エクセルでタレントマネジメントは可能?メリット・デメリットも解説
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- タレントマネジメントはエクセルでも可能であり、コストが抑えられるメリットがある
- エクセルによる管理は煩雑になりがちで、セキュリティ面の不安もあるため注意が必要
- タレントマネジメントの効率化には、タレントマネジメントシステムの活用がおすすめ
タレントマネジメントは、エクセルで行うことも可能です。ただし、エクセルによる管理はコストが抑えられる一方、人的ミスの発生やセキュリティ面の不安もあり注意が必要です。本記事では、エクセルでタレントマネジメントを行うメリット・デメリット、注意点などを解説します。
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エクセルでタレントマネジメントはできるのか
タレントマネジメントとは、組織内の優秀な人材を見極め、適切な位置に配置し、その能力を最大限に発揮させるための戦略的プロセスです。組織の競争力を高め、ビジネスの成功に繋げることができます。
タレントマネジメントには、人材の評価・育成・報酬、キャリアプランの策定などが含まれます。エクセル(Excel)にはデータを整理し、分析するための豊富な機能が備わっているため、これを利用してタレントマネジメントを行うことも可能です。
また、エクセルは多くの企業で利用されているため、導入コストを抑えることができるというメリットもあります。しかし、エクセルでの管理は煩雑になりがちであり、セキュリティ面でのリスクなども考慮する必要があります。
タレントマネジメントとは、従業員が持つスキルや能力などの情報を収集・管理し、組織全体の成長に繋げていく人事管理の手法です。この記事では、タレントマネジメントの目的やメリット・デメリット、導入のステップ、実施する際の注意点などを解説します。
エクセルでタレントマネジメントを行う際の手順
エクセルを利用してタレントマネジメントを行う際、まずは組織の目的と必要なタレントの特性を明確にし、それに基づいて評価項目を洗い出す必要があります。次に、人材の情報をエクセルに入力し、情報の可視化・分析を行います。
さらに、エクセルを利用することで、施策の実行や効果測定も容易です。具体的な施策を実行した後、エクセルを用いてその効果を測定し、結果をフィードバックすることで、タレントマネジメントのプロセスをより効果的なものにすることができます。
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エクセルでタレントマネジメントを行う際の手順
目的・必要なタレントを明確にする
まず、組織が目指すべき方向性や達成したい目標を理解し、それを実現するためにどのような人材が必要なのかを洗い出すことが重要です。
必要なスキルや経験、価値観を持った人材が組織にどのように貢献できるのかを具体的にイメージすることで、タレントマネジメントの方針がより明確になります。
さらに、将来的に組織を支えることができるような人材を育てるためには、どのようなスキルや経験が必要なのかを理解し、それに基づいてタレントマネジメントの計画を立てることが求められます。
評価項目を洗い出す
評価項目とは、組織が求める人材の資質やスキルを具体的に示したもので、これを活用することにより、人材の選定や育成がより効果的に行えるようになります。例えば、所属部署や経歴、保有するスキルや資格などが評価項目です。
評価項目を洗い出す際には、組織の目標やビジョンと照らし合わせて、どのような人材が必要なのかを考慮しましょう。また、評価項目は定期的に見直し、組織の変化や市場の動向に合わせて更新することが必要です。
評価項目を明確にすることで、組織にとって本当に価値のある人材を見極め、適切な育成や配置が可能となります。
人材の情報を可視化する
エクセルの表やグラフ機能を活用することで、人材の分布やスキルの偏りを可視化することが可能です。そのため、組織の強みや弱みを理解し、適切な人材配置や育成プログラムの策定に役立てることができます。
また、将来の人材ニーズに対しても、現状の人材データをもとに予測し、計画的な人材育成や採用戦略を立てることができます。それらのデータを活用し、必要とする人材が足りているか、組織目標の達成に向けて的確に人材が配置されているか、などを判断します。
具体的な施策を実行する
組織の目標達成に必要なスキルや、経験を持った人材が不足している場合、新規での採用が必要になります。また、既存の社員の中でポテンシャルを持った人材がいれば、その人材の育成を行うことも1つの方法です。
具体的な施策としては、新規採用の場合、求めるスキルや経験を明確にした求人広告を出稿し、適切な人材を引き寄せることが重要です。
また、既存社員の育成の場合、その人材の強みや弱みを把握し、適切な研修や教育プログラムを提供することで、組織にとって価値のある人材へと成長させることができます。こういったデータの収集・分析こそが、タレントマネジメントへとつながります。
施策の効果測定を行う
エクセルを利用して評価シートを作成し、施策の成果を定量的に把握することができます。評価シートには、施策の目標となるKPI(重要業績評価指標)を設定し、実際の成果と比較することで、施策の効果を明確に評価することが可能です。
また、評価シートを用いて施策の効果を測定することで、どの施策が効果的であったのか、どの部分に改善の余地があるのか、などを客観的に判断することができます。
この情報を、次の施策の計画を立てる際に反映させることで、より効果的なタレントマネジメントを実現することができます。エクセルを利用することで、簡単にデータを整理・分析することができるため、効果測定のプロセスがよりスムーズになります。
エクセルでタレントマネジメントを行うメリット
エクセルでタレントマネジメントを行う場合、ツールの運用コストを抑えることができます。また、エクセルは多くの人が利用しているツールであるため、操作が簡単で覚えやすいというメリットがあります。
さらに、エクセルはカスタマイズがしやすいため、自社のニーズに合わせて評価シートや管理表を作成し、必要な項目を自由に追加したり、不要な項目を削除したりすることができます。
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エクセルでタレントマネジメントを行うメリット
ツールのランニングコストを抑えられる
専用のタレントマネジメントシステムを導入する場合、初期費用や運用コストがかかります。また、システムのアップデートやメンテナンスの際、継続的なランニングコストも発生します。しかし、エクセルを利用する場合、このコストを気にする必要がありません。
エクセルは、すでに多くの企業で利用されているツールであり、追加の購入費用がかからない場合が多いです。また、エクセルの基本的な操作ができれば、タレントマネジメントに必要な評価シートや管理表を自分で作成することができます。
そのため、専門知識がない人でも比較的簡単にタレントマネジメントを始めることができ、外部のコンサルタントや専門家を雇う必要もありません。つまり、新たにシステムを導入するよりも大幅にコストを抑えることができます。
使い勝手が良く誰でも操作しやすい
エクセルは使い勝手が良く、多くの人が操作に慣れています。そのため、新たに専用のシステムやソフトを学ぶ必要がなく、基本的な使い方に慣れたら、スムーズにタレントマネジメントを始めることができます。
エクセルは直感的な操作が可能であり、基本的な関数やフォーマットの設定だけで、評価シートや管理表を簡単に作成できます。また、エクセルには豊富なテンプレートが用意されているため、より簡単に必要なドキュメントを作成することができます。
自由にカスタマイズしやすい
エクセルはユーザーのニーズに合わせて、自由にカスタマイズすることができるツールです。使い慣れているユーザーであれば、関数や計算式を活用して、自分の目的に合った評価シートや管理表を作り込むことができます。
例えば、エクセルの関数を利用すれば、複数の評価項目から総合評価を自動で計算することができます。また、条件付き書式を使えば、評価の結果に応じてセルの色を変えるなど、視覚的にもわかりやすい評価シートを作成することが可能です。
これら機能によって、タレントの強みや弱みを一目で把握することができるため、効果的な人材育成や配置が可能になります。
エクセルでタレントマネジメントを行うデメリット
エクセルでのタレントマネジメントを行う場合、管理が煩雑になりがちです。例えば、タレントの情報が増えるにつれて、シートが複雑化し、必要な情報を探し出すのが難しくなることがあります。
また、エクセルファイルは比較的簡単にコピーができるため、情報漏洩のリスクが高まります。特に、タレントの評価情報など、機密性の高い情報を扱う場合には注意が必要です。さらに、人的ミスが起こりやすいなど、様々なデメリットもあります。
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エクセルでタレントマネジメントを行うデメリット
管理が煩雑になる
エクセルでタレントマネジメントを行う際、従業員の数が増えるほど管理が煩雑になるというデメリットがあります。従業員一人ひとりのスキルや経歴、評価などの情報をエクセルに入力していくと、シートが複雑化し、必要な情報を探し出すのが難しくなります。
また、従業員のスキルアップや異動などで情報が変化した場合、その都度エクセルファイルを更新する必要があり、手間がかかります。さらに、情報の更新が遅れると、古い情報を基に判断してしまうリスクもあります。
エクセルでの管理は、初期の情報が少ない段階ではシンプルでわかりやすいものの、従業員の数が増えるにつれて、情報の管理が煩雑になり、正確な判断が難しくなります。
セキュリティ面の不安がある
エクセルファイルは簡単に書き換えることができるため、誤って重要なデータを変更してしまうリスクが発生します。また、ファイルの共有が容易なため、データの紛失や流出のおそれもあります。
さらに、エクセルファイルはパスワードで保護することができますが、パスワードが漏れると、誰でもファイルを開くことができてしまいます。また、パスワードを忘れてしまった場合、重要なデータにアクセスできなくなる可能性もあります。
このような、セキュリティ面でのリスクを軽減するためには、定期的なバックアップやアクセス権限の管理など、適切な対策が必要です。しかし、完全なセキュリティを保つことは容易ではありません。
人的ミスが起こりやすい
エクセルでは計算エラーが発生した場合、それを知らせてくれる機能が備わっています。しかし、タレントマネジメントを行う上でのチェック機能は弱いです。例えば、入力漏れや誤入力があった場合、エクセルではその誤りを指摘してくれる機能が限られています。
また、タレントマネジメントでは、従業員のスキルや経歴などの情報を正確に管理することが重要ですが、エクセルでは情報の整合性を保つのが難しい場合があります。
よって、エクセル管理による人的ミスを防ぐためには、データの入力や管理に細心の注意を払う必要があります。
複数人での同時編集が難しい
エクセルは、複数人での同時編集が難しいです。共有モードを利用しても、複数のファイルが作成されることがあり、どのファイルが最新のものであるかがわかりにくくなることがあります。
また、共有モードでの編集は、リアルタイムでの更新が難しい場合があります。そのため、最新の情報が反映されないまま判断が行われることがあり、誤った判断を招く可能性があるため、注意が必要です。
エクセルでタレントマネジメントを行う注意点
エクセルを使用したタレントマネジメントは、コストが抑えられるなどのメリットがある反面、情報漏洩などのリスクなどのデメリットも考慮する必要があります。ここでは、導入前に振り返るべき注意点を詳しく解説します。
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エクセルでタレントマネジメントを行う注意点
情報漏洩・改ざん防止を徹底する
エクセルファイルは、基本的に誰でも閲覧・修正・改ざんが可能であり、パスワードを設定しないとセキュリティ面での不安が大きくなります。そして、タレントマネジメントによって収集した、個人情報などの機密情報が外部に漏洩してしまう恐れもあります。
よって、情報漏洩の防止、改ざんができない仕組みづくりを徹底する必要があります。しかし、エクセルファイルの管理においては、閲覧権限にパスワードを設定する他にセキュリティ対策がないため、セキュリティリスクが非常に高まります。
以上のことから、一番重要なデータを収集したシートには、一部の管理者のみが入れるような管理体制を用意したり、パスワードの設定・管理を徹底する必要があります。
法改正に合わせて対応しなければならない
エクセルで従業員情報を管理する際、労働基準法などの法改正に合わせて、情報の変更・管理体制の更新を行わなければなりません。例えば、残業時間の上限変更や有給休暇の取得に関して、新しい法改正がなされた場合などです。
こういった部分は、国の働き方改革の推進によっても日々変化するため、法改正に合わせて、タレントマネジメントにおける従業員情報も更新していく必要があります。その点、エクセルで長期的な管理を続けるのは、非常に困難であると考えられます。
タレントマネジメントを効率化するには
タレントマネジメントを効率的に行うためには、 様々な方法があります。まず、エクセルでは無料のテンプレートを利用することで、手軽にタレントマネジメントを始めることが可能です。この場合、コストをかけずにタレントマネジメントの効果を試すことができます。
また、タレントマネジメントシステムを活用することも1つの方法です。専用のシステムを利用することで、タレントの情報を一元管理し、効率的に分析や評価を行うことができます。
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タレントマネジメントを効率化するには
無料のテンプレートを使う
タレントマネジメントを始める際、一からエクセルでシートを作成するのは手間がかかります。そこでおすすめなのが、無料でダウンロードできる人事評価シートなどのテンプレートを利用することです。
テンプレートを活用することで、手軽にタレントマネジメントを始めることができ、効率的に人材の評価や管理を行うことができます。また、厚生労働省のウェブサイトでは、タレントマネジメントに役立つ様々なテンプレートを無料でダウンロードすることが可能です。
これらのテンプレートは専門家によって作成されているため、信頼性が高く、効果的なタレントマネジメントを支援してくれます。
参考:キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省
タレントマネジメントシステムを活用する
タレントマネジメントシステムとは、従業員のスキルや経歴、評価などの情報を一元管理し、人材の適切な配置や育成を効率的に行うためのツールです。
このシステムを活用することで、従業員の情報を簡単に検索・分析することができ、従業員の適材適所が容易に行えます。また、セキュリティ面でも安心できるものが多く、データの紛失や流出のリスクを軽減することができるのも大きなメリットです。
導入にはコストがかかることがデメリットですが、その分業務の効率化を図りながら、情報収集のスピードを上げたり、経営判断に効果的なデータを集めたりもできます。近年では、様々な時代背景から、このタレントマネジメントシステムを導入する企業が増えています。
タレントマネジメントシステムとは?機能や選び方、メリットを解説
タレントマネジメントシステムは、従業員の個人情報やスキルなどのデータを一元管理・分析できるシステムです。本記事では、タレントマネジメントシステムをよく知らない方のためにシステムの機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。
まとめ
タレントマネジメントは、組織の成長と発展のために欠かせません。エクセルを使用することで、コストを抑えつつ、タレントマネジメントの基本的なプロセスを実施することができます。しかし、組織の規模が拡大化するにつれ、エクセルの限界も明らかになります。
そのため、より効率的なタレントマネジメントを実現するためには、タレントマネジメントシステムの導入を検討するのがおすすめです。専用のシステムを使用することで、情報の一元管理、高度な分析機能、セキュリティの強化など、多くのメリットがあります。
組織の成長とともに、最適なツールを選択し、タレントマネジメントの質を向上させましょう。
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