コールセンターのシステムに関する用語を解説|できることも紹介
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- コールセンターにシステムを導入することで、コールセンター業務の効率化に繋がる
- CTIは、電話とコンピューターを統合する仕組みであり、PBXやIVRなどを包括している
- PBXとは「電話交換機」を意味し、ACDとは「着信呼自動分配装置」を意味する
コールセンターでは、専用のシステムを使用して業務の効率化を図っています。しかし、CTIやPBXなどアルファベット表記の用語も多く、システムについてよくわからない方もいるでしょう。本記事では、コールセンターのシステム用語やできることについて解説しています。
コールセンターのシステムに関する用語
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コールセンター業務の効率化を図るには、CTIやPBXなどのシステムの導入がおすすめです。電話業務の効率化以外にも、オペレーターの負担軽減・顧客満足度の向上などのメリットが期待できます。
なお、コールセンターのシステムに関する用語は、上記のようにアルファベット表記されることが多く、一見では内容が分かりづらくなっています。
本記事では、コールセンターにおすすめのシステムを6種類紹介します。併せて、各システムの概要やできることも解説していきます。
CTIとは
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CTIとは、「Computer Telephony Integration」の略語で、電話とFAX・コンピューターを統合する技術を指します。
従来では、電話・FAX・パソコンはそれぞれ個別に操作する必要がありました。一方、CTIを導入すれば、パソコンと電話・FAXを連動できます。その場合、パソコンから電話を発信できるようになるため、オペレーターの作業の手間を大きく軽減できます。
なお、CTIの多くは、PBX・IVR・ACDなどの他システムの機能を有しています。全システムを包括したい場合は、CTIの導入がおすすめです。
CTIでできること
CTIの代表的な機能は、ポップアップ機能です。ポップアップ機能は、CRM(顧客関係管理システム)と連携させて利用することが一般的です。
ポップアップ機能では、受電または架電の際に、電話番号を元にCRMに登録されている顧客情報を検索し、パソコンにポップアップ表示させることが可能です。
オペレーターは、着信または発信と同時に、顧客の購買履歴や問い合わせ履歴を確認できるため、顧客のニーズに合わせたきめの細やかな対応が可能になります。
CTIには、その他にも次のような機能があります。
機能 | 概要 |
---|---|
ポップアップ機能 | 電話番号を元に顧客情報を検索し、パソコンにポップアップ表示させる |
IVR機能 | 入電時に顧客に対して自動で音声を流す |
ACD機能 | 入電をあらかじめ設定したルールに従ってオペレーターに自動で振り分ける |
録音機能 | 顧客とオペレーターの通話内容を録音する |
モニタリング機能 | 応対中の顧客とオペレーターの通話内容を第三者が遠隔で聞く |
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CTIシステムとは?導入のメリット・デメリットと選び方を解説
CTIシステムとは、電話やFAXとコンピュータを連携させることで、 CTIシステムには電話がかかってきた際に相手の名前や購入履歴などを表示させる機能があります。この記事では、 CTIシステムの導入のメリット・デメリットと比較ポイントを解説します。
PBXとは
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PBXは「Private Branch eXchange」の略語で、日本語訳は「構内交換機」です。具体的には、外線電話と内線電話または内線電話同士を交換する装置を指します。
たとえばコールセンターの代表電話に一斉にかかってきた複数の外線電話を収容し、1つずつ各オペレーターの内線につなげます。
PBXの導入により、膨大な外線電話を一括管理して、複数のオペレーターで効率よく対応できるようになります。
PBXでできること
PBXでできるのは、発着信の制御です。あらかじめ指定した番号の外線電話を、指定の番号の内線電話に着信することができます。指定の内線電話番号から指定の外線電話番号への転送も可能です。
これにより、同じ顧客の入電・架電を同じオペレーターが担当することが可能になります。従来のように、他のオペレーターが電話を受けて、改めて担当者に電話をつなぐ作業をカットできます。
この他にも、PBXでは次のようなことができます。
機能 | 概要 |
---|---|
発着信制御機能 | 指定の外線電話番号・内線電話番号同士を連携させる |
内線通話機能 | 社内の内線電話同士で通話ができる(外線を利用しないため電話料金が発生しない) |
転送機能 | 着信した外線を他電話機・モバイル端末に転送できる |
パーク保留機能 | 保留にした通話を他の電話機で引き継げる |
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PBXとは?メリット・デメリット、機能などをわかりやすく解説
PBXとは、企業内の電話交換機を意味し、複数の電話回線を集約して、内線同士や外線と内線の接続をコントロールするシステムです。PBXには3種類あり、コストやメリットなどが異なります。本記事では、PBXの選び方や種類ごとのメリット・デメリットを解説しています。
IVRとは
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IVR(Interactive Voice Response)とは、コンピューターによる音声自動応答システムを指します。たとえば、入電が混み合っている際に、「しばらくお待ちください」「お掛け直しください」のような音声を流します。営業時間外への入電への対応も可能です。
IVRでできること
IVRは、顧客からの問い合わせへの自動対応や適切なオペレーターへの振り分けを行えます。例えば、「○○は1番」「△△は2番」のようにプッシュボタンの操作を案内し、その選択内容に応じて、適切なオペレーターに電話をつなぐことができます。
IVRでは、次のようなことができます。
機能 | 概要 |
---|---|
問い合わせへの自動応答 | 電話がつながりにくい時・営業時間外にかかってきた電話に、あらかじめ録音した音声を自動で流す |
オペレーターへの振り分け | プッシュ操作の内容に応じて、最適なオペレーターに電話をつなぐ |
折り返し電話の予約 | 応答待ちの顧客に対し、オペレーターからの折り返し電話の予約を案内する |
顧客への自動発信 | 顧客への架電を自動で行う |
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IVR(音声自動応答システム)とは?メリット・デメリットと選び方を解説
IVRとは、コンピューターによる音声自動応答システムのことです。営業時間外も顧客に応対することができ、コールセンターや宅配便の再配達など幅広い場面で活用されています。こちらの記事では、 IVRシステム導入のメリット・デメリットと選び方のポイントを解説します。
CRMとは
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CRMは「Customer Relationship Management」の略語です。日本語では「顧客関係管理(システム)」などと呼ばれています。
CRMは、顧客からの問い合わせやクレーム履歴・購買履歴などの顧客情報を一元管理するシステムです。架電・入電時にオペレーターがこれらの顧客情報を確認することで、顧客のニーズにあわせた応対を実現できるメリットがあります。
CRMでできること
CRMでは、顧客に関するさまざまな情報を、電話番号と紐付けて管理できます。各オペレーターは、着信・発信と同時に、顧客との過去のやりとりを一目で把握できるため、スムーズな電話応対が可能になるでしょう。
CRMでは、主に次のようなことができます。
機能 | 概要 |
---|---|
顧客情報管理機能 | 顧客の問い合わせ・クレーム・購買履歴を電話番号と紐付けて管理する |
顧客データ分析機能 | 顧客の購買・問い合わせ履歴を分析してニーズ・行動傾向を把握できる |
プロモーション支援機能 | 顧客のニーズや行動傾向に合った商品・サービスの提供を支援する |
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CRMとは?初心者向けに導入のメリット・デメリットと機能を解説
CRMシステムとは、利益の最大化を目的に顧客との関係性を管理することを指します。この記事では、顧客関係管理やマネジメントを自動化・効率化してくれるCRMシステムの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際に選ぶポイントを解説します。
ACDとは
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ACD(Automatic Call Distribution)は、「着信呼自動分配装置」と呼ばれています。コールセンターなどにかかってきた外線電話を、あらかじめ設定したルールにしたがって、各オペレーターに自動振り分けするシステムです。
オペレーターの待機時間や着信回数に応じた振り分けなどが可能であり、オペレーター間の着信回数の格差解消に役立ちます。
ACDでできること
ACDでは、主に、オペレーターの負担軽減と顧客の満足度向上の2つを実現できます。例えば、オペレーターの応答待ちの電話(待ち呼)に対して、再電話を呼びかけることで、顧客の待ち時間を削減できます。
また、オペレーターのスキルや専門性に応じた電話の振り分けが可能なため、内容が分かるオペレーターに電話がすぐつながる点も、顧客にとってのメリットです。
オペレーターにとっては、専門外の電話をカットできるため、他担当者への確認・電話の転送などの手間を軽減できます。
ACDでは、次のようなことができます。
機能 | 概要 |
---|---|
待ち呼ガイダンス | 応答待ちの電話(待ち呼)に録音音声を流す |
あふれ呼設定 | オペレーターにつながらない電話に別の手段(再電話・Webの問い合わせフォームなど)を案内する |
待ち時間順着信 | 待機時間が長いオペレーターに優先的に着信させる |
着信回数優先着信 | 着信回数が少ないオペレーターに優先的に着信させる |
スキルベースルーティング | オペレーターのスキルに応じて電話を振り分ける |
ランダムルーティング | 全オペレーターにランダムに電話を振り分ける |
オーバーフロー転送 | コールセンターの応対可能件数を超過した場合に、電話を他窓口に自動で転送する |
オペレーターのステータス管理 | オペーレーターのステータス(着信可能・離席中・研修中)などを一括管理する |
スケジュール制御 | 受付時間外の電話に指定の音声ガイダンスを流す |
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ACD(着信呼自動分配装置)とは?できることや注意点などを解説
ACDとは、日本語で「着信呼自動分配装置」を意味し、顧客からの入電を自動でオペレーターに振り分けるシステムです。コールセンターで活用することで、業務効率化による対応時間の短縮につながります。本記事では、ACDのできることやメリットなどを解説します。
ウィスパリングとは
ウィスパリングとは、オペレーターと顧客のやりとりを責任者がリアルタイムで聞きながら、必要に応じてオペレーターにだけ聞こえるように指示を出せる機能です。顧客とのやりとりを中断することなく指示を出せるため、スムーズな電話応対を行えます。
ウィスパリング(Whispering)には、「ささやく」という意味があることから「ささやき業務」と呼ばれる場合もあります。
ウィスパリングでできること
ウィスパリングは主に、トラブルの防止や新人教育に効果が期待される機能です。ウィスパリングの声は顧客には聞こえないため、通話を繋げたまま責任者がオペレーターに指示出しを行い、電話応対の内容や流れを修正するよう促せます。
顧客のスムーズな課題解決を促せるばかりでなく、オペレーターの対応ミスによるトラブルを未然に防ぐためにも効果的です。また、オペレーターだけに聞こえるようにアドバイスできる性質上、新人教育にも役立ちます。
ウィスパリングでは、次のようなことができます。
機能 | 概要 |
---|---|
電話応対中のオペレーターへの指示出し | 通話を繋げたままオペレーターに指示を出し、応対の内容や流れを誘導する |
新人オペレーターの研修 | 新人オペレーターの電話応対をサポートして、成功体験を積ませる |
顧客対応の品質チェック | リアルタイムな顧客対応の品質を確認する |
コールセンター業務で使われるその他の用語・指標
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コールセンターのシステムや機能に関する用語について解説してきましたが、業務では以下のような言葉を聞くこともあります。これらはコールセンター業務における生産性を測るための指標です。前述の用語と併せて把握しておきましょう。
用語 | 概要 | 算出方法 |
---|---|---|
CPH | 1人のオペレーターが1時間あたりに対応した件数 | 1日の対応件数÷稼働時間 |
ATT | 1件あたりの平均通話時間 | 総通話時間÷総対応件数 |
AHT | 1件あたりの平均処理時間 (通話後の処理も含める) | ATT+1件あたりの通話終了後の平均処理時間 |
CPHの値が高いほど生産性が高く、オペレーターが習熟していると判断できます。また、ATTは短い方が効率的と言えますが、手短な対応が必ずしも顧客満足度向上に繋がっているとは限らないため注意が必要です。
AHTは、ATTにプラスして、電話を切ったあとのレポート作成や他部署への共有などの処理が含まれます。CPHと同様に、オペレーターの生産性を測るのに役立つ指標です。
まとめ
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コールセンター業務の効率化には、専用のシステムの導入がおすすめです。コールセンターに関するシステムには、CTI・PBX・IVR・CRM・ACD・ウィスパリングなどの分かりづらい用語が多いため、各用語の意味や内容を理解しておくことが大切です。
コールセンター用の各システムを導入し、電話対応業務の効率化やオペレーターの負担軽減、顧客満足度の向上を目指しましょう。
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