新卒採用とは?中途採用との違いやメリット・デメリットを解説
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- 新卒採用とは、社会での就業経験がない、学校卒業見込みの学生を採用する手法のこと
- 新卒採用は組織の活性化につながるが、教育にコストや時間がかかるといった側面もある
- 企業文化の継承を重視する企業や、まとまった人数を採用したい企業には新卒採用が有効
新卒採用とは、学校卒業見込みの学生を採用する採用手法のことです。日本では従来から新卒一括採用が主流でしたが、その手法にはメリット・デメリットがあります。本記事では、新卒採用に向いている企業の特徴や採用の流れと成功させるポイント、注意点も解説します。
新卒採用とは
新卒採用とは、新卒者である高校卒業生や大学卒業見込みの学生を、卒業・修了年度の春から秋にかけて採用する方法です。主にその年に学校を卒業したばかりの人材を対象とし、アルバイトを除き、初めて社会で働く人々が新卒に該当します。
一般的な新卒採用のスケジュールは、学生が卒業後の4月に入社することを目指し、前年の春から秋にかけて選考を行います。学生は卒業前に内定を受ければ、卒業後に入社・就業します。新卒採用の特徴は、毎年同じ時期に一括して大量の新卒者を採用することです。
日本では従来からこのような新卒一括採用が主流ですが、いくつかのメリット・デメリットがあります。
新卒採用と中途採用の違い
中途採用とは、新卒採用と異なり社会人経験者を採用する方法です。すでに社会人として働いた経験があり、学校を卒業してから3年以上が経過した人の採用は中途採用となります。
新卒採用では、学生が学校を卒業するタイミングに一括採用が行われますが、中途採用は企業の採用ニーズに応じて随時行われ、求人が発生した際に実施されます。新卒採用と中途採用の違いは、対象者の社会経験・業務スキル・採用タイミングにあります。
新卒採用は未経験者を主に対象とし、中途採用は社会経験者をターゲットとしている点が大きな違いです。
新卒採用のメリット
新卒採用を行うことには、採用スケジュールを立てやすい・優秀な人材を獲得しやすいといった多くのメリットがあります。ここからは、新卒採用を行うメリットについて詳しく解説します。
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新卒採用のメリット
採用・育成スケジュールを立てやすい
新卒採用は中途採用と比較して、採用・育成スケジュールを立てやすい特徴があります。基本的に、新卒採用では採用のスケジュールが明確に定められています。
たとえば、広報活動は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降から始まり、選考活動は6月1日以降、内定出しは10月1日以降といった流れが一般的です。
そのため、ゴールから逆算して計画的に準備を進めることができます。都度採用活動を行う中途採用と比べ、計画的な採用活動を行えるのがメリットです。
優秀な人材を獲得しやすい
企業・仕事への安定感を求める優秀な人材は、中途採用市場に少ない傾向にあるため、新卒採用では優秀な人材を引き寄せやすいです。多くの企業が参入する新卒採用市場は人材の幅が広く、知名度の低い企業でも多くの学生が志望することがあります。
そのため、優秀な人材を獲得できるチャンスが広がります。また、社会人としての経験が浅い新卒者の中には、隠れた才能を持っている人材も多くいることから、採用担当者や経営者における未来の企業に貢献する優秀な人材を見つけ出す能力も重要です。
企業PRとしても活用できる
新卒者は企業のポテンシャルを数多くの企業の中から見極めるため、成長機会や働きやすい環境に惹かれることが多いです。
つまり、企業にとっても新卒の採用活動は、広く多くの学生に企業のPRを行う絶好の機会であり、自身の魅力を全面にアピールできるため、企業の知名度向上にも期待できます。
1人あたりの採用コストを抑えられる
中途採用では、採用のタイミング・入社時期・研修スケジュールを個別で設定する必要がありますが、新卒採用ではこれらを一括して同時並行で進められます。
たとえば、100人が同じタイミングで入社する場合、100人をまとめて同時に研修の実施ができるため、研修コストや人員配置の効率を向上できます。そして、1人あたりの採用コストを抑制することが可能です。
また、同期入社の新卒者たちは周りと差を感じにくく共に成長するため、結束感が生まれやすい環境を作り出せます。グループでの協力が社内のコミュニケーションを促進し、企業の成長に貢献することにもつながるでしょう。
組織全体の活性化に貢献する
新卒採用の社員が入社することによって、既存の社員は新しいアイデアや視点に触れ、新鮮な刺激を受けやすくなります。また、以前の新卒者が教育担当になることで、指導する側も成長し、マネジメント力が向上します。
こういった相互の成長が組織全体に活気をもたらします。さまざまな世代のメンバーが協力関係を築くことで、企業は柔軟性や創造性を高めつつ、変化に適応しやすい環境を作り上げることができます。そして、組織全体の活性化にも貢献します。
企業理念や社風を浸透させやすい
新卒採用は、企業理念や社風を浸透させやすい点もメリットです。中途採用者の場合、前職の経験や考え方が形成されており、新しい企業のカルチャーに馴染むまでに時間がかかることがあります。
対して新卒採用者は、初めての社会人経験となるため、企業に対する新鮮な考えが芽生えやすいです。つまり、新卒者は他の企業における社会環境に慣れておらず、入社初期に企業が大切にしている目標・理念・社風などを受け入れやすい傾向があります。
新卒採用のデメリット
新卒採用には多くのメリットがありますが、コストや手間がかかるなどのデメリットもいくつか存在します。ここからは、新卒採用のデメリットについて詳しく解説します。
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新卒採用のデメリット
入社までのフローが長くなりやすい
新卒採用のデメリットは、入社までのフローが長くなりやすいことです。新卒採用は、卒業・修了年度に向けて数ヶ月から1年以上前から募集が始まります。さらに、内定後から入社までには、約半年から1年の期間がかかることが一般的です。
この長い期間は、採用業務全体が煩雑になり、採用担当者にとっては大きな負担となります。具体的には、応募者とのコミュニケーションや内定者のフォロー、必要な手続きなどが長期にわたっておこなわれます。
教育にコストや手間、時間がかかる
新卒者は仕事の未経験者が多く、業務知識や社会人としての基本的なスキルを身につけていない場合が多いため、入社後にしっかりと教育する必要があります。
そして、新卒者は基礎から教育する必要があることから、研修プログラムやマニュアルの作成、外部講師の選任などが必要です。教育期間は数週間から数ヶ月にわたり、大きなコスト・手間・時間がかかることがあります。
対して、中途採用の場合は社会経験があり、一般的な業務をこなせる即戦力として期待できるため、教育にかかるコストを比較的低く抑えられます。
ミスマッチが起こりやすい
新卒採用のデメリットは、ミスマッチが起こりやすいことです。新卒者は就労経験がほとんどないため、実際の仕事内容や職場環境についての理解が不十分なまま、入社することが多いです。
その結果、従業員・企業間における期待と実態のギャップを生み出し、早期離職のリスクを高める可能性があります。特に、学生は自ら必要な情報を引き出す機会が少ないため、企業側から積極的に企業情報を伝えることが重要です。
質問を待つのではなく、企業側から仕事や職場の魅力、期待されるスキルや価値観などを明確に伝えることで、学生が入社前に企業への正確なイメージを抱くことができ、ミスマッチの防止につながります。
景気に左右されやすい
新卒採用は、景気に左右されやすいデメリットがあります。たとえば、景気が好調な時期には求職者数が求人数を上回ります。この際は、大手企業に多くの学生が応募するため、中小企業において優秀な新卒者を獲得することが難しくなります。
つまり、好景気の状況では求人が多く採用競争が激しくなり、中小企業は有望な新卒者を採用するのに苦労しやすいでしょう。また、企業が求める人材と新卒者の志向が合致しづらくなり、企業と新卒者とのミスマッチが生じやすいのもデメリットです。
このような状況では、企業は採用難の課題に直面し、人材採用が難しくなる傾向にあります。
新卒採用に向いている企業
新卒採用にはさまざまなメリット・デメリットがありますが、新卒採用を行う際には向いている企業独自の特徴があります。ここでは、新卒採用に向いている企業の特徴を詳しく解説します。
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新卒採用に向いている企業
企業文化の継承を重視する企業
企業文化の継承を重視する企業は、新卒採用が向いています。なぜなら、新卒者は社会人として未経験かつ吸収しやすく、企業のカルチャーを受け入れやすいからです。
中途採用者の場合、すでに他の企業で培った経験や価値観を持ち込みやすいですが、新卒者は社会人の第一歩として、企業での働き方や価値観を身につける初期段階にあります。
よって、若手社員が早い段階から企業の文化を理解・共有することで、組織は一体感を持ちながら協調性を高めることができるでしょう。
事業拡大に力を入れたい企業
事業拡大に力を入れたい企業にとって、新卒採用は重要な鍵となります。特に、人数的なメリットが大きく、多くの新卒者を採用することで、事業拡大に向けた急激な業務量の増加にも対応しやすくなります。
新卒者は柔軟かつ積極的に学びながら成長する可能性が高く、内面的にも既存の業務内容や文化を吸収しやすいです。社会人としての責任感・意識を高めつつ、前向きな姿勢で企業の手法や価値観を素早く取り入れようとする傾向があります。
こういった向上心をまとめて力に変えることにより、事業拡大をスムーズに進めることができるでしょう。
時代のニーズに対応したい企業
企業では働く従業員が年々歳を重ねることによって、新しいアイデアの創造や時代の変化に気付きにくくなります。そして、市場の動きやトレンドを上手く捉えられなければ、他社との競合力を低下させてしまい、業績の悪化にもつながりかねません。
その点、毎年新卒者を採用していれば、若者層にどのようなニーズがあるのか、どのような市場のトレンドがあるのかが把握できます。さらに、若いエネルギーに感化された既存の従業員がモチベーションを上げることも考えられます。
よって、企業としての優位性を確保しながら、時代のニーズにも柔軟に対応したい企業には新卒採用が適しているといえます。
知名度向上を図りたい企業
企業が知名度向上を目指すなら、新卒採用が効果的です。たとえば、採用活動において新卒採用サイトなどを活用すれば、就職活動を行っている学生の間で、企業の知名度が広がりやすくなります。
そのため、新卒採用サイトや学生同士のコミュニケーションを上手く活用しながら、企業の良さをアピールして学生との交流によってブランディングを強化しましょう。新卒対象者に企業の魅力が広がることで、多方面への知名度向上にも期待できます。
新卒採用の流れと成功させるためのポイント
新卒採用を成功させるためには、目的の設定から内定者のフォロー・振り返りまで、一連の流れに沿って的確に行うことが重要です。ここでは、新卒採用の流れと成功させるためのポイントについて解説します。
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新卒採用の流れと成功させるためのポイント
目的とターゲットの明確化
新卒採用を行う事前準備として、まずは企業が求める人物像・スキル・資格などを具体的に整理し、どのような新卒者が最も組織に適しているかを明確に定めましょう。
たとえば、協調性を重視するのか、自己主張力や主体性を求めるのか、それぞれのポイントを明確化します。採用における基準を定めることで採用業務全体に統一感を持たせ、選考時に客観的な判断を下すことが可能です。
また、求める人物像がはっきりしていることにより、採用担当者が候補者とのコミュニケーションをスムーズに行うことができ、採用効率と成功率の向上にも寄与します。
採用スケジュールを立てる
新卒対象者の学生たちは、一斉に同じタイミングで就職活動を行う傾向があるため、新卒採用活動を先読みしてスケジュールを組み立てることが重要です。
まず、卒業・修了年度の春から秋にかけた学生の行動パターンを考慮し、選考から内定出しまでの時期を設定します。その際、他企業との競合や学生のスケジュールとの兼ね合いを考慮しながら、最適なタイミングを見つけることが求められます。
また、一部の大きな会場で行う会社説明会などへの参加も視野に入れつつ、どのような採用スケジュールを組み立てるのかを考える必要があります。
採用手法を選定する
採用手法には、新卒採用求人サイトの活用や会社説明会など、さまざま手法がありますが、それぞれのメリットとデメリットを考慮することが重要です。
また、選考においては学生視点も考慮し、スムーズで信頼性の高いコミュニケーションを心掛けましょう。たとえば、エントリーシートや面接、試験といった選考方法を最初に伝えておき、応募者が選考課題に備えられるようにサポートします。
その際、個別の選考手法だけでなく、複数の手法を組み合わせることでさまざまな学生にアプローチでき、優れた人材を獲得しやすくなります。以下は、採用手法の具体例です。
- 新卒採用求人サイト
- 会社説明会
- 自社の採用ホームページ
- ソーシャルリクルーティング
- 人材紹介サービス
社内体制の構築
新卒採用においては、実際に取り掛かる前に社内の体制を整えておくことが重要です。まず、採用に関する連絡や質問に対応するため、採用専用のメールアドレスを用意しましょう。
さらに、学生対応マニュアルを作成し、担当者が不在の際にもスムーズな対応ができるようにします。特に、電話応対が学生の志望度に影響することもあるため、問い合わせ先として公開している番号で誰がどのように対応するのか、事前に共有しておくことが重要です。
その他にも、選考基準の共有・面接官や審査員のトレーニングなど、細かな部分まで準備を行い、新卒採用に関する社内体制を構築しましょう。
選考の実施
選考では、企業が学生の能力やマッチ度を見極めるために、面接・試験・適性試験・グループディスカッションなどを行います。これらを通じて、学生の実力や個性を評価します。面接官や審査員は評価基準を正しく認識し、一貫した選考を行う必要があります。
企業が求める人材像としては、「コミュニケーション能力」や「主体性」といった要素が挙げられます。これらの要素は現代の職場環境で重要視されるスキルであり、積極的なコミュニケーションが取れる人材や自己主張ができる能力が求められます。
特に「主体性」は、仕事において自ら考え、行動できる能力を指します。上からの指示を待つのではなく、自分から進んで行動し、新しいアイデアや提案を積極的に出す姿勢が重要です。
企業は主体性を持つ学生を採用することで、変化にも柔軟に対応可能な人材が確保できるため、多くの場面での活躍を期待することができるでしょう。
内定者フォロー
内定者フォローを行うことは、内定者が複数の企業から内定を受ける中で、各企業が望む人材を確実に確保する重要な役割を果たします。よって、内定者とのコミュニケーションを通じて企業の魅力や将来展望を伝え、内定者の不安や期待に応えることが求められます。
また、時には内定者に対する特別なセミナーや交流イベントを開催し、企業文化や仕事の魅力を深く伝える機会を提供することも有効です。内定者フォローを行うことで、入社前から企業へのポジティブな気持ちが育まれるでしょう。
採用活動の振り返り
採用活動を成功させるためには、毎年の振り返りを行いましょう。過去の結果や実績を分析することで、次年度の採用計画や目標を立てることができます。振り返りの中で、自社の強みや弱みを見極め、課題を特定します。
選考におけるどの段階で課題が生じたのか、効果的だった施策はどのようなものだったのかを明確にしましょう。採用活動を終えた後に冷静な分析を行うことで、次年度に同じ過ちを繰り返すことなく、より効果的な採用戦略を構築できます。
そして、振り返りによって見えてきた改善点や提案されたアイデアを基に、次年度の計画を立てます。効果的な改善策を実施することで、より円滑で効率的な新卒採用活動が実現します。
新卒採用を行う際の注意点
採用活動においては、注意すべきポイントが数多く存在します。適切な戦略と対応がなければ、優秀な新卒者を獲得することが難しくなります。以下では、新卒採用を行う際の重要な注意点に焦点を当てて解説します。
学卒区分による違いに気をつける
新卒採用では、学卒区分ごとに異なるポイントに気を付ける必要があります。たとえば、高卒者と大学・大学院卒者では、求人募集の形態や応募に関するルールが異なります。
高卒者は一斉解禁の求人募集が多く、ハローワーク経由での応募を行います。また、一人一社制度があるため、複数の企業に同時に応募することが難しく、学生への直接アプローチも禁止されています。
一方、専門学校卒は資格取得を目指す傾向があり、資格試験の日程が就職活動に影響することがあります。特定の資格を持つことが求められる職種では、その日程に合わせた採用スケジュールの設定が必要です。
トレンドや学生意識の変化に対応する
近年、オンライン選考やジョブ型雇用が拡大しており、企業にも柔軟な適応が求められています。また、人材不足の問題からエントリー数の不足傾向にあり、対処に向けた学生とのコミュニケーションが一層重要視されています。
学生の価値観は時代によって変化するため、採用活動では常に最新の情報やトレンドに敏感であることが求められます。効果的な情報発信を通じて、学生とのコミュニケーションを深め、企業と学生のマッチングを円滑に進めましょう。
新卒採用におけるトレンドの例
近年の新卒採用でトレンドとなっている要素には、インターンシップやダイレクトリクルーティング、多様な働き方などが挙げられます。
インターンシップは、入社前に自身のやりたいことと企業の仕事内容が一致しているかを確かめたい学生が増えていることから、人気が高まっています。また、企業側が直接学生にアプローチするダイレクトリクルーティングを行う企業も増加しています。
上記に加え、フレックスタイム制やリモートワークなど、多様な働き方にも注目が集まっています。トレンド要素を取り入れることで、他社との差別化を図り、より多くの優秀な人材採用に繋げることが可能です。
まとめ
新卒採用においては、一貫した採用の目的やターゲットの明確化を実行し、採用スケジュールを立てて適切な採用手法を選定することが必要です。そして、学卒区分ごとの違いにも留意し、トレンドや学生の変化する価値観に対応する柔軟性も求められます。
1年の採用活動が終了した後には、成功した採用活動を通じて得た経験を振り返り、次年度の計画や課題に活かすことで、より効果的な採用戦略を構築できるでしょう。