運転日報とは|法律による作成義務やシステムの導入について解説

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  • 運転日報は、法律によって作成することが義務付けられている
  • 運転日報を保管する期間は、労働基準法によって3年間保管する必要がある
  • 車両管理システムを導入することによって、業務の負担を減らしたり、効率を上げられる

運転日報とは、業務で自動車を運転した人がその内容を記録することです。運転日報を作成することは法律によって義務付けられています。この記事では、運転日報の作成が法律によって義務付けられていることや、保管する期間、システムの導入について解説をしています。

目次

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  1. 運転日報とは
  2. 安全運転管理者が行わなければならない業務内容
  3. 運転日報を保管する期間
  4. 運転日報を紙面で作成する場合の業務負担
  5. 運転日報の作成に車両管理システムを導入するメリット
  6. まとめ

運転日報とは

運転日報は、業務で使用される自動車の運転内容を記録するもので、運転者の安全管理や車両の適切な利用をするために重要です。運転日報には、運転距離や燃料の使用量、運転時間などが記載され、車両の状態や運転者の健康状態を把握することができます。

また、運転日報は法律によっても義務付けられており、運転者は運転日報を正確に記入し、一定期間保管する必要があります。

運転日報の記入や保管には紙ベースだけでなく、スマートフォンやタブレットを利用したアプリケーションも多く登場しているため、記入や管理がより簡単に効率良く行えます。

運転日報は法律により作成が義務付けられている

運転日報の作成は、道路交通法施行規則や貨物自動車運送事業輸送安全規則など、複数の法律によって義務付けられています。この法律により、道路上での安全を確保し、事故の防止を図るために、運転者が運転日報を記入し、一定期間保管することが必要です。

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運転日報は法律により作成が義務付けられている

  1. 道路交通法施行規則
  2. 貨物自動車運送事業輸送安全規則

道路交通法施行規則

道路交通法施行規則は、道路交通法の具体的な運用方法や細かなルールを定めた規則です。この規則には、道路の利用者が守るべきルールや、車両の運転に関する具体的な規定が含まれています。

例えば、信号や標識の意味、車両の通行方法、歩行者の横断方法、運転者が遵守すべき速度制限、駐車のルールもこの規則で規定されています。

また、この規則の中には、管理者が運転者に対し、日々の運転状況を把握するための記録を付けさせることも義務付けられています。

参考:道路交通法施行規則|e-Gov法令検索

貨物自動車運送事業輸送安全規則

貨物自動車運送事業輸送安全規則は、貨物を運送する自動車の安全運転を確保するための規則です。この規則は、貨物自動車運送事業者やドライバーが遵守すべき安全運転の基準を定めています。

具体的には、運転手の健康状態や運転時間の管理、車両の整備状態のチェック、荷物の積載方法などが規定されています。また、事故が発生した場合の報告義務や、事故防止のための教育・訓練の実施も求められています。

さらに、この規則の中でも、運転者の氏名や、開始・終了日時などを記録する必要があると定められています。この規則を遵守することで、貨物自動車の安全運転が確保され、事故の防止に繋がることが期待できます。

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則|e-Gov法令検索

安全運転管理者が行わなければならない業務内容

安全運転管理者は、運送事業者において安全運転の確保を担う役割です。その主な業務内容は、運転者の健康状態や運転状況を常に把握し、運転計画を適切に立てることが挙げられます。

また、長距離運転や夜間運転が伴う場合、交代要員の配置を行い、運転者の疲労を防ぐ対策も講じます。さらに、天候や道路状況を確認し、安全運転のための指導や指示を行うことも安全運転管理者の重要な業務です。

この業務を通じて、安全運転管理者は運送事業者における安全運転の確保と事故防止に努めます。

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運転者の状況を把握する

運転者が過労や病気である場合、その状態が運転に影響を与えかねません。過労は判断力の低下や反応速度の遅れを引き起こし、病気も同様に運転者の能力を低下させる可能性があります。

そのため、安全運転管理者は、運転者の健康状態や運転状況を定期的にチェックし、運転者が適切な状態で運転できるようサポートすることが重要です。

また、運転者が過労や病気である場合、適切な休息や治療を受けるよう指導し、必要に応じて交代要員を配置するなどの対策を講じる必要があります。

運転計画を作成する

運転計画を立てることで、運転者が安全に目的地に到達できるようサポートすることも、運転管理者の業務です。運転計画には、出発地と目的地、経路、休憩地点、到着予定時刻などが含まれます。

運転計画を立てる際には、交通状況や天候、運転者の健康状態なども考慮する必要があります。例えば、交通渋滞が予想される場合や悪天候が予測される場合は、予定よりも余裕を持った計画を立てなければいけません。

長距離や夜間時の交代要員を配置する

長距離の運転や夜間の運転は、運転者にとって大きな負担です。そのため、安全運転管理者は、長距離や夜間の運転が必要な場合、適切な交代要員を配置する必要があります。交代要員を配置することで、運転者の疲労を軽減し、事故のリスクを低減することが可能です。

交代要員を配置する際には、運転者の健康状態や運転経験、運転のスキルなどを考慮して選定しましょう。

また、交代要員が運転する際にも、運転者と同様に安全運転が求められます。そのため、交代要員に対しても適切な指導や教育を行い、安全運転の確保を図ることが必要です。

天候状況の確認をする

運転を行う際には、その日の天候状況を確認することが重要です。特に、異常気象が予測される場合、安全運転管理者は運転者に対して適切な指示を行う必要があります。天候状況の確認を怠ると、雨や雪、強風などの悪天候により事故のリスクが高まります。

そのため、安全運転管理者は、運転を行う日の天気予報を事前にチェックし、異常気象が予測される場合には運転の延期やルートの変更、交代要員の配置など、運転者の安全を確保するための措置を講じることが求められます。

安全運転の指導・指示をする

安全運転の指導・指示は、運転者が安全に業務を遂行するために重要です。安全運転管理者は、運転者に対して適切な安全運転の知識と技術を提供し、事故の防止やリスクの軽減を図る責任があります。

具体的には、運転者に対して交通ルールの遵守、運転中の注意点、事故発生時の対応方法などを教育し、運転者が安全に業務を遂行できるようサポートします。

また、運転者の運転技術や健康状態を定期的にチェックし、必要に応じて追加の教育や指導を行うことも重要です。

運転前後の酒気帯びの確認・記録を保存する

運転前後の酒気帯びの確認をすることで、運転者の安全を確保し、事故のリスクを軽減できます。安全運転管理者は、運転前に運転者の呼気や態度をチェックし、酒気帯びが疑われる場合は運転を禁止するとともに、その事実を記録として残す義務があります。

また、運転後も同様の確認を行い、運転者が安全運転を守ったかどうかを評価します。この記録は、万が一の事故やトラブルが発生した際の証拠となるため、適切に管理し、保存期間を守ることが重要です。

運転日報を記録する

運転日報の記録は、運転者の行動や運転状況を詳細に記録し、安全運転の管理を効果的に行うものです。運転日報には、運転者の名前、運転日時、運転距離、使用車両、運転ルート、天候や交通状況などの情報が含まれます。

安全運転管理者は、この情報をもとに運転者の運転状況を評価し、必要に応じて改善策を講じることができます。運転日報の記録と管理は、運転者と企業の安全を守るための基盤になるため、適切に管理し保存しましょう。

運転日報を保管する期間

運転日報の保管期間は、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」および「道路交通法施行規則」により、最低1年間と定められています。

この運転日報は、運転者の行動や運転状況を詳細に記録した重要な情報であるため、万が一の事故やトラブルが発生した際に、その証拠として利用できるようにするためのルールです。

運転日報の保管は、紙ベースの場合は適切な場所にファイリングし、電子データの場合はデータのバックアップを取り、安全な場所に保存しましょう。適切に保存することで、必要な時にすぐに運転日報を参照でき、運転者や企業の安全を守るための手段になります。

参考:道路交通法施行規則|e-Gov法令検索

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則|e-Gov法令検索

労働基準法に合わせる

労働基準法では、企業が従業員の労働条件や給与の支払いに関する記録を保存する期間を最低3年間と定めています。これは、労働者の権利を保護し、労働条件の透明性を確保するための重要な規定です。

運転日報も労働者の労働時間や作業内容を記録するものであるため、労働基準法の規定に従い、運転日報も3年間保存することが求められます。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

運転日報を紙面で作成する場合の業務負担

運転日報を紙面で作成する場合、運転者と安全運転管理者の双方にとって、負担が大きいです。運転者は運転の合間や終了後に、運転時間や距離、経路、荷物の詳細などを手書きで記入しなければなりません。

安全運転管理者も同様に、紙の運転日報の管理に手間がかかります。また、紙の日報は時間の経過とともに劣化する可能性があり、重要な情報が失われるリスクもあります。

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運転日報を紙面で作成する場合の業務負担

  1. 運転者側の負担
  2. 安全運転管理者の負担

運転者側の負担

運転者が運転日報を紙面で記載する場合、多くの項目を記入する必要があり、時間を要する作業になります。運転日報には、運転時間や距離、経路など、多くの情報を詳細に記載する必要があり、項目が多いと運転者にとって負担です。

また、紙面での記載は、誤字脱字や字が読みにくいといったミスが生じる可能性があり、場合によっては、安全運転管理者から再提出を求められることがあります。

再度記入する必要が生じた場合、運転者にとって時間と労力を要する作業であり、運転者の負担が増加することになります。運転日報の記載は、運転者の安全運転を確保するための重要な手段であると同時に、運転者にとっては時間と労力を要する作業です。

安全運転管理者の負担

運転日報を紙で管理する場合、安全運転管理者は運転日報を整理し、適切な場所に保管するためのスペースを確保する必要があります。この作業の中には、運転日報を分類し、アクセスしやすいように整理することも含まれます。

また、紙の日報から必要な情報を抽出し、運転者の状況を把握するための分析を行うことも安全運転管理者の重要な業務の一つです。しかし、この一連の業務は、紙の日報を使用する場合、より複雑で時間がかかるものとなります。

運転日報の作成に車両管理システムを導入するメリット

車両管理システムは、車両の位置や状態をリアルタイムで把握し、運転日報を自動で作成する機能を持つシステムです。このシステムを導入することで、運転者は日報の記載にかかる時間を大幅に削減でき、また入力ミスを防ぐことも可能です。

また、従来は紙の日報を回収し、それを基に集計する必要がありましたが、車両管理システムを導入することで、この手間が大幅に削減されるため、安全運転管理者の負担も軽減できます。

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自動作成により、運転者の負担軽減・入力ミス防止に繋がる

車両管理システムを利用することで、運転日報の作成が自動化され、運転者の手間が大幅に削減されます。その結果、運転者は運転に集中できる環境が整うため、安全運転に繋がります。また、日報の記載が自動で行われるため、人為的な入力ミスが防げます。

さらに、自動作成された日報はデジタルデータとして管理されるため、紙の日報を保管する場所や手間が不要となります。そのため、運転者だけでなく、安全運転管理者の業務負担も軽減することが可能です。

管理者が日報を回収・集計する手間を削減できる

運転日報の管理がデジタル化され、ペーパーレス化を実現できるため、安全運転管理者が運転日報を物理的に回収する手間を省けます。また、日報の集計や分析もシステム上で簡単に行えるようになります。

デジタルデータとして管理される運転日報は、必要に応じてすぐに取り出すことが可能です。結果的に、管理者はより重要な業務に集中できる環境が整い、業務の質の向上が期待できます。

電子データなら保管スペースに困らない

運転日報は、最低1年間の保存期間を設ける必要がありますが、運転日報は日々作成されるものなので、紙媒体だと保管すべき書類が膨大な量になります。場合によっては、倉庫を借りるコストや書類整理などの業務負担が増えることもあります。

しかし、車両管理システムを導入することにより、電子保存できて保管場所に困りません。わかりやすく整理しやすいのもメリットです。ただし、運転日報を電子データで残す場合は編集履歴を残すなど、改ざんができない仕組みを整えておくことが重要です。

運転機能以外の便利機能もある

車両管理システム導入により、情報をリアルタイムかつ正確に入手できるようになります。たとえば、車両の現在地のデータもわかるため、急な配送依頼があっても近くを走る配送可能なドライバーと連携し、無駄なく配送を完了できます。

また、記録した過去の走行ルートにより、より最適なルートを提案できるようにもなります。無駄な走行を省くことで効率よく配送できるため、コスト削減につながり、人材不足を解消することにもつながります。

まとめ

運転日報は、運転者の氏名や乗車日時、場所など様々な情報を記録するものです。これは、法律により最低1年間の保存が義務付けられています。しかし、この日報を紙ベースで作成することは手間がかかる作業であり、誤字脱字などのミスが発生する可能性もあります。

そこで、車両管理システムを利用することで運転者の負担が軽減され、入力ミスの防止にも繋がります。また、安全運転管理者の業務も効率化され、日報の回収や集計にかかる手間が削減できるため、ペーパーレス化を実現できます。

結果的に、運転日報の作成に車両管理システムを導入することは、転者と管理者双方の負担を軽減し、業務の効率化を図るための有効な手段になります。

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