会社の歯科検診に補助金は利用できる?助成金額や要件も解説

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  • 「国民皆歯科検診」制度の義務化が検討されており企業歯科検診は重要性が高まっている
  • 会社の歯科検診に利用できる補助金には、健康保持増進計画助成金などがある
  • 補助金の申請要件は変更される場合があるため、必ず厚生労働省のサイトで確認する

社員の口腔内の健康維持やそれによる企業の生産性向上、また「国民皆歯科検診」制度の義務化検討の観点から、企業における歯科検診は重要性が高まっています。この記事では、会社の歯科検診に利用できる助成金について、概要や申請要件、助成される金額などを解説します。

目次

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  1. 企業歯科検診の重要性とは
  2. 会社の歯科検診に利用できる補助金
  3. 健康保険組合による補助金制度も
  4. 企業歯科検診にかかる費用
  5. 企業歯科検診は従業員からも好評であることが多い
  6. まとめ

企業歯科検診の重要性とは

企業歯科検診とは、社員の健康管理や生産性の向上を目的として、企業が福利厚生の一環で歯科検診を実施する取り組みです。しかし、歯科検診は、労働安全衛生規則で有害な業務に定められた業務を行う事業者以外では、義務化されていないため、実施率が低い傾向にあります。

一方で、国民の健康寿命を伸ばす取り組みの一環として、2025年に「国民皆歯科健診」制度の義務化が検討されており、企業のみならず国として歯科検診の重要性が高まっていることも事実です。

歯が不健康な状態だと、正常な咀嚼が困難となるため、豊かな食生活は望めません。よって、生活習慣病の原因となったり、噛む回数が少ないことから、認知症リスクが高まったりするなど、さまざまな病気の発生要因となります。

このような観点から、企業においても、社員の口腔の健康状態は、生産性や業績に影響を及ぼします。口腔が健康に保たれることにより、欠勤の減少や集中力アップにも繋がるためです。社員への歯科検診の実施は、企業の経営にも多くのメリットをもたらします。

参考:No.168 令和5年度制度・予算で厚生労働省に要望書を提出|日本歯科医師会

参考:歯科健診の結果報告がすべての事業場に義務化されます|厚生労働省

企業歯科検診とは?メリット・デメリット、費用についても解説

2025年から「国民皆歯科検診」制度の義務化が検討されていることもあり、企業歯科検診は重要性が高まっています。企業歯科検診は、従業員の健康を守るだけでなく生産性や業績アップにも繋がります。本記事では企業歯科検診のメリット・デメリットなどを解説します。

会社の歯科検診に利用できる補助金

企業の歯科検診に利用できる補助金として、「人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)」と「健康保持増進計画助成金」がありますが、いずれの補助金についても、申請できる条件などは変わる可能性があります。

補助金を申請する場合は、必ず厚生労働省のWebサイトで最新情報を確認しましょう。

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人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

人材確保等支援助成金は、働きやすい職場の環境づくりのために、事業主に対して助成金を支給する制度です。魅力ある雇用の創出により、人材の確保と定着を目指すもので、従業員の離職率の低下にも期待できます。

企業の歯科検診に利用できる助成金は、人事確保支援助成金の「雇用管理制度助成コース」です。健康づくり制度の導入や離職率の低下目標の達成といった、一定の要件を満たすことで、1制度に付き20〜25万円が支給されます。

「雇用管理制度助成コース」は、令和4年4月1日から新たな整備計画の受付を休止していましたが、令和7年4月1日から新規受付を再開しています。

参考:人材確保等支援助成金のご案内|厚生労働省

助成金額20~25万円
(職場活性化制度・健康づくり制度の場合)
※賃金規定制度・諸手当等制度・人事評価制度では
40~50万円
主な要件・雇用管理制度整備計画の認定
・雇用管理制度の導入・実施
・離職率の低下目標の達成

参考:人材確保等支援助成金のご案内|厚生労働省

参考:人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)|厚生労働省

健康保持増進計画助成金

健康保持増進計画助成金とは、事業主が作成した「健康保持増進計画」に基づき、従業員に対して健康測定・健康指導・研修などの取り組みを実施した場合に、その費用を助成する制度です。

助成金は、1事業所当たり10万円が上限で、将来にわたり1回限りの支給となっています。ただし、保険診療や法令で義務付けられている取り組みは対象とならず、他の助成金等との重複した申請・受給はできません。

また、受給には、「健康保持増進計画」が「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づいて作成されていることなど、一定の要件を満たす必要があります。

事業所における労働者の健康保持増進のための取り組みとして、「定期的な歯科健診を通じた歯と口の健康づくり」が推奨されています。これにより、企業の歯科検診も助成金の対象となるため、従業員の健康保持増進計画の一環として利用ができます。

助成金額10万円(将来にわたり1回限り)
主な要件・事業所は、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づいて「健康保持増進計画」を作成する
・作成した「健康保持増進計画」に基づき、従業員に対して健康測定・健康指導および研修などの取り組みを実施する

参考:健康保持増進計画助成金|厚生労働省

参考:事業場における労働者の健康保持増進のための指針|厚生労働省

参考:6. 定期的な歯科健診を通じた歯と口の健康づくり|厚生労働省

健康保険組合による補助金制度も

厚生労働省以外にも、被保険者および被扶養者に対して、歯科検診費用の補助を行う健康保険組合が多くあります。補助される金額は各健康保険組合により異なるため、加入している健康保険組合に、補助金制度の有無や概要、要件を確認してみましょう。

一例として、1年に1回、歯科医療機関で自費で歯科検診を受けた場合に、上限3,000円までの補助が受けられるケースなどがあります。ただし、基本的に、保険診療は対象外としている健康保険組合が多いことに注意が必要です。

企業歯科検診にかかる費用

助成金・補助金でもらえる金額とともに、そもそも企業歯科検診にどのくらい費用がかかるのかも確認しておきましょう。平均的な費用になりますが、基本的な口腔内検査では1人あたり3,000〜5,000円程度になることが多いです。

受診する歯科医院によって差もあり、基本検査に加えて追加オプションを付けるとこれ以上の金額になることが予想されますが、中小企業であれば助成金・補助金でかなりの負担軽減が期待できるでしょう。

また、医院によっては企業検診向けの料金プランや割引を提供している場合もあるので、複数の医院を比較してみることをおすすめします。

企業歯科検診は従業員からも好評であることが多い

企業歯科検診の取り組みは、実際に行っている企業の従業員からも好評を得ています。近年は口腔内環境に問題が発生しないように積極的に予防を行う「予防歯科」が推奨されていますが、歯科を受診するには受診料がかかります。

そのため、症状が出てから、また重くなってから受診する人もまだ多くいるのが現状です。そこで、企業が費用を負担する企業歯科検診を実施することで、従業員は気兼ねなく検診を受けられるようになります

さらに、そういった制度が企業にあることで、健康意識の向上が見られたという声も多く聞かれます。助成金・補助金の申請には多少の手間はかかりますが、それによって歯科検診制度を実現できることは大きなメリットにつながると言えるでしょう。

参考:助成金の活用事例集

まとめ

社員の口腔の健康維持やそれによる企業の生産性向上の観点から、企業における歯科検診の重要性が高まっています。従業員に歯科検診を受けさせる際は、「人材確保等支援助成金」や「健康保持増進計画助成金」などの補助金が利用可能です。

また、保険者および被扶養者に対して、歯科検診費用を補助する健康保険組合も多くあります。補助金を利用して、従業員に定期的な歯科検診の機会を提供し、健康増進の取り組みを図りましょう。

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