メールの到達率とは?計算方法や到達率を上げるための対策も解説

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  • メールの到達率とは、送信したメールのうち宛先の受信ボックスに届いた割合を示す
  • アドレスが無効・ISPからの評価が低いなどの原因で、メールが到達しないことがある
  • メール到達率を上げるには、無効アドレスの削除や送信ドメイン認証の設定が有効である

メールの到達率とは、送信したメールのうちどのくらいのメールが宛先の受信ボックスに届いたかを示す重要な指標です。しかし、届かないメールが多く悩んでいる企業も多いかもしれません。この記事では、メールが到達しない原因や到達率を上げるための対策を解説します。

目次

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  1. メールの到達率とは
  2. メール到達率の重要性
  3. メール到達率の平均・目安
  4. メールが到達しない原因
  5. メール到達率を上げるための対策
  6. まとめ

メールの到達率とは

メール到達率とは、送信したメールのうち、どのくらい宛先の受信ボックスに届いたかを示す指標です。一斉配信などでメールを大量に送信した場合、すべてのメールが受信ボックスに届いているとは限りません。

送信先アドレスが無効だったり、迷惑フォルダに自動で振り分けされたり、さまざまな原因によって、相手先に届かないことがあります。よって、受信ボックスに送信したメールが正常に届かない場合、メール到達率は下がります。

配信成功率との違い

配信成功率とは、大量配信をしたメールがサーバーに受け入れられた割合を指す指標です。一方で、メール到達率は、宛先の受信ボックスに届いた割合を指し、配信した到達メール割合の対象となる場所が違います。

配信成功率の場合、サーバーで受け入れられても、受信ボックスに到達しないケースもあります。そのため、配信成功率とメール到達率を同義で扱う場合もありますが、ここでは違うものとして考えます。

メール到達率の重要性

メールが届かないと、顧客の信頼に影響を与えたり、案内を届けられないことによりビジネスの機会損失を招いたりします。このように、メールが届かないことで、業務に支障をきたすようなさまざまなデメリットが発生する可能性が高いです。

また、一斉配信や大量配信の案内メールだけでなく、重要な内容が記載されたメールが相手に届かない場合もあります。届くべきメールを受け取れないことにより、顧客満足度も低下する可能性もあるため、企業のブランドイメージの低下にも繋がる可能性があります。

そのため、必要なメールを確実に相手の受信ボックスに届けられるように、メール到達率をできる限り平均値に近づける対策を講じることが重要です。

メール到達率の平均・目安

一般的なメール到達率の目安は、90~95%と言われています。平均が90%を下回った場合、そのままメールを配信し続けていると、業務に支障をきたす可能性が高くなるため、何らかの対策が必要になります。

また、エラー率が高い状態が続くと、IPアドレスやドメインがブラックリストに登録されるリスクがあります。よって、メール配信を行ってもブロックされてしまうため、メール到達率が下がる原因の1つになります。

メール到達率の計算方法

メール到達率の計算方法は「到達数÷配信数×100=メール到達率(%)」で算出できます。たとえば、配信数1000通に対し、相手の受信ボックスに届いたのが900通の場合は、「900÷1000×100=90」となるため、メール到達率は90%となります。

メールが到達しない原因

メールが到達しない原因は、宛先の受信ボックスに複数あります。送信先アドレスが無効であったり、迷惑メールとして判別されることによってブロックされたりなど、さまざまな原因によって受信ボックスに到達できません。

ここでは、なぜメールが到達しないのか、原因について具体的に解説します。

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送信先アドレスが無効である

メールが到達しない原因で最も多いのが、送信先アドレスが無効であるということです。無効となる理由は、そもそも登録したメールアドレスが正しくなかったり、退職などでメールアドレスが削除されたりなど、送信先のアドレスに問題があることが挙げられます。

無効アドレスにメールを送信し続けると、スパマーとしてマークされる可能性があります。スパマーとして警戒された場合、ブラックリストに追加されてしまうリスクも発生するため、無効アドレスが存在する場合は、定期的に適宜削除する必要があります。

ISPからのレピュテーションが低い

メールの到達しない原因として、インターネットの接続サービスを提供する事業者である、ISPが関わっていることが挙げられます。ISPは、送信元IPアドレスやドメインの信頼性をチェックして、迷惑メールやスパムメールを判別する仕組みを採用しています。

ISPでは、送信されたメールが安全なものかチェックするために、IPレピュテーションという基準を設けています。たとえば、送信ドメイン認証をしていなかったり、不自然な文字列がメール本文内に存在したりなどがあげられます。

このような、迷惑メールの特徴を含んでいることにより、IPレピュテーションの評価は下がります。よって、評価の低いIPアドレスはブラックリストの対象となり、配信を制御されるため、メールが宛先に到達しなくなります。

ブラックリストに登録されている

メールが到達しない原因として、ブラックリストに登録されている可能性が挙げられます。ブラックリストに登録される原因は、迷惑メールやスパムメールの発信者としてIPアドレスが判別されてしまうことなどが理由です。

存在しないメールアドレスへエラー送信を続けた結果、IPレピュテーションの評価が下がったり、受信者から迷惑メール報告を受けたりすると、ブラックリストに登録されるリスクが高まります。特に、出所不明リスト宛の配信は、迷惑メール報告を受けやすいです。

迷惑メールとしてブロックされている

メールが到達しない原因としては、迷惑メールとしてブロックされている可能性が挙げられます。送信ドメイン認証設定がされていなかったり、受信者が受信許可ドメインの設定をしていなかったりすることが、迷惑メールとしてブロックされる理由です。

送信ドメイン認証とは、迷惑メールやなりすましメールを排除するための技術です。送信ドメイン認証設定を行うことで、送信者がなりすましでないことが証明できます。よって、迷惑メールとして判別されることを回避できるため、メール到達率も上がります。

また、特にスマホなどのキャリアメールの場合、迷惑メールフィルターの設定が強化されているため、指定ドメイン受信設定を受信者が設定する必要があります。

メールの容量・内容などに問題がある

メールが到達しない原因には、受信側のメールボックスの容量が上限を超えている場合や、送信メールの内容に問題がある可能性が挙げられます。受信者のメールボックスがいっぱいになっている場合、送信したメールが受信ボックスに到達しません。

この場合、受信者にメールボックスの空き容量を確保してもらう必要があります。また、容量が上限に達すると、メールアドレスが無効となる場合もあるため、無効メールへの継続的な送信には注意が必要です。

そのほか、送信メールの内容にスパムメールによくあるワードが入っているなどの理由で、迷惑メールフィルターやIPレピュテーションによって判別されていることも考えられます。

メール到達率を上げるための対策

メール到達率を上げるためには、いくつかの有効な対策があります。迷惑メールやスパムメールとして判別されることにより、ブラックリストに登録されたり、迷惑メールとしてブロックされたりする可能性があるため、以下のような対策を講じることが有効です。

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送信ドメイン認証を設定する

送信ドメイン認証は、SPF・DKIM・DMARCの設定を行うことで、メールの送信元がなりすましでないことを証明できるセキュリティ対策です。送信ドメイン認証を設定していない場合、なりすましによるスパマーであると判断される可能性があります。

これにより、ブラックリストへ登録されたり、迷惑メールとして振り分けされたりするリスクが高まるため、メールが到達しなくなります。送信ドメイン認証は以下3つの手法があり、これら3つすべての設定を行うことで、メール到達率の低下を防止できます。

ドメイン認証詳細
SPFメール送信元サーバーのIPアドレスを、SPFレコードとしてDNSに登録したものと受信側のSPFレコードと照合し、なりすましか判断する
DKIM送信側が送信メールにDKIM公開鍵を利用した電子署名を付与し、メール受信者が受信する際に電子署名を検証することで、なりすましか判断する
DMARCSPF・DKIMの認証ができなかった場合に、受信側で受信不可メールをどう扱うか判断する対応策

同一IPから大量のメールを送信しない

同一IPから一度に大量のメールを送信すると、受信側のサーバーによって制限がかかるため、メールの到達が遅延したり、受信拒否をされたりする可能性があります。

同じ送信元からの大量メール配信は、スパムメールでの特徴でもあるため、迷惑メール対策として制御される傾向にあります。また、ISPのIPレピュテーションの評価が下がる原因となり、メール到達率の低下やブラックリストに登録されるリスクが高まります。

無効のアドレスはリストから削除する

先述のように、無効のメールアドレスに送信を続けていると、IPレピュテーションの評価が下がったり、ブラックリストに登録されたりするリスクが高まります。そのため、無効となっているメールアドレスはリストから削除することが重要です。

メール到達率が低下すると、案内を必要とする人に対してもメールが届かなくなる可能性があるため、機会損失や信用性を失うリスクが発生します。そのため、定期的な無効メールの削除など、宛先クリーニングを行うと良いでしょう。

有料のアドレスリスト購入は控える

有料のアドレスリストには無効なアドレスが含まれていることが多く、スパムトラップにも引っ掛かりやすいため、購入すべきではありません。スパムトラップとは、ISPが作成しているもので、迷惑メール業者の特定が目的です。

スパムトラップとして用意した使われていないメールアドレスにメールを送信すると、機能する仕組みです。そこにメールを送信すると、スパマーの可能性が高いと見なされるため、ブラックリスト登録の対象として判断されます。

スパム目的ではなく、正当な情報配信を行っていても、スパムトラップのメールアドレスに一度でもメールを送ってしまうと、IPレピュテーションの評価やメール到達率の低下に繋がる可能性が高いため注意が必要です。

「迷惑メール報告」されないための対策をする

ユーザーに「迷惑メール報告」されると、ISPレピュテーションの評価が下がってしまいます。迷惑メールとして判断されないようにするには、以下のような対策を行うことで、報告を回避できる可能性が高くなります。

意図しない購読登録をさせない

商品購入時に、最初からメルマガ購読にチェックが入っている状態の場合、ユーザーが意図しない購読である傾向が高いです。そのため、興味がないメールを受信したユーザーは、迷惑メール報告による手段で配信を停止する可能性があります。

迷惑メール報告されると、IPレピュテーションの評価や、メール到達率の低下を招く結果となるため、意図しない購読を誘導しないための対策が重要です。意図しない購読を減らすためには、ユーザーが認識しやすく、自ら配信希望を登録する方法が有効です。

簡単に購読解除できるようにしておく

メルマガ購読を解除するために、フォーム入力したりログインを行ったりといった工数が必要となった場合、ユーザーにとっては煩雑な作業となります。そのため、最も簡単な迷惑メール報告の手段を選択する傾向が高いです。

迷惑メール報告されないようにするには、購読解除をワンクリックでできるなど、簡単な仕様にするのが理想的です。また、購読解除をできない仕様にするのは、「特定電子メール法」により禁止されているため、必ず解除方法の設定が必要です。

参考:特定電子メールの送信等に関するガイドライン|消費者庁

公序良俗に反する内容は配信しない

公序良俗に反する内容を盛り込んだメルマガは、ユーザーに不快感を与えてしまう可能性があるため避けるべきです。たとえば、「絶対に稼げる!」「完全無料!今すぐクリック!」などといった例が挙げられます。

このように、ユーザーの欲求を煽るような内容は、不信感を与える可能性も高いため、迷惑メール報告されやすいです。また、公序良俗に反する内容を含んだメールは、ISPのフィルターに引っかかる可能性もあります。

メール配信システムを導入する

迷惑メール報告されたり、IPレピュテーション評価の低下を招いたりするリスクを回避しながら、メール配信を行うにはメール配信システムの活用がおすすめです。メール配信システムとは、メールを自動的に配信するツールを指します。

システムを活用することにより、トラブルを回避しながらメルマガなど大量配信や一斉配信を効率的に実施できます。一般的に、同一IPからの大量配信は、ISPによって迷惑メールと判断されやすい傾向が強いです。

しかし、メール配信システムの場合、複数IPアドレスを使い、分散して送信を行う仕組みを採用しているため、フィルタリングに引っかかる可能性を軽減できます。これにより、メール到達率の向上にも繋がります。

また、エラーアドレスのクリーニングやメール到達率の計測も容易であるため、到達率アップに向けた施策が効率化できるといったメリットもあります。

メール配信システムには、メールを大量に送信する際に便利な大量送信型と、顧客の属性や興味ごとにグループ分けしてターゲティング配信を行えるセグメント型があります。それぞれの特徴を説明します。

大量送信型

大量送信型は、その名の通りメールを大量送信したい場合によく使われます。人為的ミスなく一度に数万通単位のメールを捌けることがメリットで、会員全体向けのクーポン配布や、サービスメンテナンスなどの連絡や緊急連絡を一斉に送りたい場合に向いています。

手間をかけずに多くの宛先に高速かつ確実にメールを届けることを重視しており、中にはメール作成機能などがない、配信のみに特化したサービスもあります。

セグメント型

セグメント型は、年齢や性別、興味関心などによって分けられたグループごとに配信できるのが特徴です。それぞれのニーズに合わせて配信できるので、開封率や訴求効果が上がりやすく、商品PRやメルマガ配信などに向いています。

マーケティング効果は得やすく分析機能も充実していることが多いため、メールマーケティングに力を入れたい企業にはセグメント型がおすすめです。

メール配信システムの仕組みとは?機能やメリット・デメリットも解説

メール配信システムとは大量のメールを一斉配信できるツールで、メルマガ配信などのメールマーケティングで配信効率を上げることが可能です。この記事では、メール配信システムの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際の比較ポイントなどを詳しく解説します。

まとめ

メール到達率とは、送信したメールのうち、どのくらいのメールが宛先の受信ボックスに届いた割合を示す指標です。送信したメールは、宛先のアドレスが無効であったり、迷惑メールとして振り分けられたりするなどの理由で、すべて受信ボックスに届くとは限りません。

メールが届かないと、顧客の信頼を失ったり、ビジネスの機会損失を招いたりするリスクが発生します。メール到達率の平均値は、90~95%であり、平均値を下回る場合は到達率を上げるための対策が必要です。

到達率を向上させるには、送信ドメイン認証の設定や迷惑メール報告をされないための対策など複数の方法がありますが、効率よく到達率を上げるには、メール配信システムの導入がおすすめです。

メール配信における、さまざまなトラブルを回避しながら、適正に大量配信や一斉配信ができるため、メール到達率の向上に繋がります。自社に合ったメール配信システムを選定し、マーケティング施策に役立てましょう。

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