FAQ分析の重要性とは?評価するための指標や改善策・注意点を解説

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  • FAQはWebサイトの利便性を高めるのに役立つが、効果的な運用には分析・改善が必要
  • FAQの分析には、クリックスルー率や0件ヒット率、アクセス数といった指標が使われる
  • FAQを運用する際は、継続的な効果測定と最新情報への更新などの作業をシステム化する

FAQはWebサイトの利便性を高めるのに役立ちますが、効果的に運用するにはデータの分析が必要です。分析・改善を繰り返し行うことで、FAQがより有用なものになります。本記事では、FAQを分析・評価するための指標や改善策、注意点などについて解説します。

目次

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  1. FAQを分析する重要性
  2. FAQを分析・評価するための指標
  3. FAQ分析後の改善策
  4. FAQ分析・改善のサイクル
  5. FAQの分析・改善に関する注意点
  6. FAQシステムの分析機能を活用しよう
  7. まとめ

FAQを分析する重要性

FAQとは「Frequently Asked Questions」の頭文字を取った言葉で、「よくある質問」を意味します。顧客からの問い合わせの中から、頻出する内容を「よくある質問」としてまとめたWebサイト(Webページ)を、FAQサイト(FAQページ)と言います。

FAQサイトを作成することで、顧客はFAQを閲覧するだけで自己解決できる可能性が高くなり、電話や対面などで直接問い合わせする回数が少なくなります。そのため、コールセンターの場合は、オペレーターの負担や人件費の削減につながります。

しかし、FAQを効果的に活用するためには、分析と改善を繰り返すことが重要です。なぜなら、アクセスされないFAQサイトや訪問者が理解しにくいFAQサイトは、効果的とは言えないからです。

FAQを分析・評価するための指標

FAQを分析・評価するための判断材料として、クリックスルー率や0件ヒット率など、いくつかの指標があります。ここでは、それらの指標の意味や数値をどのように評価すべきかについて解説します。

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クリックスルー率

FAQサイトでは、Q&A形式でよくある質問を一覧にして表示する場合もありますが、顧客が目的の情報を探しやすいように、検索窓を設置するのも一般的です。そして、クリックスルーとは、キーワードの検索結果の表示からFAQを実際にクリックすることを指します。

検索結果に対するクリック回数の割合をクリックスルー率と言い、この数値が低いと検索結果に表示されるFAQをクリックする前に離脱していることを意味します。つまり、顧客が既存のFAQサイトで問題解決できていない可能性が高いです。

反対にクリックスルー率が高いと、検索結果に顧客の求める情報が存在する適切なFAQであると考えられます。

クリックスルー率は、顧客が検索からFAQを閲覧したかどうかを知るための指標であり、FAQサイトの運営においては、クリックスルー率を高めることが求められます。

0件ヒット率

キーワード検索した際に検索結果が0件であることを、0件ヒットと言います。0件ヒット率とは、キーワードの検索回数全体に対する0件ヒットの割合です。0件ヒット率が低いほど、顧客が求めるキーワードを網羅したFAQサイトであることを意味します。

一方、0件ヒット率の高いキーワードがある場合、一定のキーワードに関連する情報を多くの顧客が求めているのに対し、検索からFAQに辿り着けていない可能性が高いです。

また、0件ヒットが多い特定のキーワードを確認できなくても、全体として0件ヒット率が高い場合は、顧客に無駄な手間をかけさせているため、好ましい状態ではありません。そして、顧客満足度を高めるためには、0件ヒット率の低い状態を目指すことが大切です。

閲覧後の問い合わせ件数

FAQサイトを作る目的は、顧客がFAQの閲覧によって問題を自己解決することです。また、FAQ閲覧後の問い合わせ件数は、顧客がFAQを見たことによって問題解決できたか、その内容に納得できたかを示す指標です。

FAQの作成で問い合わせ件数が減った場合は、用意した内容が適切であると評価できます。一方、FAQを用意したにも関わらず、FAQ閲覧後の問い合わせ件数が減っていない場合は、FAQだけでは顧客が問題解決できなかった可能性が高いため、改善が必要です。

アクセス数

アクセス数は、FAQサイト内の各FAQの閲覧数を指します。なお、FAQサイト自体の訪問者数をセッション数と言い、アクセス数と区別されます。セッション数に対してアクセス数が少ない場合、顧客が必要としている情報が用意されていない可能性があります。

反対にセッション数自体が少ない場合は、FAQサイトの存在を知られていないことが考えられます。アクセス数とセッション数は数値が大切ですが、その比率も重要であり、目的ごとに理想的な比率は異なります。

例えば、ユーザーの自己解決が目的の場合、アクセス数とセッション数の理想の割合は「1:1」です。この比率は、一度の訪問でも迷わず目的の情報に辿り着けているかを示す比率です。

多くの情報を見てもらうことを目的とする場合、アクセス数とセッション数は「1以上:1」の割合が理想です。これは、どれだけ多くの情報が見られているかを示す比率です。このように、アクセス数はFAQサイトの目的によって、評価の仕方が異なる指標となります。

FAQ分析後の改善策

ここまでは、FAQを評価・分析するための指標について解説しました。ここでは、それらの指標を分析した結果、改善の必要があると判断された場合、どのような改善策を講じるべきなのかについて解説します。

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クリックスルー率が低い場合

キーワードの検索結果から、FAQを評価・分析する指標であるクリックスルー率が低い場合、2つの原因が考えられます。まず1つ目の原因は、検索結果に表示される質問文が顧客にとって「自分に必要な情報ではない」と判断されることが挙げられます。

FAQにおける質問文は、いわば記事の見出しであり、顧客が自分に必要な情報かどうかを判断する重要な要素です。よって、見出しがわかりづらい場合、必要な情報を用意していても顧客に伝わらず、FAQをクリックする前に離脱する原因となります。

この場合は、顧客が見てすぐに伝わる質問文に改善する必要があります。2つ目の原因は、検索したキーワードに対して、顧客にとって必要なFAQが用意されていないことです。この場合は、必要なFAQを作成することが迅速な改善策となります。

なお、FAQを用意しているのに検索結果に表示されない場合は、検索でヒットするようにキーワードを追加する、などの改善策も考えることが重要です。

0件ヒット率が高い場合

キーワードの検索結果がないことを示す、0件ヒット率の割合が高い場合、3つのケースが考えられます。

1つ目のケースは、特定のキーワードの0件ヒットが多い場合、キーワードに関連するFAQが存在しないことが考えられます。その場合は、顧客のニーズに基づいて新たなFAQを作成し、0件ヒット率を下げる必要があります。

2つ目のケースは、顧客の求めるFAQが用意されているのに、検索でヒットしない場合です。これは、タイトルやラベルなどでキーワードを追加することが対策となります。ただし、キーワードの設定方法については、検索の仕組みによって異なる場合があります。

3つ目のケースは、0件ヒット率の高い特定のキーワードが確認できないのに、全体的に0件ヒット率が高い場合です。この場合は、どのように検索すればいいのか、顧客が迷っている可能性が高いです。

以上3つのケースを踏まえ、検索だけに頼ることなく、カテゴリー表示やチャットボットなど、顧客が自身で問題解決できるさまざまな導線を用意しておくことが大切です。

閲覧後の問い合わせ件数が多い場合

FAQを閲覧したにも関わらず、その後の問い合わせ件数が多いのは、内容が不十分・不適切であることが主な原因です。実際の問い合わせ内容から、顧客がどのような情報を求めているのかを分析し、その分析結果をFAQの内容に反映させることが大切です。

また、FAQの画面上にアンケートを表示させて、ユーザーの疑問が解決できたかをリサーチするのも有効な改善策となります。アンケート結果を基に、FAQに必要な情報を整理・追加することができます。

その他、1つの質問に対してさまざまな回答が想定される場合には、各質問に対する回答を用意するべく、質問の詳細をカテゴリごとに分類したり、チャットボットの設置を検討したりしましょう。これらは、顧客の問題を特定するために有効な手段です。

アクセス数が増えていない・減っている場合

FAQページのアクセス数が増えていない・減っている原因として、適切なFAQが用意されていないことが考えられるでしょう。対策としては、問い合わせ内容やアンケートから、ユーザーが知りたい情報を分析し、FAQに漏れがないように情報を追加します。

また、アクセス数が減っている原因には、情報が古くなっている可能性も考えられるため、FAQの内容は常に最新の情報にしておく必要があります。

なお、セッション数が少ない場合は、FAQページまでの導線を設計することが大切ですが、その一例として、適切なSEO対策を行うことが有効です。なぜなら、FAQはSEO対策のアルゴリズムと相性が良く、問題解決とセッション数増加の相乗効果も狙えるからです。

FAQ分析・改善のサイクル

FAQサイトの効果を高めるためには、継続的な分析・改善のサイクルが欠かせません。そのサイクルでは、設定した目標に基づき、改善策の検討・実施・分析が重要です。ここでは、FAQ改善のサイクルについて解説します。

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KPIを設定する

KPI(Key Performance Indicator)とは、目標達成のための指標を意味し、FAQにおいてはユーザーの利便性を可視化する数値目標を指します。アクセス数や0件ヒット率などもKPIの一部であり、FAQの評価もKPIとなります。

FAQの改善には、客観的な指標が必要であり、これらの数値目標を設定することが改善サイクルの第一のステップです。仮に数値目標を下回る場合には、目標数値の達成を目指して改善方法を決めます。

また、KPIの設定をする前に、FAQサイトを作成した目的を再確認したり、FAQ改善の目的を明確化したりすることを忘れてはいけません。FAQの目的達成とKPIの数値目標の達成を関連付けることができると、より効果的な運営が可能になります。

改善方法を決める

KPIの数値目標を下回る場合、これからの課題に対する改善方法を決定します。例えば、0件ヒット率の改善として、0件ヒット率の高いキーワードに関するコンテンツを充実させたり、キーワード対策を行ったりします。

アクセス数の場合は、ユーザーが求める情報を分析しながらFAQとして用意することで、改善に向かいます。また、0件ヒット率は検索結果の履歴を分析することで0件ヒットのキーワードを特定でき、アクセス数は分析ツールを使用することで評価可能です。

このように、分析結果から得られる課題について、キーワード戦略・内容の充実などの改善方法を決定します。

改善施策を実施する

改善策を実施する段階では、改善方法に対する具体的な計画を立て、担当者やスケジュールを明確にします。その際、緊急性の高い課題に重点を置くことで、改善施策の実施とその効果に対する因果関係が見えやすくなります。

改善施策の実施後は、社内でのテスト利用を推奨します。FAQ内の質問文や内容に抜け・漏れ、不十分な点がないかを確認し、改善施策の精度向上につなげます。

結果の分析を行う

改善策の実施後は、設定したKPIに基づいて改善の効果を定量的に評価しましょう。具体的な数値や比率の変化を確認し、目標達成度を評価します。

分析において、FAQの改善策を実行したことによる効果はすぐに表れない場合も多いため、変化が安定するまで経過観察することも重要です。短期的な変動と、長期的な傾向の両方を把握しておくことで、次の改善サイクルに進む際、適切な期間設定をすることができます。

なお、改善策の効果測定には、「FAQ管理システム」と呼ばれる専用のツールも活用できます。データを自動的に取得できるため、FAQを効率的に管理したい場合に便利です。

FAQの分析・改善に関する注意点

FAQの分析・改善は、一度の改善で安定的に高い効果を期待できるわけではありません。また、数値悪化の原因が常に同じであるとも限りません。そのため、FAQの改善は、流動的かつ継続的に行っていくことが大切です。以下では、具体的なポイントを解説します。

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アクセス・デザイン性の良さ

FAQにおける効果測定を行う際には、既存のFAQに関するアクセスのしやすさ・検索結果への辿り着きやすさなどを考慮する必要があります。特に意識すべきなのは、検索者がいかに時間をかけずに求める回答へと辿り着けるかです。

つまり、FAQの改善においては、FAQページ自体がわかりやすい位置にあるか、サイト全体が使いやすくて見やすいデザイン性に優れているか、検索時のロード時間が長くないかなど、ユーザビリティをどれだけ高めることができるかを意識してかなければなりません

改善後も効果測定を続ける

FAQの分析・改善のサイクルは、継続的に行うことが大切です。なぜなら、改善後に効果が結果として表れず、逆に悪化してしまう場合があるからです。対策としては、分析・改善の記録を蓄積していくことが求められます。

また、FAQを新しく追加したり、古い情報を更新したりした場合、それらの内容がユーザーにとって適切かどうかについて効果測定する必要があります。継続的な効果測定を行うことは、ユーザーの利用状況やニーズの変化に柔軟な対応を行うためにも重要です。

常に最新情報に更新する

商品やサービスの変更・規制の変更などがあった場合には、FAQの古い情報を更新して最新情報を提供するようにします。つまり、現状の事実とは異なる情報提供によって企業の信頼を失わないように、定期的に情報が正しいかを確認することが大切です。

また、時間経過によってユーザーの知りたい情報が変化する可能性もあります。その場合は、ユーザーのニーズに合わせて内容を更新したり、新たなFAQを作成したりして柔軟に対応しましょう。

作業をシステム化する

FAQサイトを作成し、さまざまな分析・改善を行っていくことは、結果的に顧客満足度を高めることにつながります。しかし、その作業が属人化したり、担当者の負担を著しく増加させる要因となったりするのは望ましくありません。

そのため、毎月の決められた時間に担当者を交代しながら効果測定を行ったり、複数人での継続的な分析・改善を行ったりすることで、更新までの作業全体をシステム化することができるでしょう。

FAQシステムの分析機能を活用しよう

FAQページは自作することも可能ですが、効率的・効果的に管理したい場合は、FAQシステムを利用するのがおすすめです。FAQシステムでは、よくある質問と回答を簡単に作成できる機能や、検索機能を搭載しています。

また、FAQの登録・検索だけでなく、データを分析する機能もあります。例えば、アクセスデータを収集し、どのFAQページが最も閲覧されているかを把握することができます。こうした機能は、管理者の負担軽減とユーザーの利便性向上に寄与します。

なお、適切なカテゴリー分けやトピックの分類などもできますが、何より便利なのは、FAQページの利用状況や質問の傾向などを分析する機能があることです。これにより、FAQの改善を支援しながら、より効果的な運用を可能にします。

FAQシステムとは?導入のメリットとシステムの比較ポイントを解説

FAQシステムとは、エンドユーザーからの「よくある質問」とその回答を作成し蓄積したものをWebページやアプリ内で検索できる機能です。この記事では、FAQシステムの機能やメリット・デメリットを踏まえ、選び方など導入前に抑えておきたいポイントを解説します。

まとめ

FAQの分析・改善は、顧客の自己解決を促進する上で重要であり、企業にとっても問い合わせ対応やオペレーター業務の負担、人的コストの削減につながります。FAQの内容が適切か、ニーズの高いFAQが用意されているかなど、注意すべき項目がいくつかあります。

FAQの課題を洗い出すための指標には、クリックスルー率・0件ヒット率・閲覧後の問い合わせの数などが存在します。これらの数値に問題がある場合は、キーワード戦略やFAQの作成などによって、改善策を講じる必要があります。

FAQの改善は、目的を持って計画的かつ継続的に行うことが大切です。具体的には、KPIの数値目標に基づいて適切な方法を実施し、継続的に効果測定を行います。本記事を参考にしてFAQの質を向上させ、顧客・企業両者にとって有益なFAQサイトを運用しましょう。

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