多面評価とは?必要性やメリット・実施する際のポイントを解説
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- 多面評価とは、従来の一方的な評価とは異なり、立場を問わず評価し合う評価方法
- 多面評価では、上司視点のみでは気付きにくい新たな強みを発見しやすい
- 多面評価で公平性を保つには、評価基準の統一と実施理由・ルールの共有が必要
多面評価とは、上司・部下・同僚といった立場を問わず評価し合う新たな評価方法です。成果主義やリモートワークの広がりにより、多面評価の必要性が増してきています。本記事では、多面評価のメリット・デメリットだけでなく、評価を実施する際のポイントも解説します。
目次
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多面評価とは
多面評価とは、上司だけでなく部下・同僚・他部門のスタッフなど、複数の立場の関係者が評価を行う手法です。この評価方法は「360度評価」とも呼ばれ、全方向からの視点を評価に取り入れることで、包括的で客観的な評価が可能になるという特徴を備えています。
多面評価は、従来の上司による一方的な評価とは異なり、異なる立場の人々からの意見や評価を把握することができます。これにより、評価を受ける側は自身の強みや改善点をより明確に把握しやすくなり、成長やスキルの向上が見込めます。
また、多面評価では、評価にあたって同僚や部下とのコミュニケーションが活発になります。そのため、組織内のチームワークが向上し、相互理解と信頼感を深める効果も期待できます。
多面評価の必要性
近年では、公平かつ透明性の高い人事評価の手法として、多面評価を取り入れる企業が増加しています。従来の上司による評価では、上司の主観によって評価が行われる場合があり、評価業務の属人化や不公平感の増加を招くケースがありました。
対して、多面評価では複数のフィードバックが行われるため、透明性が高く公平感のある評価が実現します。また、個人の目標と組織の方針との整合性を確認しやすく、具体的で適切な業績目標の設定が可能です。
このように、多面評価の導入によってさまざまなメリットが得られます。ここでは、多面評価の必要性について項目ごとに解説します。
リモートワークによる評価の困難化
新型感染症の拡大をきっかけに、リモートワークをはじめとする働き方の多様化が進みました。多くの企業が導入したリモートワークは、コストの削減や従業員の通勤負担軽減などのメリットが評価されています。
一方で、上司や同僚と実際に顔を合わせる機会が減少したことにより、さまざまな課題が生じています。特に、上司が直接業務の進捗を把握できないため、適切な評価が難しくなっているケースも多いです。
また、リモートワークでは、上司が部下の働きぶりを直接監視することができません。業務で直接やりとりを行う他の従業員の意見を評価に反映させるという意味でも、多面評価は時代の変化に即した評価制度であるといえます。
成果主義の広まり
昨今では、従来の年功序列から成果主義へと評価基準が変わりつつあります。年功序列の場合、年齢・入社時期・役職などが評価に影響を与えるケースがありました。しかし、成果主義では、仕事の成果や実績によって評価されます。
多面評価は、従業員一人ひとりの実績を客観的に判断しやすく、適切な評価に繋げることができます。そのため、多面評価は成果主義に適しているといえます。
多面評価による5つのメリット
多面評価によって、客観的かつ公平な評価が実現し、管理職社員の成長が期待できます。また、評価を受ける側は、自分の弱み・強みを把握し、評価を受け入れやすいというメリットもあります。ここでは、多面評価によるこれらのメリットについて解説します。
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多面評価による5つのメリット
客観的で公平な評価が可能
上司が部下を評価する一般的な評価方法では、従業員一人ひとりの業績を正確に把握することが困難です。また、業務に対する評価だけでなく、個人的な好みが評価に影響を及ぼす場合もあり、公平性の維持が難しいという欠点もあります。
対して、多面評価では上司だけでなく、部下や同僚からも評価を受けます。複数の視点から評価を行うことで、さまざまな角度からの評価を加味し、公平な判断に繋げることができます。
評価を受け入れやすい
多面評価の特徴の1つとして、部下や同僚からの評価を把握できる点が挙げられます。複数の評価者からさまざまな指摘を受けることで、評価に対する納得感が高まり、自分に対する評価を受け入れやすくなります。
また、マイナスの評価を受け入れることで、スムーズな改善に繋げやすくなります。マイナス評価に対してもただ落ち込むだけでなく、異なる見方による理解を深められるとともに、相手に対する理解も深まります。
新たな強みに気付ける
自分の能力や欠点は、人から指摘されてはじめて気づく場合が多いものです。また、評価者の立場によっても評価基準が変わるため、一方向からの評価だけでは、自分の強みに気づく機会を得られないことがあります。
例えば、上司からの評価は普通でも、部下からの評価が高い社員は、新人教育に向いている可能性が高いです。多面評価によって部下からの評価を受ける機会がないと、このような長所を見落としてしまう場合もあります。
管理職社員の成長につながる
一般的な評価制度では、管理職やリーダー職は部下を評価する立場です。そのため、部下から評価される機会が少なく、成長が滞ってしまう場合があります。
しかし、多面評価では上司と部下が双方向でお互いの評価を行います。これにより、管理職社員に不足しているスキルが明確化され、自己理解や成長を促す効果が期待できます。
コミュニケーションの活性化が見込める
評価後のフィードバックとして面談を行えば、コミュニケーションの活性化が見込めます。多くの企業は上司と部下間のコミュニケーションが不足しており、特に部下から上司へのコミュニケーションが少ないケースが多いです。
そこで、評価後のフィードバックを面談形式で行うことで、必然的に上司と部下が会話をする機会が設けられ、業務内で発生する普段のコミュニケーションとは異なるやり取りが行えます。
フィードバックがきっかけで上下間のコミュニケーションが活性化すれば、業務内でのやり取りも円滑になり、業務効率の向上も期待できます。
多面評価による4つのデメリット
多くのメリットをもたらす多面評価ですが、注意が必要なデメリットも存在します。ここでは、多面評価によるデメリットを4点取り上げ、それぞれについて解説します。
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多面評価による4つのデメリット
主観による評価になりやすい
上司が部下に対して評価を行う場合、管理者の視点から見た良い社員が評価されがちでした。一方で、多面評価ではさまざまな立場の社員が評価を行うため、他者を評価する経験が少ない新入社員なども評価に携わることになります。
評価経験が少ない場合、評価者の主観や個人の感情に基づいた評価になってしまう可能性があります。あくまで業務上の評価であることを周知するとともに、公正な評価を行うよう教育を徹底しましょう。
人間関係に悪影響が起きる可能性がある
多面評価では、さまざまな立場の従業員同士がお互いの評価を行います。そのため、低い評価をつけられた場合は、従業員の人間関係の悪化が懸念されます。
人間関係の悪化を恐れて正直な評価ができなくなってしまっては、多面評価の意味が半減してしまいます。このような事態を防ぐためには、お互いの評価が不利益にならないような仕組みづくりを行うことが重要です。
例えば、誰がどのような評価を行なったのかを本人に明示せず、匿名でフィードバックを行ったり、詳細な情報ではなく、平均点や合計点のみを伝えたりする方法が有効です。企業の規模や組織形態などを考慮し、自社に合った対策を行いましょう。
不正が起きる可能性がある
多面評価では、従業員同士が結託し、お互いに高い評価をつけ合うなどの不正が起こる可能性があります。特に、評価の結果が待遇に反映される場合は注意が必要です。
また、ライバル部署の社員に対して不当に低い評価を行なったり、賄賂によって評価を買収しようとしたりするなどの不正行為も懸念されます。不正が起こると正当な評価が行えないだけでなく、生産性の低下にも繋がってしまうため、事前に防止策を講じておきましょう。
通常業務の負担になる
多面評価では、部下の評価に慣れた管理職社員だけでなく、一般社員も評価に携わります。通常業務に加えて評価業務を行わなければならないため、業務負荷が大きくなるリスクがあるということを把握しておきましょう。
繁忙期が事前に判明している場合は、評価の時期をずらすなどの配慮を行い、なるべく負担のないやり方で実施するのがおすすめです。
多面評価を実施する際の5つのポイント
多面評価を実施する際は、目的やルールを定め、社会で共有することが重要です。また、役職ごとに評価基準や評価の項目を定め、適切なフィードバックの実施が望まれます。ここでは、多面評価を実施する際のポイントについて解説します。
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多面評価を実施する際の5つのポイント
多面評価を行う理由・目的・ルールの共有
多面評価を実施する際は、全従業員に対して、実施理由や目的を事前に共有しておくことが重要です。
共有が不十分なまま多面評価を実施すると、評価に対する不信感が募ったり、現場に混乱が生じたりする場合があります。多面評価では従業員同士がお互いを評価するため、従業員から理解が得られない状態では、適切な評価を行うことができません。
また、実施の際には、評価の内容に対して他言を禁止するなどのルールを設けておきましょう。ルールの設置によって、評価制度の公平性や透明性を維持する効果が期待できます。
評価基準の統一
多面評価によって公正な評価を行うためには、評価基準の統一や評価に携わる全従業員への周知が不可欠です。多面評価では、これまで他者の評価をしたことがない社員も評価に携わることになるため、導入時には勉強会や研修などを実施しましょう。
あらかじめ評価基準を定め、情報を共有しておくことで、個人的な感情や主観的な意見によって評価が行われるリスクを軽減させることができます。
役職・立場ごとの項目設定
多面評価によって、組織内での公正な評価を実現するには、各役職や立場ごとに適切な評価項目を設定することが重要です。役職や立場によって、求められるスキルや責任は異なるため、一様な評価基準では公平な評価が難しくなります。
例えば、一般社員には業務の遂行力やチームワークなどが重要な評価項目となりますが、管理職にはリーダーシップや戦略的な視点が求められます。
このように、ポジションごとに適切な評価項目を設定することで、個々の役割や貢献度を正確に評価し、公平で効果的な人事評価を実現できます。
適切な回答者設定
多面評価は上司や部下など異なる立場の関係者が評価をするため、普段から関わりを持った人しか評価できません。毎日同じメンバーで業務を行っている場合は、そのメンバー内で評価するのが理想です。
しかし、普段全く関わりのない相手を評価するといった回答者設定をしてしまうと、日頃どのように仕事をしているのかがわからず、適切な評価ができません。そのため、多面評価を行う際は、日常的に業務で関わりを持つ複数人で行えるように回答者を設定しましょう。
フィードバックの実施
多面評価の成果を最大限に引き出すためには、評価後のフィードバックが重要な役割を果たします。多面評価では、自分に対する多方面からの評価を認識することができるため、自己成長に繋げられるというメリットがあります。
一方で、低い評価を受けた従業員にはフォローが必要です。モチベーションの低下を防ぐためにも、適切なフィードバックを実施しましょう。
多面評価の実施がおすすめな企業の特徴
多面評価は、基本的にはあらゆる企業におすすめな評価制度です。しかし、特におすすめなのは、上司1人が多数の部下を管理している企業であるといえます。
上司が多くの部下を管理している場合、各従業員を十分に理解するのは難しいことがあります。多面評価を導入することで、上司以外にも同僚や部下の視点を取り入れ、客観的で多様な評価が実現します。
多面評価を行うなら多面評価システムがおすすめ
適切な多面評価を行うには、多面評価システムの導入がおすすめです。多面評価システムの機能により、複雑な評価項目の設定や、情報の一元化が可能になります。
多くの多面評価システムは、評価項目のカスタマイズや、集計結果の共有機能を備えており、Excelや紙の評価シートによる管理が不要となり、評価業務の効率化が実現します。
多面評価システムの導入で、多面評価の運用がスムーズになり、業務負担を軽減させる効果に期待できます。
おすすめの360度評価・多面評価システム3選|比較ポイントも解説
公平な評価や人材育成のために、360度評価・多面評価を採用する企業が増えています。360度評価・多面評価システムを活用すれば、初めてでもスムーズに導入可能です。この記事では、おすすめの360度評価・多面評価システムや選ぶ際の比較ポイントを解説します。
まとめ
多面評価とは、上司が部下を評価する従来の評価制度とは異なり、全従業員が立場を問わず互いを評価し合う評価制度です。近年では、リモートワークをはじめとする働き方の多様化や成果主義の広がりから、多面評価が注目されています。
多面評価により、客観的で公平な人事評価が可能になる上に、さまざまな角度から評価を受けられるため、評価内容を受け入れやすいのが特徴です。加えて、自身の弱み・強みを把握でき、自己成長が見込めるというメリットもあります。
多面評価を導入する際は、多面評価システムの導入がおすすめですが、多面評価を行う目的や理由を従業員に周知し、理解を得ることも重要です。評価基準の統一や、立場に応じた評価項目の設定を行い、公平な評価の実施に繋げましょう。
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