのバックエンドサーバーを保護するセキュリティ対策に用いられるセキュリティソフトです。WAFは、トラフィックを監視し、悪意ある攻撃からWebアプリケーションを守ることを目的としています。
WAFは通信を監視し、不正なトラフィックや悪意のある攻撃を検知します。これらの攻撃の中には、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)などが含まれます。
検知された攻撃や不正なトラフィックに対して、WAFはそれを遮断するためのフィルタリングやブロックを行います。これにより、Webアプリケーションに対して、攻撃者の悪意のあるアクセスや操作を防ぎます。
定期的にWebサイトの脆弱性をチェックする
定期的な脆弱性チェックにより、潜在的なセキュリティリスクが早期に発見されます。これにより、セキュリティの問題を素早く解決し、被害を最小限に抑えることができます。また、セキュリティが基準に従っていることを確認し、必要に応じて改善ができます。
オートメーションツールやセキュリティスキャナーなどのチェックツールを活用すれば、Webサイトに対する一般的な脆弱性やセキュリティホールが検出できます。
定期的な脆弱性チェックやセキュリティ診断は、CMSによるWebサイトやアプリケーションのセキュリティを維持し、悪意ある攻撃から保護するために欠かせない手法です。
データのバックアップをとっておく
CMS利用時におけるサイバー攻撃や悪意のあるアクセス、自然災害などによるデータの損失は予測が難しいものです。バックアップは、これらの予測不能な災害や攻撃に備え、データを復旧する有効な手段となります。
誤ってデータを削除したり、間違った情報で更新・保存したりした場合でも、バックアップがあれば元に戻すことができます。そのため、ヒューマンエラーによるデータ障害への対策としても効果的です。
バックアップをとっておくことで、データの損失が発生した場合でも迅速かつ確実に復旧することができ、業務の中断などを最小限に抑えられます。
オープンソース以外のCMSを選ぶ
オープンソースCMSは非常に強力で柔軟な選択肢となりますが、運用知識やセキュリティに関する専門的なスキルが求められます。また、セキュリティの観点からも不安な点が残ります。
そのため、専門知識や運用知識が不足している場合や、強化されたセキュリティが必要なケースでは、ベンダーからのサポートがあるパッケージ型やクラウド型がおすすめです。
パッケージ型やクラウド型のCMSは、ベンダーが運用や保守を担当することが一般的です。そのため、最新のセキュリティパッチやアップデートが自動的に反映され、オープンソースのCMSと比較して、セキュリティ対策を容易に強化できます。
CMS利用者の意識向上・ルール策定も重要
CMSを安全に利用するには、上記のような物理的な対策をとるのはもちろんのこと、利用者がその危険性を理解しておくことも重要です。万が一ウイルスに感染し、情報が流出したらどのような悪影響があるのか、研修や勉強会を実施して周知すると良いでしょう。
また、安全性が確認できないファイルはダウンロードしない、不審なURLはクリックしないなど、基本的なルールの策定も行いましょう。簡単に操作できるツールだからこそ、高い危機管理意識を持って運用することが求められます。
まとめ
CMSのセキュリティは、Webサイトやオンラインプラットフォームの安全性に直結しており、適切な対策が不可欠です。CMSのタイプには3種類あり、オープンソース型のCMSは柔軟性が高い一方で、セキュリティリスクが増加する可能性があります。
パッケージ型やクラウド型CMSは、ベンダーからのサポートや定期的なセキュリティアップデートが実行され、強化されたセキュリティの下での運用が可能です。また、専門的な知識を持つ人材がいない企業にも適しています。
CMSを利用してWebサイトを構築する場合には、機能面に加えて、セキュリティ面が充実しているツールを選び、効果的な運用を目指しましょう。
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