エクセルは文書管理システムとして使える?専用のシステムについても解説

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  • 多くの企業で使われている表計算ソフトのエクセルは、文書管理システムとしても使える
  • エクセルで文書管理を行う際は、マクロやハイパーリンクを活用すると効率的になる
  • エクセルでの文書管理には、安全性や検索性が低い、管理に手間がかかるなど課題もある

表計算ソフトとして多くの企業で使われているエクセルですが、文書管理システムとしても活用可能です。しかし、検索性や安全性が低いなど、限界もあります。この記事では、そのような限界についても触れながら、エクセルを使った文書管理について解説します。

目次

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  1. エクセルは文書管理システムとして使えるのか
  2. エクセルを使った文書管理システムの上手な作り方
  3. エクセルでの文書管理には限界がある
  4. 専用の文書管理システムでミスの少ない効率的な管理を
  5. まとめ

エクセルは文書管理システムとして使えるのか

エクセル(Excel)は、データの集計や分析、グラフ作成などができる表計算ソフトです。エクセルはビジネスシーンでは、必ずと言っていいほど活用されており、見積書や請求書など、取引に必要な書類の作成にも役立ちます。

多くの企業で社内文書の電子化が進んでいますが、電子データの管理を行うためには、文書管理も必要です。文書管理を行う際は、エクセルを文書管理システムとして活用することもできます。

エクセルを使った文書管理・書類管理は、テンプレートを活用したり、文書管理台帳のフォーマットを自作したりする方法で行います。以下で具体的に解説します。

テンプレートを活用する

エクセルを文書管理システムとして使うためには、さまざまな文書を一元化するための管理台帳が必要です。台帳は自作で作成もできますが、インターネット上には、文書管理台帳のエクセルテンプレートが多く存在します。

テンプレートを活用すれば、効率的に文書管理台帳を作成可能です。自社の状況に合わせて、項目を追加したり削除したりでき、管理しやすいようにカスタマイズできます。

文書管理台帳のフォーマットを自作する

文書管理台帳のフォーマットを自作する場合、台帳には以下のような項目が必要です。

  1. 業務分類
  2. 作成日
  3. 更新日
  4. 文署名
  5. 作成部署・作成者
  6. 保存期間
  7. 廃棄日
  8. 備考欄

エクセルで自作した文書管理台帳は、自由度が高く、自社で管理しやすいようにカスタマイズできるのがポイントです。エクセルの操作さえできれば、専門知識がなくても項目に沿って設計できるため、誰でも容易に作成できます。

エクセルを使った文書管理システムの上手な作り方

エクセルで文書管理を行う際は、いくつかのコツがあります。エクセルの機能を活かすことで、上手な文書管理台帳のフォーマットを作成可能です。以下でそのポイントを解説します。

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文書のカテゴリごとにシートを分ける

文書管理台帳は、文書のカテゴリごとにシートを分けると管理しやすくなります。文書を検索する際に、カテゴリ分けされていれば、目的の文書を探しやすくなるためです。よって、更新作業も効率化するため、記録漏れを回避できます。

また、シート分けする際は、どんなカテゴリを設定するかがポイントです。文書内容ごとや部署ごとなど、自社の使いやすいように設定しましょう。また、シートごとのアクセス制限も可能なため、機密性の高い書類などを含むシートのセキュリティを保護できます。

マクロやハイパーリンクを活用する

エクセルの機能を活かした文書管理台帳の作成方法には、マクロやハイパーリンクを活用する方法があります。これらの機能により、自動転記やページ移動など、より機能性の高い文書管理が可能です

マクロとは、処理を自動化するための機能であり、マクロの記録を有効にすれば、エクセルで行った操作がマクロとして記録されます。これにより、記録されたマクロを実行するだけで、処理の自動化が可能です。文書管理の際も自動転記のマクロ記録を活用できます。

また、ハイパーリンクとは、文字や画像に参照先のURLを設定し、クリックすれば目的のページを呼び出せる機能です。文書管理台帳においては、管理する文書ファイル名にハイパーリンクをかけることで、クリックするだけで呼び出せるため、非常に便利です。

バージョン管理方法を工夫する

そもそもバージョン管理とは、ファイルの変更・更新履歴を記録して管理することです。これにより、ファイルの新旧を適切に区別でき、誤って古い情報を参照したことによるミスなどを防げます。

エクセルでは、ファイル名にバージョン番号や日付を含めることでバージョン管理が可能です。また、エクセルは、変更履歴を一定期間保持する機能が備わっており、活用することで、編集者や更新日時の追跡も行えます。

エクセルでの文書管理には限界がある

エクセルでの文書管理は、コストをかけずに気軽に実施できる一方で、限界があると言われています。メンテナンス面や検索しにくさなど、文書の量が増えるほどに課題も多くなります。ここでは、エクセルでの文書管理の限界について解説します。

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メンテナンスに手間がかかる

エクセルでの文書管理は、メンテナンスに時間がかかるのがデメリットです。ファイル同士の同期が難しく、更新事項があった場合は、関連するファイルを1つずつ更新していく必要があります。

また、変更履歴が増えると、その分項目も増えるため、セルのレイアウトにもバラつきが出たり、見た目が悪くなったりします。作業に時間と手間がかかることから、メンテナンスが煩雑になりがちです。

文書の検索性が低い

エクセルでの文書管理は、文書の検索性の低さがデメリットです。エクセルは、複数のファイルをまたいだ検索ができないため、対象ファイルを1つずつ検索しなければなりません。ファイルやシートが複数存在する場合、文書検索に時間や手間がかかります。

また、ファイルの保存場所の変更などの理由で、ハイパーリンクのリンク切れが起きやすいのもデメリットです。リンク切れした場合、修正には1つずつリンクを付け直すしかないため、煩雑になり、そのまま放置されて活用できなくなるケースも少なくありません。

人為的ミスが発生しやすい

エクセルでの文書管理は、マクロなどを使って一部の作業を自動化できますが、手入力しなければならない作業が多いです。そのため、人為的ミスが起きやすいといったリスクが発生します。

データの記載漏れや更新忘れのほかにも、マクロやハイパーリンクが無効になるなどのミスが挙げられます。これらのミスは、複数人で文書管理を行う場合や、文書が増えるほどに発生しやすくなるため、文書管理台帳の正確性が失われてしまう可能性があります。

安全性が低い

エクセルでの文書管理は、安全性が低いといったデメリットもあります。ファイルにアクセス制限をかけていなかったり、アクセスできるユーザーが多数存在したりすると、情報漏洩のリスクが高まります。

また、セキュリティ面以外でもファイルの扱いに関しての安全性が低い状態と言えます。手入力によって人為的ミスが発生しやすく、ファイルが誤編集されたり、削除されたりする可能性もあるためです。

管理が属人化しやすい

エクセルで作成した文書管理台帳は、管理が属人化しやすい傾向にあります。特に関数やマクロ、VBAなど専門的な機能を活用して作成した場合は、属人化しやすいです。この場合、使い方を知っている担当者が限られているため、属人化すると作業効率が低下します。

また、マクロなどの編集方法が本人にしかわからないといった問題が起こりやすく、担当者が退職や異動する際に、引き継ぎが困難になる可能性があります。引き継ぎが上手く行かなかった場合、正確に編集できなかったり、業務がストップしたりすることも懸念されます。

文書が増えるとファイルが重くなる

文書管理は、日々増え続けていく大量のファイルを管理しなければなりません。エクセルで文書管理を行う場合、大量の文書を管理しようとすると、ファイルが重くなり動作が遅くなるのもデメリットです。

また、1つのファイルを更新し続けていると、データ量が増え続けて容量が大きくなります。ファイルの肥大化により、ファイルを開くのに時間がかかったり、途中でフリーズしてしまったりなどで、作業効率が低下しストレスを感じる原因になります。

複数人での同時編集が難しい

エクセルを活用して複数人で同時編集することは可能ですが、その活用や管理には課題があります。特に、共有ブック機能は古いバージョン同士でブックを共有する機能であり、多くの機能が制限される点がデメリットです。

例えば、複数人が同時編集した場合、更新・保存を行うまでは最新の編集が反映されないため、リアルタイムで共有できず、どれが真の最新バージョンかわからなくなったり、共有される前の古い情報が活用されてしまったりする可能性があります。

しかし、現在では改良が加えられており、Excel 2019 以降や Microsoft 365 に搭載されている共同編集では、このような制限なく同時編集が可能です。そのため、エクセルを活用して複数人で編集を行う際は、共同編集を活用できる環境を整えることをおすすめします。

参考:Excel のブック・ファイルの共有機能をマスター! 共有解除も解説|Microsoft

専用の文書管理システムでミスの少ない効率的な管理を

文書管理システムとは、文書を電子化し、管理・保管できる文書管理に特化したシステムです。ミスが少ない効率的な管理が行え、必要なときに必要な文書を時間をかけずに探し出せます。

社内に存在するさまざまな文書ファイルを一元管理することで、効率的な文書管理を実現するツールです。ここでは、文書管理に特化した文書管理システムのメリットについて、具体的に解説します。

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バージョン管理を容易にできる

文書管理システムには、文書ファイルの変更履歴を自動的に保存できるバージョン管理機能があります。更新頻度の高い文書にとって、非常に有効な機能です。エクセルで管理した場合、更新するたびに記録してバージョン管理する必要があり、ミスも起きやすくなります。

文書管理システムの活用により、常に最新版のファイルでの作業が可能です。また、ファイルは上書きされることなく古いバージョンも保存されるため、必要な場合には、古いバージョンも取り出せます。

文書を見つけやすくなる

文書管理システムは、検索性に優れているのが最大のメリットです。エクセルで文書管理を行った場合は、文書の検索性の低さが課題でした。文書管理システムなら、文書を登録する際、インデックスやタグを付与することにより、検索が容易になります。

また、ツールによっては完全一致検索だけでなく、曖昧な検索にも対応できるため、目的の文書に辿り着くまでに時間や手間がかかりません。加えて、ページ単位で検索ができるものなどもあるため、活用したい検索方法についても注目すべきです。

場所や時間を問わず使える

インターネットを介してシステムを利用するクラウド型の文書管理システムなら、インターネット環境さえあれば、場所や時間を問わずに使えるのがメリットです。リモートワークや出張先などからでも利用ができます。

また、ベンダーのサーバーで運用を行うため、自社でサーバーやハードウェアを準備する必要がなく、コストを抑えた導入ができます。よって、サーバーのメンテナンスや保守の必要もなく、システムのバージョンアップなども、ベンダーに任せられるのがメリットです。

セキュリティを強化できる

社内で扱う文書には、機密性の高いものも多く、情報漏洩のリスクには十分な備えが必要です。エクセルで文書管理を行う場合、セキュリティの甘さが課題とされていますが、文書管理システムなら高レベルなセキュリティ管理が行えます。

文書管理システムのセキュリティ対策は、ベンダーによって異なりますが、フォルダやファイルごとの暗号化や、ファイルへのアクセス制限、アクセスログ管理などの方法が取られています。また、出力した文書に対しても、透かし文字や日付を挿入するツールもあります。

申請・承認フローを効率化できる

文書管理システムには、申請・承認フローを効率化できるワークフロー管理機能が備わっているものもあります。社内での稟議が必要な文書をシステム上で管理することにより、業務が効率化します。

紙ベースで申請・承認を行った場合、回覧に時間がかかるケースが多い傾向にあります。文書管理システムの申請・承認フローを活用すれば、閲覧履歴やタスク状況が可視化されるため、稟議がスムーズになります。

文書管理システムとは?主な機能や導入の際の比較ポイントも解説

文書管理システムは、企業にある資料や文書をデジタル化し、効率良く管理するためのサービスです。この記事では、文書管理システムの主な機能、システム導入によるメリット・デメリットだけでなく、導入の際の比較ポイントなどについても詳しく解説していきます。

まとめ

表計算ソフトとして多くの企業で使われているエクセルは、文書管理システムとしても活用できます。エクセルなら、文書管理台帳をテンプレートや自作で簡単に作成でき、コストがかからず、また、誰でも操作しやすい手軽さがポイントです。

しかし、検索性や安全性の低さからエクセルでの文書管理には、限界があると言われています。社内には機密性の高い文書が多く存在します。そのため、効率的に安全な文書管理を行うなら、文書管理システムの導入がおすすめです。

文書管理システムは、ツールによってさまざまな機能が搭載されています。自社に合ったシステムを選定し、効率的に安全性の高い文書管理を行いましょう。

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