ナレッジ共有とは?共有のメリットや共有する際のポイントも解説

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  • ナレッジ共有とは、個々の社員が持つ知識やスキルを組織全体に共有する取り組み
  • ナレッジ共有により、業務効率化や属人化解消といった効果が期待できる
  • ナレッジ共有の際は目的を明確にし、常に最新の情報に更新することが重要である

ナレッジ共有とは、個々の社員が持つ知識やスキルを組織全体が使えるように共有する取り組みのことです。ナレッジ共有により、業務効率化や属人化解消といった効果が期待できます。この記事ではナレッジ共有のメリットやフレームワーク、共有する際のポイントなどを解説します。

目次

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  1. ナレッジ共有とは
  2. ナレッジ共有のメリット
  3. ナレッジ共有の考え方・フレームワーク
  4. ナレッジ共有のポイント
  5. まとめ

ナレッジ共有とは

ナレッジ共有とは、業務を通じて獲得したナレッジを他メンバーと共有することを指します。ナレッジは、「知識」を意味する「knowledge」が語源の和製英語です。世間一般的には、知識に加えて、「ノウハウ」「スキル」を含めた言葉として認知されています。

本記事では、ナレッジ共有の重要性やメリット、ナレッジ共有を成功させるためのポイントなどを解説します。

ナレッジ共有の重要性

働き方の多様化や人材の流動化を受け、ナレッジ共有の重要性が高まっています。たとえば、リモートワークの普及により、オフィスで同僚と一緒に仕事をする機会が減りました。

また、新卒入社した企業に定年まで勤めるケースは少なくなり、新人社員は先輩社員の背中を見て学ぶという従来のスタイルも通用しなくなっています。

つまり、近年の企業では、他社員の働き方・経験を自然に見聞きする機会が少なく、必然的に、業務に関する知見を得る機会も減少しています。

業務の知見が狭くなることは、パフォーマンスの低下を招く恐れがあります。このような事態を防ぐためにも企業は社員に対し、積極的なナレッジの共有を促すことが大切です。

ナレッジ共有のメリット

ナレッジ共有には、業務の効率化や属人化の防止などさまざまなメリットが期待できます。ここからは、ナレッジ共有の主なメリットについて解説します。

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業務を効率化させる

ナレッジ共有により、業務が効率化するメリットがあります。一般的に業務経験が長い社員ほど、業務の効率性や生産性が高くなります。これは、業務を通して得たナレッジが豊富であるためです。

反対に、業務経験の浅い社員はナレッジが少ないため、ベテラン社員に比べて業務の効率性は低くなります。

ナレッジを共有することで、ベテラン社員のナレッジを新人社員にも共有可能です。これにより、業務経験の少ない社員でもノウハウを活用しながら業務にあたれるため、ベテラン社員と同等の業務効率を期待できます。

業務の属人化を防ぐ

ナレッジ共有により、業務属人化の防止が可能です。難易度の高い業務は、その経験や知識が豊富な社員に属人化しやすい傾向があります。

業務ノウハウを組織全体で蓄積しないまま、その担当者が休職・離職すると、業務の進め方を誰も知らないという事態が起きかねません。ナレッジ共有により、組織全体で同レベルの業務ノウハウを蓄積しておくことで、このような事態を防げます。

新人研修の時間を削減できる

新人研修の時間・手間を削減できる点も、ナレッジ共有のメリットです。ナレッジには、新人社員が一人前に育つまでの過程も含まれます。

この過程をもとにしたプログラムを組むことで、従来の新人研修よりも効率的な業務知識・スキルの伝授が可能となり、結果として新人研修にかかる時間を削減可能です。

企業にとっては、スムーズに戦力を育成できるため、組織全体での業務の効率性や生産性の向上が期待できます。

社員同士の関係性を良好に保つ

ナレッジ共有は、社員同士の関係の円滑化にも役立ちます。一般的に、ナレッジが豊富な社員ほど仕事が早く正確なため、多くの仕事を振られる傾向があります。

特定の社員に業務負担が集中すると、社員間での不満が生じやすくなり、ひいては関係が悪化する可能性があります。あるいは、ナレッジが特定の社員に偏ることで、他の従業員からの嫉妬を買いやすくなるケースもあります。この点も、社員間の関係悪化に繋がります。

一方、ナレッジの共有を行うことで、社員間の知識格差を解消できるほか、社員間での業務のスピード・品質の均一化を狙えます。社員の公平性を保てるため、ひいては円滑な人間関係の構築に繋がるでしょう。

部門間の連携を強化する

大きい組織であればあるほど、各部門が行う業務の内容や保有するナレッジは不透明になりやすく、部門を超えた連携が取りづらい場合も多いでしょう。ナレッジ共有には、このような課題を解消し、部門間の連携を強化するメリットもあります。

ナレッジ共有により、部門を問わず社内全体でリアルタイムな情報の共有が実現可能です。これにより、普段は関わりの少ない他部署の社員同士でも、お互いの目線を合わせた円滑なコミュニケーションが取りやすくなります。

社内全体のコミュニケーションが活性化され、他部署の状況を把握できるようになれば、おのずと連携が取りやすくなり強化されるでしょう。また、部門間の連携強化は、新たなアイデアの創造にも繋がり、企業の競争力を高めます。

ナレッジ共有の考え方・フレームワーク

ナレッジ共有を成功させるには、暗黙知と形式知の違いや、暗黙知を形式知に変換するフレームワークである「SECIモデル」について理解しておく必要があります。以下でそれぞれの内容をご紹介します。

ナレッジマネジメントとは?意味やメリットをわかりやすく解説

ナレッジマネジメントとは、個人が持つ知識やスキルなどを組織で共有し活用する経営手法です。ナレッジマネジメント導入により、組織力の強化や業務効率化といった効果が期待できます。この記事ではナレッジマネジメントの意味やメリット、実践のステップなどを解説します。

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ナレッジ共有の考え方・フレームワーク

  1. 暗黙知と形式知
  2. SECIモデル

暗黙知と形式知

ナレッジには「暗黙知」と「形式知」の2種類があります。ナレッジ共有においては、暗黙知を形式知に変える取り組みが必要です。しかし、暗黙知には、経験が生む勘のような言語化しにくい情報も含まれるため、変換が難しい場合もあるでしょう。

その際は、以下で解説するSECIモデルを活用して、他者と共同作業を行うなどの手順を踏むことにより、形式知を獲得しやすくなります。

暗黙知個人の経験で得た「言語化されていない知識」
形式知文章・表・図などを使い「可視化された状態の知識」

SECIモデル

暗黙知を形式知に変えるフレームワークとして、「SECIモデル」があります。SECIモデルは次のような4つのステップで構成されており、段階を追って実践することで、形式知を獲得できます。

暗黙知を持つ社員自身は上手く言語化できない場合でも、他者との会話などからヒントを得て言語化・可視化に繋がる場合もあるでしょう。まずは、自身が持つ暗黙知をどうにかして他社に共有しようとする姿勢が大切です。

Socialization(共同化)複数社員で共同で業務に取り組み、お互いの暗黙知を共有し合う
Externalization(表出化)共同化で表出した暗黙知を文章・表・図などを用いて表現する
Combination(連結化)表出化で可視化した知識を他の知識と組み合わせ、新しい知識として創出する
Internalization(内面化)新しく得た知識を、学習・体験を通して各自の内面に落とし込む

ナレッジ共有のポイント

ナレッジ共有をスムーズにすすめるには、目的の明確化や仕組みづくりなどにポイントがあります。ここでは、各ポイントについて解説します。

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ナレッジ共有の目的を明確にする

ナレッジ共有の際は、あらかじめ目的を明確にしましょう。たとえば、「業務の属人化を解消する」のような目的の設定が必要です。目的がないままナレッジ共有を始めると、どのナレッジをどのように共有すべきかが判然とせず、施策が形骸化する恐れがあります。

また、目的が不明瞭では、社員がナレッジ共有の意義を見出せず、積極的に取り組まない恐れがあります。このような事態を避けるためにも、ナレッジ共有では初めに目的を明確にし、全社員に周知することが大切です。

ナレッジ共有の担当者を決める

ナレッジ共有の担当者を決めておくことも大切です。明確な担当者がいない場合、「誰かがやるだろう」と他人任せになる恐れがあります。

また、ナレッジ共有の担当者がいない場合、社員各自が自分の考えに基づいて自由に行動するケースもあるでしょう。この場合、さまざまな知識が無秩序に乱立する恐れがあり、かえってナレッジの共有が難しくなります。

このような混乱を防ぐためにも、責任の所在を明らかにし、ルールに則ったナレッジ共有を推し進めていく必要があります。

ナレッジ共有を促進する仕組みをつくる

ナレッジ共有を促進するような仕組みの構築も必要です。仕組みの例には、次のようなものがあります。

  1. 業務報告書を作成する
  2. 会議の内容を議事録にまとめる
  3. 顧客からの問い合わせ履歴をExcelに残す

ナレッジ共有を促進する上で大切なポイントは、情報を残しやすい環境を整えておくことです。上記のような施策は、日頃の業務に取り入れられていることも多く、全社員が取り組みやすいでしょう。

新しくこのような施策を採用する場合は、社員が記入や操作の仕方に迷わずに済むよう、記入例を掲示したり、システムの操作マニュアルを整備したりするなどの取り組みも必要です。

ナレッジは1か所に集約する

ナレッジ共有を行う際、ナレッジは1か所に集約させることが重要です。せっかくナレッジをまとめても、社員が必要な時に見つけて活用できなければ、意味がありません。ナレッジを1か所に集約させることにより、目当ての情報を探しやすくなります

また、ナレッジを集約するツールは、検索性が高いものを選ぶのがおすすめです。例えば、関連するキーワードで検索して目当てのナレッジを探し出せる機能が備わっていると、ナレッジを探す時間を大幅に削減できます。

検索性の高さは社員の利便性に直結するため、蓄積したナレッジの活用を促進させる効果も期待できるでしょう。

常に最新の情報に更新する

ナレッジ共有では、常に最新の情報に更新することが重要です。情報は鮮度が大切であり、古い情報をいつまでも使い続けていると、顧客や取引先からの信頼を失う恐れがあります。

たとえば、自社製品がリニューアルした場合、営業メンバーは、その特徴や従来品との違いを理解しておく必要があります。この作業をスムーズに行うためにも、ナレッジは適宜アップデートしていかなければなりません。

併せて、全社員に同レベルのナレッジを提供するためにも、ナレッジの更新・削除・追加があった際には、全社員に同時に周知できるような仕組みやルール作りが必要です。

ナレッジマネジメントツールを活用する

ナレッジ共有には、ナレッジマネジメントツール(ナレッジ共有ツール)を活用するのもおすすめです。ナレッジマネジメントツールとは、ナレッジの登録・削除・閲覧などを一元的に行えるものです。

たとえば、ヘルプデスク機能・ファイル共有機能・検索機能・チャット機能などが標準搭載されており、社員が各自で得たナレッジの投稿や、自分の悩みにあわせたナレッジの検索が簡単に行えます。

ナレッジを他社員に共有するには、文章を考えたり、図や表を手動で作成したりといった手間がかかります。一方、ナレッジマネジメントツールの多くは、テンプレートが決まっており、必要項目を入力するだけで、誰でも簡単に文章や図・表の作成が可能です。

また、ナレッジマネジメントツールは、情報の更新の際にも便利です。基本的には、システムを操作するだけで、その内容がアクセス権のある社員全員に共有されるため、個別の周知の手間を省けます。

このような機能を備えたナレッジマネジメントツールの導入により、手間のかかるナレッジの共有作業を簡略化できます。社員の業務の効率化のほか、積極的なナレッジ投稿が期待できるでしょう。

ナレッジマネジメントツールとは?導入のメリットや選び方を解説

ナレッジマネジメントツールとは、社員が持つ知識や経験などを社内で共有するためのツールです。本記事では、ナレッジマネジメントツールをよく知らない方・導入を検討している方のために、ナレッジマネジメントツールの機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。

まとめ

ナレッジとは、業務を通じて得た知識やスキル・ノウハウを指します。働き方の多様化や人材の流動化により、組織全体でのナレッジの蓄積が難しくなっていることから、積極的なナレッジ共有が求められます

ナレッジ共有により、社員一人ひとりの業務効率の向上や、業務の属人化の防止が期待できます。新人研修の時間を削減し即戦力を育てる上でも、ナレッジ共有は重要です。

ナレッジ共有をスムーズに進めるには、目的の明確化や、ナレッジ共有を促進する仕組みの構築が必要です。ナレッジマネジメントツールは、ナレッジ共有に必要な機能を備えており、社内のナレッジ共有の促進に役立ちます。

ナレッジ共有に課題を抱えている企業は、ナレッジマネジメントツールの導入がおすすめです。

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