グローバルタレントマネジメントとは?海外と日本の違いも解説

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  • グローバルタレントマネジメントとは、グローバルな人材の能力を活かすための手法
  • 海外にはポジション管理という概念があり、日本のタレントマネジメントと異なっている
  • グローバルタレントマネジメントにより、グローバルな人材の能力を発見・育成できる

グローバルタレントマネジメントとは、グローバルな人材の能力やスキルを活かすためのマネジメント手法です。国際競争で生き残るためには、グローバルタレントマネジメントが重要とされています。この記事では、グローバルタレントマネジメントの意味やメリットを解説します。

目次

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  1. グローバルタレントマネジメントとは
  2. 海外と日本のタレントマネジメントの違い
  3. 日本のタレントマネジメントにおける課題
  4. グローバルタレントマネジメントのメリット
  5. グローバルタレントマネジメントを実現するには
  6. まとめ

グローバルタレントマネジメントとは

グローバルタレントマネジメントとは、グローバル人材の能力を最大限に活かすために必要なマネジメント手法のことです。グローバルタレントとは、海外での事業展開や国外企業との関係構築に必要な人材を指し、マネジメントでその人材の育成・獲得を目指します。

グローバルタレントマネジメントの元となる「タレントマネジメント」は、1990年代にアメリカで提唱された手法です。日本では、2010年ごろからグローバル企業を中心に取り入れられるようになりました。

近年では、少子高齢化による労働人口の減少や、国際競争の激化が企業にとって課題となっています。そのため、世界的に活躍できる人材が求められ、それに伴いグローバルマネジメントも重要視されるようになりました。

そもそもタレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、個人が持っている能力やスキルである「タレント」を最大限に生かせるよう人材配置や育成などを戦略的に行う人事マネジメントのことです。

この概念は、マッキンゼーによる1997年の調査研究によって提唱され、2001年にまとめられた『The War for Talent』によって世界中に広がりました。企業の業績差は、優秀な人材を強化する施策を行っているかが影響するという考えも示されています。

従来の人事管理では、年功序列のように年が経っても生き残ってきた人材を登用する、「適者生存」の制度や施策を運用していました。一方、タレントマネジメントは企業の競争力に直結する人材を計画的に育成していく、「適者開発」と言えるでしょう。

海外と日本のタレントマネジメントの違い

欧米と日本のタレントマネジメントにおけるもっとも大きな違いは、「ポジション」の概念および機能の存在です。欧米の人事情報システムでは組織とポジションが結びつき、従業員は適正に応じたポジションにあてはめられていきます。

ポジションは人材に必要なタレントや報酬など、企業にとって就くべき人材の理想像を示しています。しかし、実際の社員とは異なることが多いため、その差を埋めるための支援が欧米のタレントマネジメントです。

一方の日本では、社員は組織に直接結びついており、ポジションという概念がありません。部署を基本として人材を管理し、昇進も年功序列が多いです。人材にギャップがある場合は、個人に対してよりも職種や階層別の教育を行う傾向があります。

日本のタレントマネジメントにおける課題

企業経営における課題を解決するために有効なタレントマネジメントですが、日本の企業に欧米のタレントマネジメントの手法は浸透しにくく、導入自体が困難な面もあります。ここでは、日本のタレントマネジメントにおける課題について解説します。

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モチベーションの高い社員が確保できていない

日本のタレントマネジメントにおいては、モチベーションの高い社員が確保できていない点が課題です。終身雇用制の崩壊や価値観の多様化などにより、従来のように企業理念やビジョン自体に共感する人材の確保が難しくなったことが原因の1つと言えます。

また、グローバル化により海外へ事業を展開する必要が出てきました。外国人など海外で活躍できる人材は従来の常識などが通用しにくく、従来の手法では行き詰まることが増えています。

モチベーションの維持に効果的な対策

社員のモチベーションを保つために効果的な対策は、複数あります。代表的な対策を以下にまとめました。

  1. ワークライフバランスの考慮
  2. スキルアップの機会の提供
  3. 適材適所な配置

こういった施策によってモチベーションの維持ができれば、結果的に人材の流出防止につながります。もちろん、業務の効率化や業績アップにも期待できるため、社員のモチベーション維持施策は積極的に取り入れるのがおすすめです。

グローバルに活躍できる人材が必要

近年では、海外での事業展開を行うことが増加し、企業活動は以前よりグローバルな対応が求められています。国際競争に生き残るためには、海外市場はもちろん国内へ進出してきた海外企業相手にも競争力を維持する必要があります。

しかし、日本企業はこれまで世界的な視野を持たず、人材も国内のみで活躍することを重視していました。そのため、外国語に精通した従業員の採用や育成・日本人以外の雇用など、グローバルに活躍できる人材の確保・育成が課題となっています。

グローバルタレントマネジメントのメリット

企業のグローバル化が進む現在、どんな企業でも国際競争に生き残るため、グローバルに活躍できる人材の確保および育成を行っています。ここでは、グローバルタレントマネジメントを取り入れるメリットを解説します。

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グローバルな人材を発見できる

グローバルに活躍できる人材がその能力を最大限に発揮するためには、まずどんな能力を持っている人物がどこにいるのかを把握しなければいけません。しかし、従来の方法では社内に人材が存在することを把握しきれていない可能性があります。

グローバルタレントマネジメントでは、個人が持つスキルや経験のほか社内で出してきた成果などを一元管理するため、誰がどの仕事に向いているのかが分かりやすくなります。そのため、グローバル人材の発見がしやすくなります。

グローバルな人材を最適な場所に配置できる

グローバルに活躍できる人材を採用できても、その能力を活用しきれていないことがあります。そもそも、企業がグローバル人材になる才能を持つ人物が社内にいることに気づいていない場合があります。

また、グローバル人材であると分かっていても、人手不足などで国内勤務のみに従事させているケースも見られます。

グローバルマネジメントシステムを取り入れることで、発見したグローバル人材をより能力が発揮できる海外へ配置転換できるなど、適切な人材配置が可能になります

グローバルな人材の能力を育成できる

グローバル人材は社外から新たに採用するだけではなく、社内の既存人材の育成も可能です。既存の社員には、グローバルに活躍できる素養を持っている、または企業にとって必要な能力が潜在していても、能力を使いこなせていない社員がいる恐れがあります。

すでに会社にいる社員は自社の雰囲気に慣れ、考え方も理解しています。そのため、研修など育成の費用や時間はかかるものの、新たにグローバル人材を採用するより成果が大きくなる場合があります。

グローバルタレントマネジメントを取り入れることで社員一人ひとりの資質を客観的に評価できるようになり、育成計画を立てやすくなります。

グローバルタレントマネジメントを実現するには

グローバル人材を確保・育成するグローバルタレントマネジメントを円滑に行うためには、グローバル対応のタレントマネジメントシステムの導入がおすすめです。

タレントマネジメントは、社員が持つ「タレント(能力・資質・才能)」を最大限に生かせるよう、戦略的な人事配置や人材開発を行うことです。システムの導入により情報を一元管理して客観的評価を行え、人材配置の最適化や人材開発の効率化が期待できます。

タレントマネジメントシステムには、グローバル企業向けに英語など多言語に対応したものや、自動翻訳機能が搭載されているものもあります。

タレントマネジメントシステムとは?機能や選び方、メリットを解説

タレントマネジメントシステムは、従業員の個人情報やスキルなどのデータを一元管理・分析できるシステムです。本記事では、タレントマネジメントシステムをよく知らない方のためにシステムの機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。

タレントマネジメントシステム選びのポイント

自社に適したタレントマネジメントシステムを選ばなければ、導入によるメリットを十分に得られません。システムを選ぶ際のポイントを、以下にまとめました。

  1. 多言語に対応しているか
  2. 社員全員が扱いやすいか
  3. 自社の課題を解決できる機能が搭載されているか
  4. 運用し続けるための費用を用意できるか

タレントマネジメントシステムは使用し続けることでメリットを感じやすくなるため、無理なく運用できるシステムを選ぶことが重要です。

まとめ

グローバルタレントマネジメントは、グローバルに活躍する人材を最大限に活用するためのマネジメント手法のことです。もととなるタレントマネジメントは、個人が持つ「タレント」を活用するために戦略的な人事配置や育成を行うアメリカ発祥の概念です。

しかし、日本企業には本来ポジションの概念がなく、人事配置や育成も年功序列や職種・階層別の傾向にあり、欧米のタレントマネジメントは導入が困難でした。しかし、国際競争の激化により、日本でも導入する企業が増加しています。

グローバル人材の確保・育成には、グローバル対応ができるタレントマネジメントシステムの導入がおすすめです。システムにより情報を一元管理して社員のタレントを可視化することで、既存社員の中からでもグローバルに適した人材の発見が期待できます。

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