文書管理とは?目的や必要性、具体的な管理方法と注意点も解説

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  • 文書管理とは、企業のさまざまな情報が記載された文書を管理する業務のこと
  • 適切な文書管理は業務効率化に繋がるだけでなく、コンプライアンスの強化にも役立つ
  • 文書管理業務においては、保存期間のルール策定やセキュリティ対策が重要である

文書管理とは、企業のさまざまな情報が記載された文書を管理する業務のことです。適切な文書管理は業務効率化に繋がるだけでなく、コンプライアンスの強化にも役立ちます。この記事では、文書管理の目的や必要性、具体的な管理方法や注意点などを解説します。

目次

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  1. 文書管理とは
  2. 文書管理の必要性・目的
  3. 文書管理の方法
  4. 文書管理業務における注意点
  5. 文書は電子化して管理するのがおすすめ
  6. 文書管理システムで文書管理の手間を軽減
  7. まとめ

文書管理とは

文書管理とは、企業や組織における様々な情報が記載された文書を、効率的に管理する業務のことを指します。文書の作成、保管、検索、共有、更新、廃棄などが含まれ、デジタル化・紙ベースの文書の両方が対象です。

適切に文書管理を行うことで業務の効率化を促進し、情報への迅速なアクセスと活用が可能になります。また、セキュリティの確保やコンプライアンスの遵守にも不可欠であり、企業のリスク管理においても重要です。

文書管理の必要性・目的

文書管理は、日々の業務において生成される大量の文書や情報を適切に整理し、必要な時に迅速にアクセスできるようにします。これは、業務プロセスをスムーズにし、生産性を向上させるために不可欠です。

また、適切に文書管理を行うことは、コンプライアンスの強化にも繋がります。ここでは、このような文書管理の必要性・目的について詳しく解説します。

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業務を効率化させるため

文書管理は、業務の効率化を実現するために不可欠です。適切な文書管理により、文書の検索、共有、更新が容易に行えます。例えば、整理されていない文書の中から、必要な情報を取り出すためには、時間がかかる場合があります。

しかし、適切にカテゴリーを分類するなど、探しやすく保管することで、必要な文書を迅速に見つけ出せるため、文書の検索に費やす時間を大幅に削減できます。さらに、文書管理では、文書の整合性とセキュリティを保つための措置が重要です。

コンプライアンスを強化するため

コンプライアンスとは、企業が法律や規則、倫理基準などを遵守することを意味します。これを確実に行うためには、関連する文書や記録を適切に管理する必要があります。また、文書の改ざん防止などを行い、文書の透明性と信頼性を高めることも大切です。

例えば、監査や法的調査の際には、必要な文書を迅速かつ正確に提示しなければいけません。そのため、重要な契約書や法的文書、規制関連の記録などを適切に整理し、必要な時に迅速にアクセスできるようにする必要があります。

コスト削減のため

適切な文書管理により、不要な文書の整理や破棄が容易になり、保管に必要な物理的スペースや手間を削減できます。

特に紙ベースの文書は、大量になると相応の保管スペースを必要とします。しかし、適切に整理し、必要のないものを破棄することで、スペースの有効活用が可能です。また、文書管理を効率化することで、従業員が文書の検索や整理に費やす時間を削減できます。

時間は貴重なリソースであり、従業員が文書管理にかける時間を減らすことは、結果的に人件費の節約にもつながります。

顧客満足度向上のため

適切な文書管理により、必要な文書を素早く探し出せるようになれば、顧客からの問い合わせにスピーディーに対応できるため、顧客満足度の向上に繋がります。

また、スムーズな顧客情報の参照・把握が可能なため、よりその顧客のニーズにマッチした提案・応対ができ、サービス品質の向上も望めるでしょう。適切な文書管理は、顧客との信頼関係構築や長期的な取引の維持に貢献します。

情報漏洩を防ぐため

適切な文書管理により、企業の重要な機密情報や顧客の個人情報を適切に管理できるため、情報漏洩などのセキュリティリスクを予防できます。

万が一、情報漏洩が起こってしまった場合には、企業としての信頼を失い、取引中止や業績不振に陥る可能性があるばかりか、営業停止などの厳しい罰則を受ける恐れもあるため、セキュリティ対策は非常に重要な目的です。

文書管理の方法

文書管理を行う場合、まずは文書の適切な分類が必要です。分類することで、情報の検索性を高め、必要な文書を迅速に見つけ出すことが可能になります。

また、分類した文書はファイルやフォルダーを使用して整理し、ラベル付けやインデックスを作成しましょう。

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文書を適切に分類する

文書の適切な分類は、情報の整理と迅速なアクセスを可能にするためにも重要です。分類は、文書の種類、内容、使用頻度などに基づいて行います。

具体的な方法には、文書を特定のカテゴリーやサブカテゴリーに割り当てるワリツケ式や、文書を関連性のあるグループに積み上げるツミアゲ式があります。また、ワリツケ式とツミアゲ式の要素を組み合わせたハイブリッド式もあります。

それぞれの特徴を踏まえて、自社に合った分類方法を選択しましょう。

ワリツケ式

ワリツケ式は、文書を特定のカテゴリーやサブカテゴリーに割り当てる方法です。ボトムアップ方式であるツミアゲ式と異なり、ワリツケ式は、大分類から始めるトップダウン方式で分類していきます。

この方法のメリットとしては、文書の分類を直感的に理解し利用できる点です。例えば、最初に「社内向け」「それ以外」に分けて、財務関連の文書は「財務」カテゴリーに、人事関連の文書は「人事」カテゴリーに割り当てるなどが挙げられます。

しかし、文書が複数のカテゴリーにまたがる場合、どのカテゴリーに分類するか決定するのが難しい場合があります。また、量が増えると、文書の管理が複雑になる可能性もあるため、文書の種類が明確で、カテゴリー間の重複が少ない場合におすすめです。

ツミアゲ式

ツミアゲ式は、文書を階層的に積み上げる方法です。小分類から始め、中分類、大分類とボトムアップ方式で行います。文書が階層的に整理されるため、全体的な構造が明確である点がメリットです。

例えば、最初は「予算報告」や「財務分析」といったサブカテゴリーを作成し、「財務」という大きなカテゴリーにグループ分けします。この方法の場合、新しい文書やカテゴリーを追加する際にも既存の階層構造に従って整理することができ、管理が容易です。

しかし、階層が深くなりすぎると、目的の文書を見つけるのが難しくなることがあります。そのため、階層が複雑になりすぎないように注意しましょう。

ハイブリッド式

ハイブリッド式文書管理は、ワリツケ式とツミアゲ式の要素を組み合わせた方法です。文書を大まかなカテゴリーで分類した後、それぞれのカテゴリー内でさらに細かい階層やタグを用いて整理します。

例えば、ある文書が「財務」カテゴリーに属しつつ、同時に「年次報告」というタグで分類される場合、カテゴリーまたはタグを通じて目的の文書を探し出せます

ハイブリッド式の利点は、文書が複数のカテゴリーやタグにまたがる場合でも、柔軟に管理できる点です。組織内の様々な部門やプロジェクトに適用できます。しかし、カテゴリーやタグが過剰になると、逆に文書を見つけにくくなる可能性があります。

文書をファイリングする

分類した文書をそのままにしているだけでは、検索性が低下します。適切にファイリングすることで、必要な情報を素早く見つけることができ、業務の効率化に繋がります。

ファイリングの際には、文書の種類、アクセス頻度の高さ、保管場所のスペースなどを考慮する必要があります。また、文書の保管期間や廃棄ポリシーを明確にすることも重要です。

ファイリングの方法としては、主にバーチカルファイリング、バインダーファイリング、ボックスファイリングがあります。

バーチカルファイリング

バーチカルファイリングは、文書を垂直に立てて保管する方法です。文書を立てて保管することで、限られたオフィススペースを最大限に活用でき、多くの文書をコンパクトに収納できます。

また、ファイルの取り出しや戻す作業が簡単に行えるため、頻繁に使用する文書や迅速なアクセスが必要な文書の管理に適しています。しかし、文書が多くなるとファイルの取り出しが困難になることがあり、大量の文書管理や、文書の厚みが異なる場合は適しません

バインダーファイリング

バインダーファイリングは、文書をバインダーに挟んで管理する方法です。バインダーを使用することで、文書が折れ曲がったり汚れたりするのを防ぎ、長期間にわたって文書を綺麗な状態で保管できます。

また、索引やタブを付けることができるため、必要な文書を素早く見つけることが可能です。そのため、頻繁に更新が必要な文書や順序を保ちながら管理する必要がある文書に適しています。

しかし、バインダー自体が場所を取るため、保管スペースが限られている場合には不向きです。

ボックスファイリング

ボックスファイリングは、文書を専用のボックスに収納する方法です。文書をカテゴリー別やプロジェクト別などに分け、さらにフォルダーや仕切りを使って細かく分類することもできます。

そのため、文書を一目で見渡すことができ、探しやすく取り出しやすいです。また、ボックス自体を移動させることで、必要な文書を任意の場所で使えます。これは、プロジェクトベースでの作業が多い職場や、物理的な文書の保管が頻繁に必要な環境に適しています。

しかし、ボックスが満杯になると新しいボックスを追加しなければならないため、管理が煩雑になり、保管場所のスペースもさらに必要となる可能性があります。

文書管理業務における注意点

文書管理業務を効果的に行うためには、文書管理の規定を明確に定めることが重要です。また、保管と保存を区別して管理し、保存期間のルールを決めておきましょう。

さらに、セキュリティ対策を万全にすることも不可欠です。特に機密性の高い文書については、不正アクセスや情報漏洩を防ぐ必要があります。このようないくつかの注意点を踏まえて、適切に管理しましょう。

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文書管理の規定を定める

規定を設けることで、文書の取り扱い方を正確に理解し、一貫した方法で管理できます。具体的には、文書の分類方法、保管場所、アクセス権限、保存期間、廃棄方法などが挙げられます。

例えば、重要な契約書類は特定の保管場所に限定し、アクセス権限を厳格に管理することで、情報漏洩のリスクを低減できます。また、廃棄方法に関する規定を設けることで、機密文書が不適切に処理されるリスクを避けることが可能です。

このような規定は、マニュアルやガイドラインとして文書化し、従業員に周知することが重要です。文書管理の規定を明確にし、従業員が容易に理解・遵守できるようにすることで、組織全体の文書管理の質が向上します。

保管と保存を区別して管理する

「保管」とは、日常的に使用される文書の一時的な置き場所を指します。また、「保存」は長期間にわたり保持する必要がある文書の管理を意味します。

保管される文書は、頻繁にアクセスする可能性が高いため、迅速な取り出しや更新が可能な方法が求められます。例えば、進行中のプロジェクトの文書や頻繁に参照されるリファレンス資料などがこれに該当します。

一方、保存される文書は、法的要件や企業ポリシーに基づいて長期間保持する必要があるものです。これには、契約書、会議記録、財務報告書などが該当します。

保管と保存を明確に区別し、それぞれの目的に合わせた管理方法を採用することで、文書の取り扱いを効率化し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。

保存期間のルールを決めておく

保存期間のルールは、文書の種類や重要性に応じて異なります。例えば、財務関連の文書は、一般的には7年間保存することが多く、人事関連の文書は退職後数年間保持することが一般的です。

特に税務関連の文書や契約書類、会議の議事録など、法律で保存期間が定められている文書に関しては、特定の期間は法的要件に沿って規定を厳守しなければいけません。所定の期間保持していない場合、法的な問題を引き起こす可能性があります。

また、保存期間の終了後は、文書を適切に廃棄することも重要です。文書の廃棄に際しては、機密性の高い情報を含む文書は、特に慎重に処理する必要があります。

参考:国税庁標準文書保存期間基準(保存期間表)|国税庁

セキュリティ対策を万全にする

多くの企業文書には、機密情報や個人情報が含まれており、このような情報が外部に漏れることは、企業の信頼性に影響を与える可能性があります。そのため、適切なセキュリティ対策を行うことが不可欠です。

例えば、文書へのアクセスを特定の従業員やグループに限定することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを減らすことなどが挙げられます。また、従業員に対するセキュリティ教育も重要です。セキュリティ意識を高めることで、内部からの情報漏洩を防げます。

文書は電子化して管理するのがおすすめ

文書を電子化して管理することで、情報のアクセス性と検索性が向上します。電子化された文書は、デジタルデータベースに保存されるため、必要な情報の迅速な検索・アクセスが可能です。

紙ベースの文書管理に比べて、情報を探すために費やす時間が大幅に削減され、業務の効率化が図れます。また、物理的な文書の保管には広いスペースが必要ですが、電子化した場合、サーバーやクラウド上に保存されるため、場所を取りません

さらに、電子化された文書はバックアップやコピーが容易であり、災害や事故によるデータの損失リスクを軽減できます。社外で業務を行うリモートワークなどにとっても、非常に便利であり、場所を問わずに共有や編集が可能です。

文書管理システムで文書管理の手間を軽減

文書管理システムは、企業や組織の文書をデジタル形式で管理し、効率的に取り扱うためのツールです。このシステムは、文書の作成、保存、検索、共有、保管、破棄といった、手作業による時間と労力を大幅に削減します。

キーワード検索やカテゴリ分けにより、必要な文書を迅速に見つけ出せるため、検索性の向上が期待できます。また、保存期間に応じた自動破棄機能により、法的要件や社内ポリシーに基づいた文書管理が可能です。

さらに、バージョン管理やアクセス権限の設定など、文書のセキュリティと整合性を保つための機能も備えています。そのため、誤った情報の共有や不正アクセスから文書を保護し、企業の知的財産を守ります。

文書管理システムとは?主な機能や導入の際の比較ポイントも解説

文書管理システムは、企業にある資料や文書をデジタル化し、効率良く管理するためのサービスです。この記事では、文書管理システムの主な機能、システム導入によるメリット・デメリットだけでなく、導入の際の比較ポイントなどについても詳しく解説していきます。

まとめ

文書管理には、企業や組織の業務効率化、コンプライアンスの強化、コスト削減など多くの利点があります。適切に分類・ファイリングすることで、情報の検索性とアクセス性が向上し、業務の迅速化が図れます。

また、文書管理の規定を定め、保管と保存を区別し、保存期間のルールを設けることで、コンプライアンスを確保し、セキュリティリスクの最小化が可能です。

文書管理システムは、検索性を向上させ、自動破棄機能、バージョン管理など、様々な機能が備わっています。そのため、文書の管理が容易になり、時間とコストの節約に繋がるなどのメリットがあります。

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