登録販売者が店舗管理者になるには?要件・法改正についても解説

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  • 医薬品の販売ができる登録販売者は、要件を満たすことで店舗管理者になることが可能
  • 2023年の法改正で、必要な実務経験が「2年以上」から「1年以上」に緩和されている
  • 登録販売者は店舗管理者になることで、給与アップやキャリアアップなどに期待できる

医薬品の販売ができる登録販売者は、要件を満たすことで店舗管理者になることができます。2023年には法改正もあり、必要な実務経験が「1年以上」に緩和されました。本記事では、登録販売者が店舗管理者になるための要件やメリット、業務内容などについて解説します。

目次

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  1. 登録販売者が店舗管理者になるには
  2. 【2023年改正】登録販売者が店舗管理者になるための要件
  3. 登録販売者が店舗管理者になるメリット
  4. 登録販売者が店舗管理者になるデメリット
  5. 登録販売者が店舗管理者になる際の手続き
  6. 登録販売者が店舗管理者になった場合の業務内容
  7. 店舗管理システムを活用して業務を効率化
  8. まとめ

登録販売者が店舗管理者になるには

ドラッグストアなどで医薬品を取り扱う登録販売者は、要件を満たすことで店舗管理者になることができます。その要件内容について、登録販売者が店舗管理者になることのメリットやデメリットにも触れながら、詳しく解説します。

参考:有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則|厚生労働省

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登録販売者が店舗管理者になるには

  1. 登録販売者とは
  2. 店舗管理者とは

登録販売者とは

登録販売者とは、ドラッグストアをはじめスーパーやコンビニエンスストアなどに常駐し、一般用の医薬品を取り扱い・販売する資格を持つ人を指します。一般用医薬品とは、医師の処方箋が必要ない市販の薬のことです。

登録販売者は、2009年に施行された改正薬事法によって誕生した、比較的新しい資格です。一般用医薬品の内、薬剤師のみが取り扱える第1類を除いた第2類・第3類に該当するものを販売することができます。

その範囲は風邪薬をはじめ、解熱鎮痛剤・消化薬・整腸剤など、市販の薬の9割以上を占めています。よって、薬剤師の不在時にも、ほとんどの一般用医療品を販売できる資格者として重宝されています。

店舗管理者とは

店舗管理者とは、第2類・第3類の一般用医薬品を販売するドラッグストアなどの店舗における責任者・店長として働く人物を指します。

医療品を取り扱う店舗では、店舗管理者を最低1人は配置することが義務付けられています。登録販売者の資格を持つ人が更なる要件を満たすことで、店舗管理者を務めることが可能になります。

【2023年改正】登録販売者が店舗管理者になるための要件

登録販売者が店舗管理者になるには、一定の要件を満たす必要があり、2023年4月の法改正によって変更されました。主な変更点としては、実務経験の期間の緩和や追加的な研修の終了などが挙げられます。それぞれ詳しく解説していきます。

参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について(概要)|厚生労働省

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【2023年改正】登録販売者が店舗管理者になるための要件

  1. 実務経験の期間が「1年以上」に緩和
  2. 「追加的な研修の修了」が加わる

実務経験の期間が「1年以上」に緩和

法改正によって変更された点の1つは、実務経験の期間です。改正以前は、直近の5年の内「2年以上」かつ累計で1,920時間以上の実務経験が必要とされていました。

この実務経験期間が、2023年4月より「1年以上」へ緩和されました。1,920時間以上の縛りは変わらないものの、期間が緩和された分、店舗管理者の要件に該当する登録販売者が増えたと考えられます。

例えば、1ヶ月に160時間(8時間×20日)ずつ働くとすると、1,920時間はちょうど1年分に該当します。これは、フルタイムで従事した場合において十分達成可能な時間です。

このように、累計時間さえクリアすれば短期間で要件を満たせるようになったことは、店舗管理者を目指す登録販売者にとって喜ばしいことといえるでしょう。

「追加的な研修の修了」が加わる

もう1つの変更点は、「追加的な研修」を受けるという要件が加わったことです。これには、実務経験年数が短くなった分を補う意味合いも含まれています。

追加的な研修とは、薬局や店舗などにおいて毎年受ける「継続的な研修」とは別枠で、法規をはじめとした基礎知識についての講義などを受けることです。販売現場でのコミュニケーションなども含めて実施され、「追加的な研修の修了」を要件としています。

登録販売者が店舗管理者になるメリット

登録販売者が店舗管理者になることによって、「給与のアップ」「短期間でのキャリアアップ」「転職に有利」など、さまざまなメリットがあると考えられます。それぞれの観点から、詳しく解説していきます。

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給与のアップに期待できる

登録販売者が店舗管理者になる大きなメリットの1つに、給与のアップが挙げられます。店舗管理者としての要件を満たす登録販売者は、基本給が高めであったり、別途手当がついたりなど、収入が上がる場合が多いです。

また、管理者として店舗内の売上に貢献することで、ボーナスを得られる可能性も高まります。給与のアップに期待できると、担当者のモチベーション向上にもつながるでしょう。

仕事にやりがいを感じられる

店舗管理者になることで、業務における責任が増えるとともに、今まで手を付けてこなかった新しい業務にも携わることができます。例えば、パートやアルバイトなどに対する人材の育成や評価、店舗運営に関わる内容にも携わることができるでしょう。

よって、自己判断で行える業務が増えることにより、責任感のある業務に携わる機会も増え、給料アップと合わせて仕事自体にやりがいを感じられるようになります。

短期間でのキャリアアップが可能

店舗管理者になれば、短期間でのキャリアアップが見込めることもメリットの1つです。フルタイムで働く登録販売者であれば、1年以上の勤務で店舗管理者になることも可能です。

管理者として店舗の運営を行うことは、責任ある立場の経験を積んだものとして、社会的な信頼を高めることにも貢献します。また、店舗をまとめていくという立場から、店全体の動きや市場の動向なども自然と把握できるようになります。

転職市場でも高く評価される

店舗管理者としての経験は転職の際にも有利に働くため、店舗管理者を目指す登録販売者にとって大きなメリットです。一般用の医薬品を販売する店舗において、店舗管理者は必ず配置しなければならない役職であることから、転職市場でも高く評価されています。

通常の登録販売者も資格がある分有利ではありますが、店舗管理者となることでさらに需要が増します。このように、店舗管理者としての経歴は社会的にも一目置かれた貴重なものとして扱われています。

登録販売者が店舗管理者になるデメリット

法改正により、登録販売者が店舗管理者となる要件が緩和されたことはメリットである一方、その分競争相手が増えたという点はデメリットであるともいえます。また、必要な実務経験の期間が短縮されたことで、経験値や知識の不足を感じる場合もあります。

そのため、店舗管理者となってから実務に挑んだ際、他の店舗管理者との能力の差を感じ、業務が負担になってしまうことが考えられます。

登録販売者が店舗管理者になる際の手続き

店舗管理者になるための要件を満たした登録販売者が、実際に店舗管理者として働く際は一定の手続きが必要です。手続きの際に用意するものは、販売従事登録証の写し、実務(業務)従事証明書などです。

また、過去5年以内に2箇所以上の企業へ勤めていた場合は、それぞれの職場からの証明書が必要になる場合があります。これらの書類を添付し、勤務地の都道府県で手続きを行います。

薬剤師が店舗管理者になる

薬剤師の資格を持っている者であれば、特別な条件・要件を必要とせず店舗管理者になることができます。つまり、薬剤師の資格を取得することで、店舗管理者になりやすくなります

当然、薬剤師は国家資格であるため取得には相当な時間と努力が必要ですが、自身のキャリアプランを考えた上で検討する場合も考えられます。なお、1つの施設において一定時間以上勤務することなどは基本の条件として存在します。

登録販売者が店舗管理者になった場合の業務内容

登録販売者が店舗管理者となった場合、医薬品の販売や店舗運営に関する業務などを行うことになります。それぞれの業務内容について、詳しく解説します。

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  1. 医薬品の販売
  2. 店舗運営に関する業務

医薬品の販売

店舗管理者が行う主な業務の1つが、医療品の販売です。これは一般の登録販売者にも共通することですが、市販されている医薬品の第2類・第3類に当たるものを取り扱うことができます。

第1類に該当する医薬品は副作用などのリスクが高いとされており、薬剤師の資格を持った人にしか販売することができません。

ただし、一般用医薬品の多くが第2類・第3類のものであるため、店舗管理者及び登録販売者である場合は、ドラッグストアなどで提供されるほとんどの医薬品をカウンセリング・販売することが可能です。

店舗運営に関する業務

店舗管理者は販売業務の他にも、店舗の運営に関する業務をこなさなくてはなりません。シフト・売上・在庫の管理など、人・お金・物の流れを全体的に把握しておく必要があります。

例えば、客層・ピーク時間・売上などのデータを分析して目標を設定したり、商品の仕入れや在庫を調整したりといったことです。また、シフトの作成・管理を行いながら、人材の育成や指導についても関わることが店舗管理者の大切な仕事です。

店舗管理システムを活用して業務を効率化

店舗管理者の主な仕事は、医療品の販売と店舗運営に関する業務ですが、同時にこなそうとするほど業務負担が増え、非常に忙しくなります。

そこで、これらの業務を効率化するための店舗管理システムが注目されています。店舗管理システムは、店舗内の売上や商品の在庫、従業員の勤務時間などを管理しつつ、本社と情報を共有することができる大変便利なシステムです。

店舗管理者において、業務の効率化につながる店舗管理システムは需要が高い傾向にあります。

まとめ

登録販売者は、ドラッグストアなどに常駐して一般用の医薬品を取り扱い・販売する資格を持つ人のことです。一般用医薬品とは、医師の処方箋が必要ない市販の薬を指し、その9割以上を占める第2類・第3類の薬品を販売することが可能です。

このような店舗における責任者を店舗管理者といい、店舗管理者となる資格は、登録販売者が一定の要件を満たすことによって得られます。要件は2023年4月の法改正によって、主に2点が変更されました。

1つ目は実務経験の期間が2年から1年へ緩和されたこと、2つ目は追加的な研修を修了することです。登録販売者が店舗管理者となることには、給与のアップ・短期間でのキャリアアップ・転職するのに有利などの、さまざまなメリットがあります。

ただし、要件の緩和により競争相手が増えたり、経験や知識不足が目立ったりといった観点からはデメリットともいえます。また、店舗管理者になる要件を満たした登録販売者が実際に店舗管理者として働くには、所定の手続きが必要です。

店舗管理者の仕事には、主に医療品の販売と店舗の運営に関する業務があります。しかし、これらを同時にこなすのは大変であることから、業務を効率化する上で貴重な存在である店舗管理システムの活用が注目されています。

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