給与前払いサービスの手数料とは?種類や相場、注意点などを解説

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  • 給与前払いサービスの手数料には、システム手数料と振込手数料の2種類がある
  • 銀行振込手数料はそれぞれの銀行によって異なるが、一般的な相場は200円程である
  • 手数料は企業負担と従業員負担の2種類があり、特に従業員負担の場合は注意が必要

給与前払いサービスとは、給料日よりも前に従業員が希望するタイミングで給与を受け取れるサービスのことです。給与前払いサービスの利用には、一般的にシステム手数料と銀行振込手数料が発生します。本記事では、給与前払いサービスの手数料の相場や注意点を解説しています。

目次

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  1. 給与前払いサービスには手数料がかかる
  2. 給与前払いサービスの手数料の種類
  3. 給与前払いサービスの手数料の相場
  4. 給与前払いサービスの手数料に関する注意点
  5. 給与前払いサービスを選ぶ際のその他のポイント
  6. 法制度に抵触しないよう注意して利用する
  7. まとめ

給与前払いサービスには手数料がかかる

給与前払いサービスとは、給料日よりも早く給与を受け取れるサービスです。給与前払い制度のある企業が利用しているもので、従業員からの前払い申請により、希望する日時に働いた分の給与を受け取ることができます。

個人の生活サイクルに合わせて給与が受け取れるのが大きなメリットで、企業側においては従業員満足度の向上に向けた福利厚生の一環として、導入が進んでいます。

ただし、給与前払いサービスを利用するには、手数料が発生します。そのため、導入時には無理のない手数料設定かどうかをよく確認する必要があります。

給与前払いサービス・システムとは?メリット・デメリットなどを解説

給与前払いサービス・システムとは、従業員が給与日を待たずに、希望のタイミングで給与を受け取れるサービスです。本記事では、給与前払いサービス・システムをよく知らない方のために、メリット・デメリットや選び方を解説しています。

給与前払いサービスの手数料の種類

給与前払いサービスは、利用するごとに手数料が発生します。手数料は、大きく分けてシステム手数料・振込手数料の2種類があります。それぞれの手数料の概要について、以下で具体的に解説します。

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給与前払いサービスの手数料の種類

  1. システム手数料
  2. 振込手数料

システム手数料

給与前払いサービスの利用で発生する手数料の1つが、システム手数料です。システム手数料はサービスを提供している会社のほとんどが設定しているもので、料金はサービスによって異なります。

システム手数料には、基本料金部分と従量課金部分があります。基本料金は定額の月額利用料で、従量課金はサービスの利用申請額や利用回数によって課金される手数料です。なお、従量課金は定率型と定額型に分類されます。

定率型

定率型では、利用申請額に対し、事前に決めた一定の料率を掛けたものがシステム手数料となります。定率型の場合、従業員の申請額が多いほど、システム手数料の負担額も多くなるのが特徴です。

料率はサービスによって異なりますが、3%〜6%程度を設定しているケースが多いです。たとえば、10,000円の利用であれば、料率が6%の場合だと、600円がシステム手数料となります。申請額が高額になると手数料もその分高くなるため、確認が必要です。

定額型

定額型では、1回の利用に対してあらかじめ金額が決まっており、利用するたびに一定金額の手数料が請求されます。定額型の場合、サービスの利用の回数が多いほど、システム手数料の負担額が増えます。

定額の手数料単価はサービスによって異なりますが、200円程度を設定しているケースが多いです。たとえば、定額200円のサービスを2回した場合、申請金額に関わらず400円がシステム手数料となります。

振込手数料

振込手数料は、給与受取口座へ前払い金を振り込む際に発生する手数料です。振込手数料の金額は、銀行やサービスによって異なります。サービスを利用するごとに振込手数料が発生するため、利用回数が多いほど負担額が多くなるのが特徴です。

なお、サービスで提供するアプリや指定銀行口座を利用した場合、条件をクリアすることで振込手数料が無料になる場合もあります。利用するサービスが、どのような手数料設定を採用しているのか確認しましょう。

給与前払いサービスの手数料の相場

給与前払いサービスのシステム手数料の相場は、従量課金部分が定率型の場合は3%~6%程度で設定している場合が多いです。よって、前払い金の金額が多いほど、システム手数料の負担額も多くなります。

また、振込手数料の相場は200円程度が多く、サービスを利用するごとに発生するため、利用が多いほど振込手数料の負担が増えます。振込手数料は、給与受取口座とサービスを取り扱う会社の兼ね合いによって異なるため、確認が必要です。

給与前払いサービスの手数料に関する注意点

給与前払いサービスの手数料の扱いには、いくつかの注意点があります。サービス利用の際、企業と従業員のどちらが手数料を負担するか、また手数料の精算タイミングを確認する必要があります。以下で、手数料に関する注意点を具体的に解説します。

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企業と従業員のどちらが手数料を負担するか確認

給与前払いサービスを利用する際に発生する手数料は、企業側と従業員側どちらが手数料を負担するか、事前に確認しなければなりません。特に従業員が負担する場合、負担額はどの程度か確認し、了解を得ることが重要です。

一般的にはシステム手数料を負担するのは企業側ですが、振り込み手数料は従業員が負担するケースが多いです。考え方次第では給与が減ることになるため、従業員が負担をする場合は事前に説明し、トラブルを防ぎましょう。

手数料の清算タイミングを確認

給与前払いサービスを利用した場合、手数料の清算タイミングはサービスによって異なります。申請額からあらかじめ手数料を差し引いて振り込みするケースと、申請額の全額を振り込み、あとから手数料を清算するケースの主に2通りがあります。

給与前払いサービスを利用した際の給与明細には、控除欄に申請額が記載されます。手数料があらかじめ差し引かれる場合は、申請額がそのまま記載されます。たとえば、申請額が10,000円で手数料が300円の場合、9,700円が控除されます。

あとから手数料を清算する場合、控除欄に手数料の項目も追加されることになり、申請額と手数料の合計が控除欄に記載されます。この場合、10,000円+600円となるため、10,600円が控除されます。

給与前払いサービスを選ぶ際のその他のポイント

給与前払いサービスを選ぶ際は、手数料以外にも押さえておきたいポイントがいくつかあります。サービスのタイプや、提携している銀行の種類、海外にも送金できるかどうかなどの事項についても確認しておきましょう。

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サービスのタイプを確認

給与前払いサービスには、サービス会社が前払い金を立て替えて支払う「立替払いタイプ」と、自社で前払い資金を立て替えて支払う「自社払いタイプ」があります。それぞれの特徴を、以下で解説します。

立替払いタイプ

立替払いタイプは、前払いの申請額をサービスを提供する会社が立て替える仕組みです。よって、自社が前払い資金を準備する必要がなく、システム手数料が比較的安い、または無料の場合もあります。

また、申請額の立替分は翌月に一括清算するため、総合的に企業の負担が少ないのが特徴です。しかし、振り込み手数料が高めであることが多い点には注意しなければなりません。

自社払いタイプ

自社払いタイプは、前払い分の資金を企業側で立て替える仕組みのサービスです。自社払いタイプには、前もって預託金をサービス会社に預けるケースと、自社の登録口座からの給与振込作業を代行依頼するケースの2通りがあります。

そのため、自社払いタイプを利用する場合、企業では前払い資金を前もって準備する必要があり、システム手数料の金額も高い傾向があります。

一方で、従業員側で負担する手数料は安い傾向があるため、企業側の負担は大きいですが、従業員側は負担を抑えながら利用できるのが特徴です。

定率型と定額型のどちらが合っているか

前述の通り、システム手数料の従量課金部分は「定率型」と「定額型」に分かれます。定率型は申請額が高額であればあるほど、定額型は利用回数が多ければ多いほどシステム手数料が高額になります。

そのため、給与前払いを申請する従業員が多い場合は定率型がおすすめです。反対に、サービスを使用する従業員は少ないが申請額が高額であるケースが多いのであれば、定額型が適していると言えます。

どちらにもメリット・デメリットがあるため、給与前払いサービスをどの程度の従業員が使用するか、そして平均申請額の2つを把握し、自社ではどちらがお得に使用できるか検討しましょう。

提携している銀行の種類を確認

給与前払いサービスを利用するには、提携銀行の種類を確認することが重要です。提携銀行の種類や数が少ない場合は、従業員が持っている口座宛に前払い金の振り込みができない可能性があります。そのため、提携銀行の多いサービスがおすすめです。

サービスを選ぶ際は、会社が指定する給与振込先の銀行や、従業員の利用が多い銀行と提携しているか確認しましょう。また、24時間365日コンビニのATMで引き出しができる銀行と提携があると、前払い金を受け取る際の従業員の利便性も高まります。

海外に送金できるか

外国人労働者を雇っている企業の場合は、祖国の家族へ送金したいなどと希望する外国人労働者のために、海外に送金ができるか確認しておくのがおすすめです。さまざまなシステムを経由しないため、手数料を抑えて海外へ送金できます。

ただし、海外へ送金する際は、為替レートの影響についても注意が必要です。送金した後に為替レートが変わった場合、受取金額が少なくなる可能性があります。よって、為替レートの影響を受けないものを選ぶことも重要なポイントです。

おすすめの給与前払いサービス2選|選び方や注意点を詳しく解説

給与前払いサービスとは、働いた分の給与を通常の給料日よりも早く受け取れるサービスのことです。福利厚生の充実が図れる上に、人事部などの業務負担を増やすことなく前払いに対応できます。本記事では、おすすめの給与前払いサービスとサービスの選び方を解説しています。

法制度に抵触しないよう注意して利用する

従業員ごとのプライベートな資金ニーズに応えることのできる便利なサービスですが、注意すべき点もあります。特に法制度が関わる部分については慎重な姿勢が必要です。

利息制限法に抵触しないか確認

給与前払いサービスのタイプと誰がシステム手数料を負担するかによっては、利息制限法に抵触する可能性があります。サービス会社が立て替える「立替払いタイプ」の給与前払いサービスのシステム手数料を従業員が負担する場合、「貸付利息」に該当します。

申請額や給料日までの日数によっては利息制限法が定める金利の上限を超えてしまい、違法となることがあります

立替払いタイプの多くは従業員ではなく企業がシステム手数料を負担する仕組みを採用していますが、中には従業員が負担するものもあるため、利息制限法に抵触しないよう確認しましょう。

参考:利息制限法|e-Gov法令検索

「給与ファクタリング」は利用しない

給与前払いサービスと似たものに、「給与ファクタリング」があります。給与前払いサービスと違って個人的な利用が前提となるサービスですが、給与ファクタリングを謳う業者は闇金業者などの違法性の高い業者が多い現状があります

この場合は自社や自社の従業員が違法行為を行ってしまうというよりも、従業員が悪徳業者の被害に遭うことになりますが、違法行為に関わってしまうことには変わりありません。

法外な手数料の支払いを迫られるといった被害に遭う可能性があるので、給与ファクタリングは利用しないようにしましょう。

参考:ファクタリングの利用に関する注意喚起|金融庁

給与ファクタリングとは?仕組みやリスク、悪徳業者の見分け方を解説

給与ファクタリングとは、給与を債権として買い取ってもらい、給料日よりも前に現金を受け取る手法を指します。しかし、給与ファクタリング業者の中には、悪徳業者も存在するため、利用には注意が必要です。本記事では、給与ファクタリングの仕組みやリスクなどを解説します。

まとめ

給与前払いサービスは、規定の給料日より前に従業員が希望するタイミングで給与を受け取れるサービスです。給与前払いサービスを利用する際は、システム手数料・振込手数料が発生します。手数料の相場は、サービス提供会社や提携銀行によって異なります。

システム手数料の一般的な相場は、定率型の場合は申請額に対して3%~6%程度の料率で、定額型の場合は利用回数ごとに200円程度です。申請額が高額になったり利用回数が増えたりすると、手数料も高くなるため、注意しなければなりません。

また、振込手数料は銀行によって異なりますが、一般的に利用回数ごとに200円程度発生します。これらの手数料は、企業負担と従業員負担がありますが、特に従業員負担の場合は、負担額の確認を必ず行う必要があります。

給与前払いサービスは、従業員満足度の向上にも役立つことから、導入する企業が増えています。サービス提供会社によってさまざまな特徴があるため、自社に合ったタイプのサービス導入を検討してみましょう。

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