勤怠管理を効率化するには？勤怠管理システムのメリットを解説

働き方改革に沿う勤怠管理の重要性や業務内容の多さを把握し従業員の負担を減らすことで、勤怠管理の効率化や企業全体の生産性向上に繋がります。本記事では、勤怠管理の目的や業務内容、業務効率化の手段としての勤怠管理システム導入について分かりやすく解説します。

目次

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1. アナログな勤怠管理では効率化しきれない
2. 勤怠管理の目的
3. 勤怠管理の業務内容
4. 勤怠管理システムの導入で業務効率化
5. 勤怠管理システムの導入メリット
6. 勤怠管理システムの導入のデメリット
7. 勤怠管理システムの選び方
8. まとめ

アナログな勤怠管理では効率化しきれない

勤怠管理の課題は、手作業による時間の記録や集計の煩雑さ、ヒューマンエラーの発生などがありますが、度重なる法改定への対応が行き届かなくなっているのも現状です。従業員の膨大な勤怠データへ客観的な正確性が求められるだけでなく、アナログ作業で管理領域の見直しをするとなると、担当者の負担が増える一方です。

そこで、担当者の負担を軽減し効率化を図るツールとして、勤怠管理システムの導入が有効です。タイムカードや出退勤データの収集、休暇や残業申請の自動化により時間と手間が削減され、正確な勤怠データの管理が実現します。

今後の大きな法改定への対応も想定し、詳しい機能と共に、着目すべき点を確認しましょう。

勤怠管理をおさらい

勤怠管理とは、従業員の出勤・退勤時間を正確に把握することです。出勤時・退勤時にはタイムカードや勤怠システムを利用し、記録を行います。これにより、労働時間や残業時間を計算し、適切な給与支払いや労働条件の遵守が可能となります。

また、休暇や休憩時間も適切に管理し、労働法や就業規則に基づいた取り扱いを行います。正確な勤怠管理は、企業の生産性向上と、労働者の権益保護を両立させる重要な項目です。

法改定による変更点は

働き方改革に伴い、2019年4月に労働基準法・労働安全衛生法が以下のように改正されています。最新では2023年4月1日に改正労働基準法が施行され、今や大企業だけでなく中小企業も対象とした法改正が行われています。

いずれも「長時間労働の是正」を最重要視した内容で、課題解消のためには正確な勤怠管理が必要不可欠です。

労働基準法の変更点

・時間外労働の上限規制

→36協定を締結することで、月45時間・年360時間まで

・年次有給休暇の5日間の取得義務化

・客観的な労働時間把握の義務化

・時間外労働の割増賃金引き上げ

→企業の規模を問わず、月60時間を超える残業割増賃金率が一律50％に

労働安全衛生法の変更点

・タイムカードなどを用いた客観的な記録方法で勤怠管理を行うことが原則

※ただし、事業者がやむを得ないと判断した場合のみ自己申告形式での勤怠管理も認められる。

勤怠管理の目的

勤怠管理の目的は、労働法令や労働契約の遵守や、労働者の権益保護にあります。従業員の出勤・退勤時間や休憩時間を正確に把握することで、労働時間や残業時間を管理し、適切な労働条件を提供します。ここでは、勤怠管理の目的について2つの項目を解説します。

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法律を厳守するため

勤怠管理の目的は、法律を厳守するために、労働時間や休憩時間を適切に管理することです。働き方改革による法改正では、労働者の健康や働き方の改善が重視され、労働時間の適正化が求められています。

法律を厳守することで、労働者の権益保護や労働環境が改善し、労働者のモチベーションや労働意欲の維持に繋がります。また、企業にとっても、生産性の向上や組織の持続的な成長にもつながる重要な要素となります。

参考：労働基準法｜e-Gov法令検索

参考：労働安全衛生法｜e-Gov法令検索

参考：「働き方改革」の実現に向けて｜厚生労働省

従業員の健全な雇用のため

勤怠管理の目的の一つは、従業員の健全な雇用を確保することにあります。正確な勤怠管理は、従業員の働き方や労働条件を適切に管理し、労働時間や休息時間を守ることに直結します。

従業員が適切な労働時間を確保し、適度な休息を取ることは、身体的な健康と精神的な安定に大きく関わります。適切な勤怠管理は、労働者の負担やストレスを軽減し、ワークライフバランスを実現する一環でもあります。

勤怠管理の業務内容

勤怠管理は、企業における重要な業務の一つであり、その業務内容は多岐にわたります。従業員の労働時間の把握だけでなく、休暇や有給休暇の管理、給与計算などですが、ここでは、主な勤怠管理の業務について4つを解説します。

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勤怠管理の業務	業務内容
労働時間の管理	正確な労働時間の記録・把握・保存
	シフト作成・修正
	残業の申請の承認
休暇取得状況の管理	有給取得日数のチェック
人的ミスや違反がないか確認	打刻漏れ
	36協定に違反していないかの確認
給与計算	職種ごとの時給計算や残業代の集計

労働時間の管理

勤怠管理の業務内容には、正確な労働時間の記録・把握・保存があります。労働基準法では、従業員の労働時間や休憩時間の遵守を義務付けており、これらの情報を的確に把握・管理することが法律で求められています。

また、勤怠管理の業務内容には、シフト作成や修正の業務も含まれます。一般的には、エクセルなどを使いますが、シフトの作成・調整作業は煩雑で手間がかかります。手作業でのシフト管理は、ヒューマンエラーや時間がかかるので注意しましょう。

休暇取得状況の管理

勤怠管理の業務内容には、休暇取得状況の管理があります。従業員の有給休暇や特別休暇などの取得状況を正確に把握し、適切な管理を行うことが求められます。これには休暇の申請・承認の手続きや休暇の残日数の計算、休暇履歴の保存などが含まれます。

業務の大変さは、特に大企業や複数の部署がある組織では、多くの従業員の休暇情報を一元管理することが困難であり、手作業ではエラーや漏れが生じる可能性があります。適切な休暇管理は、従業員の働き方の調整や、ワークライフバランスの確保に重要な管理項目です。

人的ミスや違反がないか確認

勤怠管理の業務内容には、人的ミスや違反の確認も重要となります。正確な出勤・退勤時間や休憩時間の記録を確保し、労働基準法や労働契約に基づいた労働時間の遵守を確認する必要があります。

特に、多様な勤務形態や複数の従業員が関与する場合、人的ミスや違反の発生リスクが高まります。時間の漏れや違反があれば、労働者の権利侵害や法的トラブルに繋がりかねません。そのため、正確かつ厳密な勤怠管理が求められます。

給与計算

勤怠管理の業務内容には、給与計算も重要な要素です。正確な労働時間や休暇の情報を基に給与計算を行い、従業員に正確な給与を支払う必要があります。

給与計算には従業員の基本給や残業手当、休日出勤手当、各種控除など様々な要素が関与し、それらを正確に計算する必要があります。また、社会保険や税金などの法的規定に基づいた控除や手続きも適切に行わなければなりません。

これらの業務は、手作業による計算やデータ入力を伴う場合もあり、従業員の数や雇用条件の多様性に応じて複雑化することもあります。正確さとタイムリーな給与支払いは、従業員と企業の信頼関係にも影響するので、誤りや遅延のない効率的な給与計算が求められます。

勤怠管理システムの導入で業務効率化

勤怠管理は、煩雑な作業が多く人的ミスも発生しますが、勤怠管理システムの導入により、業務効率化が図れます。ここでは、勤怠管理システムについての概要と種類について解説します。

勤怠管理システムとは

勤怠管理システムは、従業員の勤怠情報を効率的に管理するためのツールです。具体的な機能としては、出勤・退勤時間の自動記録、休暇申請と承認のオンライン化、シフト作成と変更の迅速な反映、残業時間の計算、給与計算へのデータ連携などがあります。

さらに、勤怠データの集計や分析機能も備えており、勤務時間の傾向や、休暇取得状況の把握が行えます。勤怠管理システムは、効率的な勤怠管理を実現し、業務の効率化と生産性向上を補助します。

勤怠管理システムの種類

勤怠管理システムには、オンプレミス型とクラウド型、タイムレコーダー型の3つの主要なタイプがあります。ここでは、勤怠管理システムの3つのタイプについて解説します。企業のニーズや要件に応じて、適切なタイプを選択しましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型の勤怠管理システムは、企業内のサーバーやネットワークに導入されるタイプです。メリットとしては、セキュリティが企業内で管理され、データへのアクセス制御が容易です。また、特定の要件やカスタマイズが必要な場合に柔軟に対応できます。

デメリットとしては、システムの導入・運用・メンテナンスに多くのリソースが必要であり、コストや時間がかかることがあります。また、リモートワーク環境には適していない場合があります。

クラウド型

クラウド型勤怠管理システムは、インターネット経由で利用する形態です。メリットとしては、導入・運用の手間が軽減され、セキュリティやバックアップがプロバイダーによって管理されることです。近年では、勤怠管理システムは、クラウド型が主流となっています。

デメリットとしては、インターネット経由での利用のため、一定のセキュリティリスクがあります。また、システムのカスタマイズ性に制約があります。柔軟性とリスク管理のバランスを考慮し、適切な選択が重要です。

タイムレコーダー型

タイムレコーダー型の勤怠管理システムは、インターネットを通じて勤怠情報を管理するシステムです。メリットは、リアルタイムでのデータ共有やリモートアクセスが可能なため、近年増加傾向にある、リモートワークなどさまざまな雇用形態に対応できます。

一方、デメリットは、インターネット接続が必要であることやデータのプライバシーやセキュリティに関するリスクがある点です。

勤怠管理システムの導入メリット

勤怠管理システムの導入には多くのメリットがあります。正確な勤怠データの管理や法令遵守の強化などが挙げられますが、ここでは、システムを導入するメリットとして、6つを解説します。

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正確な労働時間の記録・把握・保存ができる

勤怠管理システムの導入のメリットとして、正確な労働時間の記録・把握・保存が可能となります。システム上で出勤・退勤時刻や休憩時間を自動的に記録し、従業員の労働時間を正確に把握でき、これにより労働時間の不正やミスを防止できます。

また、システムは、法令や労働契約に基づいたルールを適用し、労働時間や休暇の計算を正確に行います。従業員も自身の勤怠データを確認できるため、ミスやトラブルを事前に防ぐことにも繋がります。

申請・承認フローが簡易化できる

勤怠管理システムの導入には、申請・承認フローの簡易化できるメリットがあります。従来の手動での休暇や、勤務変更の申請は時間と手間がかかり、承認者との連絡や書類のやり取りも必要でした。

勤怠管理システムでは、申請をオンライン上で行い、承認者も同じシステムでリアルタイムに申請を確認・承認できます。これにより、申請のスピードが向上し、迅速な対応が可能となります。

自動計算・自動集計ができる

勤怠管理システムの導入には、自動計算・自動集計のメリットがあります。システムは、従業員の出退勤時間や、休憩時間を自動的に計算し、労働時間や勤務日数を集計します。これにより、管理者は、手作業での計算や集計作業を省略でき、時間と労力を節約できます。

36協定違反を素早く発見できる

勤怠管理システムには、36協定違反を発見する機能があります。36協定とは、労働者の労働時間や、休憩時間に関する法的な規定ですが、システムは法定労働時間や残業時間の上限を設定し、従業員の労働時間を監視します。

アラート機能を搭載しているツールもあり、活用することで、設定した基準を超えた勤務や残業が発生した場合に管理者に通知されます。これにより、36協定違反や過労のリスクを早期に検知し、是正措置を取ることができます。

参考：36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針｜厚生労働省

法改正に適切に対応できる

勤怠管理システムの導入によるメリットの一つは、法改正に適切に対応できることです。労働法や、労働基準法の改正は頻繁に行われ、労働時間や休憩時間などの規定が変更されることがあります。

勤怠管理システムは法改正に即座に対応し、新たな規定を反映することができます。これにより、労働時間の適正な管理や違反の防止が可能となり、企業は法的リスクを軽減できます。

他システムと連携できる

勤怠管理システムの導入によるメリットとして、他のシステムとの連携できることが挙げられます。例えば、給与システムとの連携により、勤怠データを自動的に給与計算に反映させることができます。

また、シフト作成システムとの連携により、勤務スケジュールを効率的に作成し、従業員のシフト変更や、休暇申請といった情報を、リアルタイムで反映させることができます。これにより、労働時間の正確な集計やスケジュールの調整が円滑に行えます。

勤怠管理システムの導入のデメリット

勤怠管理システムの導入には、多くのメリットがありますが、デメリットにも考慮する必要があります。ここでは、システムの導入に際してのデメリットを2つ紹介します。自社のニーズと比較して、導入を検討しましょう。

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運用ルールの設定やスタッフ研修が必要

勤怠管理システムを導入するデメリットの一つは、勤怠管理に関するルール設定にかかる手間や変更の必要性です。システム導入に伴い、就業規則や労働時間のルールを、システムに反映させる必要があります。

また、労務担当者や管理者に対する、システムの研修やトレーニングも必要となります。運用ルールの設定やスタッフ研修は、導入前の準備段階で十分な検討と調整をしておきましょう。

コストがかかる

勤怠管理システムのデメリットの一つはコストの面です。システムの導入には環境設備やソフトウェアの購入費用、導入・設定・カスタマイズなどの環境設備費用だけでなく、運用にあたって担当者を育成するコストも切り離せません。オンプレミス型とクラウド型では費用の差もあります。

オンプレミス型では、サーバーの設置やメンテナンスなど初期費用が発生しますが、クラウド型は、料金形態が月額であり、初期費用が安く抑えられます。事前に総合的なコストの評価をし、予算や自社のニーズに合わせた、適切な選択を行う必要があります。

勤怠管理システムの選び方

勤怠管理システムには、さまざまな種類がありますが、ここでは、勤怠管理システムを選ぶポイントを6つ解説します。これらのポイントを考慮しながら、自社のニーズに合った勤怠管理システムを選択しましょう。

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自社の業種に合っているか

勤怠管理システムを選ぶ際のポイントは、まずは自社の勤務形態や雇用形態に対応しているかを確認しましょう。例えば、シフト制の雇用形態であれば、シフト管理機能が必要です。

また、フレックスタイム制度を採用している場合は、柔軟な勤務時間管理が可能であるかなど、自社の勤務形態や雇用形態に合致したシステムを検討しましょう。

必要な機能は搭載されているか

勤怠管理システムを選ぶ際のポイントとして、必要な機能が搭載されているかを確認することが重要です。例えば、有給休暇や代休の申請・承認機能があるか、残業申請や勤務時間変更の承認機能があるかなど、各種申請と承認に関する機能が必要です。

また、勤怠データの集計やレポート作成機能があるかどうかも確認しましょう。これによって、労働時間や残業時間の集計、給与計算などがスムーズに行えます。

操作は簡単か

勤怠管理システムを選ぶ際のポイントとして、操作の簡単さについても確認しておきましょう。従業員がシステムをスムーズに利用できるかどうかは、導入後の効率化に直結します。

具体的には、直感的なユーザーインターフェースや、操作手順のわかりやすさが求められます。操作が煩雑で複雑な場合、導入後のトレーニングやサポートに時間がかかる可能性があります。導入前にデモやトライアルを行い、実際に操作性を確認しておきましょう。

セキュリティ対策やサポート体制は手厚いか

勤怠管理システムを選ぶ際のポイントとして、セキュリティ対策や、サポート体制の充実も重要です。セキュリティ対策では、データの暗号化やアクセス制御、バックアップなどのセキュリティ機能が求められます。

システムが適切に保護されていることは、従業員の個人情報や、勤怠データの安全性を確保する上で不可欠です。また、トラブルや不具合が発生した場合のサポート体制を充実しておくことで、問題発生時にも迅速かつ円滑な対応でき、システムを安定的に利用できます。

費用対効果は見合っているか

勤怠管理システムを選ぶ際のポイントとして、費用対効果を考慮することが重要です。自社の予算に合わせたコストや、システム導入に伴う労力や時間を考慮しましょう。また、自社の環境やニーズに合った機能や、カスタマイズの柔軟性も重要です。

導入後のメンテナンスやアップデートにかかる費用・時間も考慮し、長期的な費用対効果を見極めることが大切です。

既存のシステムと連携できるか

勤怠管理システムを選ぶ際のポイントとして、既存のシステムとの連携ができるかも確認しておきましょう。例えば、給与システムや人事管理システムなど、既に導入済みのシステムがある場合、勤怠管理システムとのスムーズなデータの連携が望まれます。

まとめ

勤怠管理の業務は多岐にわたり、正確な労働時間の記録や休暇管理、給与計算などが求められます。しかし、手作業での管理ではヒューマンエラーや負担が生じます。ここで勤怠管理システムの導入が効果的です。

システムを活用することで正確なデータの把握と自動化が実現し、労務担当者の負担を減らします。さらに、働き方改革に対応した柔軟な勤務時間管理や、労働時間の可視化、休暇申請・承認の簡素化なども可能です。

勤怠管理システムの効率化は、生産性向上や労働環境改善につながります。結果的に、労務担当者の業務負担を軽減し、より効率的かつ健全な働き方を実現することができます。