法人カードと個人カードの違いとは?メリット・デメリットも解説

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- 法人カードと個人カードは、審査内容だけでなく限度額やカード発行枚数なども異なる
- 法人カードは経費管理がしやすくなる一方、個人カードは支払いの自由度の高さが利点
- 法人カードは年会費がかかる、個人カードは経費管理が難しいなどのデメリットがある
法人カードとは、企業や個人事業主に発行されるクレジットカードですが、個人カードとの違いがよくわからない方も多いのではないでしょうか。本記事では、法人カードと個人カードの違いやそれぞれのメリット・デメリット、法人カード申し込み時の注意ポイントなどを解説します。
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法人カードと個人カードの違い

法人カードと個人カードは、それぞれ異なる利用目的や特徴を持つクレジットカードです。法人カードは法人や個人事業主のビジネスニーズに合わせて設計され、事業費用の支払いや経費管理を効率的に行うのに役立ちます。
一方、個人カードは主に個人の日常的な支出やプライベートな用途に使用されます。それぞれのカードは、異なるニーズに応じて設計されており、使い道に合わせて選択することが大切です。以下で、2つのカードの違いについて詳しく解説します。
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法人カードと個人カードの違いとは
審査内容が異なる
法人カードと個人カードは審査内容が異なります。法人カードの審査では、法人の財務状況や信用履歴が主に評価され、代表者の信用情報も一部考慮されます。法人名義での取引実績も審査材料になることがあります。
一方、個人カードの審査は個人の収入・信用履歴・雇用状況に焦点が当てられます。法人カードの審査はビジネスの健全性を評価するため、一般的に個人カードよりも審査基準が厳格です。

法人カードの審査基準とは?審査の流れや落ちる原因・対策なども解説
法人カードとは、企業や個人事業主に発行する法人向けのクレジットカードです。法人カードを発行するには審査に通る必要があり、審査落ちしないための対策を知りたい方もいるでしょう。本記事では、法人カードの審査基準や必要な書類、対策などを解説しています。
限度額が異なる
通常、個人カードの限度額は数十万円から100万円程度が一般的で、個人の収入や信用履歴に基づいて設定されます。一方、法人カードは法人名義で発行され、限度額は法人の財務状況や信用力に合わせて設定されることが多いです。
法人カードの限度額は最大500万円にのぼるものもあり、法人がビジネス支出や経費の管理に対応できるように設計されています。ただし、実際の限度額は審査結果によって決まり、法人の信用力や財務状況に応じて変動します。
支払い方法が異なる
法人カードと個人カードは支払い方法においても異なります。個人カードでは多くの支払い方法が提供され、支出を柔軟に管理できる一方、法人カードは基本的に1回払いが主流です。
ただし、法人カードにおいても一部のカードでは特定の加盟店やサービスでは2回払い、ボーナス払い、リボ払いなどが利用できることがあります。
法人カードを選ぶ際には、支払い方法や利用頻度に合わせて複数のカードを比較検討し、加盟店やサービスでの利用条件を確認することが重要です。自社の支出や経費管理に最適なカードを選ぶことが、効果的なビジネス運営に繋がります。
決済に使える口座が異なる
決済に使える口座についても、法人カードと個人カードでは異なります。個人カードの場合、支払いに利用できる口座は主に個人名義の銀行口座です。
一方、法人カードは2つの主要な決済方法があります。会社決済型では、法人の銀行口座が支払い口座として指定され、法人の経費や支出を一元管理できます。
個人決済型では、個人名義の銀行口座が支払いに使用され、法人が存在しない個人事業主やフリーランサー向けに提供されています。法人カードは組織の性質や支出管理方法に合わせて選択でき、口座の指定によってビジネスニーズに応じた柔軟な支払いが可能です。
付帯サービスが異なる
法人カードはビジネス向けの特典が充実しており、出張費用や備品購入における優待、ショッピング保険、ETCカードの発行など、法人の経費管理をサポートするためのサービスが提供されています。
また、多くの個人カードにはキャッシング機能が付いている一方で、法人カードでは一般的にはキャッシング機能は提供されません。法人では高額の支出が発生しやすいため、貸し倒れのリスクを回避するためにキャッシング機能が制限されていることが多いです。
追加発行のルールが異なる
法人カードと個人カードでは、追加カードの発行に関するルールや対象者が異なります。個人カードでは家族カードがあり、契約者の家族にカードを発行できます。一方、法人カードでは社員用の追加カードを発行できることが一般的です。
個人カードの家族カードは、契約者の家族に最大3枚まで発行でき、名義人が家族に限定されます。法人カードの追加カードは社員の名義で発行されるもので、基本的に追加カードの発行には審査が必要ありません。
どちらの場合も、追加カードの発行には枚数制限があり、名義人以外の者が勝手に利用することは規約違反です。また、追加カードにかかる年会費や、法人カードでは私的利用に関する対策も必要です。
法人カードのメリット

法人カードには多くのメリットがあります。法人カードを導入することで、ビジネス運営が効率化され、経費管理が容易になります。ここでは、法人カードのメリットについて解説します。
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法人カードのメリット
経費管理を効率化できる
法人カードを導入することで、支出が効率的に管理されます。明細書や電子取引データによって、支出の追跡と記録が簡素化されるため、管理上のミスも防止できます。
また、複数の社員が法人カードを利用した場合も、個別の請求書や領収書の取り扱いが不要なため、経費精算が楽になる点もメリットです。加えて、経費の詳細が明確になるため、無駄な支出を特定し、予算を最適化できます。
集中請求や支払いの簡略化が可能
法人カードを活用することで組織内の支出が一元管理されるため、複数の社員が個別に支払いを行う必要がありません。法人カードの請求書は一括して発行され、組織全体の支出がまとめて請求されます。
これにより、多数の請求書の処理や支払い手続きが簡素化され、経理部門や事務作業にかかる労力と時間を大幅に削減できます。経費管理も容易になり、支出の追跡や分析がスムーズに行えます。
利用明細を集中管理できる
組織内の複数の社員が法人カードを利用して支出を行っても、その利用明細は集中管理されます。経費や支出のトラッキングが効率的に行えるため、請求書や領収書の取り扱いの手間が大幅に軽減されるでしょう。
経理部門や管理者は、オンラインで法人カードの明細データを確認し、支出の追跡や分析を行うことができます。集中管理によって、組織全体の支出が透明化され、財務管理が強化されるため、ビジネスの効率性と正確性向上にも繋がります。
特典や割引を活用できる
法人カードはビジネス向けに設計されており、出張に関わる予約優待、備品購入の特典、ショッピング保険、ETCカードの発行など、ビジネスニーズに合わせた多彩なサービスが受けられます。
これらの特典や割引は、コスト削減に繋がるだけでなく、従業員の日々の業務を円滑化する上でも有効です。付帯サービスはカード会社によって異なるため、自社ニーズを考慮して検討しましょう。
個人カードのメリット

個人カードは、現代のライフスタイルに欠かせない便利なツールとして、多くのメリットを提供しています。以下では、個人カードの主要なメリットについて詳しく解説します。
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個人カードのメリット
個人責任意識が高い
個人カードは、個人の名義で発行され、利用者がそのカードの支払い責任を負います。そのため、個人カードを持つ人々は通常、自己管理と財政責任に対する高い意識を持ちます。個人カード利用者は、自分の支出を明確に追跡し、支払い期日を守らなくてはなりません。
支払い遅延や借金の蓄積を避けるため、計画的なお金の管理や予算設定が求められます。また、個人カードの利用は信用履歴の構築にも影響を与えます。
プライバシーが保護されている
個人カードは通常、カード発行会社とのプライバシー契約に基づいて利用されます。カード会社は、個人情報を保護し、不正利用や情報漏洩から利用者を守る重要な役割を果たしています。
また、個人カードはカード所有者自身によって管理され、他人がカードの利用や支払いに関与することは一般的にありません。このように、個人カードは個人のプライバシーを尊重し、安全性と信頼性を提供しています。
自由度が高い
個人カードは、自由度の高さもメリットです。まず、個人の生活スタイルに合わせて支払い方法を選べます。一括払い・分割払い・リボ払いなど、多様な支払いオプションが用意されています。
また、個人カードはさまざまなショップやオンラインストアで利用でき、日常生活の支出から旅行、エンターテインメント、大規模な買い物まで、広範囲の用途に活用できます。
個人のニーズに合わせて特典やリワードを選び、旅行優待やキャッシュバックなどを受けることも可能です。この自由度の高さにより、個人のライフスタイルや支出に合わせたカスタマイズが可能であり、日常生活や旅行などで利便性を提供します。
法人カードのデメリット

法人カードには多くのメリットがありますが、年会費がかかる点や分割払いができない点には注意が必要です。以下では、法人カードのデメリットを解説します。
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法人カードのデメリット
年会費がかかる
法人カードのデメリットの1つは、年会費が発生することです。年会費はカード会社ごとに異なり、カードのランクや提供されるサービスによっても変動します。中には高額な年会費のカードもあり、予算を圧迫する可能性もあります。
また、一般的に追加カードも年会費が発生するため、その合計額がかさむことも考えられます。経費管理においては年会費の影響も考慮し、利用カードの選定や利用頻度を検討しなければなりません。
分割払い・リボ払いができない
法人カードのデメリットとして、通常、分割払いやリボ払いが制限されていることが挙げられます。法人カードはビジネス向けに設計されており、支出の管理や支払いの実現性を重視しています。そのため、一括払いが主流であり、支払いオプションが限られています。
支出が大きく変動する場合や、一度に大きな支払いが必要な場合には、支払いが制約されることもあるでしょう。したがって、法人カードを選ぶ際には、支払い方法に関する制約を確認し、経営ニーズに合ったカードを選ぶことが大切です。
不正利用のリスクがある
法人カードの多くは、社員用の追加カードを発行できます。経費精算の手間を省けるのはメリットですが、社員に配布することで不正利用のリスクが高まる点は注意が必要です。
業務に不要な物品を購入したり、無駄な運賃をかけて移動したりといった不正利用が起こり得るため、厳格なルールを設ける必要があります。
また、配布しているカードの数が多い場合、紛失や盗難のリスクも高くなります。利用ルールとともに、管理体制を整備することも重要です。
個人カードのデメリット

個人カードにも多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。個人カードのデメリットについて、以下で解説します。
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個人カードのデメリット
経費管理が複雑化する
個人カードを使用する場合、プライベートな支出とビジネス関連の支出を同じカードで処理すると、経費の分別が難しくなります。経費を正確に記録し、ビジネス経費を追跡する必要があり、請求書や領収書の整理が面倒です。
また、経費精算や会計作業も複雑になり、ビジネスの財務管理が難しくなる可能性があります。
個人カードをビジネスに使用した場合の作業
個人カードは、法人利用して法人経費として計上することもできます。個人事業主の場合も同様です。しかし、個人カードの利用を経費として計上するには、多くの作業が発生します。
まず、利用明細を確認してプライベート利用か法人利用かを1つ1つ区別しなければなりません。そして、法人利用分を手作業で会計ソフトなどに入力する必要があります。
なお、個人カードを事業に使用した場合の仕訳では、事業主が個人のお金を使ったことを意味する「事業主借」という勘定科目を用います。
従業員の個人カードを使った場合は、経費精算の手間もかかります。その点、法人カードであれば明細の区別や従業員との間でお金の貸し借りが発生しないため、このことは個人カードにおける大きなデメリットと言えます。
過剰な個人消費のリスクがある
個人カードでは、支払いの猶予期間や分割払いなどのオプションが用意されています。しかし、これらの利点が逆に誘惑となり、支出をコントロールできなくなる危険性があります。
無計画な個人消費により、高額なクレジットカード債務が蓄積され、利息負担が増加するリスクもあるため注意が必要です。また、支払い期限を逃すと遅延損害金が発生し、信用スコアに悪影響を及ぼす可能性もあります。
したがって、個人カードを利用する際には、支出を計画し、借金を負担しないように慎重に管理することが重要です。
法人カードを選ぶ際のポイント

法人カードを申し込む際には、カードの種類や年会費、限度額などに注意して選ぶ必要があります。以下では、法人カードを選ぶ際のポイントを解説します。
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法人カードを選ぶ際のポイント
カードの種類は適切か
法人カードには大きく分けて「ビジネスカード」と「コーポレートカード」の2種類があります。ビジネスカードは個人事業主や中小企業向け、コーポレートカードは大企業向けのクレジットカードです。
一般的にコーポレートカードの方が利用限度額や追加カードの発行可能数が大きいため、自社の規模に合った種類を選びましょう。
また、法人カードにも個人カードと同じように「一般」「ゴールド」「プラチナ」といったランクがあります。ランクが上がるほど審査は厳しくなりますが、利用限度額が高く付帯サービスも充実しています。
始めはビジネスカードやランクの低いカードを契約し、事業の成長に合わせてグレードアップさせていくのもおすすめです。
年会費は高すぎないか
年会費は法人カードの利用に関する基本的なコストの一部であり、企業の予算に影響を及ぼします。年会費が高すぎると、経費管理に負担をかける可能性があります。
申し込む前に、年会費の詳細を確認し、企業の予算に適したカードを選択することが重要です。併せて、追加カードを作る場合は、その年会費についても確認しておきましょう。
ポイント還元率が高いか
ポイント還元率とは、法人カードを利用した際に付与されるポイントの割合です。これらのポイントを消耗品や備品の購入、交通費、マイルなどに充当すれば、効果的なコスト削減が可能です。
また、商品券やギフトカードなどに交換すれば、従業員への福利厚生として活用できます。自社のニーズや方針も考慮しながら、有効にポイントが使える法人カードを選びましょう。
限度額は十分か
限度額は企業の支出や経費をカバーするために重要な要素であり、十分な限度額がないと、ビジネス活動に制約が生じる可能性があります。支出が予想よりも大きくなることや急な支払いが必要になることもあるため、限度額を過不足なく設定することが重要です。
また、限度額の引き上げが必要な場合に、手続きが容易であるかどうかも確認しましょう。適切な限度額を持つ法人カードを選択することで、ビジネスの運営と支出管理をスムーズかつ効果的に行えます。
発行枚数の上限は十分か
法人カードを申し込む際、発行枚数の上限が十分かどうかを確認することが重要です。利用者が多い場合や、特定の部門やプロジェクトごとにカードが必要な場合、発行枚数の上限が足りないと、利便性が損なわれます。
ただし、過剰に発行すると管理が煩雑になり、セキュリティのリスクが高まる可能性があります。法人の規模やニーズに応じて、適切な発行枚数を設定し、必要に応じて追加カードを発行できるかも確認しましょう。
利用したい付帯サービスがあるか
法人カードはビジネスに特化しているため、出張費の優待、経費精算の簡素化、ショッピング保険、ETCカードの発行など、さまざまな付帯サービスが充実しています。
しかし、カードごとに提供されるサービスや特典が異なるため、企業のニーズに合致するカードを選ぶことが重要です。企業の活動や支出パターンに合わせて特典を活用できるかどうかを確認し、ビジネスの効率化やコスト削減に寄与するサービスを選択しましょう。
特に出張や経費管理に関するサービスは、企業の業務に大きな影響を与えることがありますので、注意深く選定しましょう。
法人カードを利用する際の注意点

法人カードは経費精算の効率化に役立ちますが、使い方を間違えると大きなトラブルに発展する可能性もあります。ここでは、法人カードを利用する際に知っておきたい注意点を解説します。
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法人カードを利用する際の注意点
法人カードは個人利用しない
法人カードは事業に関わる出費にのみ使い、個人で利用すべきではありません。個人利用すると、会社の経費を個人で使っているとみなされる可能性があります。
たとえ正しく精算していたとしても、頻度が多ければ税務署から指摘されるリスクもあるでしょう。また、万が一精算し忘れた場合、私的な出費を経費計上していることになります。脱税を疑われないためにも、法人カードの個人利用は避けるべきです。
法人カードのポイントは私的利用しない
法人カード利用によってポイントが貯まりますが、それを個人的に利用してはいけません。法人カードに貯まったポイントはあくまで法人のものであり、私的に利用すると横領になる可能性があります。
経営層はもちろんのこと、追加カードを渡す従業員にも、ポイントを私的利用しないよう呼びかけましょう。備品購入やイベントなど、ポイントの使い道をあらかじめ決めておくのがおすすめです。
まとめ

法人カードと個人カードにはいくつかの違いがあります。法人カードは法人や個人事業主向けで、経費管理やビジネスに特化したサービスが充実しています。一方、個人カードは個人用途向けで、主にプライベートな支払いに利用されます。
法人カードのメリットとしては、経費管理が効率化することや利用明細を集中管理できることなどが挙げられますが、年会費がかかることや分割払い・リボ払いができないデメリットもあります。
個人カードは自由度が高く生活スタイルに合わせて支払い方法を選べる点がメリットですが、過剰な消費には注意する必要があります。
企業や個人事業主が持つのであれば、ビジネス利用に特化した法人カードがおすすめです。年会費やポイント還元率、限度額などを確認し、自社に合った最良のカードを見つけ、賢く活用しましょう。
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