動画配信の仕組みとは?種類や違い、メリット・デメリットも解説
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- 動画配信の方法には、ライブ配信・疑似ライブ配信・オンデマンド配信の3種類がある
- 企業で動画配信を行う場合は、無料のプラットフォームより動画配信システムがおすすめ
- 動画配信システムは、無料のプラットフォームと比較して、セキュリティや機能性が高い
動画配信は、配信サーバーやインターネット回線を利用して、映像や音声を配信する仕組みです。本記事では、動画配信方法の種類や、それぞれのメリット・デメリットを解説する他、企業向けの動画配信プラットフォームとして動画配信システムがおすすめの理由も紹介します。
動画配信の仕組み
動画配信とは、インターネットを介して映像と音声を視聴者に届ける仕組みを指します。映画・ドラマ・アニメなどの動画を配信する動画配信サービスや、一般の人が投稿した動画を不特定多数に配信するサービスなどで広く活用されています。
動画配信は、配信する動画自体を収益化するサービスのほかにも、企業の従業員研修活動やウェビナー(ウェブセミナー)などの販売促進活動、学校でのオンライン講座の開催など、収益を上げるための手段としても活用されています。
しかし、大きなファイルサイズを持つ動画の配信は、配信サーバーやインターネット回線に大きな負担をかけます。したがって、動画配信を行うには、ファイルの圧縮技術と高速通信が必要になるとともに、視聴者が使うさまざまなデバイスに対応しなければなりません。
視聴者の視聴ストレスの軽減も、動画配信の重要なポイントです。近年では、動画ファイルをダウンロードしてから視聴するダウンロード式から、ダウンロードしながら動画視聴ができるストリーミング式の配信が主流となっています。
動画配信の種類と違い
動画を配信する方法には、大きく分けてライブ配信・疑似ライブ配信・オンデマンド配信の3種類があります。それぞれの配信方法にメリット・デメリットがあり、活用シーンに合わせて選択する必要があります。ここでは、3種類の配信方法について解説します。
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ライブ配信
ライブ配信は、撮影と同時に映像データを、順次ストリーミング配信用に変換(エンコード)していき、リアルタイムで視聴者に動画を届ける方法です。「インターネット生放送」や「インターネット生中継」とも呼ばれています。
ライブ配信は、臨場感のあるリアルタイム配信ができ、コンサートやスポーツなどの配信に用いられます。また、配信者と視聴者がコミュニケーションを図れることを活かし、リードの獲得や顧客のアップセル・クロスセルが狙えるウェビナーなどに利用されています。
ライブ配信のメリット
ライブ配信の最大のメリットは、視聴者に最新情報を届けられること、双方向の情報交換ができることです。たとえば、セミナーや講演会の生配信では、視聴者と講師の間で質疑応答ができるので、人を集めた場合と同じ感覚のセミナーや講演会の開催ができます。
また、投票機能があれば、多数決を行うことも可能です。この機能は、Web会議や株主総会などにも利用されています。また、スポーツの試合やコンサートなどの生配信での収益化や、投げ銭機能があれば視聴者から寄付を集めることも可能です。
コンテンツを事前に撮影したり編集したりする必要がないため、手間をかけずに手軽に配信できるのもメリットです。
ライブ配信のデメリット
ライブ配信は開始時間が決められているため、その時刻に視聴できる人のみ視聴できる配信方法です。また、開始時刻を過ぎた場合は、その時点からの視聴となり、巻き戻しも早送りもできません。
ライブ配信は、配信機器やインターネットのトラブルで映像が止まったり音声が乱れたりする場合もあり、場合によっては配信中止の事態も起こり得ます。視聴者側の機器や通信トラブルも同様です。配信前に機器トラブルが起こらないように細心のチェックが必要です。
疑似ライブ配信
疑似ライブ配信は、事前に録画・編集されたコンテンツを決められた時刻に配信する方法です。視聴者からの質問に対して、出演者が生で答えることはできませんが、チャットなどを利用すれば、配信中にリアルタイムな質疑応答ができます。
コンテンツは録画なので、撮り直しや編集も可能です。質の高いコンテンツを作成でき、生配信に比べて出演者にかかる精神的な負担の軽減にもなります。また、配信当日のスタッフは少人数で対応できるため、最近ではウェビナーでもよく使われる手法です。
疑似ライブ配信のメリット
疑似ライブ配信は録画されたコンテンツなので、同じ内容のものを繰り返し配信できます。したがって、会社説明会用の動画や商品説明などのウェビナーなど、繰り返し使えるものであれば、より多くの対象者に閲覧してもらうことが可能です。
また、疑似ライブ配信では、録画後に画像や音声を確認してから配信するので、高品質なコンテンツの配信が可能です。配信時に利用する機器も少ないため、ライブ配信に比べて機器トラブルが起こりにくい配信方法です。
疑似ライブ配信のデメリット
疑似ライブ配信ではライブ配信と同様に、定刻に始まり早送りや巻き戻しはできません。また、ライブ配信に比べて速報性が劣り、速報性を出したい場合には、録画日時と配信日時の間隔をできる限り短くするなどの工夫が必要です。
また、事前準備に時間と人手がかかるのもデメリットです。動画の撮り直しや編集の必要がなければライブ配信と変わりませんが、通常はこれらの手間をかけて高いコンテンツの完成を目指します。したがって、配信前にはある程度の時間と人手が必要です。
オンデマンド配信
オンデマンド配信は、動画コンテンツをあらかじめサーバーに保存しておき、視聴者の好きなタイミングで視聴できる配信方法です。疑似ライブ配信と同じように、事前に録画されたコンテンツのため、質の高い動画の配信が可能です。
いつでも・どこでも視聴できるため、企業の社内研修や大学のオンライン授業などで活用されています。また、有料動画配信もオンデマンド配信で行われています。ライブ配信の映像を保存し、配信後も視聴できるアーカイブ配信も、オンデマンド配信の一種です。
オンデマンド配信には、ダウンロードしながら視聴できるストリーミング配信と、ダウンロードを完了してから視聴できるダウンロード配信があります。最近では、視聴したい動画を選択してすぐ視聴できる、ストリーミング配信が一般的になっています。
オンデマンド配信のメリット
疑似ライブ配信と同様に、オンデマンド配信は、事前に録画されたものをサーバーに保管しておき、視聴者が見たい動画を選択して視聴できる配信方法です。疑似ライブ配信との違いは、視聴者のタイミングで何度も視聴でき、早送りや巻き戻しができる点です。
録画された動画配信のため、撮り直しや編集で高品質なコンテンツの配信が可能です。動画販売の多くはオンデマンド配信ですが、一般企業でも取引先への商品やサービスの紹介や、メールに動画のリンクを貼り付けて視聴してもらうなど、幅広い活用方法が考えられます。
オンデマンド配信のデメリット
デメリットとしては、視聴者とのコミュニケーションが図れないことが挙げられます。したがって、リアルタイムでアンケートの実施や質疑応答を行いたい場合には、ライブ配信や疑似ライブ配信が適しています。
また、情報の速報性に欠けるので、変化の激しい情報を含んだ動画は、アップロードしても短期間で削除する場合もあります。一方、長期間の利用が見込まれる製品のマニュアル的な動画は、その製品のユーザーに喜ばれます。
動画配信システムとその仕組み
動画配信システムとは、インターネットを介して社内外に動画を配信するためのシステムのことです。企業では、研修やマニュアル動画の配信や動画販売サイトの構築などに利用され、学校ではオンライン講座の配信などに利用されています。
ここでは、作成した動画が動画配信システムの中で、どのような手順を踏んで視聴者に届けられるかを解説します。
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動画配信システムとその仕組み
動画アップロードとエンコード
動画配信の第一歩は、完成した動画をサーバーに転送するアップロードです。しかし、動画のファイル形式には、MP4・AVI・FLV・MOV・WMVなど数多くの種類があり、それぞれ特徴があります。活用シーンに合わせたファイル形式が必要です。
動画ファイルは、1秒間に何十枚もの静止画像を切り替えて、スムーズな動きを表現しています。そのため、ファイルサイズは大きく、そのままの転送はストレージの圧迫や、転送の時間が長くなることにつながります。そのため、ファイルのエンコードが必要です。
エンコードとは、動画ファイルの圧縮とともに、ファイル形式・ビットレート・解像度などを変換して、ユーザーが視聴可能なファイルに変換する作業のことです。不特定の視聴者への動画配信では、全ての視聴者の端末でスムーズな動画が見えるエンコードが必要です。
ストレージへの保管と配信準備
エンコードにより、さまざまな視聴環境に対応できるようにした動画ファイルは、ストレージサーバーで保存され、配信準備が完了します。ストレージサーバーは、ファイルを保存・共有・管理するためのサーバーで、大容量で高度な検索機能や管理機能を備えています。
しかし、大量の動画ファイルの保存には、より大容量のストレージサーバーが必要です。ストレージサーバーは、保存したい動画ファイルのサイズや量に合わせた選択が必要です。
通信プロトコルによる動画配信
動画配信には、通信に適した通信プロトコルを使用することが重要です。通信プロトコルとは、ネットワーク上の機器同士がデータをやり取りするときの約束事や手順のことです。
多くの種類があり、用途に応じたプロトコルを選択して、ストレージサーバーから配信されます。
視聴と視聴ログの取得
視聴者が動画を閲覧したさまざまな記録をログとして残しておくと、後々の視聴者や動画の評価や分析に役立ちます。ログには、いつ・誰が・どのコンテンツを・どの程度視聴したかなど多くのデータが記録されます。
それらのログを解析すれば、視聴した個人の特定・動画の人気分野・顧客のニーズや関心度などがわかります。そして、研修や教育で個人的なフォローができたり、顧客の購買意欲を高めるようなアプローチができたりするなど、さまざまな活用ができます。
企業の動画配信には有料の動画配信システムがおすすめ
YouTubeなどの簡単に動画のアップロードができる無料動画配信サービスは、一般層から高い人気を得ています。しかし、これらのサービスは、企業が従業員や顧客と動画コンテンツを共有する際には、セキュリティと機能面で問題が残ります。
そのため、企業が動画配信を利用する場合は、有料の動画配信システムがおすすめです。自社のプライバシーポリシーに基づいた強力なセキュリティ対策と、視聴者を限定することで、企業機密を含む動画コンテンツの社内共有ができるようになります。
また、会員限定のセミナー動画の配信や製品やサービスの説明動画を配信することで、リードや顧客の獲得から顧客のアップセルやクロスセルまで狙え、自社の収益の拡大につなげることもできます。
【タイプ別】動画配信システムの選び方
企業が動画配信を行うには有料の動画配信システムがおすすめであると述べましたが、そのためにはまずどういった動画配信システムを選択するかが重要です。現在何十種類にも及ぶ動画配信システムが存在し、その中で自社に合うシステムを選ぶのは難しいでしょう。
実は動画配信システムは大きく分けて3つの種類に分けられるため、まずは選択肢を絞ることから始めます。自社でどういった動画を配信したいのかを、タイプ別にチェックしていきましょう。
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【タイプ別】動画配信システムの選び方
ソリューション提供タイプ
ソリューション提供タイプは、動画配信システムの導入や構築、撮影、編集、運用まで幅広く対応できるサービスです。動画配信の知識がない、または人材や手間をかける余裕がない場合は、このオールインワンで対応できるソリューション型が向いています。
また、動画配信だけでなく、申込フォームの作成やメールの配信、視聴ログの分析まで、動画配信に関するさまざまな機能にも対応しており、使い勝手に優れています。
具体的なサービスとしては、「ネクプロ」「necfru」「メガDOGA」「ULIZA」「Communications Studio」「ソーシャルキャスト」などがあります。ユーザー数・料金・動画保存量・データ転送量など、それぞれ比較しながら検討しましょう。
ポータルサイト構築型タイプ
ポータルサイト構築型タイプは、ただ動画を配信するだけではなく、1つのコミュニケーションツールとして活用するために、ポータルサイトの構築が可能なサービスです。社内研修やノウハウを共有したい企業におすすめです。
例えば、研修時に動画視聴後に行うアンケートやテストで理解度を測ったり、スライド資料と連携させて配信できたりするなど、提供するサービスによってさまざまな強みがあります。なかには最短1分程度で構築が完了するサービスも存在します。
具体的なサービスとしては、「OneStream」「Marketing Studio」「ビジュアモール ムービーライブラリ」「millvi(ミルビィ)」「Kaltura」などがあります。自社の動画配信の目的や必要な機能を明確にするところから始めましょう。
配信特化型タイプ
配信特化型タイプは、専門知識が不要で配信のみに特化しており、機能もシンプルで使いやすいサービスです。取引先や会員限定のセミナー動画、教育機関で使用する学習用の動画、トップメッセージ動画で活用したい企業におすすめです。
多くの機能を必要としないため、コストも抑えることができます。サービスによっては遅延をほとんど感じないライブ配信が可能だったり、閲覧制御機能によってセキュリティ面が保証されたりします。
具体的なサービスとしては、「SmartSTREAM」「P-stream」「MOOGA PLUS」「OneStream」「ビジュアモール ムービーライブラリ」などがあります。大手企業が提供するサービスが多いため、安心して利用できるでしょう。
おすすめの動画配信システム10選|選び方や導入手順を詳しく解説
動画配信システムとは、社内外に向けて簡単に動画コンテンツを編集・配信できるシステムです。本記事では、動画配信システムを導入する際の重要なポイントと比較ポイントを解説し、おすすめの動画配信システムとその選び方、導入時の注意点を紹介します。
まとめ
動画配信は、配信サーバーやインターネット回線を利用して、映像や音声を配信する仕組みです。しかし、ファイルサイズの大きな動画配信には、ファイルを圧縮しさまざまなデバイスで視聴できる環境を作りや、用途に応じた配信方法の選択をしなくてはなりません。
動画配信では、無料で気軽に使えるプラットフォームもあります。しかし、企業が動画配信を行う場合は、しっかりとしたセキュリティ対策ができ、効果的に活用できる多くの機能を搭載した動画配信システムがおすすめです。
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