企業歯科検診とは?メリット・デメリット、費用についても解説
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- 「国民皆歯科検診」制度の義務化が検討されており、企業歯科検診の重要性が増している
- 企業歯科検診には、従業員の生産性向上や会社のイメージアップなどのメリットがある
- 企業歯科検診の費用は受診する歯科により異なるが、3,000円〜5,000円程度である
2025年から「国民皆歯科検診」制度の義務化が検討されていることもあり、企業歯科検診の重要性が高まっています。企業歯科検診は、従業員の健康を守るだけでなく生産性や業績アップにも繋がります。本記事では、企業歯科検診のメリット・デメリットなどを解説します。
企業歯科検診とは
企業歯科検診とは、企業が従業員に対して実施する歯科検診です。企業歯科検診の主な目的は、歯科疾患を予防・早期治療し、従業員の口腔の健康を維持するとともに、歯科疾患を原因とする全身疾患のリスクを低減することです。
企業には、従業員に対し年に1度の健康診断の実施が義務づけられていますが、この健診に歯科検診は含まれていません。
しかし、2025年より「国民皆歯科検診」制度の義務化が検討されていることから、各企業には定期健診と同様に、従業員への歯科検診が義務化される可能性があります。
なお、企業が従業員に歯科検診を受けさせることには、さまざまなメリットが期待できます。そのため、企業歯科検診制度の導入を自主的に検討する企業も増えてきています。
参考:No.168 令和5年度制度・予算で厚生労働省に要望書を提出|日本歯科医師会
通常の歯科検診よりも短時間で受診できる
企業歯科検診は、一般の歯科検診と比較すると短時間で受診できるのが特徴です。歯科医院ごとに異なりますが、企業歯科検診では口内の状況にあわせて、その場で治療やクリーニングを行うことはないため、個人で歯科医院を訪れて受ける歯科検診よりも短時間で済みます。
また、中には学校での歯科検診のように事業所に出張してくれる場合もあります。この場合、従業員の移動時間も不要なため、よりタイムロスが減ります。
企業歯科検診のメリット
企業歯科検診には、従業員の健康管理だけでなく、生産性の向上や会社イメージの向上などのさまざまなメリットが期待できます。ここでは、企業歯科検診のメリットを解説していきます。
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企業歯科検診のメリット
生産性向上に繋がる
企業歯科検診により、各従業員の生産性の向上が期待できます。虫歯や歯周病の歯科疾患が重篤化すると、痛みなどにより仕事のパフォーマンスが下がることもあります。
また、重篤化するほど治療も長引きやすく、通院のための休暇・遅刻・早退といった職場離脱を余儀なくされるケースも多く見られます。企業歯科検診により、歯科疾患を予防・早期治療でき、このようなリスクを低減できます。
従業員の歯の健康を守るとともに、治療のための職場離脱を防ぐことで、各従業員の仕事の生産性向上が見込めます。ひいては、企業全体での売上拡大も狙えます。
疾患の早期発見に繋がる
企業歯科検診により、全身疾患の早期発見が期待できます。歯の健康は全身の健康とも深い関わりがあり、特に歯周病は全身疾患の原因の1つともいわれています。
企業歯科検診で、全身疾患と関連の深い歯科トラブルを発見することで、全身疾患を早期発見できることもあります。口腔の健康だけでなく、全身の健康管理のためにも、従業員への企業歯科検診は非常に重要です。
営業の業績アップに繋がる
企業健診により、営業の業績アップが見込めるメリットがあります。歯は、その人の印象を左右するパーツです。そのため、取引先と対面する頻度が高い営業メンバーは、歯を大切にしなければなりません。
たとえば、目立つ場所に虫歯があると、清潔感のない印象を周囲に与えます。また、虫歯や歯周病は口臭の原因になりやすく、取引先の方と対面したときに、口臭が気になってうまく話せないという事態になりかねません。
このように、歯科疾患による見た目の印象の悪さ・口臭は、営業を行う従業員には大きな課題です。企業歯科健診により、健康的な歯を維持することで、これらの課題をクリアできます。
具体的には、営業メンバーの外見の印象が良くなるとともに、口臭を気にせず営業業務に専念できるため、結果として営業の業績アップが見込めます。
会社のイメージが向上する
企業歯科検診により、企業に対する内外からのイメージ向上が期待できます。たとえば、従業員にとっては、「会社に大切にされている」という安心感が得られます。結果として、職場満足度が向上しやすくなり、ひいては生産性・職場定着率の向上が見込めます。
また、取引先や顧客からも、「従業員を大切にしている会社」というイメージを持たれやすくなります。つまり、社会的な信頼が向上しやすくなるため、取引の増加や契約率アップなどを狙えます。
企業歯科検診のデメリット
企業歯科検診には大きなデメリットはないものの、歯科検診のための時間がかかる点には留意しなければなりません。
1回あたりの歯科検診の時間は15分~60分ほどで、ここに歯科医院への通院時間も加わります。検診を受ける従業員は、当然ながらこの間は業務に就けないため、一時的に企業の生産性が低下することもあります。
ただし、一般的に歯科疾患の治療には、これよりも長い時間が必要です。企業歯科検診により歯科疾患を予防・早期発見することで、治療時間を削減できるため、かえって各従業員の業務時間を節約できます。
企業歯科検診の費用
企業歯科検診の費用は、1人あたり3,000円〜5,000円が相場です。ただし、具体的な歯科検診の費用は、受診する歯科医院によって異なります。また、レントゲン検査や歯周病検査はオプションに設定されていることが多く、これらの検査には追加費用がかかります。
そのため、ベーシックな検査ではなにができるのか、どこからは追加費用が必要なのか事前に確認しましょう。なお、企業歯科検診は福利厚生の一環とみなされるため、その費用は経費計上が可能です。
企業歯科検診の適切な頻度
治療やクリーニングで減った口内の細菌は3か月程度で元の数に戻ると言われていることから、一般の歯科検診は3か月ごとの受診が推奨されています。企業歯科検診は治療やクリーニングは基本的に行いませんが、企業歯科検診も同様に3か月〜半年に1度がおすすめです。
しかし、取引先や顧客と近い距離で対面する機会が多い接客業と、同僚としか接することのない製造業など、業界や業種などによって適切な頻度は異なります。
また、業務時間を受診に充てることから一時的に業務効率が落ちるため、繁忙期を避けるといった配慮も必要です。時期や頻度を考慮し、自社にとって適切な頻度で検診を行いましょう。
まとめ
2025年より義務化が検討されている「国民皆歯科検診」制度を受け、従業員を雇用する企業にも、企業歯科検診が義務付けられる可能性があります。
企業歯科検診により、従業員の口腔の健康を守ることで、生産性や営業業績の向上・会社のイメージアップのほか、従業員の全身疾患の予防・早期発見などのメリットが期待できます。
企業歯科検診には、時間・費用などのコストもかかりますが、これらのメリットはデメリットを上回ることがほとんどです。各企業は、従業員の健康を守り、ひいては自社の成長につなげるためにも、企業歯科検診制度の導入の検討がおすすめです。
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