コンテンツマーケティングで失敗する理由とは?段階ごとに解説

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  • コンテンツマーケティングは、運営体制が整っていないと計画段階で失敗してしまう
  • コンテンツを自社目線で制作していると、情報がわかりにくくユーザー離れが発生する
  • コンテンツマーケティングは長期的な運用が前提のため、短期間の成果には期待できない

コンテンツマーケティングは、コンテンツ発信によって自社の信頼度を高め、顧客との信頼構築につなげる手法ですが、準備不足や目的・目標を明確にしていない状態で運用すると失敗します。本記事では、コンテンツマーケティングの失敗を計画・制作・運用の段階ごとに解説します。

目次

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  1. コンテンツマーケティングで失敗する理由
  2. 計画におけるコンテンツマーケティングの失敗
  3. 制作におけるコンテンツマーケティングの失敗
  4. 運用におけるコンテンツマーケティングの失敗
  5. まとめ

コンテンツマーケティングで失敗する理由

コンテンツマーケティングとは、企業の情報発信(コンテンツ)を通じて、ユーザーとコミュニケーションを図るマーケティング手法です。目的には集客やブランディングなどが挙げられますが、主な目的はユーザーとの深い関係性を構築することです。

そのため、発信する情報は一方的な広告やセールスではなく、ユーザーにとって真に価値のある内容となります。ユーザーの関心を引き、継続的に有益な情報を提供することで、企業への信頼感を与えることができます。

ただし、コンテンツマーケティングは失敗してしまう例も少なくありません。計画・制作・運用のどの段階でも、失敗の原因が潜んでいます。本記事では、コンテンツマーケティングにおける、計画・制作・運用の各段階で考えられる失敗について詳しく解説します。

コンテンツマーケティングとは?メリット・デメリットや手順を解説

コンテンツマーケティングとは、価値のあるコンテンツを発信することで集客や購入へ繋げるマーケティング活動のことです。低コストで実施でき、作成したコンテンツは企業の資産になります。この記事では、コンテンツマーケティングのメリット・デメリットや手順などを解説します。

計画におけるコンテンツマーケティングの失敗

コンテンツマーケティングでは、計画の段階が最も重要と言っても過言ではありません。なぜなら、制作や運用の段階で失敗した場合、計画段階に原因がある場合が多いからです。ここでは、計画におけるコンテンツマーケティングの失敗について解説します。

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目的と目標が明確でない

コンテンツマーケティングを行う目的と目標が明確ではない場合、具体的な戦略が定まらず、コンテンツ制作が目的化してしまいます。よって、計画の段階で目的と目標を明確にし、成果につながるコンテンツを制作することが重要です。

明確化する方法としては、KGIとKPIの設定があります。KGIとは最終的な目標を指し、KPIとは最終的な目標を達成するための目標です。なお、数値化できない目標は効果測定が難しいため、どちらも数値化できることが求められます。

例えば、コンテンツマーケティングで、自社ブランドを知ってもらうためのWebサイトを立ち上げたとします。KGIを「1年後のブランド認知調査で1位を獲得」とした場合、KPIは「ブランド名による検索数」「コンテンツの高評価数」などが考えられるでしょう。

さらに、KGIとKPIの因果関係が適切かどうか、自社の状況に基づいて仮説検証を行うことが重要です。成功している他社のKGIとKPIを流用しても、自社とは因果関係が妥当ではないことがあるため注意しましょう。

ペルソナ設定が明確でない

ペルソナ設定とは、自社にとって理想的な顧客の人物像を明確にすることです。ペルソナ設定が不明確だと、制作したコンテンツに関心を示すユーザー層と、自社の商品・サービスを必要とする顧客層が一致しない可能性があります。

その結果、コンテンツに人が多く集まったとしても、成果につながりにくくなります。したがって、ペルソナ設定を明確にすることは、自社の商品・サービスを必要とする顧客層に対して、適切に有益なコンテンツを提供する際に重要となります。

ペルソナ設定では、最初にセグメンテーションとターゲティングを行います。具体的には、性別・年齢・年収・悩みなどの属性ごとに区分けし、その中から「20代〜30代で、年収200〜300万円の女性」のように、マーケティングの対象を定めます。

次に、ターゲットが商品の購入に至るまでに、どのような心理的な変化をするのか、購入の決め手は何かなどを明確にするため、さまざまな方法で情報収集を行います。情報収集の方法には、アンケート調査・ヒアリング・過去の購買行動調査などがあります。

このように、ペルソナを明確に定めることで、自社の商品・サービスを必要とする顧客に向けて、有益なコンテンツを提供することができます。

カスタマージャーニーを作成していない

カスタマージャーニーとは、ユーザーが自社の商品・サービスを知ってから、購入に至るまでの過程における、思考・感情の変化などを含めたものです。これはユーザーに対して、適切なタイミングで適切なコンテンツを提供する上で重要です。

例えば、自社の商品について購入を検討している段階の見込み顧客に、商品の基本情報を提供しても、「すでに知っている情報」であり、効果的ではありません。さらに、購入の決め手となる情報を提供できなかったことにより、購入をやめてしまうリスクにつながります。

そこで、カスタマージャーニーを作成し、視覚的にわかりやすくするために図で表現します。この作業をマッピングと言い、完成した図のことを「カスタマージャーニーマップ」と言います。作成方法は、以下の通りです。

  1. ペルソナを設定する
  2. 購買プロセスをステップに分ける(例:商品の認知→比較検討→購入→継続利用)
  3. 各ステップのタッチポイントを整理する
  4. 各ステップにおける意識・感情・体験を整理し、マッピングする

タッチポイントとは自社と顧客の接点のことです。例えば、SNSで初めて自社商品を知ったとします。この場合、「商品の認知」のステップにおけるタッチポイントは「SNS」になります。

運営体制が整っていない

コンテンツマーケティングの方法には、SNSのように簡単に始められるものもあります。しかし、どの方法を選択したとしても、成果を出そうとする分の作業量が増加するため、本業の片手間でできるものではありません

仮に本業と並行して作業させた場合、専門チームを組織する競合のコンテンツよりも、良質なコンテンツを作り続けるのは非常に困難です。そして、戦略性のない施策を続けても、いつまで経っても成果が上がらない状態を作りかねません。

したがって、効果的な施策を行う上では運営体制を整えておくことが大切です。運営体制を整えるとは、マーケティングの知識を持つ人員を確保し、役割を組織化することです。役割には、主に総括責任者・コンテンツ制作担当・アクセス解析担当などが挙げられます。

なお、社内で人員を確保できない場合や、社内に知識を持つ人がいない場合は、外注でコンテンツマーケティングの代行会社に依頼するのも1つの方法です。

予算を十分に確保できていない

コンテンツマーケティングで成果を出すためには、長期的な運用を行いながら運用体制を整えつつ、戦略性を持って施策していかなければいけません。しかし、そのためには十分な予算が必要であり、予算が不足した状態で良質なコンテンツを作り続けるのは困難です。

コンテンツマーケティングで必要となる費用には、人件費・制作費をはじめ、企画や打ち合わせにかかる費用、戦略や効果測定のためのデータ収集・分析にかかる費用が挙げられます。さらに、オウンドメディアの立ち上げでは、開発費や保守費用も必要です。

また、サーバー・ドメイン登録の費用、ツール・機材購入の費用、取材費用などが発生することもあります。よって、予算を十分に確保するためには、事前に綿密な計画を立てて、どの段階においてどれだけの費用がかかるのか、詳細に見積もらなければなりません。

予算の目安として、例えば、テキストのみのコンテンツを1ヶ月に5本制作するとします。記事制作における文字単価の相場から、1つのコンテンツ制作にかかる費用が2万円〜5万円とした場合、コンテンツ制作だけでも年間で120〜300万円の予算が必要です。

制作におけるコンテンツマーケティングの失敗

コンテンツ制作は、コンテンツマーケティングの要となります。そのため、ユーザーが求める情報のポイントを押さえておかなければ、成果に結びつけることは難しくなります。ここでは、制作におけるコンテンツマーケティングの失敗について解説します。

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コンテンツを自社目線で作成している

コンテンツマーケティングにおいて、消費者に提供するコンテンツはユーザー目線を意識したものでなければなりません。そして、ユーザーにとって関心の高いテーマを扱うだけではなく、内容がわかりやすく、情報が正確かつ公平性が保たれていることが大切です。

ユーザーのニーズに沿ったテーマでも、業界の人間にしかわからない専門用語の多用や、競合他社の評価を下げることにつながる内容などは、ユーザーが離れてしまう原因になります。

コンテンツが自社目線にならないようにするためには、制作上のガイドラインを策定するといった事前対策に加え、配信したコンテンツのモニタリングを行う事後対策も効果的です。

また、コンテンツのどの部分でユーザーが離脱しているかを知るためには、Webページの消費者行動を分析できるヒートマップツールが役立ちます

執筆者・編集者の知識と経験不足

コンテンツ制作では、特定のテーマや内容に関する知識があるだけでは不十分です。効果的な成果を上げるためには、主にSEO対策の知識が必要です。また、オウンドメディア上でコンテンツを配信する場合は、Webサイト運営の知識も求められます。

これらの知識・経験がないと、良質なコンテンツであるかどうかに関わらず、検索エンジンにおいて上位表示される可能性が低下してしまいます。例えば、SEO対策ではタイトルタグの付け方、キーワード対策を意識した見出しや文章などで工夫が必要です。

そして、SEO対策の現状を確認する場合は、アクセス解析ツールが役に立ちます。現状分析に基づき、必要に応じてコンテンツを改善するようにします。SEO対策は、ユーザーに自社のコンテンツを発見してもらう上で必要不可欠です。

また、SEO対策だけじゃなく、コンテンツマーケティングの目的達成を意識したコンテンツ制作も重要です。成果を得るための導線を作りつつ、ユーザーの行動を促進するようなコンテンツにしなければ、良質なコンテンツでも目的達成は難しくなります。

なお、成果を得るためのユーザーへの行動喚起は「CTA(コールトゥアクション)」と呼ばれます。具体的には、情報収集をしたいユーザーに向けて、「資料請求はこちら」「問い合わせはこちら」などのリンクを設置することです。

ネタ切れによって配信が滞っている

コンテンツマーケティングでは、コンテンツを定期的に配信し続けることが大切です。ネタ切れになって配信が滞ると、ユーザーが離れてしまうリスクにつながります。

配信するコンテンツは、ユーザーのニーズ・課題の解決に寄与するものでなければなりません。しかし、ユーザーと一括りに言っても、その中には潜在顧客だけでなく、見込み顧客や既存顧客も含まれており、一人ひとりニーズ・課題が異なります。

よって、ネタ切れを防ぐためには、それぞれの顧客の視点に立ったコンテンツを配信することが求められます。また、コンテンツのアイデアを収集する以下の方法を活用するのも、ネタ切れ防止に効果的です。

  1. 自社で扱う商品・サービスや業界の関連キーワードを調べる
  2. 商品・サービスに関連するニュースや話題など、トレンドを調べる
  3. キュレーションメディア・まとめサイトで、顧客ニーズに関連した情報を調べる
  4. 過去の問い合わせ内容から、顧客ニーズに関連するテーマを分析する
  5. Q&Aサイトで、自社で扱う商品・サービスに関する悩みを調べる
  6. 顧客ニーズから連想される単語や考えを書き出すマインドマップを作成する
  7. 既存顧客にインタビューを行い、購入に至るまでの思考や感情の変化を知る

質より量を重視してしまっている

コンテンツマーケティングにおいて、コンテンツの量が少ないと成果につなげるのは困難です。ただし、コンテンツの量を増やそうとするあまりに、コンテンツの質が低下してしまっては、期待通りの成果は得られません

また、SEO対策の観点からも良質なコンテンツを作ることが重要です。ユーザーにとって関心が高いこと・わかりやすいこと・情報が正確であることなどが、良質なコンテンツの条件となります。しかし、同じように競合他社も十分に配慮していることが考えられます。

そこで、競合他社よりも良質なコンテンツを制作するために大切となるのが、コンテンツのオリジナリティです。自社にしか提供できない情報・自社ならではの視点や切り口など、独自性の高いコンテンツでなければ、競合との差別化を図ることは難しくなります。

コンテンツに信頼性・独自性がない

オリジナルコンテンツを作る上で注意したいのが、信頼性です。独自のテーマを扱っても、情報の根拠が示せないと信頼を獲得できません。信頼性を支えるものとしては、権威性・専門性・経験の要素があります。

例えば、信頼性・独自性のあるコンテンツを作る方法には、自社で開催したセミナーの内容を記事化することが挙げられます。セミナーは業界の専門知識を提供する場であり、その内容や参加者とのやり取りは、独自性の高いコンテンツを生み出すきっかけになります。

参加者の質問やフィードバックなどをコンテンツに含めると、信頼性の根拠となる「経験」の要素を組み込むことも可能です。その他にも、イベントの記事化・自社で撮影した画像の掲載・専門家への取材なども、コンテンツの独自性を高める方法として効果的とされます。

運用におけるコンテンツマーケティングの失敗

コンテンツマーケティングを継続的な成果につなげていくためには、運用の仕方に問題がないか、定期的に見直すことが大切です。ここでは、運用におけるコンテンツマーケティングの失敗について解説します。

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PDCAを回していない

PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のサイクルを指し、コンテンツマーケティングにおいては、以下のようなサイクルが考えられます。

Plan(計画)KGI・KPIの設定・ペルソナ設定・方針や戦略の策定など
Do(実行)コンテンツ制作
Check(評価)KPIの測定・データ収集・分析など
Action(改善)測定や分析に基づく改善

上記のようなサイクルを回すことにより、コンテンツの問題点に対して迅速に対応できるようになり、成果へとつなげていくことが可能です。

特に、CheckとActionを行わないと、ユーザーにとっての不便さや不満を解決しないまま運営することになり、顧客離れや信頼性の低下につながる恐れがあります。

PDCAサイクルを上手く機能させるためには、Plan(計画)の段階で、KGI・KPIの設定やペルソナ設定などを明確化することが重要です。

マニュアル化・ルール化ができていない

コンテンツマーケティングの成果が出始めると、より良質なコンテンツを多く制作したり、活用するWebメディアを増やしたりといった、運営の拡大を試みることが考えられます。

ただし、事前にマニュアル化・ルール化ができていないと、運営拡大によって増えた人員の中で、コンテンツ制作上のルール・コンセプトなどが正確に共有できません。その結果、コンテンツの品質を一定に保てなくなるリスクが生じます。

関わる人員の誰しもが業務フローや品質基準を理解するためには、運営拡大よりも前からマニュアルを整備しておくことが重要です。

なお、すべての作業をマニュアル化するのは大変なため、マニュアル作成の目的を明確にし、目的を達成するためにマニュアル化すべき要点をまとめましょう。また、マニュアル作成が後回しにならないよう、作成スケジュールを決めておくことも大切です。

計画的に予算を使えていない

コンテンツマーケティングでは、予算を初期投資に使い過ぎる傾向があります。特に、オウンドメディアを立ち上げる際には、構築に費用をかけ過ぎてしまう失敗例が多く存在します。

コンテンツマーケティングでは、タッチポイントとなるメディアの選択や、ユーザービリティに優れたメディアを構築することも大切ですが、一番肝心なのはコンテンツです。

つまり、良質なコンテンツ制作・コンテンツを改善するための予算も十分に残しておかなければいけません。これらの予算が不足すると、魅力的なコンテンツでユーザーとの関係性を維持することができなくなります。

コンテンツマーケティングを行う目的が明確化していないだけでなく、綿密な計画を立てていないことが失敗につながってしまいます。なお、コンテンツマーケティングの初期段階では、計画時点で何をどこまで計画していいのかがわからないこともあります。

そこで、可能な限り情報収集をしながら、仮説的にでも目的・運用体制・予算などを明確にすることで、後々の方向性が定まりやすくなります。

上位表示することが目的になっている

コンテンツマーケティングにおいて、検索エンジンでの上位表示を意識したSEO対策を行うことは非常に重要です。しかし、検索エンジンからの評価ばかりを気にして、一番重要なユーザーへの理解をないがしろにすると、消費者から評価されなくなってしまいます

つまり、コンテンツ制作では対消費者への意識が大切であり、競合他社の真似ばかりするようでは品質が向上せず、オリジナリティの追及につながりません。

したがって、自社独自の強みを活かしながら、どのようにユーザーの悩みを解決できるかを追求することが求められます。上位表示を目的にするのではなく、消費者への価値提供に重きを置き、自然と上位表示につながるような施策を打ち出していきましょう

短期間で成果が出ず打ち切りになる

コンテンツマーケティングは、専門知識を持つ代行会社に依頼したとしても、成果が出るまでには半年〜1年以上の期間を要します。また、社内の人員で初めてコンテンツマーケティングを行う場合は、より長い期間を要する可能性が高くなります。

最初にユーザーが自発的にコンテンツを見つける必要があるため、自社で良質なコンテンツを用意しても、コンテンツがユーザーに認知されるようになるまでには、一定以上の時間がかかります。

このような特徴が社内共有されていない場合、「費用がかかる割には成果が出ない」と打ち切りになるリスクがあります。さらに、コンテンツマーケティングを始める以前に、稟議すら通らない可能性も考えられます。

社内での理解を得るためには、「コンテンツの滞在時間を伸ばす」ような、数値として見えやすい目標でスモールスタートするのがおすすめです。その他にも、他社の成功事例や有名企業の名前を出すことで、説得力を高めるのも良いでしょう。

まとめ

コンテンツマーケティングの失敗は、計画・制作・運用の3段階に分けて捉えることができます。計画は、成功を左右する最も根幹の部分です。目的が曖昧かつペルソナ設定をしてないと計画段階で失敗してしまい、制作・運用過程で失敗に気付く可能性が高くなります。

制作は、ユーザーから直接評価される部分です。自社目線になったり、質より量にこだわったりと、良質なコンテンツ制作に注力しなければ、成果を得ることは困難になります。また、運用もコンテンツマーケティングの継続・成果に関わる段階のため重要です。

本記事における失敗の原因を参考に、コンテンツマーケティングをより良いものにしましょう。特に、計画段階については、時間や人員が限られる中で軽視される傾向がありますが、成功のためには綿密な計画が推奨されます。

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