従業員満足度調査の調査項目とは?具体例や調査実施のポイントを解説

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  • 従業員満足度調査とは、従業員が感じる自社への満足度を調査することである
  • 従業員満足度調査を実施する際は、まずは調査目的を明確にすることが重要である
  • 従業員満足度調査の調査項目には、仕事に関することや処遇に関することを選定する

従業員満足度調査とは、職場の環境や仕事内容、人間関係などにおける従業員の自社への満足度を調査することを指します。従業員満足度調査が成功するかどうかには、調査項目が重要になります。本記事では、従業員調査満足度における調査項目の例や実施ポイントなどを解説します。

目次

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  1. 従業員満足度調査とは
  2. 従業員満足度調査を実施する流れ
  3. 従業員満足度調査の調査項目の例
  4. 従業員満足度調査を設計・実施する際のポイント
  5. まとめ

従業員満足度調査とは

従業員満足度調査とは、企業側が自社の従業員たちが満足感を持って仕事に取り組めているかどうかを知るための調査です。

これは、仕事の内容や働く環境、同僚との関係、給与や福利厚生など、さまざまな角度から従業員の感じ方を評価するもので、「Employee Satisfaction」の略でESとも呼ばれます。

本記事では、従業員調査満足度の実施を検討している方に向けて、調査項目の例や実施ポイントなどを解説します。

従業員満足度調査の重要性

日本では働き方改革が進んでおり、経営者や人事担当者にとって、従業員の満足度向上は非常に重要な施策となっています。厚生労働省も、従業員の満足度は企業にとって重要な指標であると提言しています。

企業は従業員の声を聞き、改善すべき点を把握するためにこの調査を行います。まずは、従業員満足度調査の重要性について、詳しく解説します。

参考:従業員の職場定着など、雇用管理面でお困りの事業主の皆さまへ|厚生労働省

自社の課題の早期発見

従業員満足度調査を行うことで、従業員一人ひとりが自社で働くことに満足しているか、逆にどの点に不満を感じているかが明らかになり、自社の課題を早期に発見できます。

従業員の声を集め、それを分析することで、全体の満足度の平均だけでなく、各部署や個々の従業員の意見も把握できます。この早期発見のメリットは大きく、問題が深刻化する前に適切な対策を講じることが可能です。

たとえば、特定の部署で働く従業員たちにとっての問題点を解消する施策を講じたり、全体的な労働環境の向上に取り組んだりすることができます。

生産性の向上

従業員満足度の向上が企業に与える影響は大きいです。そのなかでも、生産性の向上には特に大きな影響を与えます。高い従業員満足度は、従業員のモチベーション向上につながり、仕事への取り組みがより前向きで積極的になります。

モチベーションが高まることで、業務における効率が向上し、無駄な時間やリソースの浪費が減少します。従業員が満足していると、仕事に対する自信も育まれます。従業員は自らの意欲をもって業務に取り組み、企業全体の生産性を向上させる力を発揮します。

顧客満足度の向上

近年では、従業員の満足度が高いほど顧客に良い影響を与えるという理念が社会的に浸透しています。従業員が幸福感を感じる環境では、良質なサービスや製品の提供が期待され、それが結果として顧客に良い印象を残します。

従業員が満足し、仕事に前向きな姿勢を持つことで、企業全体のサービス品質や製品の質が向上し、これが顧客満足度の向上に繋がるのです。

従業員と顧客の幸福感は相互に結びついており、企業にとっては重要なサイクルとなっています。この相互作用によって、企業は持続的な成功と成長を達成することができます。

従業員満足度調査を実施する流れ

従業員満足度調査を効果的に実施するには、適切な流れに沿って行う必要があります。ここからは、従業員満足度調査を実施する流れについて詳しく解説します。

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調査目的の明確化

従業員満足度調査を効果的に実施するためには、まず最初に調査の目的を明確にすることが重要です。単に従業員の満足度を測るという目的だけでなく、自社の課題解決を見据えた具体的で明確な目的を定めましょう。

たとえば、「責任感や達成感の有無の確認」や「人間関係の満足度や問題点の確認」といった具体的な目的を立てることで、自社としてどのようなゴールを目指すのかが明確になり、課題解決に向けた道筋を立てやすくなります。

調査対象の選定

次に、調査対象を選定します。従業員満足度調査の対象は従業員ですが、その中でも正規・非正規や入社年数、職種などによって企業に求めることが異なります。

たとえば、正規雇用者は安定感やキャリアの見込みを強く求める傾向がある一方、非正規雇用者は労働条件や将来の雇用安定性に焦点を当てることがあります。

調査対象の細分化は、異なるグループが抱える懸念や期待を理解し、それに基づいた適切な対策を講じる上で重要です。従業員全体の満足度だけでなく、各グループごとの課題や要望を把握することで、より効果的な改善策を導入することが可能となります。

調査項目の選定

従業員満足度調査では、適切な調査項目の選定が重要です。項目数が過剰だと従業員に負担をかけ、正確な調査結果を得にくくなるため、調査目的に沿った項目を選びましょう。

ただしバランスが重要で、項目が多すぎると回答者の疲労や回答の質低下が懸念されますが、逆に少なすぎると情報不足に陥ります。

質問内容も漠然としたものにならないよう注意します。業務内容や人事評価制度など、具体的な範囲を定めることで、有益な情報を得ることができます。適切な項目数で質問の意図が明確であれば、従業員の本音やニーズを把握しやすくなるでしょう。

調査の実施・集計

従業員満足度調査の次のステップは、調査の実施と集計です。一般的に、調査期間は長くても2週間ほどで、この期間内に従業員にアンケートへの回答を促します。事前に従業員に調査の目的やフィードバック方法を説明し、理解を得ることが重要です。

集計はさまざまな方法があり、単純なものから複雑なクロス集計や構造分析まで、一般的に用いられている方法は多種多様です。適切な方法で調査結果を分析し、従業員の意見や課題を理解した上で、改善策を検討して実施しましょう。

従業員満足度調査の分析方法|実施ポイントや満足度向上の対策も解説

従業員満足度調査とは、会社の方針・労働条件・職場環境などに対し、従業員がどのくらい満足しているかを調査するものです。この記事では、従業員満足度調査の分析方法や実施する際のポイント、満足度向上に向けた対策などを解説します。

従業員満足度調査の調査項目の例

従業員満足度調査は、組織の健全性と生産性向上に向けた重要な手段となっています。この調査では、様々な側面から従業員の意見を把握することが求められます。

調査項目選定の重要性については既に触れましたが、具体的にはどのような項目が選定されているのでしょうか。ここからは、従業員満足度調査における調査項目の代表例について詳しく解説します。

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基本情報に関する項目

まずは、回答する従業員の性別や年齢、所属部署などを尋ねましょう。こういった基本情報は、アンケート結果を集計・分析する際に役に立ちます。項目の例としては以下のようなものが挙げられます。

  1. 性別
  2. 年齢
  3. 所属部署
  4. 役職
  5. 勤続年数

年齢や所属部署ごとの傾向がわかると、施策も行いやすくなります。自社の組織構造に合わせて回答者の基本情報がわかる設問を設置しましょう。

仕事に関する項目

従業員満足度調査において、仕事に関する項目は重要な要素です。この項目群では、仕事の面白さややりがい、仕事量、成長の機会などに焦点を当てることが一般的です。以下は、仕事に関する項目の例です。

  1. 従業員が自分の仕事に興味を持ち、やりがいを感じるか
  2. 仕事が適切な量であるか
  3. 従業員が仕事にどれだけやりがいを感じているか
  4. 従業員が自分のスキルやキャリアに成長を感じているか

これらの項目をバランスよく組み合わせることで、従業員が仕事に対してどれだけ満足しているか、また、仕事を通じてどれだけ成長や達成感を感じているかを把握することができます。

企業はこれらの項目を通じて従業員の声を収集し、業務のやり方や人員配置などについて問題点がないか確認することが重要です。

職場に関する項目

職場環境は従業員の満足度に大きな影響を与える要素です。職場環境に関する項目では、同僚や上司との関係性、サポートし合える雰囲気、業務やプロジェクトにおける情報共有の円滑さなどが問われます。以下は、職場に関する質問項目の例です。

  1. チームメンバーや上司との協力やサポートし合える職場環境か
  2. 業務やプロジェクトに関する共有が問題なくされているか

これらの項目は、従業員が働く環境においてどれだけ協力的な雰囲気があるかがわかります。良好な職場環境は、従業員の働きがいやモチベーション向上に寄与します。

逆に、職場の雰囲気が悪いと、ストレスや不満が蓄積し、従業員の離職率が上昇する可能性があります。企業は職場環境に関するアンケートを通じて、従業員が抱える課題や改善すべきポイントを把握し、良好な労働環境の構築に努めることが求められます。

上司に関する項目

上司に関する項目は、従業員の働きやすさやモチベーションに直結する重要な要素です。上司との関係が良好であるかどうかは、従業員が職場でどれだけ安心感を感じるかに大きく影響します。以下は、上司に関する項目の例です。

  1. 上司の評価や指導方法に従業員がどれだけ納得しているか
  2. 従業員が職場内での人間関係に不安を感じていないか

この項目では、上司との信頼関係の構築、上司の評価や指導方法に対する納得感、そして同僚や後輩との関係性に不安がないかといった点が問われます。

企業は上司に関する項目を通じて、上司のリーダーシップ力向上やコミュニケーションの改善などの施策を検討し、従業員が働きやすい環境を築く努力が求められます。

会社風土に関する項目

会社の風土に関する項目は、企業の組織文化や環境を評価する要素です。これは、企業が重視する価値観や行動様式に対し、従業員が共感を持てているかを把握するための重要な項目です。以下は、会社風土に関する項目の例です。

  1. 従業員同士や組織とのコミュニケーションの円滑さ
  2. 従業員が会社の意思決定に参加できる度合い
  3. 会社が従業員にとって働きやすい環境を提供しているか

この項目では、企業の価値観やミッションを理解し、納得できているかどうかなどが問われます。従業員が会社の風土に適応でき、かつ共感できる場合、仕事に対するモチベーションが高まり、結果的に生産性向上につながることが期待されます。

処遇に関する項目

処遇に関する項目は、従業員が給与や昇進・昇格などの処遇についてどのように評価しているかを収集するための重要な項目です。給与は従業員にとって直接的な報酬であり、業務へのモチベーションや働く意欲に影響を与えます。以下は、処遇に関する項目の例です。

以下は、処遇に関する項目の例です。

  1. 従業員が自身のスキルや業績に見合った給与を受け取っているか
  2. 適切な評価が行われ、待遇にも反映されていると感じているか
  3. 昇進や昇格などは適切であるか
  4. ワークライフバランスは維持できているか

処遇に関するアンケート項目を通じて従業員の満足感について洞察を得ることで、企業は優れた人材を引き留め、ハイパフォーマンスな職場環境を構築するための戦略的な改善策を講じることができます。

福利厚生に関する項目

福利厚生に関する項目は、従業員の働き方や生活に合った制度が用意されているかを問う項目です。特に最近は働き方の多様性やワークライフバランスが重視されており、従業員にとって福利厚生は企業を評価する際の大事なポイントです。具体的には以下のような質問項目が挙げられます。

  1. 休暇は希望通りに取得できているか
  2. 希望する働き方ができているか
  3. 諸手当は十分だと感じるか
  4. 育児や介護を支援する制度が整っているか
  5. スキルアップや資格取得のための支援制度が整っているか
  6. 従業員の健康をサポートする制度が整っているか

企業側では十分な福利厚生を用意しているつもりでも、従業員のニーズに合っていない可能性もあります。満足度調査は各制度を見直す良いきっかけであると捉え、調査を通じて従業員のニーズを把握しましょう。

経営に関する項目

経営に関する項目は、企業の経営方針や意思決定に対する従業員の評価を収集するための重要な要素です。従業員が経営層の方針を理解し、共感できていると、従業員は自身の仕事に対する目標や意義を理解しやすくなります。以下は、経営に関する項目の例です。

  1. 経営方針への理解と共感しているか
  2. 会社の意思決定が透明であるか
  3. 経営陣と従業員とのコミュニケーションが活発に行われているか

これらの質問を通じて、組織の方針やビジョンに対する従業員の評価や理解度を明らかにし、経営層と従業員との良好なコミュニケーションが構築されているかどうかを把握することができます。

従業員が経営方針に共感し、その透明性が感じられる場合、良好な労働環境が整い、生産的な職場が築かれやすくなります。

従業員満足度調査を設計・実施する際のポイント

従業員満足度調査を行う際は、いくつかのポイントに留意する必要があります。ここからは、従業員満足度調査を行う際のポイントに焦点を当て、詳しく解説します。

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「二要因理論」を理解しておく

従業員満足度調査の設問設計や調査後の改善施策立案に役立つのが「二要因理論」です。これは、従業員の満足度がプラスになる要因(動機付け要因)とマイナスになる要因(衛生要因)が別々に存在するという考え方です。

動機付け要因は、満たされることで従業員のモチベーション向上に直結する要因(達成感、成果の承認、昇進や昇格など)のことを指します。一方、衛生要因は従業員の不満やストレスに直結するもの(給与、職場環境、人間関係、福利厚生など)です。

動機付け要因については施策を積極的に行うほど満足度向上が見込めますが、衛生要因においては一定の水準に達するとそれ以上満足度が向上することは期待できません。

そのため、動機付け要因に関する対策では「向上させること」が、衛生要因に関する対策では「低下させないこと」が重要な考え方となります。この理論を踏まえることで、より効果的な調査項目設計や改善施策に繋がるでしょう。

テンプレートの活用を検討する

従業員満足度調査をこれまで一度も行ったことがないなど、設問設計のノウハウが十分でない場合は、テンプレートを活用するのも1つの方法です。上記でも設問の例を少し紹介しましたが、テンプレートは完成形なので設問設計という観点では、より参考になります。

インターネット上には「従業員満足度調査」あるいは「従業員満足度アンケート」としてテンプレートがいくつも存在します。中には無料でダウンロードできるものもあります。

効果的な調査を行うには自社にマッチした内容でないと意味がないので、ある程度のカスタマイズは必要かと思われますが、テンプレートを使えば設計の手間や工数を削減することができるでしょう。

実名か匿名どちらで回答させるか検討する

従業員満足度調査では、実名回答と匿名回答の選択がポイントです。実名回答は名前がわかるため、従業員ごとに具体的な対応ができます。これにより、問題に迅速に対処でき、従業員との信頼関係が築きやすくなります。

一方、匿名回答は名前がわからないため、従業員が自由に率直な意見を述べやすいメリットがあります。この方法では、より本音の声を引き出しやすくなります。また、プライバシーが保護され、従業員が安心して意見を述べることができます。

企業はこれらのメリットを考慮して、自社の雰囲気や従業員に合った方法を選ぶ必要があります。自社の文化や価値観にマッチする方法を選ぶことで、より有益な結果を得ることができます。

定期的に調査を行う

従業員満足度アンケートは、効果的な改善策を見つけるために継続的に実施するべきです。単発の調査ではなく、継続的な取り組みが重要となります。

定期的にアンケートを実施することで、従業員の満足度に影響を与える要因や変化を把握できます。そのため、問題が発生した際に早期に対応でき、従業員が抱える課題に素早くアプローチできます。

また、単発ではなく継続してアンケートを行うことで、前回の結果と比較して変化を確認できるため、企業はより具体的かつ効果的なアクションを講じることができるでしょう。

調査結果はなるべく従業員に公表する

従業員満足度調査の調査結果を従業員に対して公表することで、従業員はアンケートが実際の改善に役立っていると感じやすくなります。これは、従業員に対する組織の真剣な姿勢を示します。

調査結果を公表することで、従業員との信頼関係を築くことができます。従業員が調査結果を知ることで、自身の声が反映されることに対する安心感が生まれます。

回答内容によっては面談を行う

従業員満足度調査を実施した後、回答内容によっては従業員と面談を行う必要があります。アンケート結果には様々な声が反映されていますが、中には特に重要なフィードバックや改善が必要なポイントが含まれていることがあります。

そこで、調査結果をもとに従業員と個別の面談を行うことで、より具体的な意見や要望を把握することができます。調査後は、従業員へのフィードバックと面談を早急に行うことが大切です。

また、早期の面談は課題や不満が鮮明なうちに対応できるため、職場環境の改善や生産性の向上につながります。上司との面談では、従業員が抱える悩みや意見をしっかりと受け止め、解決策や改善策を共に考えることが求められます。

まとめ

従業員満足度調査は、企業が働く従業員の声を聞くための手法です。この調査では、従業員に対して仕事に関する質問をし、その結果から職場の問題や改善点を見つけ出し、良い職場環境へと進化させることが目的です。

ただし、単に調査を行っただけでは意味がありません。その後のデータ分析やフィードバックによって、問題点を特定し、解決策を見つけ出すことが大切です。

調査をする際、具体的で適切な質問を選ぶことで、従業員から有益な情報を引き出し、それに基づいて改善策を講じることが可能です。そのため、質問項目の選定は慎重に行い、実際の問題に焦点を当てることが重要です。

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