MAツールの課題とは?導入・運用時によくある課題と解決策を解説

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  • MAツールの活用でマーケティング施策を自動化できるが、導入・運用には課題も多い
  • MAツールには、社内にノウハウがない、適切なKPIが設定できないなどの課題がある
  • 課題解決には、サポートの充実したベンダーを選び、適切な人材配置などが重要である

MAツールは企業のマーケティング施策を自動化して業務を効率化させてくれる便利なツールですが、導入や運用の際には難しい部分も多く、上手く活用できない例もあります。本記事では、MAツールの導入や運用における課題とその解決策について解説します。

目次

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  1. MAツールとは
  2. MAツール導入時の課題
  3. MAツール運用時の課題
  4. MAツールの課題を解決するには
  5. まとめ

MAツールとは

MAは「Marketing Automation」の略で、マーケティングを自動化することであり、そのツールがMAツールと呼ばれます。特に、自社の製品やサービスに興味や関心を持つ見込み客の獲得から育成、顧客情報の管理など多岐にわたる業務を支援します。

具体的には、自社のWebサイトなどへのアクセスを記録・解析し、見込み顧客のニーズを把握します。

そして、個々のニーズに応じたコンテンツを自動配信したり、アクセスすべき見込み顧客の優先順位(スコアリング)をつけたりして、より効率的な新規顧客の獲得を行います。企業の発展には、既存顧客の維持とともに新規顧客の獲得は欠かせません。

しかし、新規顧客に商品やサービスを販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかると言われています。そのため、企業には新規顧客の獲得を低コストで合理的に行うことが求められています

現在の日本は、働き方改革や少子高齢化による人材不足など、企業が解決すべき課題が多く存在します。そして、動きが激しい社会では顧客ニーズの変化も激しく、変化を一早く察知したマーケティングが必須となります。その支援を行うのがMAツールです。

MAツールとは?機能やメリット・デメリットと選び方を解説

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、マーケティング活動を可視化し自動化できるツールを指します。本記事では、マーケティングに伴う作業を効率化してくれるMAの主な機能やシステム導入によるメリット・デメリット、導入の際に選ぶポイントを解説します。

MAツール導入時の課題

外国人労働者など、多種多様な人材を抱えた大企業などではMAツールの導入が進んでいますが、中小企業への導入は遅れているのが現状です。ここでは、中小企業がMAツールの導入を躊躇する3つの課題について解説します。

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社内にノウハウがない

MAツールは中小企業にとっても大きな効果が期待できるツールです。しかし、使いこなすにはマーケティングのノウハウを持った人材が必要であり、そのような人材がいないことにより導入自体を諦めてしまう企業も多いです。

また、MAツールの運用経験のある人材がいないため、支払う費用に対する効果に疑問を抱いている企業もあります。ただし、MAツールの使いやすさやは種類によって異なり、専門的知識がなくてもベンダーのサポートで基礎から学習できる場合もあります

そして、初めから全ての機能を搭載したMAツールを導入するのでなく、自社で使えそうな機能だけを搭載したMAツールを選択し、スモールスタートするという導入方法も考えられます。したがって、簡単に導入を諦めずに、まずはベンダーに相談するのがおすすめです。

シナリオ設定ができない

MAツールでシナリオを設定すれば、見込み顧客に対してあらかじめ作成しておいたシナリオに沿って自動的にメール送信などができます。たとえば、見込み顧客が商品やサービスの資料をダウンロードしたら、1週間後にフォローメールを送信するなどです。

シナリオ機能は、見込み顧客のニーズに合わせてアプローチできる便利な機能ですが、初めから複雑なシナリオを作る必要はありません。また、シンプルなシナリオ設計で成果を出している企業も多くあります

ただし、中にはシナリオの設定をしないと運用ができないMAツールもあるため、シナリオ設定が不安な場合は、シナリオが未設定でも運用可能なMAツールの導入がおすすめです。

スコアリング設定ができない

MAツールにおけるスコアリングはリードスコアリングとも呼ばれ、見込み顧客を評価する手法です。見込み顧客(リード)をMAツールで把握した属性や購買行動で評価し、アプローチする優先順位を決めて効率的なマーケティングを可能にします。

たとえば、資料ダウンロードで〇点・メルマガ開封で〇点・セミナー参加で〇点といったように点数化します。点数は扱う商品やサービス、見込み顧客の年齢や性別で異なりますが、総合点が高いほど購入の可能性が高い見込み顧客(ホットリード)と言えます。

このようなスコアの配分の仕方には経験が必要です。つまり、未経験の状態から最適な評価を設定できるはずはなく、何回も設定しては結果を検証し、改善を施していくことで適切な配分へと近付いていきます。

MAツール運用時の課題

MAツールを導入しても、上手く運用できなくては費用対効果を得られません。ここでは、MAツール運用時によく見られる下記の5つの課題について解説します。

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ツールを使いこなせない

課題として多いのは、多機能すぎて使いこなせないことです。MAツールには驚くほど多機能で高性能な製品があります。しかし、導入時に必要以上の多機能なツールを選択すると、自社の業務ではすべてを使いこなせないという問題が発生しやすいです。

よって、MAツールの選択は機能の多さで行うのでなく、自社に必要な機能が搭載されているかを基準に選択するのが重要です。そのためには、MAツールの活用目的を今一度見直し、運用方法を具体的にイメージすることが大切となります。

また、利用しない機能があったとしても、運用開始時には基本的な機能を使用し、慣れてきてからそれに付随する他の機能を利用していくようにすると、多機能なMAツールでも次第に使いこなせるようになります。

十分なリードを獲得できていない

リードとは見込み顧客のことで、企業によってリードの定義は異なります。一般的には、自社の商品やサービスを知っている人、興味を持っている人を指します。そして、MAツールはリードに商品やサービスを購入してもらい、新規顧客へと育てるためのツールです。

つまり、MAツールの有効利用には十分な数のリードが存在しなくてはなりません。MAツールの第一歩はリードジェネレーション(リードの獲得)です。また、最近では、ウェビナーやSNS・イベント開催などでのリードジェネレーションが活発化しています。

Webサイト・SNSに慣れていない

MAツールで顧客ニーズを把握したら、その情報を効果的に活用しなくてはなりません。その際、現代で中心となっているのがWebサイトやSNSへの活用です。

Webサイトにどのような情報を載せるのか、SNSでどのような顧客ニーズにアプローチするのかなど、MAツールで導き出した結果からどのように広げていけるかを検討します。ただし、WebサイトやSNSの利用に慣れている人材がいない場合、効果測定ができません

活用できるコンテンツ量が少ない

MAツールでは、見込み顧客のニーズに合ったきめ細かなアプローチで、効果的で継続的なマーケティングを可能にしています。つまり、見込み顧客のニーズに合ったコンテンツが必要であり、コンテンツの量が少ないとMAツールの効果は高まりません。

また、MAツールを本格運用する前には、どのようなコンテンツが必要かを洗い出し、必要に応じて作成する過程が重要です。MAツールを導入すれば業務の自動化が進み、効率的な業務ができます。

そして、そこで生まれた人的資産の一部を、コンテンツ作成に回すのも1つの解決策です。

ホットリードにアプローチできていない

リード(見込み顧客)は、購買意欲の高さでホットリード・ウォームリード・コールドリードの3種類に分類され、ホットリードは購入に至る可能性の高いリードを意味します。したがって、新規顧客の獲得にはホットリードの見極めが大きな課題となります。

どのようなリードをホットリードとするかは各企業によって異なりますが、自社のホットリードの基準を明確にして部署間の連携を図り、多方面でリードの動きを把握して判断することが重要になります。そして、定期的な基準の見直しも必要です。

ツールによる効果を実感できていない

MAツールの活用によってどのような効果を得たいのか、利用する企業によって導入前から思い描くものは違うでしょう。ただし、ツールの活用で得られる効果はすぐに目に見えてわかるわけではなく、一定程度の期間を経てから数字や形として現れます

したがって、短期的な目標設定は行わず、中長期的な視野でMAツールの活用を検討する必要があります。また、一定期間が過ぎても一向に効果を実感できない場合には、そもそものやり方が間違っていることが考えられるため、方法の見直しが求められます。

適切なKPIの設定ができない

KPI(重要業績評価指標)とは、目標を達成するための重要な指標として、業務プロセスの達成状況を定量的に測定します。KPIを確認することで目標までの進捗状況が把握できます。PDCAサイクルを用いた施策改善によく用いられる重要な指標です。

MAツールの運用では、適切なKPIが設定されたPDCAサイクルを上手く回すことが課題となります。KPIにはメールの開封率やクリック率などの具体的な数値設定が求められ、目標達成の可否にかかわらず、その原因を明確化して次の施策に活かすことが大切です。

MAツールの課題を解決するには

MAツールの導入時や運用時の課題について解説した後、ここでは、それらの課題を解決するための具体的な方法について解説します。

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サポートが充実したベンダーを選ぶ

「使いこなせない」「専門的知識を持った人材がいない」などでMAツールの導入を躊躇しているのであれば、サポートが充実したベンダーを選ぶのがおすすめです。サポート体制はベンダーによって大きく異なるため、事前の確認が重要です。

MAツールには専門用語も多く、知識がないと使い方がわからないことも多いです。そのような場合でも、気軽に教えてくれるベンダーやシナリオやスコアリングなどの設計方法を丁寧にレクチャーしてくれるベンダーもあります。

したがって、サポート体制の確認には、どこまでが無料でどこからが有料になるのかなど、サポートの範囲・サポート時間・サポート方法などを中心に確認するのがおすすめです。

問題点から導入目的を明確にしておく

MAツールの選択に入る前に、自社のマーケティングにおける問題点を洗い出し、その解決策を検討することが大切です。問題点全てをMAツールで解決するのは不可能であるため、その中の何をMAツールで解決したいのか、MAツールの導入目的を明確化しましょう。

そして、導入目的に沿った機能を持ったMAツールを選択することで、有効活用につなげられます。業界や業種、またはBtoBやBtoCなど、ビジネススタイルの違いでも必要な機能は異なるため、自社に合ったMAツールを見つけることが重要です。

コンテンツを安定供給できるようにする

コンテンツの多様さは、見込み顧客に対してどれだけ細かなアプローチができるかを左右します。よって、MAツールの導入を決めたら、できるだけ早い段階で必要なコンテンツを洗い出し、作成に取りかかる必要があります。

また、新製品や新サービスが開発されたら、新たなコンテンツの供給が求められ、訴求力の弱いコンテンツは常に見直し・改善をしていかなくてはいけません。そのためには、よりよいコンテンツを安定的に供給できるような組織づくりが重要です。

カスタマージャーニーマップを作成する

カスタマージャーニーマップとは、見込み顧客が自社の商品やサービスを認知してから購入に至るまでの道のりを時系列でまとめた図で、見込み顧客を新規顧客へと誘導するための重要なマップです。つまり、MAツールの効果的活用にマップ作成は欠かせません。

カスタマージャーニーマップの作成では、設定したペルソナに対して横軸に購買プロセスのステージを記し、縦軸にペルソナの行動・心理・思考を記します。そして、購買プロセス上に顧客と企業の接点(顧客接点)を記入していきます。

カスタマージャーニーマップの作成により、見込み顧客が求めているコンテンツや、提供に最適なタイミングが把握でき、コンテンツ作成やシナリオ設定が行いやすくなります

ホットリードの基準を見直す

ホットリードの見極めは、MAツールのスコアリング機能と直結するため、知識と経験が必要な作業です。なお、リードの購買意欲を高めて購入につなげるマーケティング活動をリードナーチャリングと呼び、ホットリードの見極めはリードナーチャリングの基本です。

ホットリードの基準は業種やビジネス方法によっても異なり、基本は自社の基準で行います。しかし、その基準は初めから明らかにできるような簡単なものではなく、何度も見直すことで自ずと自社に合った設定ができるようになります

また、自社なりの基準ができたとしても、社会の変化や業界や同業他社の動きなどを見極め、常にホットリード基準の見直しを行わなくてはなりません

運用する人材を用意する

MAツールの効果的な運用には、マーケティングに対する専門知識を持った人材や経験深い人材が必要です。人材不足の状態が続くとMAの運用がスムーズに進まず、効果が薄れてしまう原因となります。

導入初期段階では、ベンダーにいるMAツールの運用に長けた人材の活用も可能ですが、将来性も考えると、自社で人材育成をしたり外部から招集したりして、各プロセスに人材を配置することが重要です。なお、データ分析などについては外注する方法もあります。

運用ルールを定める

MAツールのスムーズな運用には、運用ルールの明確化が重要です。運用ルールでは、誰が・いつ・何を・どのように業務を進めるかをルール化し、関係部署で共有します。それにより、異なる部署が歩調を合わせてリードに対するアプローチが行えるようになります。

たとえば、展示会を開催する部署と、その後のアプローチを担う部署が異なる場合、業務の移行がスムーズに行えるようにルール化します。MAツールでは異なる部署でも同じデータが扱えるため、運用ルールをしっかりと定めておけば、比較的簡単に引き継ぎができます。

まとめ

MAツールは企業のマーケティング施策を自動化し、業務を効率化させてくれる便利なツールです。しかし、社内にMAツール運用に関するノウハウがなかったり、適切な設定ができなかったりして、効果的な運用ができていない場合も多く見受けられます。

そこで、MAツールの導入や運用における課題を適切に解決すれば、新規顧客の獲得に大きな効果をもたらします。

したがって、サポートが充実したベンダーを選んだり、必要な人材を配置したりして、それぞれの課題を解決しながら改善を積み重ねていき、効果的な運用につなげていきましょう。

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