ASP型メール配信システムとは?選ぶ際の比較ポイントも解説

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  • メール配信システムのうち、ASP型とはクラウド上で提供されるものを指す
  • ASP型メール配信システムは低コストかつ短期間で導入でき、専門的な知識も不要
  • ASP型メール配信システムを選ぶ際は、配信の上限数や到達率などをチェックする

メール配信システムにはいくつかの導入形態があり、クラウド上で提供されるASP型もあります。ASP型メール配信システムは、低コストかつ短期間で導入できます。この記事では、ASP型メール配信システムのメリット・デメリットや選ぶ際の比較ポイントを解説します。

目次

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  1. ASP型メール配信システムとは
  2. ASP型メール配信システムのメリット
  3. ASP型メール配信システムのデメリット
  4. ASP型メール配信システムを選ぶ際の比較ポイント
  5. メール配信における注意点
  6. まとめ

ASP型メール配信システムとは

メール配信システムは、大量のメールを効率的に送信するためのツールです。特に、マーケティングや顧客コミュニケーションにおいて、一斉に情報を配信する際に活用されています。

ASP型は、Application Service Provider(アプリケーションサービスプロバイダー)の略称で、インターネットを通じてサービスを提供する形態を指します。

自社のサーバーにソフトウェアをインストールすることなく、サービス提供者のサーバー上でメール配信機能を利用できる点が特徴です。また、インターネット環境さえあれば、どこからでもアクセスでき、メール配信の設定や管理を行うことができます

メール配信システムの仕組みとは?機能やメリット・デメリットも解説

メール配信システムとは大量のメールを一斉配信できるツールで、メルマガ配信などのメールマーケティングで配信効率を上げることが可能です。この記事では、メール配信システムの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際の比較ポイントなどを詳しく解説します。

ASPとSaaSの違い

ASPとSaaSは、どちらもインターネットを通じてサービスを提供することを指すため、大きな違いはありません。しかし、現代ではシーンに合わせてASPとSaaSは使い分けられています。

アプリケーションやソフトウェアそのものを指す場合にSaaSが使用されることが多く、SaaSを提供している事業者やサービス全体をASPと呼ぶように使い分けられるケースが多く見られます。

ASPとクラウドの違い

ASPは、顧客が自社のサーバーにソフトウェアをインストールする必要がなく、ベンダーのサーバー上でアプリケーションを利用します。つまり、クラウド上で提供されるサービスのことであり、そのサービスに関連するサポートやメンテナンスも提供者が行います。

もう一方のクラウドは、ASPよりも広範な概念であり、インターネットを介してアクセス可能なサーバー・ストレージ・ネットワーキング・ソフトウェアなどを提供する環境や仕組みを指します。

ASP型メール配信システムのメリット

ASP型メール配信システムは、短期間での導入が可能です。また、初期費用や運用コストも低く抑えられます。さらに、データ共有がしやすいため、チーム間のコミュニケーションを促進できるなど、様々なメリットがあります。

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短期間で導入できる

従来のメールシステムの構築や開発には、時間とコストがかかります。しかし、ASP型システムでは複雑な設定や専門的な開発作業を行う必要がなく、システムをすぐに利用開始できるため、短期間での導入が可能です。

また、高度な技術的知識や追加の人員を必要とせず、迅速にメールマーケティングを展開することができます。

コストを抑えられる

従来のメール配信システムでは、サーバーの購入やメンテナンス、システム開発などに多額の初期投資が必要でした。しかし、ASP型システムはサービス提供者がサーバーとシステムの管理を担うため、サーバー代や開発費用にコストをかける必要がありません。

月額料金などの費用は発生しますが、比較的安価なプランもあります。また、企業の成長に伴ってニーズが変化した際に、容易にサービスのスケールアップやダウンを行うことも可能です。

知識がなくても運用できる

従来のメールシステムでは、システムの設計・構築・維持管理に専門的なITスキルが必要でしたが、ASP型メール配信システムではこれらの技術的な側面は、サービス提供者が行います

そのため、システムの構築や維持に関する専門知識を持っていなくても、サービスを利用でき、効率的なメールマーケティングを行うことが可能です。

また、多くのASP型メール配信システムは、直感的で使いやすいインターフェースを提供しています。さらに、ユーザーサポートやチュートリアル、FAQセクションなども充実しており、初心者でも簡単にシステムを利用できます。

データ共有が容易

ASP型メール配信システムはインターネットベースであるため、地理的な位置に依存することなく、どこからでもアクセスができます。これは、リモートワークや複数の拠点を持つ企業にとって特に有益です。

従業員は、どの地点からでも同じシステムにアクセスでき、必要な情報を取得、共有することが可能です。そのため、情報の一貫性が保たれ、チーム間のコミュニケーションがスムーズになります。また、ASP型メール配信システムでは、データの集中管理が可能です。

例えば、マーケティングチームであればキャンペーンのパフォーマンスデータをリアルタイムで確認し、必要に応じて迅速に戦略を調整することができます。また、顧客データベースは常に最新の状態に保てるため、異なる部門間での情報共有も容易です。

セキュリティ対策やサポートがある

ASP型メール配信システムを提供するベンダーは、定期的なセキュリティ更新、データ保護プロトコル、侵入防止システムなどを提供し、顧客データの安全を保証します。

企業が自身でセキュリティ対策を講じる必要がないため、セキュリティに関する専門知識を持つ従業員がいなくても、安心してメール配信システムを利用できます。

また、ベンダーは技術的な問題や操作方法などに関する疑問に対して、専門的なサポートも提供しています。そのため、問題が発生した場合でも、迅速なサポートを受けることが可能です。

ASP型メール配信システムのデメリット

ASP型メール配信システムは、カスタマイズが難しいというデメリットがあります。また、システムの障害や、エラーが発生するリスクも考慮しなければいけません。

さらに、データが社外に保存されることによるセキュリティの懸念など、いくつかのデメリットが存在します。

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カスタマイズが難しい

ASP型メール配信システムは幅広いユーザーに適合するように設計されており、基本的な機能や操作性に重点を置いています。そのため、特定の企業や業界特有のニーズに合わせた複雑なカスタマイズを行えない場合があります。

例えば、特定のデータフィールドの追加や独自のレポート形式の作成など、細かい調整が必要な場合、ASP型システムの標準設定では対応できないことが多いです。

ASP型メール配信システムを選択する際には、システムのカスタマイズ性と自社の特定のニーズとのバランスを慎重に考慮しましょう。

障害やエラーが起こることがある

ベンダー側で障害やエラーが発生した場合、ユーザーに直接的な影響を及ぼします。例えば、サーバーのダウンタイムやソフトウェアのバグなどが原因で、メール配信システムが一時的に利用できなくなることがあります。

また、システムのアップデートやメンテナンス作業中にも、予期せぬエラーや障害が発生することも考えられます。その結果、計画していたマーケティング活動の遅延や、中断を引き起こす可能性があることも考慮しなければいけません。

ベンダーの信頼性やシステムの安定性、万が一の障害発生時の対応について十分に理解し、検討することが重要です。

データが社外に保存される

顧客データやその他の重要な情報は、通常、サービス提供者の外部サーバーに保存されます。企業は、自社の顧客情報をベンダーに公開することになるため、ベンダーのセキュリティ対策やデータ管理に依存することになります。

また、データが社外に保存されることで、万が一のデータ漏えいや不正アクセスのリスクも考慮する必要があります。そのため、ベンダーがどのようにデータを保護し、どのようなセキュリティを採用しているかを理解しましょう。

さらに、データが異なる国や地域に保存される場合、異なるデータ保護法規に準拠する必要があるため、国際的なデータプライバシーの規制にも注意を払う必要があります。

ASP型メール配信システムを選ぶ際の比較ポイント

ASP型メール配信システムを選択する際には、配信数やリスト件数の確認、メールの到達率のチェック、多様なデバイス環境に対応しているかどうかなどを比較しましょう。また、特有のニーズに合致する機能が備わっているかどうかも検討する必要があります。

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配信数・リスト件数を確認

ASP型メール配信システムは、配信数やリスト件数の上限が決まっています。特に、大量のメールを定期的に送信する企業や多くの顧客データベースを持つ企業は、これらの上限数がビジネスのニーズに適合しているかを慎重に検討する必要があります。

配信数の上限が低いシステムを選択すると、マーケティングキャンペーンの規模が制限されてしまいます。また、リスト件数の上限が低い場合、顧客データベース全体を活用することができなくなる恐れがあります。

そのため、必要な配信数とリスト件数を満たすシステムやプランを選択することが重要です。

到達率をチェック

到達率が高いシステムは、送信したメールが実際に顧客のメールボックスに届く確率が高いことを意味します。高い到達率を持つベンダーを選択することで、メールがスパムフィルターに引っかかったり、送信エラーになったりする確率が低くなります

到達率が低いと、作成したメールコンテンツが目的の受信者に届かない可能性があり、マーケティングの効果を大きく損ないます。そのため、ベンダーが提供する到達率のデータを確認し、信頼できる高い到達率を持つサービスを選択することが重要です。

さまざまな端末に対応しているか

スマートフォンやタブレット、デスクトップなど、様々なデバイスからアクセスできる柔軟性は、メールマーケティングの効果を最大化するために不可欠です。

特に、メールのレイアウトが端末によって崩れてしまうと、情報を正確に伝えられない可能性があります。レスポンシブデザインの採用は、異なる画面サイズや解像度に対応し、どのデバイスからアクセスしてもメールの内容が適切に表示されます。

自社に必要な機能があるか

ASP型メール配信システムを選択する際、自社のニーズに合った機能が備わっているかを確認することは極めて重要です。例えば、特定の顧客に合わせたセグメント機能や、効果的なメールキャンペーンを実施するためのA/Bテスト機能が必要な場合があります。

また、自動応答やスケジュール配信のような自動化機能も、時間とリソースを節約する上で欠かせません。さらに、詳細な分析ツールやレポート機能も重要です。自社のマーケティング目標に合わせて、必要な機能がシステムに組み込まれているかを確認しましょう。

サポート体制は充実しているか

メール配信システムの導入や運用においては、予期せぬ問題が生じることがあります。そのため、迅速かつ的確なサポートが提供されるかどうかは、システムの利便性と直結します。

例えば、ユーザーが直面する可能性のある技術的な問題や操作上の疑問に対して、専門知識を持ったサポートチームがいつでも対応できる体制が整っているかを確認することが重要です。

また、FAQセクションやチュートリアル、ユーザーガイドなど、ユーザーが自身で問題を解決できるようなコンテンツの提供があるかも確認しましょう。

メール配信における注意点

メールを配信する際は、メール配信サービスの形態を問わず特定電子メール法を遵守する必要があります。商品やサービスを宣伝するメールを送信する場合は、受信者(顧客)から受信の許可を得た場合にのみ送信が認められるオプトイン規制があります。

また、過去に許可を得た受信者から配信停止の申し出があった場合は、配信を停止しなければならないオプトアウトも存在し、どちらも守らなければ違反となります。

送信するメールにオプトアウトについて明記しなければならないなど、表示に関する義務も特定電子メール法にて定められているため、入念に確認した上で適切なメール配信を行いましょう。

参考:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律|e-Gov法令検索

まとめ

ASP型メール配信システムは、迅速な導入と低コストでの運用が可能です。サーバーや専門スタッフを必要とせず、インターネット環境があればどこからでもアクセスでき、データ共有も簡単に行えます。

しかし、カスタマイズの難しさやベンダー側の障害によるリスク、データが社外に保存されることに関する懸念などのデメリットもあります。

また、ASP型メール配信システムを選択する際には、配信数やリスト件数の上限、到達率、端末の対応状況、必要な機能の有無、サポート体制の充実度など、複数の要素を比較検討することが重要です。

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