モバイルデバイス管理(MDM)にかかる費用|料金体系や価格相場を解説

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- 一般的に、モバイルデバイス管理(MDM)ツールには初期費用と月額費用がかかる
- 対応デバイス・OSの種類や機能によって複数の料金プランに分かれるMDMツールが多い
- MDMツールを選ぶ際は無料トライアルなどを活用し、価格以外も確認することが重要
モバイルデバイス管理(MDM)を行うには、MDMツールの導入が必要です。しかし、ツール導入には費用がかかるため、慎重な検討が求められます。この記事では、MDMツールの料金体系や価格相場について、注意点なども交えてわかりやすく解説します。
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モバイルデバイス管理(MDM)ツールには費用がかかる

モバイルデバイス管理ツールとは、業務用に支給されている従業員のiPhoneやAndroidなどのスマホ・タブレットといったモバイル端末を一元管理するツールです。「MDMツール」とも呼ばれます。
MDMとは英語の「Mobile Device Management」の頭文字をとったもので、企業側が従業員のモバイル端末を制御することでセキュリティを強固にする施策の総称です。
MDMツールの導入によって盗難・紛失対策や不正利用の防止を実現し、企業のセキュリティポリシーに沿った管理ができますが、一方でツールの導入には初期費用・ランニングコストなどの諸経費がかかります。
MDMツールは長期間の運用を前提とするため、費用は特に重要なツールの選定基準です。本記事では、MDMツールの価格相場や、コストを下げるためのポイントなどをご紹介していきます。

MDMとは?メリット・デメリット、機能などをわかりやすく解説
MDMとは、スマホやタブレットなどのモバイル端末を一元管理・運用できるソフトウェアです。合わせてセキュリティの維持・強化もでき、情報漏洩の防止にも役立ちます。本記事では、MDMのメリット・デメリットや機能、選び方を解説しています。
MDMツールの料金体系と価格相場

MDMツールには、初期費用や月額費用などのコストがかかります。また、製品によっては複数の料金プランや有料オプションが用意されています。ツール選定の際は、複数のツールの価格比較と自社の予算とのバランスを見ることが大切です。
ここでは、MDMツールの一般的な料金体系と価格相場をご紹介します。
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MDMツールの料金体系と価格相場
初期費用と月額費用
MDMツール導入には、主に初期費用と月額費用の2種類のコストが発生します。初期費用の内訳としては、入会金・導入サポート料金・アカウント登録料などが代表的です。製品によっては、初期費用が無料のものもあります。
一方で月額費用は、いわゆる「システム利用料金」にあたります。月額費用には、端末台数ごとに料金が発生する「月額従量制」が採用されていることが一般的です。ただし、月々一律の利用料金が発生する「月額固定制」のMDMツールもあります。
それぞれの費用の相場は次のようになっています。
初期費用の相場 | 月額費用の相場 |
---|---|
0円~50,000円 | (1端末あたり)150円~2,000円 |
料金プラン
MDMツールサービスの中には、複数の料金プランが用意されているものもあります。各プランによって、次のような項目で差が出るため、自社の要件に合ったプランを選択しましょう。
デバイスやOSの種類
MDMツールで管理するデバイス・OSの種類によって、料金プランが変動します。たとえば、低料金のMDMツールの場合、 iOSとAndroidにのみに対応したスマートフォン専用のものが多いです。
一方で、やや高額なプランは、上記に加えてWindows・Macにも対応しており、パソコンも管理できます。ただし、具体的な料金や対応可能デバイス・OSは、製品や提供会社によって異なるため、確認が必要です。
デバイスやユーザーの数
月額固定制が採用されているプランの場合、管理できるデバイス数・ユーザー数によって料金が変動することが多いです。たとえば無料プランは5名まで、有料プランは30名までのような設定がされています。
管理すべきデバイスやユーザー数が多いほど、複雑なセキュリティ機能や権限管理機能が求められるため、料金が高額になりやすい傾向にあります。
管理機能の範囲
管理機能の範囲によって、料金プランが細分化されている場合もあります。MDMツールの管理機能とは、たとえばコンテンツや利用可能なアプリケーションの設定、接続可能なインターネット回線の指定、遠隔操作による端末のロック機能などです。
一般的には、幅広い管理機能を備えた製品ほど、月額料金が高額になります。ツールを選定する際は、自社が求める管理機能を明確にし、料金と搭載機能が見合っているか検討することが大切です。
有料のオプションやサポート
MDMツールによっては、有料のオプション機能やサポートサービスが用意されています。オプション機能としては、ウイルス対策機能やWebフィルタリング機能などが代表的です。
一方、有料サポートサービスには、導入支援や活用方法のアドバイス、トラブル対応などが含まれます。これらの料金設定は、製品やプランによって異なりますが、次のような形態が一般的です。
- オプション機能:月額払い
- サポートサービス:都度払い/年額払い
MDMツールを導入する場合は、これらの費用も見積もっておく必要があります。
オンプレミス版は料金体系が異なる

MDMの多くはクラウド型ですが、中にはオンプレミス型の製品もあります。クラウド型とオンプレミス型では、料金体系が異なる点に留意しましょう。
一般的なオンプレミス型の料金体系は、「初期費用」と「ライセンス費用」の2種類からなっており、クラウド型のような「月額費用」は発生しません。
また、オンプレミス型の場合ツール導入にあたってIT環境を自社で整備しなければならないため、クラウド型に比べて初期費用が高額になりやすい点にも留意が必要です。
クラウド型とオンプレミス型の違い
クラウド型とオンプレミス型の違いは、サービスの利用時にインターネットを経由するかどうかです。
クラウド型は、インターネット上に設置されたシステムにアクセスして利用する形態です。そのため、サービスの利用には通信環境が必須となります。
一方、オンプレミス型は、自社サーバーにソフトウェアをインストールして利用する形態のため、サービスはオフラインでも利用可能です。
クラウド型 | オンプレミス型 | |
---|---|---|
利用形態 | インターネットに接続して サービスを利用する | 自社サーバー経由で サービスを利用する |
特徴 | ・初期費用が比較的安い ・ランニングコストがかかる ・通信環境が必須 ・運用・保守は提供会社が行う | ・初期費用が高額になりやすい ・ランニングコストが比較的安い ・オフラインでも利用できる ・運用・保守は自社で行う |
無料のMDMツールの注意点

MDMツールの中には、無料プランが用意されているものや、ライセンス料がかからないオープンソースのMDMツールも存在します。ただし、無料のMDMツールには注意点があるため、十分な理解が必要です。
まず、無料プランのMDMツールは、有料ツールに比べて機能数や管理できる端末の台数が少ないことが一般的です。
また、オープンソースのMDMツールは原則として永続的に無料で利用可能ですが、システムの実装・運用を自社で行う必要があり、この作業には多くの時間・手間がかかるほか、専門的な人材の確保が必要になります。
さらにオープンソースでは、MDMツール運用の証明書としてMDM用のPush証明書などの取得が必要で、この手間や手数料がかかる点にも留意しておきましょう。これらの注意点を考慮すると、利便性やスムーズな運用を重視する企業には有料プランがおすすめです。
MDMツールのコストを最適化するためのポイント

ここまで、MDMツールの価格相場や料金体系について解説してきましたが、ニーズを満たしながらもなるべく安く導入したいというのが企業の本音でしょう。ここでは、MDMツールのコストを最適化するためのポイントを2つ解説します。
無料トライアルを活用する
有料のMDMツールの中には、30日~60日程度の無料トライアルが可能なものがあります。無料の利用期間に制限はあるものの、利用することで様々なメリットが期待できます。
たとえば、トライアルの実施により、ツールの操作性や自社との相性などを確認可能です。複数の候補がある場合は、それぞれを試験的に運用することでより費用対効果の高いツールを選ぶことができます。
万が一、ツールが自社に合わないと感じる場合も本契約前に断れるため、費用面での損失を最小限に抑えられます。ツールによっては最低契約期間が設けられている場合もありますが、合わないツールを使い続けなければならない事態も防げるでしょう。
管理する端末の台数を見直す
コストを抑える上で、管理する端末の台数の見直しや削減を行うことは、最も効果的な方法です。MDMツールの料金形態として一般的な月額従量制では、端末の台数に応じて一台ごとに一定の月額費用がかかるため、台数を減らせばその分コストを削減できます。
そのため、MDMツールの導入前に社内の端末の使用状況を確認しておきましょう。具体的には、複数の端末を所持している社員がいないか、使用されていない端末がないか、などを確認します。
中には最低契約台数が決められているツールやプランもあるため、管理台数の確認は自社がそのツールの対象規模に適しているかを判断する基準にもなります。
MDMツールを選ぶ際は価格以外の要件も明確に

MDMツールは長期的な運用が前提であることから、費用面は特に重要なポイントです。ただし、価格のみに注目して安いツールを導入すると、機能不足などにより期待していたような効果が出ない恐れもあります。
MDMツールには非常に多くの機能があり、ツールごとに搭載機能や機能ごとの精度は異なります。そのためMDMツールを導入する際は、以下のような準備をして価格以外の要件も明確にしておくことが重要です。
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MDMツールを選ぶ際は価格以外の要件も明確に
ツールの導入目的を確認する
MDMはデバイスの一括管理によりセキュリティの強化を目的としていますが、具体的にどのような管理を行いたいかは企業の状況・ニーズによって変わってきます。たとえば、以下のような導入目的が考えられます。
- BYOD(私物の端末を業務に利用)を実現させたい
- リモートワーク時の管理を行いたい
- 端末の紛失や盗難の対策を重視したい
- 利用状況の把握や利用制限を重視したい
自社の導入目的を明確にすることで必要な機能を絞り込むことができ、自社にとって過不足のないツールを選定することができます。
MDM・MAM・MCMの違いも理解しておく
MDMと混同しやすいものとして、「MAM」や「MCM」というものもあります。機能が異なるので、それぞれがカバーできる領域をきちんと把握しておくと良いでしょう。
名称 | 特徴 |
---|---|
MDM (Mobile Device Management) | ・デバイスそのものの設定や管理を企業側で 行うことができる ・従業員に貸与する社用デバイスに使われる |
MAM (Mobile Application Management) | ・デバイス内の業務用アプリの領域のみ管理できる ・私的なデバイスを業務にも利用する「BYOD」で有用 |
MCM (Mobile Contents Management) | ・資料のデータなど業務で使用する コンテンツを管理する ・私的なデバイスを業務にも利用する「BYOD」で有用 |
MDMツールの中にも、MAMやMCMの機能の一部を搭載したものがあります。また、MDM・MAM・MCMすべての機能を網羅した「EMM(Enterprise Mobility Management)ツール」と呼ばれるものもありますので、必要に応じてチェックしておきましょう。
セキュリティポリシーを確認する
自社のセキュリティポリシーを明確にしておくことも重要です。同じような機能が搭載されていても、どのくらいのレベルの制御・防御やデータ収集ができるかなど、機能の詳細はツールによって異なるためです。
セキュリティポリシーを満たしているツールでないと十分なセキュリティ強化が実現しないため、ツールを選定する際はポリシーと照らし合わせながらの機能の確認が必要となります。

おすすめのMDM4選|選び方のポイント、導入時の注意点も解説
MDMとは、業務用のスマホ・タブレット・PCといった端末を一元管理するためのツールです。多くの企業で導入されていますが、製品によってその機能はさまざまです。この記事では、おすすめのMDMや選び方のポイント、導入時の注意点などを解説します。
IT機器全般を管理したい場合

MDM、およびMAM・MCMは、モバイルデバイスを対象としていますが、企業によってはモバイルデバイスのみならずデスクトップPCやサーバーなど、より幅広いIT機器の管理が必要になる場合もあるでしょう。
そうした場合は、「IT資産管理ツール」というツールを使うのがおすすめです。IT資産管理ツールでは、PCやスマホなどのデバイス、そしてデバイスにインストールしたOSやソフトウェア、SaaSの管理まで行うことができます。

IT資産管理ツールとは?主な機能や導入時の比較ポイントも解説
IT資産管理ツールは、企業内のパソコンや周辺機器などのハードウェアやソフトウェアといったIT関連の資産を管理するツールです。この記事では、IT資産管理ツールで管理する対象やその機能、導入のメリット・デメリットや比較のポイントなどについて詳しく解説します。
まとめ

MDMツールは、従業員が保有するモバイル端末を一括管理するためのツールです。一般的なMDMツールの利用には、「初期費用」と「月額費用」の2種類のコストが発生します。
また、MDMツールは、ツールやプランによって利用できるデバイス・OSやユーザー数、管理機能の範囲が異なり、これに応じて料金が変動する点に留意しましょう。さらに、オプション機能やサポートサービスなどの料金が別途発生することもあります。
コストを最適化するためには、無料トライアルで操作性や自社との相性などを確認し、管理する端末数を見直すことが重要です。また、価格だけでなく、自社の導入目的やセキュリティポリシーに合っているかを確認することも費用対効果を高めるポイントです。
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