BIツールとは?機能やメリット・デメリットをわかりやすく解説

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  • BIツールは、企業が保有する蓄積されたデータを集約・分析し、効果的な運用につなげる
  • ツールの導入によって作業が効率化し、ビジネスのリアルタイムな意思決定にも役立つ
  • 基幹系システムとの連携が可能か、誰でも操作しやすいかなど事前に確認することが重要

BIツールとは、企業が持つ大量のデータを集約して可視化することで、ビジネスの意思決定を支援するツールです。本記事では、初心者の方向けにBIツールの機能や仕組み、導入のメリット・デメリット、ツールを選定する際の比較ポイントについても詳しく解説します。

目次

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  1. BIツールとは
  2. BIツールの仕組み
  3. BIツールの機能と役割
  4. BIツール導入のメリット
  5. BIツール導入のデメリット
  6. BIツールの比較ポイント
  7. まとめ

BIツールとは

BI(Business Intelligence)ツールは、企業が保有する大量のデータから必要な情報を集約し、分析するツールです。これまでに蓄積された膨大なデータを視覚化し、迅速かつ効果的な意思決定が可能となります。

BIツールは、データの抽出・変換・可視化・ダッシュボード作成などの機能を備えており、売上分析・顧客行動分析・在庫管理・マーケティング戦略立案など、さまざまな活用シーンで役立ちます。

BIツールの導入により、企業はリアルタイムな情報に基づいた戦略立案や効果的なリソース配分が可能となり、競争力の向上につながります。

BIツールが必要な背景

インターネットの普及により、ビジネス環境は急速に変化しています。特に、従来のビジネス方法では対応しきれない課題が生じることで、顧客ニーズも多様化しています。このような状況下において、企業は大量のデータを分析し、有益な情報を抽出する必要があります。

例えば、顧客の行動データや購買履歴から個別のニーズ・傾向を把握し、個別マーケティングを展開します。また、競合他社の動向や市場のトレンドも把握し、迅速に対応することが求められます。

BIツールは、現行市場の課題に対応するための重要なツールであり、データの可視化や分析によって意思決定を支援します。顧客ニーズの多様化と対象データの増加により、BIツールの重要性は年々高まっているのが現状です。

BIツールが活用されているビジネス

BIツールは、以下のようなビジネスにおいて活用されています。

  1. 経営分析と財務分析
  2. 営業分析と売上分析
  3. 人事データ分析
  4. 勤怠データの集計・分析
  5. 予実管理

これらの業務において、リアルタイムな状況把握や傾向分析などを行い、業務の効率化などに貢献します。また、属人化しがちな業務においても、BIツールを活用することで業務内容・ノウハウを共有しやすくなり、1人に対する負担を軽減することができます。

BIツールの仕組み

BIツールは、主に「基幹系システム」「集計・分析」「可視化・ビジュアライズ化」の仕組みによりデータを取り扱っています。ここでは、BIツールがどのようにデータの集約・分析をするかについて、実際の仕組みを解説します。

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基幹系システムにインプット

BIツールは既存のデータを活用するため、社内の「基幹系システム」との連携が必要です。例えば、生産データや在庫データを分析する際には、製造管理システムや物流管理システムとの連携が求められます。

BIツールはこれらの基幹系システムとの連携により、組織全体のデータを統合し、効果的な分析やリアルタイムな可視化を可能にします。BIツールと基幹系システムとの連携は必須であり、組織の情報活用と効果的な意思決定をする際の重要な要素となります。

集計・分析

BIツールの仕組みでは、集計と分析が重要な役割を果たします。具体的な例として、売上データの集計と分析があります。BIツールは、売上データを日別・週別・月別などの期間で集計し、地域や製品カテゴリーごとの売上分析も行います。

これにより、売れ筋商品や成長市場、顧客傾向などを特定できます。BIツールの集計・分析機能は、データを効果的に活用し、意思決定や戦略策定に役立ちます。

可視化・ビジュアライズ化

BIツールでは、直感的なグラフやチャートでデータを可視化できます。例えば、売上の推移を折れ線グラフで表示したり、地域別の売上を地図上に可視化したりします。これにより、データを視覚的に理解しやすくなります。

Excel(エクセル)などの表では、膨大なデータを扱う際に見づらくなりがちですが、BIツールはグラフ化することで、データを視覚的に理解しやすくなります。見やすさと操作性に優れており、意思決定や戦略策定の補助に貢献します。

BIツールの機能と役割

BIツールは大量のデータを収集・分析する上で、さまざまな機能を備えています。ここでは、BIツールの代表的な機能とその役割について解説します。BIツールの機能と役割を理解し、効率的に活用しましょう。

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機能役割
レポート機能売り上げなどの日々のデータを分析
OLAP機能多角的にデータを分析
データマイニング機能データのパターン・傾向から予測する分析
シミュレーション機能過去データから計画や戦略の根拠を抽出

レポート機能

BIツールのレポート機能は、顧客管理システムや販売管理システムなどから収集したデータを、クライアントごとの売上や商品ごとの売上に分けて分析する機能です。

日々の活動を目標に沿って進められているのか、レポート機能を活用することで進捗状況を定期的に把握することができます。その結果、課題や改善点を特定し、業績向上につなげられます。

OLAP機能

OLAP機能は多次元分析とも言われ、複数のデータソースから収集された情報をもとに、さまざまな視点からデータを分析する手法です。この手法は、ビジネスの課題点を特定し、複数の角度から検証することを可能とします。

OLAP機能による客観的なデータ分析により、従来の経験や直感に依存するだけでは気づかなかった課題が明らかになります。そして、既存のビジネスの視点を広げ、客観的なデータに基づいた意思決定を促進することにも役立ちます。

データマイニング機能

BIツールのデータマイニング機能は、膨大なデータセットからパターンや傾向を見つけ出し、予測分析や顧客セグメンテーションを行います

例えば、顧客行動のパターンや傾向を分析して、新商品の開発や商品の改善に役立てられます。データマイニングは潜在的な価値ある情報を抽出し、効果的なマーケティングや競争力の向上に寄与します。

シュミレーション機能

BIツールのシミュレーション機能は、予算計画やマーケティング戦略の立案で役立ちます。過去のデータをもとにシミュレーションを行うことで、計画や戦略の根拠を得ることができます。

予算計画やマーケティング戦略は、企業の将来を左右する重要な要素です。BIツールのシミュレーション機能を活用して、リスクを最小限に抑えながら具体的な計画を立案し、将来の戦略的な意思決定を行うことができます。

BIツール導入のメリット

BIツールの導入は、企業や組織にとってさまざまなメリットをもたらします。ここでは、BIツールを利用するメリットを5つ解説します。自社のニーズと具体的なメリットを比較して、BIツールの導入を検討しましょう。

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作業の効率化で時間と労力を削減

BIツールの導入によるメリットの1つは、作業効率化です。データ集計や分析作業を自動化することで、資料作成やデータ集約・分析にかかる時間と労力を削減できます。さらに、BIツールは直感的な操作性と視覚化機能を備えており、簡単にデータを整理・分析できます。

従来のExcelなどでのデータ集計・分析は、作業の都度データを入力していたため、時間の発生とエラーのリスクがありました。しかし、BIツールではデータ統合や更新が自動化されるため、従来のExcelなどの作業に比べて圧倒的な効率化を図れます。

人件費と作業工数の削減につながる

BIツールは効率的なデータ収集・分析を可能にし、さまざまなコストを削減できます。例えば、従来の手法で行っていたデータ収集や、分析作業に要していた人件費・時間が削減されます。

また、BIツールの視覚化機能により、データの可視化やレポート作成が容易になり、従来の膨大な資料作成にかかる工数を削減できますBIツールの導入によって、効率化やデータ品質の向上、工数の削減など、総合的なコスト削減が期待できます。

さまざまなデータを一元管理できる

社内のさまざまなデータをまとめて管理・把握しやすくなることも、BIツールの導入によるメリットです。BIツールは異なる部門からのデータを統合し、社内のさまざまなデータを一元管理できます

これにより、部門やプロジェクト間の情報共有が促進され、全体の業績や状況を瞬時に把握できます。さらに、リアルタイムのデータ更新や自動化されたデータ処理により、最新の情報に基づいた意思決定が可能になります。

社内のさまざまなデータを統合的に管理・把握することで、組織全体の効率性や生産性の向上に貢献するでしょう。

分析結果を活かして競争力を向上

BIツールの導入によるメリットは、分析結果を活かせることです。BIツールは膨大なデータを短時間で分析し、可視化することができます。これにより、現場の課題やトレンドを素早く発見できます。

例えば、売上データの分析から、需要の増加や減少・商品の人気や不人気などが把握でき、そのデータに基づいて、在庫管理や販売戦略の立案が行えます。分析結果を活かすことで、現場の改善や戦略的な意思決定が行われ、企業の競争力向上につながります。

意思決定のスピードが上がる

BIツールの導入により、意思決定のスピードが向上します。BIツールはリアルタイムおよび近期のデータを素早く収集し、分析・可視化することができます。よって、意思決定に必要な情報を迅速に入手できます。

意思決定に関わる関係者が必要な情報へ瞬時にアクセスできるため、迅速で効果的な意思決定の実現に期待できます。

BIツール導入のデメリット

BIツールを導入するメリットは多くありますが、デメリットも存在します。ここでは、BIツールのデメリットを2つ解説します。

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運用ルールの設定やスタッフ研修が必要

BIツール導入のデメリットの1つは、運用ルールの設定とスタッフ研修の必要性です。BIツールでは、正確なデータの入力やデータの取り扱いに関する適切なルール設定が必要です。

また、BIツールの操作や分析手法、データの解釈などを理解するためにはスタッフ研修も重要です。運用ルールの設定やスタッフ研修は、ある程度の時間と労力がかかることを考慮し、効果的なツールの活用につなげましょう。

自社に適しているかの判断がしにくい

BIツールにはさまざまな種類があり、多くのベンダーからツールが提供されています。その中から、自社に適したツールを選択するのは困難です。そこで、ツールの中には無料のトライアル期間を設けているものや、無料のプランを提供しているものもあります。

よって、BIツールをどのように活用したいのかを明確にし、達成したい目標に向けてお試し運用するなどして使用感を確かめるのが大切です。

導入から運用までのコストがかかる

BIツール導入のデメリットとして、コストがかかる点も挙げられます。例えば、月額の利用料やサーバーのレンタル費用など、ランニングコストが発生します。さらに、導入形態によっては自社サーバーの購入費用や維持管理コストも必要となります。

BIツールの導入では、初期費用から運用コストまでの費用がかかるため、事前に費用対効果の評価も含めた検討をおすすめします。

BIツールの比較ポイント

BIツールには複数のタイプがあり、導入する際はどの種類を選択すればよいか迷うこともあるでしょう。ここでは、以下の6つの比較ポイントを取り上げ、BIツールの選び方について解説します。

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業種に特化した機能が搭載されているか

BIツールの比較ポイントは、業種に特化した機能が搭載されているかです。例えば、小売業や流通業では、在庫管理や売上分析などの機能が必要となります。また、小売業・流通業では、商品の売れ筋ランキングや顧客の嗜好分析、在庫の推移などの把握が重要です。

自社の業界に特化した機能があれば、業界の特性に即した分析や意思決定が可能になります。これにより、業界の競争力を高め、効果的な戦略立案につなげることができます。

利用者が誰でも操作がしやすいか

BIツールを比較する際には、操作しやすいツールかどうかを比較しましょう。直感的な操作ができるユーザーフレンドリーなデザインは、従業員の迅速かつ効果的なツール活用に直結します。

また、グラフやダッシュボードの見やすさも重要です。視覚的にわかりやすいグラフや直感的なデータの可視化は、データの分析や意思決定プロセスのスピードに影響します。従業員が使いやすいという点は、ツールの導入効果と生産性向上においても重要な要素です。

導入形態は自社に合っているか

自社に合った導入形態の選択も重要です。導入形態には、主にオンプレミス型とクラウド型があるため、企業のニーズや状況に合った最適な選択を行う必要があります。以下では、オンプレミス型とクラウド型の導入形態について解説します。

オンプレミス型

オンプレミス型のBIツールは、企業内のサーバーに導入する形態です。特徴としては、セキュリティの制御が容易であり、データの管理やアクセス制限がすべて企業の管轄下にある点です。

セキュリティ性が高く、データの保護が容易であるのがメリットとして挙げられます。また、企業内のネットワークにアクセスするため、データの応答速度も高くなります。一方、導入には高い初期投資とメンテナンス費用がかかる点がデメリットです。

オンプレミス型は自社でデータを管理したい企業や、セキュリティ面に重点を置く企業に適しています。

クラウド型

クラウド型のBIツールは、クラウド上のサーバーを利用する形態を指します。特徴は導入が容易であり、インターネット経由でデータにアクセスできる点です。

また、自社でサーバーを用意する必要がないため初期投資が少なく、提供されるものの中から需要に応じてシステムを選択できます。さらに、ツールのメンテナンスやアップデートは提供元が行ってくれるため、管理の負担が軽減されます。

一方、データのセキュリティやプライバシーに関しては一定のリスクがあります。特に、インターネット接続によるネットワークの安定性・危険性といったリスクがあります。クラウド型は導入の迅速性と管理の負担軽減、低コストを重視する企業に適しています。

モバイルデバイスで共有できるか

BIツールの比較ポイントとして、デジタルで共有できるかを確認しておきましょう。スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスでBIツールにアクセスし、データやレポートを共有できるかの確認が重要です。

パソコン以外からも利用可能であると、現場や外出先でもリアルタイムな情報にアクセスでき、迅速な意思決定や業務の効率化が可能です。特に、営業担当者が顧客先でデータを共有したり、管理者が移動中でも重要な情報にアクセスできたりすると利便性が高いです。

自社の基幹系システムと連携できるか

BIツールと基幹系システムとの連携は、企業の経営情報を一元管理し、統合的な分析を行うために不可欠です。よって、BIツールが自社の基幹系システムとの連携ができるかどうかを確認しましょう。

例えば、売上システムや人事システムとのデータ連携をすると、売上動向・人事データ・業績評価などの正確なデータを把握できます。データを基幹系システムと連携して分析することで、効果的な経営戦略や人事施策を立案することが可能となります。

サポートが充実しているか

BIツールの比較ポイントとして、サポートが充実しているかも大切です。サポートが充実しているツールは、急なトラブルや質問にも迅速かつ適切に対応してくれます。

サポートの充実により、ツールの導入後や運用中に生じる問題・疑問を迅速に解決し、ユーザーがスムーズにツールを活用できます。ツールを安心して活用するためにも、どのようなサポート体制のツールなのかを比較検討することをおすすめします。

まとめ

BIツールは、企業の意思決定や業績分析において重要な役割を果たします。基幹系システムとの連携により、組織全体のデータを統合し、効果的な分析やリアルタイムな可視化が可能です。大量のデータ収集によって、価値ある情報提供を実現します。

また、適切なBIツールの選択は、業務の効率化や正確な意思決定、競争力の向上につながります。自社に適切なBIツールを選択して、正確な分析と意思決定を実現しましょう。

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