MDMの必要性とは?社会背景や導入目的を交えてわかりやすく解説

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  • MDMとは、従業員のモバイルデバイスを企業が管理・制御するための仕組み
  • 個人所有デバイスの増加やテレワークの普及などにより、MDMの必要性が高まっている
  • MDMツールの導入により、管理負担の軽減やリスクマネジメントの強化を実現できる

MDMとは、従業員が使うモバイルデバイスを企業が管理・制御するための仕組みです。デジタル化による個人所有デバイスの増加やテレワークの普及などによって、その必要性は高まっています。この記事では、MDMの必要性や導入目的についてわかりやすく解説します。

目次

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  1. そもそもMDMとは
  2. MDMの必要性が高まっている背景
  3. MDMはあらゆる業種・業界で必要
  4. MDMサービス・ツールでできること
  5. MDMツールを導入する目的とメリット
  6. MDMツールを導入する際の注意点
  7. MDMサービス・ツールを選ぶ際のポイント
  8. MDM導入で失敗しないためのポイント
  9. まとめ

そもそもMDMとは

MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)とは、従業員が業務に利用するiPhone・iPad・Androidなどのモバイルデバイスを管理・制御する仕組みのことです。

企業のデジタル化が進み、今やパソコンだけでなくスマホやタブレットを業務に利用する企業も増えています。モバイル端末であれば、会社内だけでなく会社外でも業務を行うことができます。

しかし、モバイル端末の業務利用には、情報漏えいや不正アクセスなど、さまざまな業務上のリスクが伴います。それらのリスクから企業を守るのがMDMであり、モバイル端末の一括管理によってセキュリティ対策の強化を実現します

MDMとは?メリット・デメリット、機能などをわかりやすく解説

MDMとは、スマホやタブレットなどのモバイル端末を一元管理・運用できるソフトウェアです。合わせてセキュリティの維持・強化もでき、情報漏洩の防止にも役立ちます。本記事では、MDMのメリット・デメリットや機能、選び方を解説しています。

MDMの必要性が高まっている背景

デジタル化が推進されている企業の中で、MDMの重要性が叫ばれています。その背景には、個人のデバイスで業務を進める機会が多くなったことや、働き方改革によるテレワークの普及などがあります。ここでは、そのような背景について詳しく解説していきます。

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個人所有のデバイスの増加

各企業では徐々にDX化が進み、データを管理して有効利用するためのシステムの導入が増えています。データ活用を進めるため、出先からモバイル端末でアクセスできる業務システムを導入している企業も多いです。

そのため、社員に業務用のモバイル端末を支給している会社や、私物のモバイル端末を業務に利用する「BYOD」を進める会社が年々増加しています。しかし、個人が自由に持ち歩けるデバイスには紛失や盗難のリスク、不適切な利用によるリスクが付きまといます。

業務に使うデバイスは企業のIT資産であり、デバイスに保存されるデータ情報資産です。これらの資産を適切に管理することが企業を守るための重要な業務であり、MDMの必要性を高めている理由と言えます。

テレワークの普及

府が推進する働き方改革に適合することから、積極的にテレワークを取り入れる企業が増えています。常態化しつつある人手不足を背景に企業の雇用形態も多様化し、新しい働き方が広がっています。また、感染症対策の一環としてテレワークを始めた企業も多くあります。

テレワークを実現するには、インターネット環境個人所有のデバイス不可欠です。しかし、社内に限ってPCなどを使うのに比べて、社外でインターネットを経由して社内情報を利用することはセキュリティ面でのリスクを高めます。

個人のデバイスやデバイスの社外利用は、イルス感染やそれによる情報漏えい、信頼できないWebサービスの無断利用などのリスクがあり、企業側はそれらを防止するために対策を講じる必要があります。その手段の1つがMDMです。

攻撃リスクの高まり

悪意ある第三者による攻撃は、IT化社会における大きな問題です。特に企業や組織はその攻撃対象になりやすく、サイバー攻撃によって機密情報などを盗み出そうとする事例が多くあります

メールでのやり取り、デバイス上での資料の閲覧など、情報を電子化すると業務を行いやすくなりますが、社員情報や顧客情報、取引情報といった機密情報に従業員が各デバイスからアクセスできる状況では、攻撃リスクも高まります。

攻撃者は、デバイスを経由して社内システムなどに入り込むことができてしまうため、攻撃の入口となるデバイスのセキュリティを強化することが重要になります

MDMはあらゆる業種・業界で必要

上記で触れたようなモバイルデバイス活用のニーズやそれに伴うセキュリティリスクは、業種・業界を問わずあらゆる企業・組織で共通するものです

例えば、小売店では発注や在庫管理、飲食店ではオーダーの処理のためにモバイルデバイスを利用するケースが増えています。スタッフのシフト管理などにモバイルアプリを使用している店舗も多いでしょう。

また、働き方の是正が喫緊の課題である運送業界や建設業界、さらには医療機関や教育機関でもモバイルデバイスを活用した取り組みが増えています。モバイルデバイスを活用している企業・組織では、取り扱う情報の内容を問わずMDMが必須と言えるでしょう

MDMサービス・ツールでできること

MDMを行うために必要となるのが、MDMサービスやMDMツールです。MDMサービスやツールは、さまざまな機能でモバイル端末の管理を実現します。

その一つがログ管理です。各デバイスの利用状況やデータを可視化して、ルールに沿った利用がされているかや異常が起きていないかを監視します。ログを取得することは、内部不正やトラブルの防止につながります。

また、管理者側からモバイル端末の遠隔操作もでき、端末紛失時に遠隔でロックをかけるといったことができます。ほかにも、業務用アプリの一括配布、端末の機能やアプリの利用制限、自社のセキュリティポリシーに基づいた端末の一括設定などを行えます。

MDMツールを導入する目的とメリット

MDMツールを導入することで、企業はMDMを適切に行うことができます。主な導入目的や導入メリットには、管理負担の軽減やリスクマネジメントの強化などを含む下記の3点があげられます。

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管理負担の軽減

企業において、数の増えてきたモバイル端末の管理は手間のかかる業務です。その負担軽減を図るのがMDMツール導入の目的となります。

たとえば、業務用アプリのインストールやセキュリティ設定などを手作業で行うには、相当な手間がかかります。MDMツールでは、それらの面倒な作業の一元的な実行が可能です。業務内容によって利用するアプリが異なる場合でも、グループ設定により問題なく管理できます。

また、各端末の利用状況についてのさまざまな情報自動取得きるなど、大幅な管理負担の軽減が図れます。

リスクマネジメントの強化

モバイル端末を社外で利用する場合、紛失や盗難・サイバー攻撃などのリスクがあります。特に個人所有のモバイル端末の利用には大きなリスクがあり、リスクマネジメントの強化が必要です。

MDMツールでは、遠隔操作での端末ロックやデータ消去などで、端末の紛失や盗難による情報漏えいリスクの低減が可能です。また、すべてのモバイル端末に同じ強度のセキュリティ対策を施せるなど、さまざまな面からのリスクマネジメントの強化が図れます。

セキュリティポリシーの遵守

各企業はセキュリティポリシーにより、セキュリティ対策の方針やルールを示し、社内のパソコン類を管理しています。しかし、社外に持ち出すモバイル端末でセキュリティポリシーを遵守することには難しい面もあります。

MDMツールを活用すれば、社外で使う端末に対しても効果的な対策を施せます。たとえば、MDMツールにより、デバイスの私的利用や会社側が許可していないアプリのインストールを制限するなど、企業のセキュリティポリシーから外れた行為を抑制できます。

特に社外から社内のデータにアクセスする機会が多い端末はトラブルが発生しやすいので、MDMツールを用いてセキュリティポリシーを遵守した管理をすることが、会社の情報資産を守る有効な手段となります。

MDMツールを導入する際の注意点

MDMツールは、企業におけるデバイス管理の効率化やリスクマネジメントの強化に効果的です。しかし、MDMツールを導入する際にはいくつかの注意点もあります。

MDMツールによる端末の利用制限で私的利用の防止を行うことは企業にとって有用ですが、機能制限を強化しすぎたりログインや認証方法を複雑にしすぎたりすると、モバイル端末が使いづらくなり、業務効率を低下させる恐れもあります。

また、MDMツールの導入には、多くの時間とコストが必要です。ツールの利用料金や設定の手間がかかるのはもちろん、社員全体へのセキュリティポリシーや運用ルールの周知などが求められます。

管理する台数が少ない場合には、ツールを利用しない方がかえってスムーズで、費用対効果が高い場合もあるでしょう。MDMツールの導入を検討する際は、自社の状況を把握し、必要最低限の機能制限や適切な準備が必要です。

MDMサービス・ツールを選ぶ際のポイント

現在では、多くのベンダーからさまざまなMDMサービスやツールが提供されています。その中から自社に適合した製品を選ぶには、下記の4つのポイントに注意して選択するのがおすすめです。

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自社の要件に合った機能・仕様か

一口にMDMサービス・ツールと言っても、その機能や仕様は様々です。まず確認すべきことは、自社の要件に合った機能搭載されているかです。製品によって、搭載されている機能が異なるため注意が必要です。

BYOD運用のための機能は必要か、どのような端末データを把握したいか、どのような情報漏えい対策機能が必要かなど、自社に必要な機能をあらかじめ明確にし製品選択をすることが求められます。

また、選定時の検討事項の1つに、導入形態があります。MDMツールの導入形態は主に、自社のサーバー上で運用する「オンプレミス型」と、ツールを提供するベンダーのサーバーへインターネットを介してアクセスする「クラウド型」に分かれます。

オンプレミス型は、初期費用は高額ですが、自社の要件に合わせた柔軟なカスタマイズを行えます。一方でクラウド型は、コストを抑えて導入できますが、カスタマイズには不向きです。自社のニーズを踏まえて適切な選択をする必要があります。

対応するデバイス・OSの種類

MDMツールの導入には、ツールが対応しているデバイスやOSの種類にも注意が必要です。多くのMDMツールでは、スマートフォンなどに使われているiOSとAndroidに対応しています。

しかし、タブレットや家庭用パソコンまで管理する場合は、WindowsやMacOSまでサポートするマルチプラットフォームのMDMを選択する必要があります。また、OSの種類だけでなく、OSのバージョンごとの対応も確認しておきましょう。

導入コストの妥当性

MDMツールを自社のサーバーにインストールして構築するオンプレミス型の導入は、初期費用が高額になります。また、自社でシステム運用をする必要があるため、メンテナンス費用の予算化も必要です。

ベンダーのサーバーを利用するクラウド型は、初期費用が数万円程度で抑えられますが、月々の利用料がかかります。ただし、メンテナンスは自社ではなくベンダーが行うため、そのための手間や費用はかかりません。

クラウド型の月々の利用料は、製品や利用する機能によって異なりますが、モバイル端末1台当たりおおよそ200〜400円程度です。費用対効果を算出して、機能とコストのバランスの取れた導入方法を検討しましょう。

サポート体制の充実度

MDMツールを導入する際は、サポート体制の充実度も重要なポイントです。特に、初めてMDMツールを活用する場合には、導入手順や適切なプランの選択、操作性、トラブル発生時の対応などに不安を感じる場合もあるでしょう。

そのような場合にも、手厚いサポートが用意されていれば安心して導入できます。具体的には、モバイル端末のアップデートが起こった際や紛失時などのトラブルへの対応、対応可能時間、FAQサイトの情報量、対応言語などを確認しておきましょう。

また、選定するMDMツールによっては、サポート体制がない場合やプラン料金に含まれていない場合もあるため、注意が必要です。

MDM導入で失敗しないためのポイント

MDMツールを導入しても、思ったほどの効果が上がらない場合があります。そのような事態に陥らないためにも、下記の3つのポイントを押さえた導入がおすすめです。

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事前に管理する範囲を明確にしておく

MDMツールを導入しても効果が上がらない原因の1つに、モバイル端末を制限し過ぎて使いづらくなってしまったということがあげられます。それを防止するために、事前に管理する範囲を明確にしておくことが大切です。

たとえば、管理する端末の範囲やキャリア通信、Wi-Fi通信接続条件の範囲などを事前に明確にしておきましょう。その際は、使い勝手をどこまで犠牲にするかがポイントです。

特に個人端末の行き過ぎた制限は、端末を利用されなくなる大きな原因となります。モバイル端末が利用されなくなることは業務の遂行にも悪影響を及ぼし、収益の損失にもつながります。

従業員への教育も行う

MDMツールを導入すると、モバイル端末利用の自由度の低下は避けられません。そのことを従業員が事前に理解することが大切です。そのため、従業員にMDM導入の目的を具体的に示し、従業員自身のセキュリティ意識を高めるような教育が求められます。

それにより、従業員は利用制限の必要性を理解し、ある程度の自由度の低下を受け入れられるようになります。また、モバイル端末の制限を少しでも減らせるように、端末に業務データを残さないデータ運用の仕組みも必要です。

無料トライアルを積極的に活用する

MDMツールを提供するベンダーの中には、無料のトライアル期間やデモを提供している場合もあります。そのような機会を導入前に積極的に利用して、ツールの使いやすさと機能の効果などを確認するのがおすすめです。

自社に見合うMDMツールをいくつか絞り込んだら、無料トライアルを申し込んで自社にマッチしているかを確認し、最適な選択ができるようにしましょう。

MDMとは?メリット・デメリット、機能などをわかりやすく解説

MDMとは、スマホやタブレットなどのモバイル端末を一元管理・運用できるソフトウェアです。合わせてセキュリティの維持・強化もでき、情報漏洩の防止にも役立ちます。本記事では、MDMのメリット・デメリットや機能、選び方を解説しています。

まとめ

MDMとは、従業員が使うモバイルデバイスを企業が管理・制御するための仕組みです。デジタル化による個人所有デバイスの増加やテレワークの普及などを背景として、その必要性は年々高まっています。

MDMの目的は、モバイル端末管理の負担軽減やリスクマネジメント強化、セキュリティポリシー遵守などです。業種や業界を問わず、モバイルデバイスを活用しているあらゆる企業・組織でMDMツールの導入が推奨されます。

自社ではどのような管理が必要なのかを改めて確認し、ニーズにマッチしたMDMツールの導入を行いましょう。

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