派遣社員のマネジメントに必要なこと|必要性とポイントを解説

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  • 派遣社員が安定的に就業するためには、マネジメントが重要になる
  • 派遣社員をマネジメントする際は、就業初日や就業初期に特に留意する
  • 派遣社員にも導入研修を行うことで、派遣社員のモチベーションアップにつながる

派遣社員がモチベーション高く安定して就業できる環境を作るには、派遣社員のマネジメントが重要です。本記事では、派遣社員のマネジメントのポイントを、就業の当日から日頃の労働管理まで、場面に分けて解説し、派遣社員のモチベーションをアップさせる方法も紹介します。

目次

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  1. 派遣社員の安定就業のためにはマネジメントが重要
  2. 派遣社員のマネジメントのポイント
  3. 派遣社員のモチベーションをアップさせる方法
  4. 派遣契約の内容を理解した上でのマネジメントを
  5. まとめ

派遣社員の安定就業のためにはマネジメントが重要

企業での人材確保・人員配置の問題解決のために、派遣社員・派遣スタッフを受け入れることは有効な選択です。しかし、派遣社員の安定就業のためには、マネジメントやフォローが必要不可欠になります。

派遣社員は、直接雇用の正社員やアルバイトとは、管理において異なる部分があります。例えば、給与の支払いは雇用関係にある派遣会社が行いますが、日々の業務管理や勤怠管理などは、派遣先企業が行います。

派遣先企業は、自社で直接雇用している従業員との違いを理解をした上で、適切なマネジメントを行わなければなりません。本記事では、派遣社員のマネジメントのポイントや、モチベーションを高める方法などについて、解説します。

派遣社員のマネジメントのポイント

派遣社員のマネジメントは、直接雇用の従業員との立場の違い・契約内容・法律関係など、さまざまなことに配慮する必要があります。ここでは、派遣社員のマネジメントのポイントを解説します。

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派遣社員のマネジメントのポイント

  1. 就業初日
  2. 就業初期
  3. 労働時間の管理
  4. フォロー・フィードバック

就業初日

初めのうちは、派遣社員は、企業内の組織体制や施設・設備などわからないことが多くあります。また、新しい職場に不安や緊張を抱えている可能性も考えられます。就業初日は、企業や業務のことを理解しやすくし、派遣社員に安心感を与えることが重要です。

具体的な対応例は以下の通りです。

  1. 歓迎の意を示し、派遣社員がこれから関わる業務・組織の関係者を紹介する
  2. 重要な設備・利用できる施設を紹介しながら、オフィスを案内する
  3. 派遣社員がこれから担当する業務内容や、期待する成果を説明する
  4. 就業時間・業務に関する基本的なルールや流れを説明する
  5. 派遣社員からの質問には、丁寧に答える

重要な点は、派遣社員とコミュニケーションを取りながら、案内をすることです。人によって、これまでの経験や理解の仕方は異なります。相手に合わせて、丁寧に説明すべき部分や、理解しやすい説明の仕方などに配慮しながら、相互理解を深めることが大切です。

また、コミュニケーションを取りながら施設や組織を紹介することで、派遣社員は、企業内の価値観や、組織の中での自分の役割を理解しやすくなります。丁寧なコミュニケーションは、対人関係の不安を和らげることにもつながります。

就業初期

就業初期は、派遣社員が新しい環境に適応するための時期であり、この時期のフォローアップは重要です。具体的には、以下のポイントに気をつけるようにしましょう。

  1. 組織や業務に慣れるまで、丁寧な指導とフォローアップを心がける
  2. 社内のルール・業務の流れ・システムの使用方法など、基礎的な理解を深める
  3. 質問しにくい雰囲気にならないような接し方・態度を心がける
  4. 定期的なミーティングにより、進捗・課題・疑問点を共有できるようにする
  5. 必要に応じて、業務に関するトレーニングを行う

派遣社員をフォローアップする際には、事前に過去のトラブルやよくある質問を整理しておくことが推奨されます。これにより、派遣社員が過去と同じ問題に直面した際に、適切な支援を行いやすくなります。

労働時間の管理

労働者派遣法において、派遣社員の労働時間を管理する責任の所在は派遣先企業にあります。そのため派遣社員の労働時間は、派遣先企業が適切に管理します。

労働時間を管理する際に気をつけるポイントは以下の通りです。

  1. 労働時間は、法律に違反しないことに加え、派遣契約に違反しないようにする
  2. 時間外労働が可能な契約内容でも、派遣社員本人の希望を尊重する
  3. 労働時間の変更は、派遣会社に連絡・相談することに加え、本人の合意も必要
  4. 有給休暇が円滑に取れるよう派遣会社と連携する

労働時間の管理は、法令遵守や従業員の健康を守る上で重要です。派遣社員の場合は、家庭やプライベートな時間、別の仕事との両立など、派遣社員として働いている事情にも配慮する必要があります。そのため、無理に残業を求めないようにしましょう。

また、法律への理解も大切です。派遣会社と派遣社員の間で、「36協定(労働基準法36条に基づく労使協定)」が結ばれていない場合、派遣先企業は派遣社員に時間外労働を求めることはできません。36協定が締結されているかは、派遣会社に確認する必要があります。

さらに、有給休暇について、派遣社員に有給休暇を取得させることは、派遣会社の義務です。しかし、派遣先企業の業務に支障が出ないようにするために、連絡・調整を丁寧に行うようにします。

参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov法令検索

参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省

フォロー・フィードバック

派遣社員が業務に慣れてきたとしても、フォロー・フィードバックを欠かさずに行うことは重要です。特に派遣社員の就業コンディションを確認し、問題がある場合は改善策を講じなければ、離職につながる恐れがあります。

なお、就業コンディションとは、従業員の業務内容や業務を取り巻く状況、業務に対するモチベーションを指す言葉です。その確認のポイントは以下の通りです。

  1. 今の業務量が派遣社員にとって適切な量か確認する
  2. 今の業務レベルが派遣社員のスキル・経験に合っているか確認する
  3. 今行っている業務が、契約内容の業務と差異がないか確認する
  4. 今行っている業務が、属人化していないか確認する
  5. 業務の変更は契約に関わるため、必ず派遣会社に連絡し、派遣社員の合意を得る

上記以外に、個別の悩みや要望を聞く場を提供することや、日常的なコミュニケーションを大切にすることなども、離職リスクの低減につながります。

派遣社員のモチベーションをアップさせる方法

派遣社員のモチベーションアップは、早期の就業終了を防ぐために重要です。また、派遣社員が意欲的に業務に取り組めることで、企業にとっても成果につながりやすくなります。ここでは、派遣社員のモチベーションをアップさせる方法を解説します。

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導入研修を行う

新入社員に対して行う導入研修は、円滑な業務の遂行や、モチベーション向上などを目的として行いますが、派遣社員に対しても効果的です。

しかし、派遣社員は契約内容によって、業務や関わりを持つ組織が限定的な場合もあります。そのため、通常の導入研修をそのまま行うのではなく、派遣社員にとって重要なポイントだけを実施することで効率性が高まります。

例えば、導入研修を通じて企業のビジョンを共有することは、雇用形態を問わず従業員一同が共通の目標を持って、協力的に業務を進める上で大切です。

また、効果的に導入研修を行うには、一方的に伝えるだけではなく、派遣社員の疑問やフィードバックなどを受け入れることが重要になります。

双方向的なコミュニケーションを行い、研修を進めることで、企業は派遣社員のことを、派遣社員は企業のことを理解しやすくなります。企業を理解することは、企業の一員として、自分の果たすべき役割への理解にもつながります。

社員と同じように対応する

雇用形態の違いによって、心理的な待遇や接し方を変えることは、従業員同士の協力関係を悪化させるリスクを高めます。「お客様扱いして簡単な業務しかさせない」「長く働いてくれるかわからないから交流は避ける」など、差別的な対応はしないようにしましょう。

派遣社員を正社員と同じように対応することは、すべての従業員が雇用形態に関係なく企業の一員であることを意識する上で大切です。また、悪意がなかったとしても、名前を覚えずに「派遣さん」と呼ぶことがないように気をつける必要があります。

ただし、正社員と同じ業務内容や業務レベルを求めていいわけではありません。派遣社員にできる業務は、契約によって決まっています。そのため、業務上の対応と個人としての対応は分けて考えることが重要なポイントです。

定期的に面談を行う

業務内容や人間関係について、派遣先の社員に相談したいと感じている派遣社員は多くいます。また、普段一緒に業務をこなす派遣先の社員から直接フィードバックをもらえることは、派遣社員にとって嬉しいことであり、モチベーション向上に繋がります。

そのため、派遣社員の些細な悩みや相談を聞いたり、フィードバックを行ったりする場を、派遣先が率先して設けることが効果的です。特に、直接雇用の従業員に対して定期的に面談を行っている場合は、差を作らないよう同様に派遣社員にも実施すると良いでしょう。

仕事を頼む際は明確に伝える

派遣社員に仕事を頼む際は、仕事の内容に加え、その目的や背景まで明確に伝えることが大切です。目的が明確であることにより、仕事の流れや他の仕事との関連性などが理解しやすく、誤解によるミスの防止に役立ちます。

また、仕事の重要性を理解することにより、仕事への価値を見出しやすく、やりがいや達成感にもつながります。

忙しい時や仕事が多い時などは、業務指示が大雑把になりがちですが、曖昧な指示は、期待する成果とは異なった結果を招く可能性があります。言葉で伝えるのが難しい場合は、具体的な成果物や期待する結果を示すなど、工夫が必要です。

派遣社員は、「企業にとっての適切な仕事」を理解する機会が正社員ほど多くありません。そのため、曖昧な指示でもその意図を的確に理解するように求めるのは、派遣社員の負担感を大きくしてしまいます。

評価や感謝の気持ちを伝える

派遣社員のモチベーションを上げるためには、仕事への評価や感謝の気持ちを伝えることが大切です。モチベーションについて理解を深めるためには、「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」が参考になります。

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論とは、「仕事の満足度に関わる要因(動機づけ要因)と、仕事への不満に関わる要因(衛生要因)は、別なものである」とする考え方です。

例えば、給与や労働条件は衛生要因であり、これが不足すると仕事への不満度が高くなります。仕事に対する評価や感謝の気持ちは動機づけ要因であり、これが満たされると、仕事への意欲や充実感が高まります。

ハーズバーグの理論では、給与や労働条件さえ良ければ、積極的に仕事をしてくれるわけではありません。仕事への評価や感謝の気持ちを伝えることが、意欲的な姿勢への原動力になります。

メンタルケアを怠らない

派遣社員の一般健康診断は、派遣会社が実施しなければいけませんが、就業中の健康管理については派遣先企業に責任があります。過剰労働や、契約にない危険な業務を指示するのは避けなければいけません。それだけではなく安全教育を行うことも大切です。

また、メンタルケアに配慮する必要もあります。派遣社員の苦情を受け付ける体制を整えたり、労働環境改善のために不満を把握したりすることは、派遣社員のモチベーション維持につながります。

具体的なポイントとして、メンタルケアのために派遣社員からヒアリングを行う際は、1対1で話をできるようにしましょう。また、業務指示を出す役割と相談役は別にするのが理想的です。これにより、派遣社員の本音に基づく適切な対応がしやすくなります。

参考:派遣先が実施すべき事項|厚生労働省

厚生労働省が公表する事例を参考にする

厚生労働省は、派遣スタッフに気持ちよく働いてもらう上で効果があったと思う気遣いや工夫、派遣スタッフの雇用管理改善に成果をあげた取り組みなどについて、各企業にアンケートを行い、好事例を公表しています。

他社の成功事例は自社にとっても重要なヒントとなるため、参考にし、必要に応じて取り入れると良いでしょう。また、好事例を確認することは、自社の派遣スタッフとの関係性を再確認するきっかけにもなります。

参考:(8) 好事例の把握|厚生労働省

派遣契約の内容を理解した上でのマネジメントを

派遣社員のマネジメントが不適切になってしまう原因の多くは、派遣社員についての理解不足によるものです。派遣社員は契約内容によって、できる業務とできない業務があります。労務管理の仕方も、直接雇用の従業員とは異なります。

派遣社員について社内で適切な理解共有がされていないと、派遣社員に対して正当性のない不満を抱いたり、差別的に扱ったりすることにつながります。

このような事態にならないためにも、派遣社員のマネジメントは契約内容を前提に行うことが重要です。特に以下の例は契約違反であると同時に、労働者派遣法で禁止されている行為であり、注意する必要があります。

  1. 契約で定められていない業務を行わせる
  2. 契約書に記載のない部署での業務や異動
  3. 契約にない接待や出張(飲み会への参加強要も含む)
  4. 派遣労働者を別の企業に派遣する行為(二重派遣)

参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov法令検索

まとめ

派遣社員の就業を安定させるためには、契約内容の理解に基づく派遣社員の適切なマネジメントが重要です。直接雇用の正社員とは、業務内容や管理の仕方に違いがあり、それらの違いを理解することも、企業の従業員との心理的な距離を近づけることにつながります。

マネジメントのポイントは、コミュニケーションで相互理解を図ることと、フォローアップです。就業初日だけではなく、業務に慣れてからも、業務量や業務レベルが適切か確認するようにします。また、個別の悩みに応じられる体制を整えておくことも大切です。

派遣契約に関しては、法律の理解も踏まえて、契約内容に違反しないようにします。また、派遣社員も正社員と同じように接し、企業の一員として良好な協力関係を築くことが大切です。本記事を参考に、派遣社員に関する適切なマネジメントを行ってください。

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