MBO面談とは?実施の目的や手順、注意したいポイントも解説
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- MBO面談とは、上司・部下間で目標設定と評価を行うための面談のこと
- MBO面談の目的には、社員のモチベーション向上や会社と社員の方向性合致などがある
- MBO面談では客観的な評価を心がけ、他の社員と比較しないように気をつける
MBO面談とは、上司・部下間で目標設定と評価を行うための面談を指します。MBO面談の目的は、社員のモチベーション向上や会社と社員の方向性合致などです。この記事では、MBO面談を行うステップや実施する際に注意したいポイントなどを解説します。
MBO面談とは
MBO(Management by Objectives)面談とは、社員が目標を設定したり、目標達成に向けた進捗状況を上司に報告して評価を受けたりする面談です。基本的に面談は、一定の頻度で行われ、目標設定や達成度を確認するための対話が行われます。
MBO面談における目標設定プロセスでは、上司と社員が共同で具体的かつ達成可能な目標を設定します。また、MBO面談では目標達成に向けた進捗状況の確認や、評価が行われ、進捗が不十分な場合は、課題や改善策などが話し合われます。
本記事では、MBO面談の目的、目標設定を行うステップ、評価を行うステップ、面談を行う際のポイント、目標管理ツールなどについて、分かりやすく解説します。
MBOとは
MBOとは、目標管理とも呼ばれ、企業や組織の目標を達成するための目標設定とそれを管理するための経営手法です。1950年代に「経営学の父」と呼ばれたアメリカのピーター・ドラッカーにより提唱され、現在でも企業経営において広く採用されています。
この手法は、目標設定、進捗管理、評価、フィードバック、および目標の修正といった一連のプロセスから構成されています。MBOは、組織全体の目標を設定し、具体的で測定可能な各部門や個人の目標に展開させ、その達成度を評価・改善する管理手法です。
MBOは、組織全体や個々のメンバーが共通の目標に向かって協力し、成果を上げるための枠組みを提供します。そのため、組織全体の効率性と個人のモチベーションの向上に効果がある経営手法とされています。
MBO(目標管理制度)とは?メリット・デメリットや導入時のポイントも解説
MBOとは「Management by Objectives」の略であり、目標管理方法の1つです。MBOは、社員のモチベーション向上や企業の目標達成の実現性アップにも繋がります。この記事では、MBOのメリット・デメリットや導入時のポイントなどを解説します。
MBO面談の目的
MBO面談は、組織の目標達成と個々の社員の成果向上を促進するために行われる重要なプロセスです。社員と組織の目標を一致させ、個々の業務において成果を最大化するための指針を確立することにより、組織全体の効率向上を目指します。
ここでは、MBO面談の主な目的として、以下の項目について詳しく解説します。
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MBO面談の目的
会社と社員の方向性を合致させる
MBO面談の主な目的の一つに、会社と社員の方向性を合致させることがあります。このプロセスでは、上司と社員が協力して目標を設定し、進捗と成果を確認します。これにより、組織の戦略的な方向性と社員の目標が連携し、補完し合うことを目指します。
面談を通じて、社員は組織の目標に対して、貢献できる自身の業務目標を設定します。同時に、上司は社員の能力や意欲を評価し、必要なサポートやリソースを提供することで、個々の目標が組織の戦略にマッチするように調整します。
組織の方向性に沿った目標を設定することにより、社員は目標達成に向けて、前向きな姿勢を見せるでしょう。これにより、組織全体のパフォーマンス向上が期待されます。
上司と部下で評価を共有する
MBO面談は、上司と部下が協力して目標を設定し、それを評価・検証する場としての機能も果たします。社員が自身の目標に向かって進捗する一方で、上司はその進捗を定期的に確認・評価し、必要に応じてサポートやフィードバックを行います。
評価を共有することで、上司は部下の達成度や成果に関する明確な理解を持て、部下も自身の業績やスキルの向上に対する上司の評価を受けられます。この相互の評価共有により、双方が共通の目標に向けて努力することが可能です。
さらに、評価の共有は、社員にとって自己評価との比較を通じて成長の機会となります。また、上司にとっては社員の強みや課題をより深く理解し、適切なキャリア開発や能力育成プログラムなどを策定する際の参考となります。
社員のモチベーションを上げる
MBO面談による目標設定や進捗の定期的な評価は、社員にとって自身の仕事に対する意義や成果に対する認識を高める機会です。このプロセスを通じて、社員は自身の役割が組織の方向性に合った目標達成に、どのように貢献しているかを理解できます。
さらに、上司との面談を通じて、社員は自身の仕事に対する評価や認識を共有し、その中でポジティブな評価やアドバイスを受けられます。これにより、社員はモチベーションを高め、仕事に対する意欲やエネルギーを向上させられるでしょう。
MBO面談で目標設定を行うステップ
MBO面談では、主に組織の目標達成に沿った社員の目標設定のステップと、その目標の達成度を確認し、評価する大きく2つのステップがあります。初めの目標設定のステップでは、社員は自身の仕事をベースに組織の方針に合った目標を設定します。
ここでは、目標設定を行うステップをさらに掘り下げて、以下の項目の詳細について解説します。
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MBO面談で目標設定を行うステップ
アイスブレイク
アイスブレイクとは、緊張感のある雰囲気を和らげ、対話の流れを自然に導くための手段です。MBO面談で、最初に軽い雑談を行い、リラックスした雰囲気を作り出すことにより、社員は自分の意見やアイデアをより自由に話しやすくなります。
また、共通の興味や趣味に関する質問や話題から始めることで、気軽に発言しやすい雰囲気を作れます。これにより、上司と社員の双方が親しみを感じ、協力的な雰囲気が生まれやすいです。
アイスブレイクを通じてリラックスした雰囲気を作り出せたら、共通のビジョンや組織の大局的な目標について話し合いをスタートさせましょう。話し合うことにより、組織の方針と社員が設定する目標の方向性がマッチしているかどうかが確認できます。
部下が設定した目標を共有する
部下が設定した目標には、その仕事への取り組み方や自身の成長に関する意図が含まれています。上司はこれらの背後にある理由を理解し、それに基づいて部下をサポートする姿勢を示すことが重要です。
また、設定した目標が具体的であり、測定可能かどうかを確認しましょう。明確な目標は進捗のモニタリングや評価を容易にし、双方の理解の共有を可能にします。
さらに、部下が複数の目標を設定している場合、優先順位を確認し、資源の調整が必要な場合は、それに対処します。設定した目標が組織全体の方向性に合致していることを確認しながら、効果的な仕事の進め方を検討しましょう。
上司がフィードバックする
MBO面談において、上司からのフィードバックは目標設定の重要な要素となります。フィードバックは肯定的で、建設的なものが望まれます。社員の強みや達成した点を認め、ポジティブな言葉を使用し、協力的な雰囲気を維持することが大事です。
また、フィードバックは抽象的な表現ではなく、具体的な言葉で例示などを含めましょう。具体的な観察や例に基づいたフィードバックは、部下が理解しやすく、改善に繋がりやすくなります。
フィードバックは、上司と社員の双方向のコミュニケーションを促進します。上司は社員の理解や意見を尊重し、共同で目標の方向性などを確認して、社員の目標設定をサポートします。また、質問や疑問点に対してもオープンに対応することが大事です。
目標を調整・確定する
社員が設定した目標を調整・確定する際は、組織の共通のビジョンや大局的な目標を再確認しましょう。上司と部下が同じ方向を向いていることの確認により、目標と組織の戦略の一致を認識できます。
社員が設定する目標は、彼らのキャリアの目標との整合性が求められます。上司は、目標の達成が部下の成長やキャリアの発展に成果があることを確認し、個々のメンバーが自らの目標を実現できるようにサポートします。
目標が調整された場合には、その変更に対するフィードバックを部下から得ます。調整が合意されることにより、最終的な目標についての共通の理解を確認し、双方が同じ方向を向いていることが共有できます。
MBO面談で評価を行うステップ
MBO面談では、目標の設定や業務の進捗管理に加えて、評価のステップがあります。この段階では、上司は、社員が設定した目標に対する達成度や業績を客観的に確認し、評価します。
この評価ステップを通じて、上司と社員が目標の達成における実績と課題を共有することにより、今後の方針を確認し、双方の協力による目標達成が促進されます。ここでは、この評価ステップにおける、考慮すべきポイントについて解説します。
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MBO面談で評価を行うステップ
面談の事前準備
MBO面談における、評価を行うステップでは、事前の準備が重要です。事前に適切な情報収集や目標の評価基準を明確化することにより、面談が効果的かつ生産的なものとなります。
面談に先立ち、共同で設定した目標を再確認しましょう。目標が具体的かつ測定可能であるかどうかを確認し、達成の進捗状況を具体的な数字や実績で把握します。これにより、数値に裏付けされた客観的な評価が可能となります。
また、面談での評価を裏付けるために、成果物や達成するポイントなどについて文書化しておきましょう。これにより、面談中に具体的な例や根拠を挙げやすくなります。
アイスブレイクを行う
アイスブレイクは、評価を始める前にリラックスした雰囲気を作り出すための手段として効果的です。一般的に、面談は緊張感のある雰囲気になりがちですが、軽い雰囲気で始めることで相手に安心感を与えます。
アイスブレイクのトピックとして、共通の趣味や興味を話すことにより、会話がスムーズに進みます。また、相手のペースに合わせて進めることで、相手が警戒心を解き、自然なコミュニケーションが生まれるようになります。
さらに、簡単な自己紹介や最近の出来事などに触れることで、互いの理解が深まります。共感を生むことで、面談が協力的で建設的なものになるでしょう。また、適度なユーモアを交えることで、雰囲気を和ませることに役立ちます。
部下の自己評価を共有する
部下の自己評価を共有する際は、オープンで建設的な雰囲気を心掛けます。批判や否定的な意見ではなく、協力による成長と発展を促進するための肯定的な言葉や意見を強調しましょう。
上司が自身の評価と部下の自己評価を比較する際は、共通点や相違点を確認することが大事です。一致している点については肯定的に評価し、相違がある場合には双方の理解を深めるために、対話を通じてすり合せを行いましょう。
また、部下の自己評価を共有する際は、成果だけでなく、努力や挑戦についても評価の対象とします。努力に対する肯定的な評価は、部下が継続的に成長し続けるモチベーションに繋がるでしょう。
上司からの評価を共有する
上司からの評価を共有する際は、具体的かつ客観的な評価基準を明確に説明することが大事です。具体的な行動や成果に基づいた評価であれば、部下が自身の強みや成長点を理解しやすくなります。
部下の強みや目標達成度への評価を強調することにより、部下は自己成長の手応えを感じます。また、自身の役割や貢献度が評価されることで、モチベーションが向上します。
さらに、評価を裏付けるために、進捗状況や成果に関する具体的なデータを提示することも重要です。評価の透明性が高まることにより、社員は自身の業績や評価を客観的に理解しやすくなります。
最終的な評価を確定する
評価の最終的な確定においては、部下のポジティブな面や成果を強調しましょう。同時に、改善の余地や成長の機会も示唆し、社員が今後の取り組みに向けて前向きな姿勢を持てるように心がけることが重要です。
評価プロセスの公平さと透明性を保つためには、評価の基準や評価ポイントを社員と共有する必要があります。不透明な点があれば、社員にその理由を明確に説明し、納得してもらうことが大事です。
また、部下の自己評価と上司の最終評価がどれだけ整合しているかを確認します。整合性があれば、共通の理解が生まれ、整合性がない場合には、その理由を掘り下げて説明し、対話を通じて合意するようにしましょう。
総括・フィードバックを行う
MBO面談の最後は、評価ステップの締めくくりとして行う、総括・フィードバックです。このステップでは、社員と上司が共に達成した成果を振り返り、今後の方針や成長に向けたフィードバックを行います。
総括では、共通の成果や達成に焦点を当て、達成した成果に対してはポジティブなフィードバックを行いましょう。また、適切な評価と共に社員の貢献に対して感謝の意を示し、モチベーションの維持を図ります。
さらに、成果があった点の評価と同時に、社員の課題点として、改善の余地や成長の機会のフィードバックも行いましょう。社員に対してこれらの点を理解してもらい、今後の方針や目標に向けて前向きな姿勢で業務に取り組んでもらえるようにします。
MBO面談を行う際のポイント
MBO面談は、効果的な目標管理と社員の成長促進を目指す重要なプロセスです。この面談では、目標の設定、進捗の評価、フィードバックなどが行われ、社員と上司が協力して組織の目標に貢献するための方針が確立されます。
ここからは、MBO面談を実際に行う場合に考慮すべきポイントについて解説します。
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MBO面談を行う際のポイント
話しやすい雰囲気を意識する
面談の冒頭に、軽い雑談などのアイスブレイクを行うことで、雰囲気を和ませられます。共通の趣味や最近の出来事を話すことで、対話をスムーズにスタートできるでしょう。また、相手の視点や意見を尊重し、受け入れる姿勢を持つことも大事です。
さらに、一方的な意見や話をするのではなく、相手に対して積極的に質問を投げかけることにより、対話への参加を促します。同時に熱心な聞き手になることも重要です。相手の意見や感情を理解し、共感することで信頼関係の構築に繋がります。
雑談で話が逸れ過ぎないようにする
アイスブレイクとして雑談を行い、話しやすい雰囲気を作ることは重要ですが、話が逸れ過ぎてしまうと本来の目的から逸脱してしまい、逆効果になる場合もあります。また、雑談ではプライベートな話をすることもありますが、相手が話したくない話題は避けるべきです。
面談の主役は部下であり、雑談はあくまで部下が本音を話しやすい雰囲気を作る役割にとどまります。そのことを常に念頭に置き、適切な内容や時間配分を心がけましょう。
他の社員と比較するような発言は避ける
各社員は異なる強みや課題を抱えています。他の社員との比較によって、社員が自身の成果や努力に自信が持てなくなることもあります。そのため、個人の特性や状況を理解し、それに基づいて面談を行うことが効果的です。
他の社員との比較が行われると、公平性への疑念が生じやすくなります。各社員は、独自の状況で挑戦に努力しており、同じ条件での比較は不公平感を生みかねません。このことにより、信頼関係が損なわれ、面談が円滑に進まなくなる恐れがあります。
また、個々の成績を比較することは、社員間の協力やチームワークに悪影響を及ぼす可能性があります。社員は協力する際にお互いをサポートし、共通の目標に向けて進むことが重要です。他の社員との比較によって、チーム全体の動機づけに影響が及ぶ可能性があります。
マイナスな表現ばかり使わない
もし、部下が目標を達成できていなかったとしても、マイナスな表現ばかりを使って評価を伝えることは避けましょう。否定的な評価ばかりを受けると、部下のモチベーションや意欲が低下し、生産性を下げるばかりか、離職に繋がる可能性もあります。
課題や改善点を伝える場合にも、部下が努力している部分を認め、肯定的な評価を交えながら伝えることで、上司からの評価を受け入れやすくなり、モチベーション向上にも繋がるでしょう。
客観的な評価を心がける
客観的な評価は公平性を確保し、データや事実に基づいた評価により、各社員は公平感を持つようになります。一方、主観的な意見や感情に基づく評価は、不均衡や不公平感を生み出しやすいです。
客観的で明確な目標と評価基準が示されることにより、社員は自身の仕事に焦点を当て、評価されるポイントを理解しやすくなります。これにより、目標達成に向けた業務遂行が促進されます。
客観的な評価は公平性、透明性、改善の指針としての効果など、多くのメリットをもたらします。これによって、MBO面談が効果的な目標管理と社員の成長促進を達成する有効な手段となります。
上司が目標を誘導・強要しない
MBO面談では、上司が目標を誘導・強要しないことが重要です。社員の自己決定権を尊重することにより、目標達成に向けての意欲やモチベーションを向上させます。そのため、目標は社員自身が望む方向に設定することが大事です。
社員はそれぞれ異なる強みや能力を持っています。上司が個々の社員に適さない目標を誘導すると、目標の達成が難しくなります。目標は社員のスキルや経験などに基づいて自身で設定するべきです。
本人の意見に耳を傾ける
社員本人の意見を聴くことは、社員が仕事や目標に対する主観的な視点を理解する良い機会となります。MBO面談において、その視点を把握することにより、上司はより適切なサポートやフィードバックがしやすくなります。
また、面談中に社員の意見を重視し、耳を傾けることは、コミュニケーションの信頼性を向上させます。社員が自分の意見が尊重されていると感じると、率直な対話が促進され、より強い信頼関係が築かれます。
MBOには目標管理ツールを活用しよう
目標管理ツールとは、組織が目標設定や進捗管理を効果的に行うためのソフトウェアやアプリケーションを指します。これらのツールは、目標の明確化、進捗の可視化、情報の共有などをサポートし、MBOの実践を支援して、面談においても役立ちます。
目標管理ツールは、組織や部門ごとの社員が目標を明確に設定し、それを可視化するために効率的に使用できます。また、目標の進捗状況がリアルタイムで可視化されるため、効率的な進捗管理が可能となり、必要に応じて補正や調整ができます。
目標管理ツールは、情報の一元管理や可視化を効率的に行うため、活用することでMBO面談において上司と社員が同じ情報を共有しやすいです。そのため、目標設定や進捗に対する評価などの段階でも有効に利用できます。
目標管理ツールとは?メリット・デメリット、機能や選び方も解説
目標管理ツールとは、社内で設定している目標や進捗状況を管理・評価できるツールです。社員のモチベーション向上や業務効率化に繋がるとされ、多くの企業で導入しています。この記事では目標管理ツールのメリット・デメリットや機能、選び方を解説します。
まとめ
MBO面談は、組織の目標達成と社員の成長を促進する重要なプロセスです。この手法では、上司と社員が共同で明確な目標を設定し、定期的な評価が行われます。面談を通じて、適切なフィードバックが行われ、社員のモチベーションが向上します。
また、目標管理ツールを導入することにより、目標の明確な設定、進捗のリアルタイムな可視化、情報の迅速な共有ができます。これにより、MBO面談では客観的かつ具体的なデータを基にした評価ができ、社員と上司のコミュニケーションがより強化されます。
MBO面談の実施に当たっては、面談の目的や、評価を行うステップ、面談を行う際のポイントなどを把握し、目標管理ツールの活用も視野に入れて、効果的な面談を行いましょう。
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