ビジネスチャットのセキュリティリスクとは?社内でできる対策も解説
Check!
- ビジネスチャットには、ウイルス感染や情報漏洩などのセキュリティリスクがある
- ビジネスチャットの選定では、IPアドレス制限や通信暗号化などの機能の有無を確認する
- 社内では強固なパスワード設定やセキュリティ保護に向けたルール策定が推奨される
ビジネスチャットは一般的にセキュリティが強固な製品が多く、メールよりも安全性が高いとされています。しかし、それでもリスクはゼロではないため、導入時は注意が必要です。この記事では、ビジネスチャットのセキュリティリスクや対策を解説します。
おすすめ記事
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
ビジネスチャットの安全性とは
ビジネスチャットは、ビジネス上の相手とチャット形式でメッセージをやりとりできるツールです。チャット機能に加えて、ファイル共有機能・ビデオ通話機能など、ビジネスを円滑にする機能を備えたツールも数多くあります。
ビジネスの場面では機密情報をやりとりする頻度が高いことから、ビジネスチャットには、メールや一般的なチャットツールに比べて強固なセキュリティ対策が敷かれています。
ビジネスチャットとは?機能やメリット・デメリット、選び方を解説
ビジネスチャットとは、社内外の人とコミュニケーションできるビジネス用チャットツールです。本記事では、ビジネスチャットをよく知らない方・導入を検討している方のために、ビジネスチャットの機能や選び方、メリット・デメリットを解説しています。
ビジネスチャットのセキュリティリスクと対策
上述のように、ビジネスチャットは一般的なチャットツールに比べてセキュリティ性が高いものが多いです。しかし、セキュリティリスクはゼロではないため、社内でも独自のセキュリティ対策が必要です。
ここでは、代表的なビジネスチャットのセキュリティリスクとその対策についてご紹介していきます。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
ビジネスチャットのセキュリティリスクと対策
アカウントの乗っ取り・なりすまし
ビジネスチャットの代表的なセキュリティリスクが、アカウントの乗っ取り・なりすましです。ビジネスチャットのアカウント情報が何らかの理由で第三者に漏洩し、その第三者があたかも正規ユーザーのようにログインする状態を指します。
アカウントの乗っ取りやなりすましが起こると、第三者はチャットツール内でやりとりされている情報を閲覧できるほか、メッセージのやりとりも自由に行えます。
その結果として、機密情報の外部漏洩やユーザー同士の不和が起こる可能性があります。あるいは、ウイルス感染しているファイルをばらまき、社内ネットワークを汚染することもあり得ます。
対策
アカウントの乗っ取りやなりすましを防ぐには、ユーザーのアカウント情報の漏洩を防ぐことが大切です。アカウント情報の漏洩防止対策は、従業員・企業の双方が協力して行いましょう。
【従業員の対策】
- ログイン時にIDやパスワードを他人に覗き見されないようにする
- 他人が推測できるようなID・パスワードは避ける
- 他人が簡単に見られる場所にID・パスワードをメモしない
- フリーWi-Fiの通信内容は覗き見される恐れがあるため、ビジネスチャットでは利用しない
【管理者の対策】
- 2段階認証のツールを用いる
- ユーザーごとにアクセス権限を設定できるツールを選ぶ
ウイルス感染
パソコンのウイルス感染とは、悪意のあるプログラム(マルウェア)で端末を汚染することです。ウイルス感染は主に、汚染された添付ファイル・Webサイトを開くことで起こります。汚染されたUSBメモリの接続も、ウイルス感染の原因の1つです。
ウイルス感染の代表的なリスクには、端末の動作不良のほか、内部データの不正流出・改ざん・削除などがあります。特にデータの不正流出や改ざんは、企業に重大なダメージを与えかねません。
対策
ウイルス感染を防ぐには、次のような方法が有効です。
- 危険なサイト・ファイルは開かない
- 怪しいUSBメモリは接続しない
- 添付ファイルを開く前にウイルススキャンする
- ウイルス対策ソフトを導入する
- 感染したデバイスはすぐにインターネット接続を切断し、電源も切る
おすすめの方法は、ウイルス対策ソフトの導入です。開こうとしている添付ファイルやWebサイトを自動でスキャンし、リスクがある場合は警告を表示します。感染予防だけでなく、感染後のウイルス駆除まで実行できるソフトもあります。
誤送信による情報漏洩
誤送信による情報漏洩も、ビジネスチャットツールのセキュリティリスクの1つです。たとえば、特定の部署でのみ共有すべき情報を、誤って他部門のメンバーに送信するようなケースが代表的です。
ビジネスチャットは、メールなどに比べて手軽に利用できるぶん気が緩みやすく、このようなミスが起こる可能性が高いです。些細な誤送信が重大な情報漏洩をもたらすこともあります。
対策
誤送信による情報漏洩を防ぐには、ツールを操作する従業員一人ひとりが意識を高めることが大切です。具体的には、次のような対策を徹底しましょう。
- 不要なチャットツールへの入室は控える
- メッセージの送信前に内容や宛先を必ず確認する
- 添付ファイルにパスワードをかける
添付ファイルにパスワードをかける場合は、解凍用パスワードをメールなどの別ツールで送信します。ビジネスチャット以外のツールが必要になるため、送信者・受信者ともにやや手間はかかりますが、添付ファイルを保護するうえでは有効です。
シャドーITによる情報漏洩
シャドーITとは、企業が認識していないITツールのことで、具体的には従業員が個人的に利用している端末・ネットワーク回線を指します。たとえば、リモートワークや時間外労働の際に、従業員が私的な端末・ネットワーク回線を利用して業務にあたることがあります。
個人向けのITツールは、企業用と比べてセキュリティが脆弱な場合が多く、それに伴ってウイルス感染やサイバー攻撃による情報漏洩のリスクも高くなります。また、端末そのものの盗難・紛失による情報漏洩の恐れもあります。
対策
シャドーITによる情報漏洩を防止するには、次のような方法が有効です。
- シャドーITツールは業務に利用しない
- ITツールのセキュリティ対策を万全にする
- フリーWi-Fiには接続しない
- 端末の盗難・紛失や第三者の覗き見防止対策をする
シャドーITによる情報漏洩は、企業内端末からの情報漏洩に比べて、原因の究明が困難な傾向があります。情報漏洩のリスクをできる限り低減するには、シャドーITを用いての業務は禁止するのがベストです。
ただし、リモートワークを推奨している企業では、シャドーITの利用が避けられないこともあるでしょう。この場合は、社内端末と同レベルのウイルス感染対策ソフトを導入するなどして、個々の端末を保護することが大切です。
ビジネスチャットのセキュリティ機能
ビジネスチャットによるセキュリティリスクを避けるには、次のようなセキュリティ機能を備えたビジネスチャットツールの導入がおすすめです。1つの機能ではなく、複数の機能を組み合わせることで、より強固なセキュリティ体制を敷けます。
ここからは、ビジネスチャットツールの代表的なセキュリティ機能や、期待できることをご紹介します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
IPアドレス制限
IPアドレス制限機能とは、登録されたIPアドレス以外からのインターネット回線へのアクセスを制限する機能です。IPアドレスとは、インターネットに接続している端末に割り振られる番号です。
IPアドレス制限により、未登録の端末からのアクセスが阻害されるため、不正な第三者によるログインをブロックできます。シャドーITによる情報漏洩の防止のうえでもメリットがあります。
端末認証
端末認証機能とは、ビジネスチャットにログインできる端末をあらかじめ認証しておく機能です。認証されていない端末からのアクセスは不可能なため、第三者やシャドーITによるログインをブロックできます。
また、端末認証機能では、認証を自由に取り外すことが可能です。認証端末の紛失・盗難の際にも、該当の端末からのアクセスを即座にブロックできるため、第三者のなりすましを防げます。
なお、認証を解除した端末を再度認証することも可能です。たとえば、紛失した端末が手元に戻ってきた場合は、再度認証することで、ビジネスチャットにログインできるようになります。
ログ監査機能
ログ監査機能とは、この権限を持つ管理者が、ビジネスチャットへのアクセス履歴や各端末の操作履歴を監査できる機能です。
「いつ」「誰が」「どのような」操作を行ったかを一目で把握できるため、情報漏洩や不正アクセスが発覚した際にも、迅速な原因究明が可能になります。
また、ログ監査機能があることで、従業員側のセキュリティ意識が自然と高まる効果に期待できます。たとえば、故意の情報漏洩のほか、誤送信の抑止に役立つでしょう。
通信暗号化
通信暗号化機能とは、端末・通信経路・サーバの3段階で、通信データを暗号化する機能です。第三者が通信内容を盗み見たとしても、データは暗号化されているため、内容を解読することは不可能です。これにより、重大な情報を安全にやりとりできるようになります。
暗号化通信は、サイバー攻撃やハッキング対策として有効です。また、端末の盗難・紛失による情報漏洩の防止も期待できます。
2段階認証
2段階認証機能とは、2段階の認証をクリアしなければ、ビジネスチャットにログインできない機能です。たとえば、IDとパスワードによるログイン後、ワンタイムパスワードを発行するケースが代表的です。
2段階認証でログインするには、当然ながら全ての認証方法を把握しておく必要があります。一般的に、第三者が全ての認証情報を知るのは難しいため、不正ログインのリスクを低減できます。
データのバックアップ
データのバックアップ機能とは、ビジネスチャット内のメッセージやファイルのバックアップを自動で行う機能です。この機能により、万が一チャットのデータが消失した場合でも、迅速な復旧が可能になります。
チャット内のデータの消失は、誤操作・災害・サイバー攻撃などの様々な要因で起こります。いずれも突発的に起こることが殆どであり、バックアップ機能を備えたチャットツールを導入することで、重要なデータを安全に保管できます。
ビジネスチャットの操作性も重要なポイント
ビジネスチャットを選ぶ際には、上記のような対策機能の有無を確認することが重要ですが、ツールの操作性も確認すべきです。使いづらいツールは誤操作を招き、メッセージの送信先を間違えるリスクが高まります。
操作性を確かめるには、無料トライアルを活用するのがおすすめです。本格的に導入する前に、直感的でわかりやすい操作性か・誰でも間違えずに使いこなせるかを確認しましょう。
ビジネスチャット導入時に社内でできるセキュリティ対策
これまで述べてきたように、ビジネスチャットのセキュリティリスクは皆無ではないため、導入時は社内でも対策が必要です。ここからは、ビジネスチャット導入時に社内でできるセキュリティ対策をご紹介していきます。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
ビジネスチャット導入時に社内でできるセキュリティ対策
オンプレミス型を選ぶ
ビジネスチャットの導入形態には、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。このうち、より安全性が高いのはオンプレミス型です。
オンプレミス型は、自社内のサーバーにソフトウェアをインストールして利用する形態です。オフライン環境で運用できるため、インターネット接続が必須のクラウド型に比べて、外部からの脅威のリスクが低いというメリットがあります。
一方、オンプレミス型のビジネスチャットは、自社内でITインフラ整備から運用・保守を一貫して行わなければなりません。そのため、クラウド型に比べて導入・運用にかかるコストや手間が莫大になりやすい点に注意が必要です。
ツールの選定の際は、セキュリティ性能とコストを比較する必要があるでしょう。
特徴 | |
---|---|
オンプレミス型 | 自社内のサーバーにソフトウェアをインストールして利用する |
クラウド型 | インターネット上のサーバーにアクセスして利用する |
強固なパスワードを設定する
ビジネスチャットを導入する際は、従業員一人ひとりが強固なID・パスワードの設定を行いましょう。次のような要素を満たしたID・パスワードがおすすめです。
- 文字列が長い(8~15文字)
- 大文字・小文字・数字・記号など複数の文字を含む
上記のような複雑なID・パスワードは、他者からの予測が難しく、乗っ取りやなりすましの防止が期待できます。また、総当たりのサイバー攻撃を受けた際でも、パスワードを破られにくい傾向があります。
安全な通知方法を設定する
ビジネスチャットには、メッセージが届いた際に画面上で通知する機能があります。設定によっては、ツールを開かずに本文の内容の一部がすぐに確認できて便利です。しかしこのような設定では、第三者に見られることもあります。
そのため、通知には本文を表示させないようにする設定がおすすめです。社外で使用している場合は特に、覗き見による情報漏洩のリスクが高まるため、受信者本人しかメッセージを確認できないよう対策しましょう。
ビジネスチャット使用時のルールを定める
ビジネスチャット使用時のルールを定め、それを従業員全員が徹底することが重要です。たとえば、ウイルス感染防止対策として、添付ファイルは開く前に必ずスキャンするなどのルールを決めましょう。
また、シャドーITによる情報漏洩を防ぐために、業務への個人所有のITツールの利用を禁止するのも有効です。自社が抱えているセキュリティ上の問題を洗い出すことで、定めるべきルールが見えてくるでしょう。
セキュリティに関する研修を行う
組織全体でセキュリティ研修に取り組むのも、セキュリティ対策として有効です。セキュリティトラブルは、誤送信などの些細な人的ミスから発展するケースも少なくないためです。
このような人的ミスを防ぐには、各従業員がセキュリティ対策の重要性を理解し、責任を持ってビジネスチャットツールを扱う姿勢を養うことが重要です。
組織全体でセキュリティリテラシーを高めるためにも、セキュリティ関連のセミナーや研修を積極的に開きましょう。
まとめ
ビジネスチャットは、社内外の相手とチャット形式でメッセージをやりとりできるツールです。ビジネスの場面での運用に特化しており、メールや一般的なチャットツールに比べて、高いセキュリティ性能が期待できます。
ただし、ビジネスチャットであってもセキュリティリスクはゼロではありません。代表的なリスクには、アカウントの乗っ取りやなりすまし・ウイルス感染・誤送信やシャドーITによる情報漏洩があります。
これらのセキュリティリスクを低減するには、IPアドレス制限や端末認証機能などのセキュリティ機能を備えたチャットツールの導入がおすすめです。併せて、強固なパスワードの設定・ビジネスチャット使用時のルールの策定などの対策も行いましょう。
ビジネスチャットツールは、社内のコミュニケーションの活発化や業務の効率化などの様々なメリットが期待できます。万全のセキュリティ対策を行い、ビジネスチャットを安全に運用しましょう。
この記事に興味を持った方におすすめ