副業における勤怠管理とは?通算ルールを踏まえて詳しく解説

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  • 副業制度を採用する場合、通算ルールに基づいて労働時間を通算して管理する必要がある
  • 「4つの義務」への対応が必須になるほか、労働時間を通算しないケースにも注意が必要
  • 副業の労働時間管理の方法はいくつかあるが、勤怠管理システムが最もおすすめ

働き方改革によって副業を解禁する企業が増加し、これから副業制度を導入しようと検討している企業も増えています。この記事では、副業における労働時間管理の重要性や割増賃金の支払い義務、副業の労働時間管理を行う注意点や労働時間管理の方法などについて解説します。

目次

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  1. 副業における労働時間管理の重要性
  2. 割増賃金の支払い義務について
  3. 副業の労働時間管理を行う注意点
  4. 副業の労働時間管理の方法
  5. おすすめの勤怠管理システム3選
  6. まとめ
  7. 勤怠業務を効率化!関連サービスはこちら

副業における労働時間管理の重要性

近年の働き方改革のひとつとして、注目されているのが副業です。昔は副業禁止の企業が多かったものの、現在は副業制度を取り入れる企業が増えています

従業員の副業は、従業員側としては収入増加のメリットがあり、企業側にとっても従業員のスキルアップや働き手の確保などのメリットがあります。しかし、従業員の健康管理義務や、通算ルールの割増賃金の計算など注意すべき課題もあります。

この記事では、副業の通算ルールがどのようなものなのか、注意点や管理方法などを解説します。

副業制度には通算ルールを用いる

2020年に厚生労働省による「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の見直しがあり、改定が行われました。それによって副業の通算ルールとして、企業側は本業と副業の労働時間を通算して管理しなければなりません

通算ルールは、例えば本業の所定労働時間が6時間で副業が2時間勤務ならば、合計して通算8時間となります。ただし企業側だけが管理するのではなく、従業員が一定期間の総労働時間を計算し、上限に近い段階で報告するのが前提です。

定められた労働時間を超過しないように、企業側と従業員の両者で管理しましょう。

36協定の上限は本業・副業それぞれで規制される

従業員を労働させても良い時間は、1日8時間まで・1週間40時間までと上限が定められています。法定労働時間を超えてしまう場合は残業として法定外労働時間となり、割増賃金が発生します。

時間外労働時間は「月45時間・年360時間以内」、特別条項を設けた場合では「年720時間以内」の上限がありますが、これらは事業場単位の規制のため労働時間は通算されません。ですが、

  • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の複数月平均が80時間以内

上記の上限に関しては、従業員個人への規制となります。本業と副業で時間外労働時間に通算ルールが適用されるため、注意が必要です。

出典:副業・兼業の促進に関するガイドライン <概要>

労働時間を通算しないケースもある

副業といっても勤務形態は幅広く、さまざまな業種や働き方があります。副業の法定労働時間として通算する必要があるのは、雇用契約を結ぶ正社員や契約社員、パートタイムなどの「労基法に定められた労働時間規制が適用される労働者」のみです。従って、フリーランスや経営者などは、雇用契約をしていないため適応外となります。

また、農業や水産業などの労働基準法の労働時間制度が適応されていない副業も、通算ルールが適応されません。労働時間の管理は、従業員の副業の勤務形態を確認してから行いましょう。

出典:副業・兼業の促進に関するガイドライン

割増賃金の支払い義務について

副業制度を取り入れる企業は、通算ルールにおける割増賃金についても知っておく必要があります。ここでは、割増賃金の支払い義務について解説します。

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所定労働時間の通算ルール

従業員が勤務する時間は本業と副業を合計し、法定労働時間と時間外労働時間の範囲内に収めるのが通例ルールです。法定労働時間は1日8時間まで、1週間で40時間までと定められています。

まずは本業と副業の通算労働時間が、法定労働時間を超過していないかを確認しましょう。本業と副業で労働時間を合計し、所定労働時間を超えていたとしても、法定労働時間内に収まる場合は、通算ルールにおける割増賃金は不要です

本業と副業で通算して、法定労働時間を過している場合は、割増賃金を支払う必要があります。ただし、通算ルールが適用されるのは労働基準法のある就業形態のみとなります。フリーランスなどの雇用契約が無い仕事には適応されません。

所定外労働時間の通算ルール

前述のとおり、従業員の勤務時間は本業と副業を合わせて、法定労働時間となる1日8時間・1週間で40時間を超えてしまうと、通算ルールとして割増賃金を支払う必要があります。

例えば1日の勤務時間が、本業が所定労働時間が4時間・所定外労働時間が2時間で、副業が所定労働時間が3時間・所定外労働時間が2時間だったとします。本業も副業もそれぞれは法定労働時間に収まっていますが、両方を通算すると8時間を超えてしまいます

この場合は、副業となる企業(雇用契約が後の企業)が超過した所定外労働時間2時間分の割増賃金を支払う必要があります。割増賃金は、本業の企業で所定外労働時間を超える労働があり副業先では無い場合は、本業の企業が自社の所定外労働時間を超える部分の割増賃金を支払います。

管理モデルルール

副業の通算ルールは企業側と従業員との両者での管理が必要ですが、従業員の自己申告となる部分が大きく、企業としては管理が難しいところです。厚生労働省は、企業と従業員の負担を減らし管理しやすくなるように、「管理モデル」を推奨しています

管理モデルとは、法定労働時間を超えた時間数が時間外労働の上限になるように、あらかじめ本業と副業で勤務時間数の範囲を決めておく仕組みです。時間外労働の上限は、単月100時間未満、複数月平均80時間以内となっています。

法定労働時間を超えた場合は、時間外労働があった企業が割増賃金を支払う必要がありますが、従業員が労働時間を申告し企業が管理する手間が省けます。管理モデルは、本業企業が管理モデルを求め、従業員を通して副業先が応じることで導入可能です。

副業の労働時間管理を行う注意点

本業の企業は、従業員の副業の労働時間も管理する必要があります。管理する際の注意点について解説します。

「4つの義務」への対応に注意する

副業の労働管理には、安全配慮義務・秘密保持義務・競業避止義務・誠実義務の4つの義務があります。それぞれの内容を理解し、副業を行う従業員に開示しておきましょう。

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副業の労働管理をする上での「4つの義務」

  1. 安全配慮義務
  2. 秘密保持義務
  3. 競業避止義務
  4. 誠実義務

安全配慮義務

副業を行うと従業員は法定労働時間を超過してしまうケースが多く、健康管理には気を使いたいところです。長時間労働で心身ともに疲れていると、重大な労働災害を引き起こしてしまう可能性があります。

労働契約法の第5条において、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と、安全配慮義務はが定められています。企業側の従業員に対する配慮が必要になります。

特に、副業が従業員の健康を害する可能性がある業務内容の場合は、その仕事の禁止や制限をかけるようにしましょう。

秘密保持義務

従業員が複数の企業に従事していると、故意ではなくてもうっかり自社の情報を副業先に流してしまうリスクがあります。従業員には、業務上の秘密情報を副業先に漏らさないように、注意喚起しておく必要があります

また、自社の情報が漏洩する可能性が高い場合は、従業員の副業を禁止・制限が可能です。そのためにも、本業の企業は副業がどのような企業でどのような仕事内容なのかを、把握しておきましょう。

競業避止義務

副業先が本業の企業と同業種の場合は、従業員の副業で本業の企業に不利益となるリスクがあります。そのような競業行為で自社の損失が懸念される場合は、副業を禁止・制限ができます。

また、副業の競業行為が考えられる場合は、従業員に対してもあらかじめ注意喚起しておくのも重要です

誠実義務

従業員は従事する企業に対して誠実に業務に取り組む必要があります。従業員が副業を行うことにより、本業の企業の名誉や信頼を損なう行為を行ったときは、副業を禁止・制限できるようにしましょう。

これは副業に限らず本業のみの従業員にも言えることですが、現代はSNSの普及で簡単に勤務先の業務内容や上司の愚痴などが拡散しがちです。企業側と従業員が双方を不当に侵害しないように配慮することが大切です。

健康管理が労働者の自己管理になることに注意する

従業員が副業をする場合は、基本的には従業員が自身で本業と副業の総労働時間を管理して、上限になる前に企業に報告するのが前提です。しかし従業員が労働時間を自己管理すると、法定労働時間を大幅に超過してしまう可能性があり、健康被害や過労死のリスクが考えられます。

従業員が黙って副業を始めたり報告を怠ったりしないように、企業内でガイドラインを作成するのが有効です。企業側も従業員の健康状態を気に掛け、定期的に注意喚起を行うなどの対処を行いましょう。

副業の労働時間管理の方法

従業員の副業を管理するためのおすすめのツールをご紹介します。エクセルやICタイムカードなど、取り入れやすいものを選びましょう。

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副業の労働時間管理の方法

  1. エクセル
  2. ICタイムカード
  3. 勤怠管理システム

エクセル

エクセルは多くの企業が業務で使用しており、汎用性が高いツールです。web上にテンプレートが公開されているため、簡単にフォーマットを構築できます。さらに関数で管理表を作成できるため、自社に合った表で労働時間を管理できます

しかし、簡単に扱いやすい万能ツールだからこそ、入力ミスやデータ改ざんのリスクも考えられます。特に従業員の人数が多い中規模・大規模の企業は、エクセルより高機能な勤怠管理システムの使用がおすすめです。

ICタイムカード

多くの企業が採用しているのが、ICタイムカードです。専用の機器でカードを打刻し、従業員のICカードに設定されている識別番号をもとに勤怠情報が管理できます。ICカードを機器にかざすだけで打刻できるため、従業員に負担が無く簡単に使用可能です。

さらに、交通系ICカードなど従業員の手持ちのICカードと紐付けできるサービスもあり、交通費の管理もまとめてできるタイプの機器もあります。勤怠管理作業の効率化に有効ですが、本業の時間管理のみで副業の時間管理には向いていません

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、パソコンを利用して出勤・退勤の打刻をはじめ、残上時間の申請などの手続きを行えるシステムです。他にもシフト作成や給与ソフトとの連携など、まとめて記録と集計ができるものもあります。

勤怠管理システムには、クラウド型とオンプレミス型があり、クラウド型はサーバー上で管理できるため、ソフトウェアが必要ありません。自社サーバーで安全に勤怠を管理したい企業には、オンプレミス型が向いています。

機能が豊富で副業の管理もしやすいため、勤怠管理を効率化したい企業におすすめです。

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まとめ

従業員の副業は、本業と合わせて総労働時間を通算ルールに則って管理する必要があります。副業制度を導入する企業は、両方の勤務先での労働時間を合わせて、法定労働時間を超えていないか確認しなくてはなりません。

企業側は、通算ルールで法定労働時間を超過した場合は割増賃金を支払う義務があるため、厚生労働省推奨の管理モデルで、負担が無いよう管理するのがおすすめです。また、副業をする従業員の健康管理や安全配慮など注意すべき点もあります。

副業は従業員自身の収入の上昇だけでなく、本業のスキルアップにも繋がるメリットがあります。副業の勤怠もまとめて管理できる勤怠管理システムもあるので、自社への導入を検討してみましょう。

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