BtoBのコンテンツマーケティングとは|考え方や手法・手順を解説
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- BtoBでコンテンツマーケティングを行うことで、ユーザーと長期的な関係構築ができる
- コンテンツを作成・配信する際は、ユーザーファーストを念頭に置くことが重要
- BtoBのコンテンツマーケティングの手法には、コンテンツSEOやメルマガなどがある
BtoB企業には、ユーザーに役立つコンテンツを作成・配信するコンテンツマーケティングが適しています。本記事では、BtoBにコンテンツマーケティングがおすすめな理由や、BtoBにおけるコンテンツマーケティングの考え方、手法、手順などをわかりやすく解説します。
目次
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コンテンツマーケティングが急速に広まった理由
コンテンツマーケティングとは、有益なコンテンツの発信により、自社に興味関心を引きつけ、最終的に商品やサービスの購入へと結び付けていくマーケティング手法です。コンテンツマーケティング自体は昔からある手法ですが、近年急速に広まりを見せています。
広まりの背景には、インターネットの普及と顧客行動の変化があります。現代の消費者の多くは欲しいものがあると、自分でWebサイトやSNSを利用して情報収集し、自分のニーズに合ったものを見つけ、自ら購入行動を起こすようになってきました。
そのため、消費者は、企業からの商品を買わせるための広告に嫌悪感を示しつつあります。CMのスキップ・バナー広告の無視・メルマガの未読削除などの行動が一般的になり、広告の効果が限定的になる傾向が強くなってきました。
そのような中で、企業からの情報提供は、企業主体の伝えたい・知って欲しい情報ではなく、消費者主体の消費者が知りたい情報の提供が重視されるようになりました。それを実現するのが、コンテンツマーケティングです。
BtoBにコンテンツマーケティングが適している理由
コンテンツマーケティングは、企業を対象としたBtoBマーケティングに特に適したマーケティング手法だといわれています。ここでは、BtoBに適している理由を下記の3つの観点から解説します。
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BtoBにコンテンツマーケティングが適している理由
長期的な関係構築ができる
コンテンツマーケティングは、消費者の購買行動に直結する手法ではなく、購買に至る前に、自社に対する理解や興味関心を高めることを重視しています。そのため、購入決定までに長期間を要するBtoBビジネスには、コンテンツマーケティングが適しています。
一度コンタクトがとれれば、顧客の導入検討期間中にコンテンツマーケティングを行い、顧客の知りたい情報を届けることで、顧客との長期的な関係の構築も可能です。また、継続的な優良コンテンツの提供で、顧客が自ら相談にくる可能性も高まります。
複雑な製品やサービスの説明ができる
BtoBで取り扱う製品やサービスは、高い専門性を持つものや、多層的なサービス構造を持つものが多くあります。そのような製品やサービスに対しては、製品やサービスの特徴を顧客に上手く伝えることが重要です。
コンテンツマーケティングでは、複雑な構造を持つ製品やコンテンツでサービスを丁寧に説明でき、自社の専門性のアピールと信頼性の向上につなげられます。BtoBビジネスでは、専門性と信頼性の獲得が、継続的な契約にもつながる大変重要なポイントです。
コンテンツが資産として蓄積する
コンテンツマーケティングで利用したコンテンツは、Web上に蓄積されていきます。そのコンテンツがユーザーのニーズに合ったものであれば、企業にとって優良な資産となります。また、検索エンジンでも上位に表示され、リードの獲得にもつながります。
ただし、ニーズのなくなったコンテンツは、検索エンジンでも下位にランク付けされます。古い情報や間違った情報が載ったコンテンツは、かえって顧客の信頼を失う原因となるので、早期のリライトや削除が必要です。
BtoBにおけるコンテンツマーケティングの考え方
BtoBビジネスにおけるコンテンツマーケティングの考え方は、BtoCビジネスとは少し異なる部分があります。ここでは、BtoBでコンテンツマーケティングを行う場合に留意しておくべき2つのポイントを解説します。
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BtoBにおけるコンテンツマーケティングの考え方
ユーザーファーストで考える
BtoBビジネスに限りませんが、コンテンツマーケティングを行う際は、ユーザーファーストで考えることが重要です。コンテンツマーケティングは、ユーザーの興味関心に沿った情報を提供する、ユーザー主体のマーケティング手法であるためです。
すなわち、コンテンツマーケティングでは、企業が知ってほしい情報ではなく、ユーザーの知りたい情報の提供が重要ということです。ユーザーの知りたいコンテンツなら最後まで見てもらえますが、ニーズに合わないコンテンツは、見ている途中で離脱してしまいます。
したがって、コンテンツマーケティングを行うには、さまざまな方法で顧客のニーズや知りたい情報を把握することが大切になります。
コンテンツマーケティングの役割を理解する
個人消費者対象のBtoCビジネスであれば、個人の判断で購入できるので、比較的短期間で契約が成立します。しかし、BtoBビジネスでは、いくら優良な製品であっても、短期間で契約に至ることはほとんどありません。
それは、商品やサービスの単価が高いこともありますが、契約の決定権が商談を行う担当者個人にない場合が多いからです。最終的な決定は、他社の製品やサービスと比較検討しながら、複数人で行われるのが一般的です。
したがって、BtoBビジネスでは、自社が相手企業をリードと認識し、リードを育てるリードナーチャリングの過程が大変重要です。そこに大きく関わるのがコンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングは、商談から契約への橋渡しになります。
BtoBにおけるコンテンツマーケティングの手法例
BtoBビジネスでコンテンツマーケティングを行う際の手法は数多くあります。それぞれに特徴があり、シーンに応じて効果的な手法を用いるのがおすすめです。また、いくつかの手法を同時に実施する場合もあります。ここでは、代表的な手法について解説します。
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コンテンツSE
コンテンツSEOでは、良質なコンテンツを継続的に発信・蓄積することで、検索エンジンの上位表示を狙います。現在使われているGoogleやYahoo!などの検索エンジンでは、良質なコンテンツほど高く評価され、検索結果の上位表示されるように設計されています。
検索エンジンを利用するユーザーは、上位に表示されたコンテンツから見ていく傾向が強く、上位表示されるほど多くのユーザーの訪問が見込めます。ユーザーが自社のWebコンテンツを見てくれれば、ユーザーのWeb上の動きからニーズの把握が可能になります。
コンテンツSEOに適したコンテンツの基本は、適切な検索キーワードを選んでユーザーが求めているものに沿ったコンテンツにすることです。ただしそれだけでは上位表示は難しく、タイトルタグや見出しタグの適正な設定、画像の挿入なども重要なポイントになります。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、読み物コンテンツのことです。BtoBビジネスにおいて、見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)や、見込み顧客の育成(リードナーチャリング)のための有効な手段となっています。
自社のWebサイトを訪れた企業は、少なくとも自社の製品やサービスに関心を持っています。そのような企業に対して、より価値の高い資料をダウンロードできる状態で提供すると同時に、企業名やメールアドレスなどを取得し、リードを獲得します。
メルマガ
企業情報が取得でき、リードの獲得ができたら次に行うのは、リードナーチャリングです。そこでよく行われるのが、メルマガの配信です。定期的に配信することで、継続的な関係を築くことが可能で、既存顧客の維持にも有効です。
BtoBビジネスのメルマガは、確実にその企業のニーズに合ったものでなくてはなりません。ニーズに合わないメルマガは読まれないばかりか、メール自体が未開封のまま削除され、リード離れの原因にもなります。そのため、メルマガの定期的な効果測定が必要です。
事例マーケティング
事例マーケティングとは、自社の製品やサービスを導入して成果を上げている企業を紹介するコンテンツを作成する手法です。導入を考えている企業に、自社の製品やサービスを具体的にイメージさせ、親近感を持たせることができます。
特に、課題解決のために製品やサービスの新規導入を考えている企業では、課題解決をどのように進めていくか不安を感じている場合が多くあります。そのような場合、実際に導入した企業で得られた効果や生の声は、導入不安の払拭に役立ちます。
ウェビナーマーケティング
インターネット上で行うウェビナー(Webセミナー)を利用したマーケティングは、リードナーチャリング施策としてよく行われています。特に、ライブ配信のウェビナーは双方向のコミュニケーションが可能で、顧客との関係性の強化にもつながるため効果的です。
また、対面型セミナーの参加企業は近隣に限られますが、ウェビナーでは全国から参加が可能で、全国的な事業展開のきっかけにもなります。多くのウェビナーは登録制で、相手側の企業情報なども取得でき、視聴後のアンケートなどのアフターフォローも可能です。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアとは、インターネットを介して情報を発信したり交流したりするメディアの総称です。ブログ・SNS・動画共有サイトなど多くの媒体があります。ソーシャルメディアは、BtoBビジネスでもコンテンツマーケティングとしてよく利用されています。
企業は、ソーシャルメディアを利用することで、自社商品・サービスの認知度やブランドイメージの向上が期待できます。さらに、SNSなどでは顧客自身も情報発信が可能なため、自社のファンを活用する「ファンマーケティング」も行いやすくなります。
プレスリリース
現状では、BtoCビジネスでのプレスリリースマーケティングは進んでいますが、BtoBビジネスではあまり活用されていません。しかし、業界雑誌などの特定分野・業界のみを扱うメディアも多くあり、さまざまなコンテンツマーケティングが行えます。
最近では、プレスリリースはメディア向けだけでなく、インターネット上で発表することで、直接リードに情報を届けられるようになっています。プレスリリースを見たリードは自社を認知することになり、問い合わせもしやすくなります。
BtoBにおけるコンテンツマーケティングの手順
BtoBにおけるコンテンツマーケティングを効果的に行うには、計画的に手順を踏んで行うことが大切です。手順は企業によって異なりますが、ここでは一般的に行われている手順について解説します。
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BtoBにおけるコンテンツマーケティングの手順
自社の課題と目的を明確にする
コンテンツマーケティングに入る前に、自社の課題とコンテンツマーケティングを行う目的を明確にすることが重要です。たとえば、コンテンツマーケティングの目的が、リード獲得やリード育成なのか、顧客の維持なのかで、実施する施策は大きく変わります。
また、扱う商品やサービスによっても、コンテンツマーケティングの手法やコンテンツ内容が異なります。そのため、課題・目標・商材に合わせた適切なコンテンツ戦略の立案が重要です。
ペルソナを設定する
ペルソナとは、自社の商品やサービスを活用してくれそうな企業像のことで、コンテンツマーケティングにおいてペルソナの設定は非常に重要です。そのために、顧客の企業規模・業種などの基本情報の他に、顧客のニーズや課題についての把握が必要です。
解像度の高い具体的なペルソナの設定ができれば、配信するコンテンツの的を絞り、質の高いものにできます。コンテンツマーケティングでは、配信したコンテンツを見てもらうことから始まるので、ペルソナに応じたコンテンツの作成が成功の鍵となります。
カスタマージャーニーを作成する
カスタマージャーニーとは、リードの行動や思考・感情の変化を時系列順にまとめたもので、商品やサービスの購入に至るまでのプロセスの可視化が図れます。それにより、どのフェーズでどのようなコンテンツマーケティングが最適かを判断できるようになります。
また、カスタマージャーニーを作成する場合には、競合他社の想定されるアクションも考慮した上で、自社のアクションを設定していく必要があります。
BtoBビジネスでは、契約に至るまでに、キーパーソンとなる人が複数存在する場合が多いです。そのため、カスタマージャーニーを作成して、各フェーズのキーパーソンに合ったアクションを起こすことが大切になります。
適切なコンテンツ内容とタッチポイントを選ぶ
タッチポイントとは、顧客と企業の接点のことをいいます。インターネットの普及でBtoBビジネスにおけるタッチポイントも多様化しています。タッチポイントは、認知・情報収集・比較・検討・購入・購入後など多くのフェーズに存在します。
それらのタッチポイントと、マーケティングの全体像を把握するためには、上記で述べたカスタマージャーニーの作成が効果的です。そして、他のマーケティング手法との関連性も考慮しながら、そのタッチポイントに適合したコンテンツの作成が重要になります。
コンテンツ制作の際は「CTA」や「回遊」も意識する
各コンテンツでは、顧客への有益な情報提供だけでなく、自社の利益に繋がるような行動を喚起することも大切です。
CTA(Call To Action)はこの行動喚起のことで、購買や契約のプロセスへと顧客を導くために、申し込みフォームや資料ダウンロードなどに誘導することを言います。リンクやボタンを設置することで実現できます。
また、Webサイト内で他のコンテンツに誘導して「回遊」させるのも有効です。関連するコンテンツを続けて見てもらうことで顧客の理解も深まり、充実した情報が提供されるという点で自社に対する信頼度も高まります。
KGIとKPIを設定する
コンテンツマーケティングが自社の課題解決にきちんと繋がっているかを確認するためには、事前にKGIとKPIを設定しておくことが重要です。KGI(Key Goal Indicator)は最終目標、KPI(Key Performance Indicators)は中間目標です。
BtoBのコンテンツマーケティングにおけるKGI・KPIには以下のような指標が挙げられます。これらの例をもとに、商材やサービス、事業形態にあった指標を設定しましょう。
【KGIの例】
- 問い合わせ数
- 資料請求数
- メルマガ登録数
- セミナー申込数
- 有効商談数
- コンバージョン率
【KPIの例】
- コンテンツ数
- 検索順位
- PV数
- セッション数
- エンゲージメント率
コンテンツの成果を測る
コンテンツマーケティングは継続的に行うことが重要で、施策として実行した後、ある程度の期間で効果測定を行うことが大切です。そして、測定の結果をもとに常に改善を図ります。非効率なコンテンツマーケティングを行っても費用対効果が上がりません。
コンテンツの成果を測るために、短期で評価できる明確な指標を設定し、PDCAを速やかに回して改善を図ることが大切です。
BtoBにおけるコンテンツマーケティングの注意点
BtoBビジネスに効果的なコンテンツマーケティングですが、運用するためにはいくつかの注意点があります。ここでは特に重要な下記の2点について解説します。
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BtoBにおけるコンテンツマーケティングの注意点
短期的な視点で判断しない
コンテンツマーケティングは、企業の収益に直結するマーケティング手法ではなく、施策の実行から成果が出るまでに数カ月以上かかります。したがって、契約まで一気に至らない、BtoBビジネスに適しているともいわれています。
また、成果が上がる前にコンテンツの配信を止めてしまうと、それまでの努力が無駄になってしまいます。したがって、短期的な視点で成果の有無を判断せず、改善しながら継続することが大切です。
継続できる仕組みを整える
コンテンツマーケティングへの理解が不足している企業では、なかなか成果が見えないために、途中で中止が決定されてしまう場合があります。そのようなことをなくすためにも、企業内にコンテンツマーケティングを認知させる作業は重要です。
また、コンテンツマーケティングには工数がかかるので、人員を確保して体制を整えることは継続のために必須です。コンテンツ制作やSEO対策、コンテンツ評価のためのデータ収集や分析などを効率的に行うためのツールの導入も重要です。
まとめ
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに役立つコンテンツを作成・配信するマーケッティング手法で、契約に長期間を要するBtoBビジネスに適しています。しかし、リード獲得から契約まで長期で行うため、収益につながる短期的な成果は出にくい手法です。
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツは、ユーザーファーストでユーザーの欲しい情報でなくてはなりません。そして、その手法にはコンテンツSEOやメルマガ配信・ウェビナーなど数多くあり、その時々で適切な手法を選択して実施することが大切です。
長期的な取り組みは必要になるものの、適切なやり方で継続して行うことで結果的には大きな成果をもたらすことが期待できます。体制をしっかり整えて、コンテンツマーケティングに臨みましょう。
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