連結決算とは|対象となる子会社・流れ・注意点をわかりやすく解説
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- 連結決算とは、グループ企業全体の財務数値を把握することができる決算方式である
- 連結決算を行うことで、不正の防止になり、融資を受けやすくなる
- 連結決算を行う際は、スケジュール管理や会計処理方法の統一が重要である
連結決算とは、親会社と子会社からなる企業グループの財務情報を統合し、全体の経営状況を示す報告書です。本記事では、連結決算の作成義務がある会社・対象となる子会社の他、連結決算を行うメリット・デメリット、流れや注意点などを解説します。
目次
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連結決算業務を簡略化するなら連結決算システムがおすすめ
連結決算システム「iCAS」では、企業会計基準・実務指針に則った連結処理を簡単に行うことができます。クラウド型のツールであることから、子会社への新しいソフトウェアのインストール作業は必要ありません。
また、企業におけるグループ内の決算データをリアルタイムで確認できる機能も充実しており、属人化などの解消にもつながります。
したがって、従来までのExcel(エクセル)による連結処理で、業務が煩雑化しているなどの課題を抱えている場合には、連結決算業務を簡略化できる連結決算システム「iCAS」の導入がおすすめです。
株式会社インプレス
連結決算システム iCAS
クラウド上で企業会計基準・実務指針に準拠した連結処理を行うなら、Excelのインターフェースを利用して作業できる、連結決算システム「iCAS」の導入がおすすめです。
評判・口コミを紹介
子会社データの収集・集計に3~4日掛かる作業について、システム導入後、親会社での作業時間は、ほぼ数時間に短縮されました。また、データのバージョン化により数値の矛盾点(不整合)について、子会社側で誤り(科目指定ミス)を確認でき、再発防止につなげることができました。
導入事例(カルビー株式会社様)|株式会社インプレス
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ここがおすすめ!
- Webを経由してデータ収集するため、子会社は専用ソフトのインストールが不要
- 会計システムとの連携ができ、無駄なミスの防止にも
- 独自のエラーチェック機能を搭載
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ここが少し気になる…
- 中国語にも対応しているがオプションとなる
連結決算とは
連結決算とは、親会社と子会社、関連会社などを含めたグループ全体の決算のことです。グループ全体を1つの組織として、財務状況やキャッシュフローなどを把握するために行われます。また、株主や投資家への情報提供も連結決算の目的の1つです。
日本では会社ごとの単独決算が一般的だったものの、重要な投資情報であることから2000年3月にディスクロージャー制度が大幅に見直されたことで、連結決算の情報開示が基本となっています。
連結決算では、グループ間での取引による売上や利益を除き、透明性の高い数値を出すことができます。正確な情報をもとに経営状況を把握し、株主や投資家への信頼性の高い情報を提供することが可能です。
参考:企業内容等開示(ディスクロージャー)制度の概要|財務省
連結決算の作成義務がある会社
連結決算の作成義務がある会社は「有価証券報告書を提出している大会社」または「会社法に定められる大会社」と会社法で定められています。
大会社とは「最終事業年度における賃借対照表に資本金として計上した額が5億円以上であること」「最終事業年度における賃借対照表の負債の部に計上した額の合計が200億円以上であること」に該当する会社を指します。
そのため、上場企業は連結決算の提出義務があると言えます。反対に、上記に該当しない場合は、関連企業が複数あったとしても作成義務はありません。
参考:会社法 | e-Gov法令検索
参考:連結財務諸表に関する会計基準|企業会計基準委員会
中小企業が連結決算を行うメリットはあるのか
上記に該当しない中小企業にとって、連結決算は必ずしも義務付けられているものではありません。しかし、実施することで得られるメリットもあります。
まず企業グループ全体の財務状況や業績が一貫して把握できるようになることで、透明性が向上します。これにより、金融機関や取引先との信頼関係が強まり、資金調達や新しいビジネスチャンスを得やすくなります。
そして、連結決算を導入することで、将来的な企業成長や海外展開を見据えた準備が整います。将来的にM&Aを検討している場合にも、M&A後の統合プロセスをスムーズに進めることができます。
ただし、連結決算の作成には一定のコストや時間が必要となり、適切な会計知識やシステムの整備も求められます。そのため、中小企業が連結決算を行うかどうかは、企業の規模や事業戦略、ステークホルダーの要求などを総合的に判断して決定することが重要です。
連結決算の対象となる子会社の条件
連結決算の対象となる子会社には以下の3つの基準が定められており、親会社が子会社に対していずれか1つでも該当すれば対象となります。
- 議決権の50%以上を所有している
- 議決権の40%以上50%以下かつ親会社と同じ意思で議決権を行使する者が一定数以上を占める会社、または定められた要件を満たす会社
- 議決権のある株式の40%以下を保有し、親会社と同じ意思で議決権を行使する者が一定数以上を占め、さらに定められた要件を満たす会社
議決権が半数以下の場合の「定められた要件」には、残りの議決権の所有者や役員が親会社・グループ会社であること、親会社から大半の融資を受けていることなど、親会社が意思決定に大きな影響を持つような要件が該当します。
判断に迷う場合は担当の税理士や監査法人に確認した上で、子会社に含めるべきか否か決定すると安心です。
連結決算対象の例外
以下の場合には、子会社は親会社の連結決算の対象外となることがあります。
- 一時的に親会社の傘下にある企業
- 連結によって株主や投資家の意思決定の妨げとなるリスクがある企業
- 事業規模が小さく財務状況に与える影響がほとんどない企業
原則として子会社は連結の中に含まれますが、一時的な傘下にある場合や事業規模が小さく決算にほとんど影響がない場合、投資家の意思決定に有益ではない情報提供に繋がる場合は、連結決算の対象から外される例もあります。
多くの子会社を抱える企業は、連結決算に必要な作業の負担を軽減するためにもキャッシュフローなどの把握において重要性の低い会社は省くことが可能です。
参考:連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針|企業会計基準委員会
連結決算を行うメリット
連結決算は、企業グループ全体の経営状況をありのままに示すことで、様々なメリットをもたらします。ここでは、連結決算を行うメリットを詳しく解説します。
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連結決算を行うメリット
グループ会社全体の経営状況を把握できる
連結決算を行うことで、グループ全体の経営状況を正確に把握できます。グループ内での取引を除いた売上や利益が明確になるため、グループ全体や個々の子会社の現状が可視化されます。
例えば、グループ全体の収益は安定していても、特定の子会社では赤字であることなどが明確になります。そのため、どの子会社がどのような課題を抱えているかなどを知るきっかけにもなります。
正確な数値を公表して株主や投資家の意思決定につながる正確な情報提供ができるだけでなく、グループ全体の現状を分析して経営戦略や業務改善に繋げることも可能です。
不正防止になる
連結決算の実施により、不正防止に繋がります。グループ内での取引を利用した利益の不正操作や、会計の不正処理を防止できるためです。
単独決算の場合は、企業の損失をグループ内の子会社に押し付けて企業の財政状況が良好である状態に見せることができます。この場合、押し付けた損失は子会社が負っているとはいえグループ内にあるため、正確な情報を開示しているとは言えません。
このような行為を防止するためにも、グループ内での取引内容をクリアにした正確な利益・売り上げが把握できる連結決算が有効になります。
銀行の融資を受けやすくなる
連結決算を行うことでグループ全体の現状を証明でき、経営状況の信頼性が高まるため、銀行の融資を受けやすくなります。
銀行が融資の審査をする際、審査する企業の子会社や関連会社との取引状況を調査します。連結決算を行っていると、グループ内での取引に関わる情報が明確化されているため、迅速に判断材料を用意できます。
融資を受けられるまでの時間が短縮できるためスムーズに事業が進み、ビジネスチャンスの拡大も期待できます。
連結決算を行うデメリット
連結決算を行う際にはデメリットも発生します。注意点をあらかじめ把握し、事前に対策しておくことが大切です。以下では、連結決算を行うデメリットを解説します。
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連結決算を行うデメリット
手間とコストがかかる
連結決算の実施には、手間とコストがかかることがデメリットの1つです。連結財務諸表などの必要資料を作成するためには、膨大な作業が発生します。
親会社の経理担当が連結対象の子会社や関連会社すべての単体決算書類を収集し、内部取引の相殺処理を行うなどの作業が発生します。それに付随し、子会社や関連会社とのやり取りや調整なども必要です。
多くの子会社や関連会社を抱える会社はその分業務量が増えるため、多くのリソースを割くことが求められます。
監査を受ける必要がある
連結決算を行う場合には、公認会計士や監査法人による監査を受けることが義務付けられています。監査を受けた上で、間違いのない連結決算を行わなければなりません。監査を受けるために割けるリソースがない企業では、連結決算に対応できないこともあります。
任意で連結決算を行う場合でも、監査を受けなければなりません。連結決算を行うことによるメリットを得るために任意で実施することはできても、監査に対応できなければ意味がない点に注意が必要です。
連結決算の流れ
連結決算を行うためには、正しい手順を踏むことが大切です。以下では、連結決算の流れを詳しく解説します。
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連結決算の流れ
個別財務諸表の作成
グループ内の親会社・子会社・関連会社が、自社の個別財務諸表を作成します。財務諸表には賃貸対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書・株主資本等変動計算書などがあります。これらの書類をそれぞれの会社が作成することが必要です。
またこの時点での財務諸表の作成は、グループ内での取引を反映します。会計方針はグループ内で統一しておくとスムーズです。
連結パッケージの収集
親会社は連結パッケージを入手することで、個別財務諸表が合算しやすくなります。連結パッケージとは、勘定項目など子会社や関連会社ごとに異なる情報を提出してもらう、グループ共通のフォーマットのことです。
連結パッケージに決まった定型はないため、集めたい情報をフォーマットの項目に含める必要があります。子会社や関連会社から集めたい情報は事前に洗い出しておきましょう。
個別財務諸表の合算
親会社は、各子会社や関連会社から収集した個別財務諸表を合算します。連結調整前の単純な合算ですが、財務諸表に合わせてグループ内での取引情報や固定資産などの共有をしてもらう必要があります。
合算する際のポイントとして、海外にある子会社の財務諸表はレート換算をすることや、親会社とは決算月が異なる会社は調整が必要であることに注意しなければなりません。
連結修正の実施
親会社は、合算した財務諸表と連結パッケージで収集した情報をもとに連結修正を行います。グループ内での取引で利益になっていないものなどの相殺処理を実施します。具体的には、下記のような業務が行われます。
- 資本連結
- 開始仕訳
- 内部取引高の消去
- 投資と資本の相殺消去
- 未実現利益の修正
連結修正を行ったものは修正を行った当時期のみ有効で、次期のデータとして使用することはできない点に留意しておきましょう。
連結財務諸表の作成
連結修正仕訳を完了したデータをもとに連結財務諸表を作成します。「レート換算」「各社の決算月のずれの調整」「連結修正仕訳の完了」を漏れなく実施できているか最終確認をしましょう。連結財務諸表を構成する書類には、以下のものが該当します。
参考:連結財務諸表原則|金融庁
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連結財務諸表を構成する書類
連結損益計算書
連結損益計算書とは、グループ全体の一定期間の業績を明示するものです。グループ全体の経営状況や財政状態を明らかにできます。
作成にあたっては、親会社の損益計算書と子会社・関連会社の損益計算書に記載された収益や費用を科目ごとに合算し、内部取引や未実現利益などを相殺処理します。このプロセスにより、企業全体の純利益を算出することが可能です。
連結貸借対照表
連結賃借対照表とは、グループ全体の資産や負債、純資産の状態を表すためのものです。個別財務諸表の合算時に、内部でやり取りが発生した資本金や投資金額を相殺消去して作成します。
連結賃借対照表には、意思決定権のあり方や親会社の影響力の関係で「全部連結」と「持分法」の2つの作成方法があります。基本的に子会社は全部連結で関連会社は持分法が適用されることが多いです。
全部連結は親会社と子会社の財務諸表を完全に連結し、最終的に少数株主の持ち分を調整する方法です。持分法は、親会社の持分の変動に応じた収益が投資収益として計上されます。
連結キャッシュフロー計算書
連結キャッシュフロー計算書は、グループが1年間でキャッシュをどのように獲得し、どのように使用したかを表す計算書です。キャッシュフローの状況は営業・財務・投資など3つの活動に区分して記載します。
キャッシュフロー計算書の表示方法には直接法と間接法があります。直接法は主な取引ごとに収入・支出を表示する方法で、間接法は損益計算書をもとに純利益から売掛金や受取手形の増減額などの調整項目を加減して計算する方法です。
直接法は項目別のキャッシュフローがわかりやすく、経営の実態を把握しやすいです。しかし、間接法に比べて手間がかかるのが難点です。
連結株主資本等変動計算書
連結株主資本等変動計算書とは、親会社が属する株主に対しグループ全体の株主資本の変動の状況を一覧にしたものです。
グループ全体の株式資本項目として資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式を変動事由ごとに表示します。株主資本項目以外の包括利益累計額や新株予約権などの項目は、純額または変動事由ごとに表示する必要があります。
また株主資本等変動計算書を作成する際には、前期の貸借対照表総資産の金額を転記したり、損益計算書で算出した純利益を計上したりなど、他の連結財務諸表の内容の反映も必要です。
連結附属明細表
決算に関する補足が必要な場合は、連結附属明細表を作成します。あくまでも必要な場合のみのため、必ず作成するものではありません。以下の5つの明細表が、連結附属明細表に該当します。
有価証券明細表 | 企業が保有する有価証券について記載する |
固定資産等明細表 | 企業が保有する資産について、期首残高などを記載する |
社債明細表 | 企業が発行した社債について記載する |
借入等明細表 | 借入金の内訳を記載する |
引当金等明細表 | 賃借対照表における引当金について記載する |
連結決算を行う際の注意点
連結決算を行う際には、事前に注意点を把握しておくことで失敗を未然に防止できます。ここでは、連結決算を行う場合の注意点を解説します。
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連結決算を行う際の注意点
スケジュール管理を行う
連結決算を行う際には、スケジュール管理をしっかりと行いましょう。決算開示には「45日ルール」が定められており、上場企業の場合は決算期末日から45日以内に決算書を開示しなければいけません。
連結決算の手続きを進めるためには、子会社や関連会社が関わるぶんプロセスが増えます。どこかの部署で作業が滞ることがあれば、定められた期日に間に合わないことも考えられます。開示予定日から逆算し、プロセスごとに期日を決めておく必要があります。
親会社だけではなく、子会社の関連部署にも期日や方針を通達し、滞りなく決算開示を迎えられるようなスケジュール管理が必要不可欠です。
会計処理の方法を統一させる
会計処理の方法を統一させておくと、スムーズに連結決算の処理ができます。特に子会社や関連会社が多い企業では、それぞれの会計方法が違うと、合算や相殺する際に作業が複雑化し、担当者の負担になりがちです。
また、異なる方法で会計が行われた場合、正確な財政状態や経営状況を表示できない可能性もあります。正確な決算処理を行うためにも、会計処理の方法は連結対象の会社に周知し、統一しましょう。
連結パッケージを準備する
連結パッケージは、確実性の高い連結財務諸表を作るために必要不可欠です。連結決算にあたり、必要な情報を各会社から集めるために使用します。必要な情報としては、雑収入や購入資産明細などの項目などが挙げられます。
提出された内容に不備がある場合などを想定し、決算のスケジュールを立てる段階で早めに用意しておくと安心です。どんな情報が必要かあらかじめ検討しておくと、使用する際もスムーズに進められます。
連結パッケージを利用する際は、各社に期日を守ってフォームを提出してもらうよう計画しましょう。
効率的な連結決算には連結会計システムがおすすめ
作業が複雑かつ膨大な量になりがちな連結決算には、連結会計システムが効果的です。連結会計システムには、連結財務諸表の作成を始め、データ収集や連結仕訳、余日管理など決算業務を効率的に実施できる機能が充実している特徴があります。
データ収集や相殺処理、連結財務諸表に関わる作業を大幅に簡略化できるため、経理業務の負担を軽減できます。その分、他の業務に割くリソースができるでしょう。
連結会計システムにはそれぞれ特徴があるため、自社に必要な機能や特性を持ったものを選ぶことが大切です。自社の課題やニーズを分析し、適切なシステムを選びましょう。
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ここが少し気になる…
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まとめ
連結決算とは、グループ間取引の利益を除く、親会社・子会社・関連会社の全体の決算のことです。透明性の高い数値を算出できるためグループ全体の経営状況を把握でき、不正操作の未然防止にも繋がります。
また、株主や投資家の意思決定に繋がる正確な情報を提供したり、銀行から融資を受ける前の審査がスムーズに行えたりなど、ビジネスチャンスに繋がる重要な役割を果たします。一方、連結決算が完了するまでには膨大な作業が発生します。
連結決算には個々の会社の財務諸表やその他の情報収集、合算、連結財務諸表の作成など多くのプロセスが必要なため、経理担当者の負担になりがちです。
連結決算の業務負担を軽減して効率的に進めるためには、データ収集や連結財務諸表の作成などに対応した決算業務連結会計システムがおすすめです。自社の課題やニーズにマッチしたシステムを選び、効率的な決算業務に繋げましょう。
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