派遣管理とは|派遣先での管理に必要なことや効率化する方法を解説
Check!
- 派遣の管理に必要なポジションには、派遣先責任者・指揮命令者・苦情処理担当者がある
- 派遣社員を雇用する際は、雇用管理・勤怠管理・業務指導管理といった管理項目がある
- 派遣社員を雇用する際は、派遣先管理台帳が必要である
人材不足や働き方の多様化に伴い、派遣社員の雇用を検討する企業も多いです。本記事では、派遣社員を雇用する際、派遣スタッフの管理に必要な役割や、管理項目について解説します。また、派遣先管理台帳の必要性や派遣社員の管理によくある悩みも紹介します。
目次
開く
閉じる
開く
閉じる
そもそも派遣社員とは
派遣社員とは、一定期間、ある企業や団体に労働力として派遣される働き手のことです。派遣元(派遣会社)から雇われ、派遣契約に基づき別の企業での業務を行います。
派遣社員は派遣会社に雇用されているため、労働条件や福利厚生などの面では派遣元との契約が基本ですが、業務は派遣先の企業で行います。
本記事では、派遣社員を雇用する際、派遣スタッフの管理に必要な役割や、管理項目について解説します。また、派遣先管理台帳の必要性や派遣社員の管理によくある悩みも紹介します。
派遣社員の管理に必要なポジションと役割
派遣社員を管理する際には、重要なポジションと役割があり、これらは労働者派遣法に基づいて義務付けられています。その目的は、派遣労働者の権利と安全を守ることです。以下では、派遣社員の管理に必要なポジションと役割について詳しく解説します。
参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov法令検索
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
派遣先責任者
派遣先責任者は、派遣社員の適正な働き方を確保する責任者です。派遣先企業から選ばれ、派遣社員の働く状況を監督し、指示を出す立場にあります。
基本的に、派遣先の施設や事業所ごとに、派遣社員が100人いる場合には1人以上が派遣先責任者に任命されます。派遣法や労働基準法などの法律に関する理解を持ち、それらの法律に基づいて、派遣社員の権利や契約内容を理解し、遵守する役割を果たします。
派遣労働者が適切な労働条件のもとで働けるように管理したり、派遣受け入れ期間や変更についての通知なども行なったりします。
指揮命令者
指揮命令者は、派遣社員に具体的な業務内容や仕事の進め方を指示する役割です。派遣社員の上司的存在であり、仕事を指導します。
定期的な情報共有を通じて、派遣先責任者や派遣社員とのコミュニケーションを図り、業務の円滑な遂行やトラブル時の解決に努めます。
苦情処理担当者
苦情処理担当者は、派遣社員からの仕事に関する不満や苦情を受け、対応する役割を担います。派遣先では、派遣社員が不満を抱えた場合、迅速に関係者や派遣会社に連絡し、問題解決に努めます。この役割には、人事や労務管理に関する知識が必要です。
ただし、派遣社員とのトラブルに関与することがあるため、この役割は指揮命令者と同時に担当することは避けましょう。
この苦情処理担当者の役割は、派遣社員の声を受け止め、適切に対応することで、職場の問題や不満を解決し、働く環境をより良いものにすることを目指しています。
派遣社員を雇用する際に行うこと
派遣社員を採用する際には慎重な準備と適切な手続きが必要です。以下では、派遣社員を雇用する際に行うことについて、詳しく解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
人材派遣会社の選定
選定する人材派遣会社によって、外資系や地域密着型・業種特化型など、強みを持つ特徴が異なります。そのため、自社の要件にマッチした人材をいかに素早く派遣してもらえるかに注目するべきです。
特に、各人材派遣会社ごとの登録スタッフ数や得意な業界、派遣可能エリアは、事前に詳しく情報収集を行い、自社に最も適した会社を選択しましょう。
雇用管理
派遣先が派遣社員を雇用する際、雇用管理は重要です。この管理では、派遣元・派遣先・派遣社員の関係性が法律や契約で定められます。派遣社員と派遣先は直接的な雇用関係にはありませんが、派遣社員は派遣先で働くため、適切な対応が求められます。
通常、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでおり、派遣会社から派遣先に派遣される形となります。そのため、派遣先では派遣社員を自社の社員と同様に取り扱い、適切な労働環境を提供することが求められます。
さらに、派遣社員の待遇や労働条件についても法律に則って適正に処理することが求められます。派遣社員の就業時間、賃金、休暇などの労働条件は、派遣先が正確に管理し、派遣社員にも適切に通知することが大切です。
参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov法令検索
勤怠管理
派遣社員の出退勤や欠勤状況を正確に管理することは、派遣会社への支払いにも影響します。ほとんどの場合、派遣社員は時給制で働いており、就業時間に応じて派遣会社に支払う派遣料金が変動します。
そのため、派遣先企業は、派遣先管理台帳を作成し、月に1回以上派遣元企業に通知する義務があります。派遣先管理台帳は、派遣社員の勤務時間や休憩時間、有給休暇の利用状況などを正確に把握し、派遣会社に報告するものです。
労働時間や休憩時間、有給休暇の消化状況などを適切に把握し、派遣会社に正確に報告することが求められます。派遣料金に関わることなので、勤務実績と申請内容が一致しているかを確認することが重要です。
業務指導
業務指導は派遣先が担当者やマニュアルを用意し、派遣社員がスムーズに業務に取り組めるようサポートすることです。派遣社員は契約で定められた業務範囲以外の仕事を法律で禁じられているため、派遣先は契約外の業務を行わせないよう注意する必要があります。
派遣先企業が派遣社員に対し、業務内容や方法を明確に伝えることは極めて重要です。これにより、派遣社員は仕事に迅速に適応し、正確に業務を遂行できます。
参考:派遣契約にない業務に派遣労働者を従事させることができますか|厚生労働省
健康・安全管理
派遣先企業は、派遣社員の健康と安全を確保する責任があります。派遣社員が安心して業務に取り組めるよう、安全管理や衛生管理を徹底しなければなりません。作業スペースの整備や適切な空調、明るさなど、労働環境を整えることが重要です。
自社従業員と同じような環境を提供することで、派遣社員も快適に仕事に集中できます。更衣室やリフレッシュルームなどの福利厚生施設も利用できるようにすることが大切です。
苦情・ハラスメント管理
派遣先企業は派遣社員に対して、セクシュアルハラスメントや妊娠・育児に関するハラスメント、パワーハラスメントなどを防止する責任があります。派遣社員からの苦情やハラスメントの報告があった場合、派遣先は速やかに対処し、解決を図らなければなりません。
派遣先は、自社従業員と同様に派遣社員に苦情処理の体制や担当者を説明し、適切な対応をすることが求められます。派遣社員が苦情を申し出た場合は、迅速に解決し、派遣会社にも報告します。
重要なのは、派遣社員が苦情や違反申告を行った際、業務量を増やしたり、不利益な取り扱いをしたりしてはならないことです。違反申告を行った派遣社員に対し、不利益をもたらすような行動は禁止されています。
派遣社員の受け入れには労働者派遣法の遵守が必要
労働者派遣法とは、派遣社員の権利の保護や適切な労働者派遣事業の運営のために、国によって定められている法律です。派遣先・派遣元・派遣社員の3者間の関係を明確に定めたものであり、それぞれの立場で遵守する必要があります。
具体的な内容は、契約期間の制限や派遣禁止業務などについて明記されています。例えば、契約期間の制限について、派遣先の同一組織単位における同一派遣社員の継続的な受け入れは、3年間が上限です。
これらの労働者派遣法の内容に違反した場合、企業名の公表や業務停止命令、さらには厳しい罰則を受ける可能性があるため、派遣社員の受け入れを行う前に、よく理解しておく必要があります。
参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov法令検索
派遣管理には派遣先管理台帳が必須
派遣先管理台帳とは、派遣先企業が作成する重要な文書です。この台帳には、派遣社員の働いた日付や労働時間など、実際の勤務状況を正確に記録します。派遣先管理台帳は、派遣先企業が作成しなければならない書類です。
また、労働基準法や労働契約の規定に従って、派遣社員に対する適切な労働条件を提供する上でも重要な役割を果たします。以下では、派遣先台帳の記載事項について紹介します。
派遣先管理台帳の記載事項
派遣先管理台帳には、派遣社員の氏名や就業日、そしてその日の始業・終業・休憩時間、具体的な業務内容などを詳細に記載します。
- 派遣労働者の氏名や派遣元の通知に基づく記録
- 労働日や労働時間、派遣就業日とその詳細な始業・終業時刻、休憩時間
- 業務の種類や従事した業務に伴う責任の程度
- 従事した場所に関する情報
- 派遣労働者からの苦情やハラスメント申し出の日付や内容、処理状況
- 教育や訓練に関する内容
- 派遣元責任者・派遣先責任者の連絡先
派遣先管理台帳は派遣社員ごとに作成し、派遣先企業が保管します。労働法や規制に則った働き方を保障するため、このような記録の作成と保管が重要です。
派遣先企業が抱える派遣管理の悩み
派遣先企業が抱える悩みの一つに、派遣管理がうまくいかないということがあります。これは派遣社員の業務内容や労働状況を把握できない場合や、個別契約書や派遣先管理台帳の管理が手間取ることが原因です。
また、派遣会社との事務処理に関する悩みも見受けられます。たとえば、複数の派遣会社を利用する際、それぞれが異なる勤怠管理方法や契約書フォームを使用するため、事務作業に時間がかかることが挙げられます。
これが重なると、情報の整理や管理が煩雑になり、時間や労力が増えてしまうのです。このような課題があると、派遣先企業は効率的な業務遂行や正確なデータ管理を困難に感じることがあります。
派遣管理を効率化する方法
効率的な派遣管理は業務の円滑な進行や労務管理に直結します。ここでは、派遣管理を効率化するための方法について、解説します。
\気になる項目をクリックで詳細へジャンプ/
派遣管理を効率化する方法
派遣管理デスクを利用する
派遣管理デスクは、企業が派遣社員の管理や契約業務を外部に委託するサービスです。このシステムを利用することで、派遣先企業は人材派遣会社とのやり取りや契約管理、請求処理などの煩雑な業務を外部に委託できます。
このサービスは、契約の作成や派遣社員の管理・勤怠管理・給与計算・社会保険手続きなど、様々な業務を代行します。
そのため、派遣管理デスクを利用することで、派遣先企業は細かな業務にかかる時間や手間を削減し、それらの業務を専門のアウトソーシングサービスに委ねることができます。
派遣管理システムを活用する
派遣管理システムは、通常は派遣会社が利用するものですが、派遣先企業も利用できる双方向型のシステムもあり、お互いにスムーズに情報をやり取りし、管理業務を効率化することができます。
このシステムは、派遣社員の基本情報や働いた時間を一元的に管理し、派遣社員の適性を見極めたり、給与計算を自動化したりするのに役立ちます。最大の利点は、派遣先企業が業務の負担を大幅に軽減できることです。
こうしたシステムの導入により、派遣先は本来の業務により集中しやすくなります。情報管理が効率的になるため、派遣先はよりスムーズに業務を行え、時間やリソースの有効活用が可能です。
派遣先企業が適切なシステムを選択し、導入することで、派遣社員との情報共有や業務の効率化が可能になります。
まとめ
派遣雇用は人手不足を解消する手段ですが、勤怠や業務内容、就業環境の整備などの派遣管理によって業務負担が増えることもあります。そこで、派遣管理システムの導入がおすすめです。これにより、採用活動がより効果的になります。
たとえば、このサービスを利用すると、派遣社員のスケジュールや業務内容が把握しやすくなります。さらに、就業状況の把握や統計情報の取得が可能になり、必要な場合は課題を特定し改善策を立てることも可能です。
つまり、派遣管理は派遣社員のスムーズな業務遂行と、派遣先企業の効果的な業務運営のために重要です。
この記事に興味を持った方におすすめ
あなたへのおすすめ記事