受付システム導入を成功させるには?導入の流れや導入後の注意点を解説

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  • 受付システムの導入目的を明確にするには、現状の課題の特定やKPIの設定が必要
  • 受付システムを選定する際は、機能だけでなく、ベンダーの信頼性も確認する
  • 受付システムを導入する際は、トライアルなどを活用し、従業員へのトレーニングを行う

受付システムを導入すると、受付業務が効率化され、人件費の削減にもつながります。しかし、システムの導入を成功させるためには、導入の流れを事前に把握しておく必要があります。そこで本記事では、受付システムの導入フローや導入後の注意点について、詳しく解説します。

目次

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  1. 受付システムの導入が進んでいる理由
  2. 受付システムの導入を成功させるために
  3. 受付システムの導入の流れ
  4. 受付システムの導入後の注意点
  5. まとめ

受付システムの導入が進んでいる理由

受付システムとは、来訪者の対応・電話の取り次ぎといった受付業務を行うツールです。従来は人力で行っていた業務をシステム化することで、人件費などのコスト削減が見込めます。人手を他業務に回せるため、業務の効率化や生産性の向上も期待できます。

また、受付システムを導入することで、来客があった日時・商談場所の詳細な管理が可能になります。来客情報も詳細に管理できるため、不審な来訪者をブロックしやすくなるでしょう。

こういったメリットを背景に、受付システムを導入する企業が増加しています。

受付システムの機能

受付システムには、受付機能・来訪者の情報管理・アポイント管理機能が搭載されていることが一般的です。

受付機能

受付機能とは、来訪者が受付で担当者を直接呼び出す機能です。来訪者がタッチパネルを操作するものが主流で、その他にもインターホン・受付票の発行・チャット連携などさまざまな形態があります。

来訪者の情報管理機能

来訪者の情報管理機能とは、来訪者の情報(氏名・所属・役職)や入退社時刻を管理できる機能です。来訪履歴をすべて記録できるほか、CSV出力が可能なものも多く、顧客データの収集・分析に役立ちます。

アポイント管理機能

アポイント管理機能は、名前の通り、アポイントを管理するための機能です。スケジュールの自動調整や会議室の予約機能などが代表的です。来訪予定者に来訪の日時や方法を通知する機能を備えたシステムもあります。

従来は手動で行っていたこれらの業務を自動化することで、業務の効率化や人件費の削減が見込めます。ヒューマンエラーによるダブルブッキングの防止も期待できるでしょう。

受付システムの導入が向いている業態

実際どのような事業が受付システムの導入に向いているのでしょうか。外食業・小売業・サービス業について下記で解説します。

外食業

回転率がよほど早い店舗ではなければ、外食業でも導入のメリットがあります。待ち時間がわからないと不安な来店者は多いため、受付システムを導入することにより、待ち時間を把握して安心して待つことができるのは集客にも役立つと言えます。

特に、土日や祝日には満席になる店舗は導入することをおすすめします。待ち時間や順番を確認できる「QRコード付き番号券」が発行できるタイプが便利です。

小売業

一回あたりの接客時間が長く、順番待ちが発生しやすい小売業に向いています。受付システムを導入することにより、順番待ちの対応がスムーズになり、機会損失を防ぐことにつながります

例えば、オーダーメイドの被服店やパソコンの修理店、写真の現像を行う店などが挙げられます。また、百貨店のサービスカウンターのように包装や郵送の作業を行う場所も向いています。

サービス業

待ち時間が発生しやすいサービス業にも導入が向いています。不動産会社や結婚式場などの長い時間商談することが多かったり、繁忙期があったりする場合は受付で待機してもらうことが発生しやすいため、受付システムの導入が向いています。

また、運送業に受付システムを導入することで、ドライバーの荷待ち問題を解消することができます。ドライバーが倉庫についた際に簡単な受付を行うだけで、自分の待ち時間を把握できます。そのため、待ち時間がわからないストレスを軽減できます。

受付システムの導入を成功させるために

受付システムの導入を成功するには、導入の流れをあらかじめ理解し、それに沿った準備を行うことが大切です。円滑に受付システムを導入・運用するためにも、導入の手順をしっかり理解しておきましょう。

具体的な流れ・ポイントは次項でご紹介していきます。

受付システムの導入の流れ

受付導入システムをスムーズに導入するには、次のような5つのステップを踏む必要があります。各ステップのポイントについて解説していきます。

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1.受付システムの導入目的を明確にする

受付システムを導入する前に、まずは導入目的を明確にしましょう。これにより、自社に必要な機能が絞り込まれ、ひいては最適なシステムを選定できます。

受付システムの導入目的を明確にするには、次のような3つのポイントを押さえるのがおすすめです。

具体的な課題を特定する

受付システムの導入目的を明確にするには、現行の受付業務における課題・改善すべき点を特定する必要があります。これにより、受付システムの導入によって達成すべきゴールが明確になります。

具体的には、まず現行の受付業務を可視化しなければなりません。現場スタッフにヒアリングやアンケートを実施し、どのように受付業務が行われているか確認しましょう。

例えば、受付の方法・担当者への連絡方法や、1件あたりの受付にかかる業務時間・必要とされるスキルを洗い出す必要があります。できる限り受付フローを透明化することで、どこに問題があるのかを発見しやすくなるでしょう。

なお、課題が複数見つかった場合、それら全てを一度に解決するのは困難です。効率性を上げるためにも、解決すべき課題に優先順位を決めておきましょう。

KPIを設定する

現行の受付業務における課題が特定できたら、受付システム導入によってその課題を解決するための筋道を立てます。具体的には、KPIの設定が必要です。

KPIとは「Key Performance Indicato」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」となります。目標達成までのプロセスにおいて、目標の達成度合いを計測するための指標です。簡単にいえば、中間目標に当たります。

KPIを設定することで、最終目標に向かって適切なプロセスを歩んでいるかどうかが分りやすくなります。KPI設定後は、定期的な観測も必要です。

目的や目標の確認・共有を行う

受付システム導入に関わる担当者同士で、システム導入の目的・目標についてすりあわせを行いましょう。KPIや最終目標についても共有が必要です。

担当者間で情報の共有が行われていない場合、各自がバラバラに行動し、システム導入が思うように進まない可能性があります。また、導入に取り組む熱量にも差が生じやすくなるため、同じくシステム導入が遅れる原因となります。

こういったリスクを防ぐためにも、担当者間でシステム導入の目的や必要性を共有しておくことが大切です。

2.システムの選定を行う

導入目的が明確になったら、実際に運用するシステムの選定に入りましょう。システム選定の際は、次のような3つのポイントに注目するのがおすすめです。

自社の目的に沿った機能を搭載しているか

受付システムは、自社の導入目的に沿った機能を備えたものを選びましょう。そのためには、自社が必要とする機能をあらかじめリストアップしておくことが大切です。

どれほど多機能なシステムであっても、自社に不要な機能ばかりを有していては、使い勝手が悪くなります。また、一般的に多機能なシステムは利用料金が高いため、コストの無駄にもなります。

加えて、選定ポイントにはカスタマイズ性・拡張性も追加しましょう。自社の業務フローにあわせた柔軟なシステム構築が可能になり、利便性の向上やコストの削減が期待できます。

さらに、機能ではないものの、システムのタイプも考慮が必要です。例えば、タブレット端末を使用するシステムは省スペースになります。専用端末やロボットを利用するシステムは、来訪者情報の管理に優れているものが多いため、設置スペースも含めて考慮することをおすすめします。

受付システムの中には、デモや無料トライアルを利用できるものもあります。実際の操作性や効果を確かめることで、導入後のミスマッチを回避しやすくなります。こういったメリットがあることから、トライアル可能なシステムを優先的に選ぶことが望ましいです。

予算とコストは妥当か

システム選定にあたっては、予算やコストも必ず確認しましょう。受付システムにかかるコストは、導入費用と運用費用の2つに大別できます。各費用を概算し、自社の予算内におさまるシステムを選ぶ必要があります。

なお、受付システムは業務の規模や内容の変化に合わせて、アップデート・拡張を行うことが一般的です。将来的に発生する費用も忘れずに考慮しましょう。

なお、単純に金額だけで選ぶと、安価ではあるものの使い勝手が悪いシステムを選定する恐れがあります。コストを考える際は、機能性・メリットとのバランスを見極めることが大切です。

ベンダーの信頼性はあるか

システム選定の際は、信頼できるベンダーかどうかも重要な選定ポイントになります。例えば、他社での導入実績が豊富なベンダーであれば、社会的な信頼性が高く、高品質なサービスを受けられるでしょう。また、倒産のリスクも小さいと判断できます。

併せて、ベンダーのサポート体制についても確認が必要です。システム導入前後はトラブルが発生しやすいため、導入支援・操作方法のレクチャーといった手厚いサポートがあると心強いでしょう。

サポート内容や範囲のほか、サポート方法(電話・訪問)、サポート対応日時(早朝深夜・休日)についても忘れず確認しましょう。

3.システムの設定を行う

ここからは、受付システム導入後の流れをご紹介します。一般的に、システム導入後はまず各種設定を行う必要があります。

初期設定には、専門的なIT知識が求められることもあります。初期設定に不安を感じる企業は、導入支援サービスがある製品を選ぶのがおすすめです。

表示内容やメニューの設定

初期設定では、受付時に表示される内容・メニューの設定が必要です。例えば、担当者を呼び出す場合、個人名・所属部署から呼び出せるようにすると、来訪者の手間を省けます。併せて、対応言語・見やすい画面デザインの設定も必要です。

メニュー設定のポイントは、来訪者側の目線に立つことです。システムを初めて操作する方でも、直感的に操作できるようなメニューやレイアウトを設定しましょう。

なお、オフィスの来訪者は商談相手・顧客だけでなく、配送などの業者もいます。来訪者のパターンを想定し、それぞれにあわせたメニューの設定が必要です。

データ登録

受付に必要なデータの登録を行います。例えば、従業員氏名・部署名・内線電話番号などの設定が一般的です。このとき、登録する従業員の範囲を明確にする必要があります。

このとき、登録する従業員の範囲を明確にする必要があります。例えば、正社員のみなのか、契約社員やアルバイトのデータも登録するのか、自社状況にあわせて決定しましょう。

従業員規模が大きい企業では、各従業員・部署のデータを手動で登録するのは大変な作業です。Excel・CSVファイルからデータ出力できるシステムであれば、登録の手間と時間を節約できます。

4.従業員へのトレーニングを行う

システムの社内定着を早めるには、従業員のトレーニングを行うのが有効です。例えば、システムの操作方法についてのセミナー・研修を実施する方法があります。また、実際の利用シーンを想定したシミュレーションもおすすめです。

併せて、トラブルシューティングの手順も教育する必要があります。トラブル対応業務は属人化しやすく、そのぶん対応が遅れがちです。対応方法をマニュアル化しておくことで、誰もが対応に当たれるようになり、円滑なシステム運用が可能になります。

さらに、管理者やシステム担当者間でのメンテナンスプログラムの確認・共有も必要です。メンテナンスプログラムとは、人事異動や組織に変更があった場合に、受付システムの設定を適宜行うためのプログラムです。

受付システムには、無料トライアルを利用できるものもあります。操作性や使用感は実際に利用しなければ分かりづらいため、無料トライアルを活用し、現場にとって使いやすいシステムを選ぶことが大切です。

5.システムの運用を開始する

システムの運用開始後は、定期的な効果観測や保守・点検が必要になります。各ポイントについて解説します。

システムは正常稼働しているか

システムが正常に稼働しているか監視する必要があります。例えば、予約の受付や通知・来訪者情報の収集が適切に行われているか、定期的にチェックしましょう。万が一トラブルが起こった際には、被害を最小限に止められる体制を整えておく必要があります。

システム業者を選ぶ際は、トラブルに対するサポートがしっかりしているかも確認しておきましょう。

従業員が使いこなせているか

システムを従業員が問題なく使いこなせているかどうかも、定期的に確認する必要があります。例えば、受付通知が届いてから、適切な対応を取るまでの時間を計測する方法があります。

使いこなせていない従業員が多い場合は、トレーニングが不十分と判断できます。教育方法を見直すなどして、社内への浸透を促しましょう

フィードバックの収集

定期的にシステムに関するフィードバックを収集することで、システム運用の問題点や改善点をいち早く発見できます。フィードバックは従業員・利用者(来訪者)の両方から集めることが望ましいです。

定期的にフィードバックを収集し、課題解決を図ることで、受付システムの導入効果を最大化できるでしょう。

6.定期的なモニタリングと改善を行う

受付システムの運用開始後は、定期的なモニタリングを行いましょう。前項のフィードバックの収集と同じく、システム運用の課題や改善点を迅速に発見し、システムの完成度を向上させる狙いがあります。

従業員・利用者ともに使いやすいシステム環境を常に維持することで、導入の効果を最大限に感じられるでしょう。

受付システムの導入後の注意点

受付システムの導入後の注意点としては、永続的なメンテナンスが必要な点が挙げられます。受付システムを安定して稼働させるには、事業規模や内容の変化にあわせるために、定期的なモニタリングやアップデートが必要であるためです。

運用・保守には手間・時間・金銭的コストがかかる点も、併せて留意しておきましょう。自社でメンテナンスを行う場合は、専門知識を有した人材が必要です。自社での対応に不安がある場合は、メンテナンスサービスが付随した製品・ベンダーを選ぶことが望ましいです。

まとめ

受付システムは、受付業務を自動化するためのツールです。受付業務の効率化や人件費の削減、来訪者情報の詳細な管理といったメリットが期待できます。

受付システムを円滑に導入するには、導入目的の明確化・目的にあわせたシステムの選定が必要です。導入後は、使いやすいメニューや画面レイアウトの設定のほか、従業員のトレーニング・定期的なモニタリングや効果観測を行いましょう。

なお、受付システムを安定的に稼働させるには、定期的なメンテナンスを行う必要があります。自社に必要な機能や特性を備えた受付システムを導入し、受付業務の効率化を図りましょう

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