車両管理責任者とは?安全運転管理者との違いや業務内容を解説

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  • 車両管理責任者とは、企業が保有する車両の運用・管理を行う責任者のことである
  • 車両管理責任者の選任で、事故リスクや従業員の車両の私的利用の防止に繋がる
  • 車両管理責任者は、台帳や規定の管理、ドライバーの運転状況の把握などの業務を行う

車両管理責任者とは、企業が保有する車両の運用・管理を行う責任者のことを言います。安全運転管理者と違って、法律上の選任や選任資格がない役職ですが、車両管理責任者の選任で、コストの削減などに繋がります。本記事では、車両管理責任者の業務内容などを解説しています。

目次

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  1. 車両管理責任者とは
  2. 車両管理責任者の重要性
  3. 車両管理責任者の業務内容
  4. 車両管理を行うなら車両管理システムがおすすめ
  5. まとめ

車両管理責任者とは

車両管理責任者・車両管理者とは、企業が保有する車両の運用や管理を行う責任者を指します。車両管理責任者は、特に法律上の選任や選任資格を必要としません。主に車両に関わるコスト削減や事故防止への対策、車両の私的利用防止など業務用車両を適切に管理する役割を担います。

また、業務用車両に必要な運転日報や台帳などの帳票管理とともに、運転手に対して日報記録の徹底などの指導も行います。業務用車両を保有する企業にとって、事故や無駄な車両コストは大きな損害となります。

車両管理責任者の選任は義務ではなく企業が自主的に設置しますが、車両管理を適正化するための重要な役割を担う役職です。

車両管理責任者と安全運転管理責任者の違い

安全運転管理者は、安全運転の確保に必要な業務を、責任者である事業主に代わって行う管理者です。乗務定員11人以上の自動車を1台以上、その他自動車を5台以上保有する企業において、法律上で選任が義務付けられています

また、保有車両台数が20台以上の場合、20台以上40台未満に1人、以降は20台ごとに1人ずつ、副安全運転管理者の選任が必要です。

安全運転管理者の選任の要件は、年齢が20歳以上(副安全運転管理者が置かれる場合は30歳以上)であり、運転管理の実務経験が2年以上あるなど資格要件を満たしている必要があります。

また、副安全運転管理者の選任も要件を満たしている必要があり、年齢が20歳以上であることや、運転管理の実務経験が1年以上あることなどが条件です。

車両管理責任者との違いとしては、法律上の選任義務と選任要件・資格要件があり、届出が必要である点が挙げられます。

参考:安全運転管理者制度の概要|警察庁

車両管理責任者は選任がおすすめ

前述したように、車両管理責任者は法律で定められた制度ではないため、選任は任意です。そのため、企業によっては車両管理責任者を選任せず、安全運転管理責任者が兼任しているケースも少なくありません。

しかし、車両管理責任者は、無駄なコストの削減や車両の私的利用の防止、法令遵守や安全運転の推進など、企業の車両管理において重要な役割を担っており、業務内容は多岐にわたるため、選任することが望ましいと言えます。

車両管理責任者の重要性

車両管理責任者は事故リスクの回避や無駄なコストの削減、また従業員が業務用車両を私的利用するのを防止するために重要な役割を担います。以下で車両管理責任者の重要性について具体的に解説します。

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事故リスクの回避

選任された車両管理責任者は、業務用車両を運転する従業員に対して運転教育を行う必要があります。危険な運転をしないように管理し、定期的な指導を行って安全運転への意識を高め、事故リスクを回避するのが大きな目的です。

事故防止のために、運転手の適正や危険を伴う長時間運転を行わないよう、交代要員の配置や適切な運行計画を立てるなどの管理を行います。気象状況なども常に把握し、運行経路に災害リスクがある場合はルート変更や運行中止などの措置を取ります。

また、日々の運行前後の点呼による健康状態・酒気帯びの有無がないかチェックを行い、安全運転が正常に実施できるか確認して事故リスクを回避します。

無駄なコストの削減

車両管理責任者を選任することで、車両にかかる無駄なコストを削減できます。運転日報のデータにより、走行ルートや長時間のアイドリングがないか、また給油状況などを管理することができ、無駄なコストを発見できます。

また、稼働日数の少ない車両は保有しているだけで、保険料や税金など維持費が発生しているため、売却やリースへの切り替えを検討するのも車両管理者の役割です。車両管理を適切に行えば、無駄なコストを削減できて生産性を上げられます

従業員の車両のプライベート利用の防止

車両管理者を選任することで、従業員のプライベートな車両の利用を防止できます。従業員が業務以外で車両を利用した際、万が一事故を起こした場合、運転をしていた従業員だけでなく、管理がずさんだったとして会社にも賠償責任が発生する可能性があります。

また、無断で業務用車両を私的利用した場合、「業務上横領」の罪に問われることもあります。経費の私的利用にもなるため避けなければなりません。そのため、車両を運転させる場合は運転記録を必ず行って許可制にするなど、使用に関する管理も徹底します。

車両管理責任者の業務内容

車両管理責任者にはさまざまな業務があります。車両管理台帳や規定の管理や確認、安全運転管理者の業務確認のほか、車両の整備・点検やドライバーの運転状況の管理など多くの管理業務を実施し、車両管理の適正化を行います。以下で具体的に解説します。

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車両管理台帳や規定の管理・確認

車両管理責任者は、企業で保有する車両の情報や使用状況・保険加入状況などを記した車両管理台帳の管理を行います。万が一従業員が業務中に事故を起こした場合、企業は責任を負う可能性が高くなります。

車両管理台帳は、企業ごとの車両管理規定に基づいて作成する台帳であり、従業員の事故防止と事故発生時のリスク回避のために、運用ルールを明確にし徹底した指導履歴や管理状況を確認・記録するものです。

車両管理台帳は事故を未然に防ぐために、車検や点検の予定・履歴などの車両情報・安全運転記録指導履歴・自動車保険の加入や更新などの保険情報を確認し記録します。従業員の安全運転管理や安全に走行できる車両を管理していく重要な業務の1つです。

安全運転管理者の業務確認

車両管理責任者は、安全運転管理者の業務を確認する役割があります。安全運転管理者の業務は道路交通法で定められている重要な業務であり、確実に遂行しなければなりません。

安全運転管理者の業務は、安全に運行するための運行計画や運行前後の点呼など、漏れなく適切な業務が行われていることを台帳に記録します。また、酒気帯びの有無を検知器での確認を行った結果や記録、運転日報の備付けや指導を行ったりします。

車両管理責任者が安全運転管理者を兼務するケースもありますが、道路交通法・安全運転に関わる業務であるため、複数名で確認を行うのが望ましいです。安全運転管理者の業務を確実に実行しているか確認を行うことで、事故発生時の責任リスクも回避できます。

車両の使用許可を出す

車両管理責任者は従業員が業務用車両を使用する際、使用許可を出す役割があります。車両の使用を許可制にすることで、車両のプライベート利用を防止することが可能です。車両使用の目的や行先などが適切であると判断したうえで許可を出します。

車両の私的利用を防ぐには、許可を出した時点で鍵を手渡しするのがベストです。

コスト管理

車両管理責任者は車両にかかわるコストを管理し、コスト削減を行う役割も担います。無駄なルートの走行やアイドリング、給油状況などのチェックを行い日々の車両コストの課題を洗い出し、従業員に低燃費走行を指導することで燃料費のコスト削減を目指します。

また、車両台帳を管理することで、車検代・整備代・保険料などの維持費が可視化できます。これらのコストが高いと判断した場合、整備工場や保険会社を切り替えるなどの検討も行います。

また、稼働日数の少ない車両は、保有するだけで維持費が発生するため、売却かリースへの切り替えを検討するなどの判断も車輛管理責任者が行います。このように、車両管理責任者を選任することでコスト削減に繋がります。

定期的な車両の整備・点検

車両管理責任者は、業務用車両の定期的な整備・点検の管理を行います。車両の登録情報・車検日・点検日などを車両管理台帳に記録し、適切に管理しなければなりません。業務用車両は安全に走行できることが第一の条件となります。

万が一、整備不良の車両を従業員が運転して事故を起こした場合、企業の責任は大きなものとなります。賠償責任だけでなく道路交通法にも反します。そのために、車両の整備・点検はスケジュールを組み、定期的に実施するよう管理することが重要です。

ドライバーの運転状況の把握

車両管理責任者はドライバーの運転状況を把握し、適切な安全運転を実施しているか確認を行います。運転日報や走行データから、危険運転や長時間運転がないか運行状況をチェックし、可視化することが重要です。

危険運転の傾向があるドライバーに対しては安全運転指導を行い、長時間運転をしやすいドライバーには運行計画を遵守させるほか、必ず休憩を取らせるなどの指導を行って改善へと導きます。

CSRの推進

CSR(Corporate Social Tesponsibility)とは、日本語で「企業の社会的責任」という意味です。企業の組織活動において利益だけを追及するのではなく、環境や地域社会への配慮を実践して責任ある行動をとり、説明責任を果たしていくことを求める考え方を指します。

車両管理責任者が行うべきCSRの推進は、法令遵守と安全運転の推進の2つです。具体的な取り組みとして、社内講習などを行い、社内全体に法令遵守や安全運転の意識を浸透させることなどが求められます。

車両管理を行うなら車両管理システムがおすすめ

以上では車両管理責任者の業務内容について解説しましたが、車両管理を効率よく適切に行うには、車両管理システムの導入がおすすめです。車両管理システムは車両にGPS機能を設置し、リアルタイムでの位置情報や運行状況を把握できます。

走行データの取得により運転傾向やエコドライブ分析も可能です。また、車両管理責任者の業務である運行計画や車両管理、また運転日報機能も兼ね備えているため、車両管理責任者だけでなくドライバーの負担も軽減できます。

長時間アイドリング・急発進・急ブレーキなどから危険運転があった場合のアラート機能を搭載しているシステムもあり、社内と運行中の車両と連携し安全運転対策を取ることが可能です。

車両管理システムとは?機能やメリット・デメリットを解説!

車両管理システムとは、企業が保有する社用車の管理ができるシステムです。営業車や技術車、他にも業種によって社用車を保有している企業は多くあります。この記事では、車両管理システムの機能やメリット・デメリット、選び方などを解説していきます。

まとめ

車両管理責任者は業務用車両の運用・管理を行う責任者です。安全運転管理者とは異なり、法律上の選任義務や選任資格が特にない役職ですが、車両管理責任者の選任により安全運転の保持やコスト削減などに繋がります。

車両管理責任者には企業が保有する車両の適切な管理や、従業員の安全運転管理などさまざまな業務があり、事故防止のためには慎重な車両管理が求められます。これらの車両管理を効率よく、正しい管理を行うには車両管理システムの導入をおすすめします。

車両管理システムなら安全運転やエコドライブの支援も行ってくれるため、業務の効率化やコスト削減にも大きく役立ちます。

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