オンラインストレージとは?メリット・デメリットと選び方を解説
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- オンラインストレージとは「インターネット上にデータを保存する場所」を指す
- オンラインストレージには作業効率を上げる機能が複数ある
- オンラインストレージを導入する際はセキュリティ対策をしっかり行う
オンラインストレージとは、ローカルのHDDなどの記憶容量にデータを保存せずに、インターネット上のストレージにデータを保存するサービスのことです。本記事ではオンラインストレージの仕組みや使い方、メリット・デメリット、選び方について解説します。
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オンラインストレージとは
インターネットを利用したやり取りの中で、「オンラインストレージ」という言葉を見聞きしたことがあるかもしれません。オンラインストレージとは「インターネット上にデータを保存する場所」を指しています。
オンラインストレージを導入することで社内外のやり取りがスムーズになり、作業効率や生産性がアップします。この記事では、オンラインストレージの仕組みや特徴・導入した際のメリットやデメリットを解説していきます。
まずは、似た言葉やその他の保存方法との違いをみていきましょう。
オンラインストレージとクラウドストレージとの違い
オンラインストレージという言葉の他に「クラウドストレージ」という言葉があります。オンラインストレージとクラウドストレージは同じもので、機能に違いもありません。
クラウドとは「クラウド・コンピューティング」の略称で、インターネットを介してさまざまなサービスが利用できる形態のことを指しています。
これまでは、ソフトウェアをパソコンにインストールしたり、ソフトウェアのライセンスを購入しなければ、サービスが使えないことが一般的でした。現在はクラウドを使用することにより、ソフトウェアをインストールしなくても利用できるサービスが生まれています。
オンラインストレージ(クラウドストレージ)は、クラウドストレージと呼ばれることもあるクラウドサービスの一種です。
オンラインストレージとローカル保存との違い
資料を保存する際に使われる「パソコンの内蔵ハードディスクや内蔵SSD・外付けのハードディスク・USBメモリー・SDカード」などは、ネットワークを介さずにパソコンとつなぐため「ローカルストレージ」と呼ばれます。
資料を保存する場合、ローカル保存ではローカルストレージに保存されますが、オンラインストレージで保存した場合は、インターネット上にあるサーバーに保存されます。
ローカル保存の場合、保存できる容量は保存先の容量で決まります。保存資料が増えて保存先の容量上限に達した場合は、保存ファイルを削除するか、別途他の保存先を用意する必要があります。
オンラインストレージ保存で容量上限に達した場合は、必要に応じて保存容量を拡張することができます。
オンラインストレージの仕組みと特徴
オンラインストレージでは、インターネット上にある保存先に資料やデータなどが保存されているため、アクセス権を持ったユーザーが自由に、その保存先にアクセスできる仕組みになっています。
オンラインストレージは、資料の保存やデータのアップロードといった、パソコン内のハードディスクやSSDと同じように使うことができる上、ファイルの共有・共同編集・複数デバイスからの同時作業ができるといった特徴があります。
オンラインストレージの使い方
オンラインストレージを活用すると、作業効率や生産性を高めていくことができます。ここではオンラインストレージの主な4つの使い方を解説します。
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オンラインストレージの機能
データをバックアップ
日常的な業務データはもちろん、ローカル環境に保存してあるデータの損失といったリスクは可能な限り避けたいものです。
パソコンや外付けHDDなどにデータ保存をする場合は、物理的な破損によるデータ損失や容量不足による保存の失敗があります。また、盗難や災害などの事故やトラブルによってデータが失われるリスクもあります。
オンラインストレージであれば、オンライン上のサーバーにデータが保存されているため、上記のようなアクシデントによるデータ損失を避けることができます。
また、通常はパソコン上にデータを保存したり編集したりしながらも、万が一に備えてインターネット上にもデータを保存しておくことで、データ損失のリスク分散にも繋がります。
ファイルの自動保存
ファイルを更新した場合は、何かしらのエラーにより保存ができなければ作業に費やした時間が全てロスとなってしまうため、保存は確実に行いたいものです。
これまでのローカル保存の場合、パソコンのフリーズやサーバーエラーなどにより保存ができない場合があります。しかし、オンラインストレージにあるファイルを編集する場合、更新したファイルは自動で保存されます。
このオンラインストレージの自動保存機能があることで、保存時のエラーで更新データが消えてしまうリスクを回避することができます。
社内外へのファイル共有・転送
資料の共有がスムーズに行うことができれば、他部署との連携や外注先との取引もスムーズに進められます。
ローカルに保存してある資料を共有するときは、ファイルやフォルダをダウンロードする工程が必要になります。また、メールで資料を転送する際は、メールエラーやファイルの添付漏れといったことも生じます。
しかし、オンラインストレージを使用すれば、指定URLにアクセスするだけで簡単に資料を閲覧することができます。メールやファイル転送サービスでのやり取りが不要になることで、社内だけでなく社外取引先と円滑にやり取りができます。
オンラインストレージにアクセスする権限は制限することができるため、セキュリティの面でも安心です。
複数デバイスで同時作業
オンラインストレージには、パソコンからだけではなく、スマートフォンやタブレットなどの複数のデバイスからアクセスすることが可能です。例えば、パソコンをメインにしたプレゼンテーションをしながらも、タブレットで別資料を開きながら補足説明をする、といったことが可能です。
オフィス出社とリモートワークを同時並行している場合、会社のパソコンを社外に持ち出さなくても、自宅のパソコンから資料を閲覧・編集することができるため、生産性や安全性が高まります。移動時間中にスマートフォンで資料を見直すことで、時間を有効に使うこともできます。
オンラインストレージの個人向けと法人向けの違い
オンラインストレージには無料版と有料版があり、その機能に違いはありませんが、提供されるものの内容に違いがあります。ここからはそれぞれの違いを解説していきます。
無料オンラインストレージ | 有料オンラインストレージ | |
---|---|---|
容量 | ・小さめ ・5~10GB程度 | ・必要な容量に対応 ・大容量も対応可能 |
セキュリティ対策 | ・対策は限定的 | ・豊富な対策がある |
個人には無料オンラインストレージがおすすめ
無料版のオンラインストレージは個人利用を目的としたサービスが多く、提供される容量は一般的に5〜10GB程度と小さめです。無料で使えて利便性も高いため、個人で利用するのには向いています。
ただし、セキュリティ機能は有料版や法人向けと比較すると限定的になっているため、コンプライアンスやセキュリティの観点から、無料のオンラインストレージの利用を禁止している企業もあります。
法人には有料のオンラインストレージがおすすめ
法人の場合、日常の資料の保存だけでなく、画像や動画・長期保存用の資料もあるため、必要な保存容量は大きくなります。有料版のオンラインストレージであれば、1TBを越えた大容量のデータも保存することができます。
また、有料版のセキュリティ対策は多岐に渡っています。IPアドレス制限やSSL通信といった堅牢なセキュリティ機能の他、アカウント認証やアクセスログの管理によるセキュリティシステムも搭載されています。
過去には、無料のオンラインストレージサービスの利用が招いた情報漏洩事故が問題になったこともあります。法人では重要なデータを扱うこともあるため、セキュリティ機能が豊富な有料版のオンラインストレージがおすすめです。
オンラインストレージを導入するメリット
自動保存機能や共同編集機能など、利便性の高い機能をもつオンラインストレージですが、ここでは会社に導入するとどのようなメリットが得られるのかを、解説していきます。
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オンラインストレージの導入メリット
必要に応じてデータ容量を増やせる
データが増え、保存容量を増やす必要が出てきた場合、HDDやサーバーなどのローカル保存の場合は物理的な限界があるため、簡単に容量を増やすことができません。
一方、オンラインストレージであれば、保存容量の上限に近づき保存容量を拡張したい場合は、契約の見直しと手続きをすることで簡単に保存容量を拡張することができます。
また、必要のない容量があれば、同じく契約を見直すことで保存容量を縮小することも可能です。このように利用状況に合わせた使い方ができるため、コストロスも減らすことができます。
生産性が向上する
オンラインストレージを利用すれば、使う場所やデバイスを選びません。リモートワーク・テレワーク・外回りなど、さまざまな環境下でも、ネットワークさえあればスムーズに作業を行うことができます。
また、チームで動く場合も、メンバーにアクセス権限を付与することで、同じフォルダやファイルを共有できます。情報を一元管理することができ、効率的に情報共有をおこなえます。その結果、個人や組織の作業効率が高まり、生産性が向上していきます。
働き方の多様化・テレワーク推進に対応できる
多様な働き方に対応していくことで優秀な人材を確保していくことが課題となっている中、オンラインストレージがあれば、人材の働き方に柔軟に対応することができます。
例えば、地方に拠点を持つ人材がいた場合、オンラインストレージがあれば簡単にデータや情報のやり取りが行えるため、円滑に業務が行えます。
また、子育てや介護などによりテレワークやリモートワークを導入する必要がある場合でも、オンラインストレージで情報共有をしながらこれまで通り業務が行なえるため、働き方の変化にスムーズに対応することができます。
ペーパーレス化になる
近年推進されているペーパーレス化のために、紙の資料をデジタルデータに変換したり、社内のワークフローをデジタル化に対応するよう、取り組みが進んでいます。こういったデジタルデータ化に伴い必要になってくるのが、十分なデータの保存場所になります。
ローカル保存の場合、保存容量に物理的限界があるため、保存容量を増やすとなれば、さらなる導入コストや運用コストが必要になってくるでしょう。
一方、オンラインストレージは大容量保存に対応したプランもある上、必要に応じて契約の見直しを行うことで、簡単に保存容量を増やすことができるため、コストを低く抑えながら、ペーパーレス化を図ることができます。
コスト削減できる
自社でサーバーを管理・運営する場合、サーバー管理者の人材費やサーバールームの運営コストが生じてきます。オンラインストレージは自社でのサーバー運営や管理が不要なため、その分のコストを削減することができます。
また、オンラインストレージを活用したペーパーレスにより、印刷のための用紙代・トナー代といったコストや、プリンター台を減らすことによるリース代・メンテナンス費の削減にも繋がります。
オンラインストレージを導入することで、従来必要としていたコストが不要になっていくことで、コストを削減することができます。
リスク分散・BCP対策になる
業務データの消失は避けたい事態のひとつのため、トラブルに備えて外付けのHDDやDVDなどに、データのバックアップを定期的に行っている企業もあるでしょう。しかし、地震や火災といった非常事態があった場合、物理的な媒体は損失や紛失の可能性が高まります。
オンラインストレージにデータを保存する場合、万が一災害で被害を受けた場合でも、オンライン上にデータが残っているため、情報紛失のリスクがなくデータが守られます。
また、災害時には交通機関が止まる可能性も高く、会社全体が被災した場合は仕事をする環境が戻るまで時間を要します。
しかし、オンラインストレージがあれば、在宅でインターネットさえ繋がれば業務を行うことができるため、災害後の事業継続や復旧といったBCP対策にもつながります。
オンラインストレージを導入するデメリット
オンラインストレージを導入することでさまざまなメリットがあります。一方で生じるデメリットもあります。ここではデメリットとその対策について解説します。
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オンラインストレージの導入デメリット
情報漏洩のリスクがある
オンラインストレージはIDとパスワードにより保護されているため、リンク先が漏洩してもアクセスすることはできません。しかし、IDやパスワードが漏洩した場合は、不正アクセスにより情報が漏洩・改ざんされる可能性があります。
このようなデメリットを回避するために、次のような管理を徹底しましょう。
- ユーザーのアクセス権限の設定
- ファイルの公開範囲の設定
- 強固なパスワードを設定
- パスワードの定期的な更新
- セキュリティ意識に関する社員研修
また、退職者が出た場合や関係者ではなくなった人材のアカウントは、すぐに削除することも大切です。
セキュリティ面に不安がある
オンラインストレージは外部から提供されるサービスであるため、そのセキュリティはサービスを提供しているベンダーに依存することになります。オンラインストレージはサイバー攻撃の対象になることがあるため、セキュリティ強度によっては、情報漏洩の可能性がゼロとは言えません。
近年は、データ流出問題が起きたこともあり、それらに応じてセキュリティも強固になりつつありますが、どのようなセキュリティ対策を行っているのかは、ベンダーによって異なります。
オンラインストレージを導入する際は、どのようなセキュリティ対策を取っているか、しっかりと確認しましょう。また、セキュリティサービスの堅牢さだけでなくベンダーの信頼性も確認する必要があります。
障害時の対応が他社依存になる
万が一自社で障害が起きた場合、復旧作業はベンダー側になるため、ユーザーである自社で対応することができません。復旧までの間はオンラインストレージに保存されているファイルにアクセスできないため、作業に取り掛かることができなくなるリスクがあります。
また、ベンダー側に障害が起きる可能性もあります。ユーザー側・ベンダー側、それぞれの障害発生時にどのようなサポート体制をとっているかについて、あらかじめ確認しておきましょう。夜間や休日の障害に対応できる監視サポートがあると安心です。
カスタマイズが難しい
オンラインストレージは、幅広い企業に対応するよう設計されているため、基本的にパッケージ化されたサービスになっています。そのため自社に合わせた細かなカスタマイズは難しくなっています。
業務を進めるにあたってほしい機能が出てきた場合、自社でのサーバー運用に比較すると、思い通りにカスタマイズするのが難しい場合もあるでしょう。
しかし、有料サービスの場合は、ビジネスに必要な機能を実装しているため、業務にあたって不便を感じることは少ないでしょう。
オンラインストレージの選び方
企業でオンラインストレージサービスを選ぶとき、費用や保存容量の確認に加え、セキュリティ対策や操作性といったことの確認も必要になってきます。ここではオンラインストレージの選び方の詳細について解説します。
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データの保存容量
オンラインストレージの料金は、データ容量で決まるタイプと、ユーザー数ごとに課金となるタイプがあります。どちらのタイプでも自社でどれだけの容量が必要になるのか、事前に明確にしておくことが必要です。
資料や書類の保存がメインであれば、1アカウントあたり数GBでも対応できますが、映像などの動画ファイルを多数扱う場合は、10TBを超える容量が必要になることもあります。自社の利用状況に沿った「必要な保存量」を計算しておきましょう。
また、サービスによって、容量無制限のプランや、容量が不足したときに増量できるプランなどがあるので、こちらも確認しておきましょう。
費用の妥当性
オンラインストレージの料金は、基本的にデータ容量やユーザー数によって決まりますが、運用に必要な費用は月または年単位で発生し、固定費として計上していくことになります。
また、基本のサービスに加えるサポートやサービスがあれば、かかる費用も変わってきます。そのため、必要な容量・使用するユーザー数・必要とするサービスやサポートを明確にした上で、自社の目的に沿った製品を選びましょう。
安価という理由で安易にサービスを選んだ場合、セキュリティ対策が不十分であったり、利用できる機能が少ないといった場合もあるので、気を付けましょう。
操作性・利便性
日々の業務の活用シーンを想定し、操作性や利便性を確認しておくことが大切です。データをアップロードする速度は生産性に直結します。アップロードの速度は製品によってバラつきがあるため、アップロードにどれほどかかるのか確認しましょう。
また、サービスによってはGoogleカレンダーとの連携・WordやExcelの直接編集といった対応があります。これまで自社に導入している製品やサービスとの相性が良ければ、さらに作業効率が高まるため、普段使っているものとの連携のしやすさを確認しましょう。
使い方が分からなかったりトラブルが起こったりした際、どのようなサポートをしているのかを確認しておくのもよいでしょう。
セキュリティ対策
オンライン上にデータを保存する以上、セキュリティ対策の強固さが重要です。機密性の高い情報を扱うようであれば、より堅牢なセキュリティ対策をしている製品を選びましょう。
オンラインストレージのセキュリティリスクには、次のようなものが想定されます。
- ハッキング
- 不正アクセス
- ウィルス感染
- 人為的な情報漏洩
- 自然災害によるサーバーダウン
これらに対応したサービスやサポートを提供している製品やベンダーを選びましょう。また、それらが標準サービスなのかオプションによるものなのかで、費用が変わってくることも理解しておきましょう。
運営会社の信頼性
オンラインストレージのサービスは、そのサービスを運営する会社の運営が止まってしまえば、当然サービスを受けることができなくなってしまいます。そのため、運営会社の信頼性を確認することは欠かせません。
「ISO/IEC 27001」「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」といった第三者機関の評価を得ていることも、運営会社の評価の基準になります。個人情報の取扱いについては、「プライバシーマーク」を取得しているかどうかも参考にしましょう。
また、運営会社が公表している財務状況を確認し、長期的にサービスの提供が見込まれるのかを確認しましょう。設立からの年数が5年・10年と存続していることも信頼の判断につながります。
スマホのオンラインストレージの選び方
オンラインストレージはPC限定のサービスではなく、アプリや写真などでデータ容量が逼迫しがちなスマホでも重宝するサービスです。
たとえばiPhoneであれば、Apple公式のオンラインストレージであるiCloudが5GBまでは無料で利用できます。まずはこのように公式のオンラインストレージを利用して、他者へのデータ共有や使い勝手を考慮してサービスを選ぶことがおすすめです。
スマホとPCとの親和性が高いオンラインストレージがおすすめ
スマホからPCに写真やデータを送る場合には、これまではメールにデータを添付したり、PCとスマホをケーブルで接続してデータを転送する必要がありましたが、スマホとPCとの親和性が高いオンラインストレージなら、そのような手間が不要になり、非常に使い勝手がよくなります。
例えば、iPhoneとMacを利用している場合には、iCloudの連携をすることで自動でデータ連携ができたり、Macで作成したファイルをiPhoneからも確認できるようになります。
また、MicrosoftのOneDriveなどは、PCブラウザ版・スマホアプリ版があり、同様にスマホ・PC間のファイル共有が容易です。
このようにスマホとPC間でデータのやりとりをするシーンが多い場合は、それぞれの親和性が高いオンラインストレージを選ぶことがおすすめです。
まとめ
オンラインストレージを導入することでデータを一元管理でき、個人や社内組織の連携だけでなく、社外の連携も高めることができます。作業効率や生産性が向上するだけではなく、テレワークやリモートワークといった多様な働き方に対応することも可能です。
一方で、オンライン上にデータを保存していくために、情報の流出や消失は絶対に避けなくてはならないものになります。オンラインストレージを自社に導入する際は、信頼できるベンダー・製品を選んでいきましょう。
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