人事管理システムの価格・費用相場は?導入形態・タイプ別で紹介
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- 人事管理システムの費用相場は、導入形態や労務向き・勤怠管理向きなどの種類で異なる
- 無料の人事管理システムは、自社が必要とする機能がない可能性があるため注意する
- 見積もりを依頼する際は、ライセンス数や利用年数などを確認するのがおすすめ
人事管理システムとは、従業員の勤怠管理や人事評価など人事に関わる情報を一元管理できるシステムです。しかし、システムごとの価格が大きく異なり、自社に適したシステム選びは困難です。本記事では、人事管理システムの価格相場や見積もりの際に確認したい項目を解説します。
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人事管理システムとは
人事管理システムは、企業や組織の人事業務を効率的に管理し、従業員の情報を一元化して管理するためのシステムを指します。このシステムにより、人事部門や人事担当者が人事関連の業務を円滑かつ効率的に処理することが可能となります。
主な機能としては、従業員情報管理・給与計算・給与管理・勤怠管理・スキル管理などがあり、手作業でのデータ入力や複雑な計算を自動化し、人事業務の効率を向上させます。また、データの分析を通じて組織の人事戦略に関する意思決定をサポートします。
しかし、システムを導入する際には、費用がどの程度必要なのかが気になるところです。そこで、本記事では人事管理システムの価格相場に加えて、見積もりや選ぶ際に確認したいポイント、注意点などについて解説します。
人事管理システムとは、従業員の情報や勤怠、労務などの人事業務に関する情報を一元管理できるシステムです。上手に活用することで業務効率化や人為的ミス防止に繋がります。本記事では、人事管理システムの機能やメリット・デメリット、選び方を解説しています。
人事管理システムの導入形態別の価格相場
人事管理システムを導入する際の価格は、導入形態によって異なります。主な形態としては、クラウド型やオンプレミス型があり、多くの企業が自社に合った形態を選択して導入しています。ここでは、それぞれの形態の特徴や価格相場を解説します。
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クラウド型
クラウド型の人事管理システムは、インターネット経由のクラウド上でシステムを利用する形態です。そのため、ハードウェアやインフラストラクチャの購入と設置が不要となり、システムの初期費用のみが必要となるので、初期投資を大幅に削減できます。
価格面では初期費用のほかに、月額または年間のサブスクリプション料金が必要です。また、価格は利用者数や機能に応じて変動し、一般的にはユーザー数に応じて変動します。そのため、中小企業から大企業まで幅広く利用されています。
価格は提供業者や契約条件によっても変動するため、複数の提供業者を比較し、組織が必要とする要件にマッチする最適なシステムを選択することが重要です。
費用の種類 | 価格相場 |
---|---|
初期費用 | 0~50万円程度 |
月額料金 | 1ユーザー単位、約300円~800円1契約単位、約2000円~7万円 |
オンプレミス型
オンプレミス型の人事管理システムは、サーバー・ネットワークインフラ・ライセンス料・カスタマイズ・設置・トレーニングなどの初期費用が必要となり、高額になる傾向があります。また、システムの運用や管理をする必要があり、これらのコストも必要となります。
機能面ではセキュリティやカスタマイズなどの点で一定の利点があり、大規模な企業に導入されることが多いです。価格面では、ハードウェア機器の搬入やシステム導入の初期費用が発生します。
オンプレミス型のシステムは通常、月額料金は発生しません。一度の初期投資でシステムを所有し、その後の保守・運用費用などのランニングコストが必要となります。
費用の種類 | 価格相場 |
---|---|
初期費用 | 100万円~ |
月額料金 | 無し |
保守・運用費用 | 年間保守契約を結び、年払い保守・運用費用は製品によって異なる |
人事管理システムのタイプ別の価格相場
人事管理システムの価格相場は、搭載される機能のタイプによって価格が異なります。ここでは、以下の主な4つのタイプの価格について解説します。
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労務向けタイプ
労務向けの人事管理システムは、従業員の勤怠管理・給与計算・労働法規制の遵守・シフト管理など、労務関連の業務を効率的に管理するために設計されたシステムです。勤怠管理機能としては、従業員の出勤・休暇・残業などの情報を正確に記録し、集計します。
給与計算機能として、給与計算の自動化や給与明細書の生成、税金控除の計算などをサポートします。また、労働法規制の遵守として国が規定する労働法規制などに合致するように設計されており、違反の場合は警告機能があるため、法的なリスクを軽減します。
クラウド型の労務管理向け人事管理システムの価格の目安としては、1ユーザーあたり300円~/月となります。
勤怠管理向けタイプ
勤怠管理向けの人事管理システムは、従業員の勤務時間や出勤状況を正確に記録して効率的に管理します。出勤管理の機能として、従業員の出勤状況をリアルタイムで追跡し、出退勤時刻や休憩時間を記録し、正確な労働時間を計算します。
休暇管理として、有給休暇・特別休暇・休業日などの休暇情報を管理し、従業員が休暇を申請し承認するプロセスを効率的にサポートします。また、勤怠データを集計し、勤怠レポートや統計情報を生成します。この情報は、給与計算や業績評価などに役立ちます。
クラウド型の勤怠管理向け人事管理システムの価格相場の目安としては、1ユーザーあたり300円から/月となります。
人事評価向けタイプ
人事評価向けのシステムには、従業員の評価・パフォーマンス管理・給与調整・キャリア開発など、人事評価と関連する業務を支援するための機能が搭載されています。システムは従業員の評価プロセスを管理し、上司や同僚からのフィードバックを収集、分析します。
この機能により、従業員のスキル・業績・教育などのデータを追跡できるので、評価がしやすくなります。また、従業員の目標設定のプロセスが自動化され、目標の追跡と進捗をモニタリングし、目標達成度の評価が容易になります。
クラウド型の人事評価向け人事管理システムの価格相場の目安としては、1ライセンスあたり5万円〜/月となります。人事評価システムとやや機能が重複していますが、評価だけでなくタレントマネジメントに注力したい場合は人事管理システムのほうがおすすめです。
採用管理向けタイプ
採用管理向けのシステムには、候補者の選考・面接スケジュールの管理・書類の追跡など、人材採用に関連する業務を支援するための機能が搭載されています。
システムには求人情報を一元管理し、ウェブサイトや求人サイトに自動的に掲載する機能があり、求人情報の更新や変更が容易に行えます。また、候補者の履歴書や応募情報を収集してデータベースに登録し、面接の日程・評価・フィードバックなどを一元管理します。
クラウド型の採用管理向け人事管理システムの価格相場の目安としては、1ライセンスあたり2万円から/月となります。
無料で利用できる人事管理システムの注意点
人事管理システムを導入する際には、無料で提供されているシステムも選択の対象となります。これらの無料版システムは、規模の小さな企業や機能を試してみたい場合に有効になります。ここでは、無料版の利用の際の注意点として以下の2点について詳細を解説します。
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無料で利用できる人事管理システムの注意点
利用できる機能・人数に制限がある
無料で利用できる人事管理システムは、一般的に有料版と比較していくつかの機能制限があります。通常、利用できるユーザー数に制限があり、一定数のユーザーしか登録できないため、アクセスするユーザー数が多い場合には、対応できないデメリットがあります。
また、システムのカスタマイズや追加機能の提供が制限されることがあり、組織の特定の要件に合わせてシステムを調整できない場合があります。さらに、高度なレポーティングやデータ分析の機能が制限され、組織のデータ分析の際に制約をもたらす可能性があります。
無料版の人事管理システムを選択する際には、これらのデメリットを考慮に入れ、組織の要件や将来の成長に合ったシステムの選定が重要です。特に、ユーザー数・セキュリティ・拡張性・カスタマイズ可能性などの要件を確認し、適切な選択を行うことが大切です。
サポート体制が手薄な場合がある
無料で利用できる人事管理システムは、テクニカルなどのサポートが有料版と比べて手薄となります。問題や障害が発生した場合、優先的なサポートを受けにくいことがあり、問題解決まで長く待たされる可能性があります。
有料版のユーザーには、電話やメールなどを通じて迅速なカスタマーサポートが提供されますが、無料版のユーザーにはこのようなサポートが限られていることが多く、サポートの品質や対応のスピードが低下することがあります。
無料版の人事管理システムは、コストを抑えるための選択肢として魅力的ですが、サポートやカスタマイズなどの面で有料版に比べて手薄な点があることを知っておく必要があります。これらの要因を考慮して、組織のニーズや予算に合わせて選ぶことが重要です。
人事管理システムの見積もり依頼の際に確認したいポイント
人事管理システムの見積もりを依頼する場合には、価格などに加えていくつかの確認したいポイントがあります。ここでは、その中の主な5項目について詳細を解説します。
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人事管理システムの見積もり依頼の際に確認したいポイント
ライセンス数
人事管理システムの見積もりを依頼する際に確認したいポイントとして、まずライセンス費用や月額料金の明確な把握が必要です。ライセンス数や必要な機能に応じて価格が変動することが多いため、自社のニーズに合ったプランを選びましょう。
また、システムのアップデートや定期的なメンテナンスに関する情報を把握します。システムの安定性と機能向上のためにアップデートが行われていることが重要です。さらに、システムの導入後、従業員のトレーニングが提供されるかどうかを確認しましょう。
利用年数
人事管理システムの利用年数を確認することで、長期間にわたる利用コストを正確に評価できます。システムの導入には初期費用がかかりますが、その後の利用年数が長ければ、初期費用を均等に分散した場合の総コストが低くなる可能性があります。
利用年数の確認に関連して、将来の業務変更や成長に対応できるかどうか、システムが長期間にわたって有用であるかを考慮することが重要です。選択するシステムが長期的な戦略に合致しているかどうかを検討しましょう。
ITの世界は技術革新が時間とともに急速に進化し、新しい機能やセキュリティのアップデートが提供されます。利用年数を確認することで、将来的なアップグレードやアップデートのサポートがどの程度提供されるかが評価できます。
オプション料金
通常、基本の人事管理システムに含まれていない機能は、オプション料金により提供されることになります。従って、自社のニーズに合わせた機能の拡張や、特定の業務要件を満たすためにオプション機能が必要な場合があります。
そのため、オプション料金を確認することで、必要とするシステム全体の価格が明確になります。また、オプション料金は追加費用のため、予算に影響を及ぼします。将来的な予算の的確な予測のために、オプション料金を予め見積もり、計画的に選択することが必要です。
カスタマイズができるか
企業は異なる業界や業種で異なるビジネスニーズを抱えており、カスタマイズ可能なシステムは、これらの異なるニーズに合わせて対応できます。そのため、システムのカスタマイズの可否を事前に確認し、見積もっておくことは非常に重要です。
企業は成長・変化していくため、カスタマイズ可能なシステムは、将来の変更や拡張にも適応できる柔軟性があります。この柔軟性により、新たな業務要件が発生した場合でもシステムをカスタマイズして適応させることが可能となり、ビジネスの成功にもつながります。
特にクラウド型システムを選ぶ場合には、どの程度カスタマイズが可能かの見積もりをしておくことが非常に重要になります。
利用人数を増やす際の追加費用
システムを導入した初期段階では、その時点の必要なユーザー数に合わせて料金を支払うことが一般的です。しかし、企業は成長する可能性があり、ユーザー数も増加することがあります。追加のユーザー費用を見積もることで、将来の予算計画が立てやすくなります。
企業が成長するにつれて、人事管理システムもそれに合わせてスケールアップできることが望ましいです。また、ユーザー数の追加に柔軟に対応でき、追加費用が適切に設定されているかどうかを見積もることで、システムの可用性も確認できます。
人事管理システムを選ぶ際のポイント
人事管理システムを選ぶ際には、機能面で自社の要件に適合しているかなどがポイントになり、また、費用対効果も考慮すべき重要な項目になります。ここでは、選ぶ際の主な6つのポイントについてわかりやすく解説します。
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人事管理システムを選ぶ際のポイント
導入目的に合った機能が備わっているか
人事管理システムを選ぶ際には、自社の導入目的に合った機能が備わっているかどうかを確認することが非常に重要です。導入の目的は労務管理・給与計算・採用管理・パフォーマンス評価など、さまざまな要件があり、企業ごとに異なります。
システムが自社の導入目的に合った機能を搭載している場合、業務プロセスの効率化や精度向上が期待できます。例えば、従業員の評価とパフォーマンス管理を強化したい場合には、評価機能や目標設定機能が必要となります。
また、自社の独自のプロセスや要件に合わせてシステムをカスタマイズできるかどうかの検討も重要です。特定の業界や組織の特有のルールや業務工程に対応できる柔軟性があるシステムを選ぶことにより、導入後にプロセスの最適化や合理化を行うことができます。
細かな権限設定が可能か
人事管理システムは個人情報や給与情報などの機密情報を多く扱うシステムのため、アクセス制限などの権限設定が必要です。しかし、厳しすぎるアクセス制限は業務の進行の妨げになってしまいます。
そのため、権限を細かく設定できるシステムが理想です。アカウントの権限を自由に作成できるシステムは、「チームリーダー」「退職予定」のように、細かく振り分けることができます。
権限設定の柔軟さに欠けるシステムは扱いにくさを感じる場面があるため、極力避けるのがおすすめです。
全従業員にとって使いやすいか
人事管理システムは人事担当者だけでなくその他の従業員も使用するため、全従業員にとって使いやすいシステムを導入しましょう。人事管理システムを主に使用するのは人事担当者ですが、個人情報の更新などの申請時に一般の従業員も使用します。
そのため、人事担当者目線での使いやすさだけではシステムの利用が浸透せず、申請は従来通り紙で行うといった部分的なシステム利用になりかねません。
勤怠管理向けの人事管理システムは特に一般の従業員が使用する機会が多いため、人事担当者だけでなく全従業員目線での使いやすさにこだわる必要があります。
他ツールと連携できるか
人事管理システムが他のツールと連携できる場合、異なるシステム間でのデータ授受や一元化が可能となります。これにより、従業員情報や業務データに重複や矛盾が生じにくくなり、整合性が保たれます。また、正確な統計情報やレポートの生成にも役立ちます。
他ツールとの連携により、業務プロセスが効率化されます。例えば、給与計算ツール・勤怠管理ツール・経費精算システムなどとの連携により、それぞれのプロセスが連携して自動化され、各ツール内で的確な処理が行われるようになります。
また、他のツールとのシームレスな連携により、従業員は1つのインターフェースで複数の業務を行えるため、使いやすさが向上します。例えば、給与明細を確認しながら休暇を申請したり、研修の予約を取ったりできるようになる点がメリットになります。
セキュリティ対策が万全か
人事管理システムには、従業員の個人情報として、社会保険番号・銀行口座情報・健康情報などの重要な機密情報が含まれています。これらの情報が漏洩することにより、個人のプライバシーが侵害され、法的な問題の発生や信頼性の低下にもつながります。
セキュリティ対策は、このような情報の漏洩を防ぐために不可欠です。また、人事管理システムは給与計算・勤怠管理・評価データなどの重要なデータを扱います。そのため、強化されたセキュリティ機能はデータを保護し、正確性と可用性を確保する役割も果たします。
最近は個人情報の保護に関する法的規制が厳格化しています。例えば、「一般データ保護規則」や「保険業者健康情報の携帯性と責任法案」などの法規定に従う必要があります。セキュリティ対策はこれらの法的要件への準拠を支援し、法的リスクを最小限に抑えます。
サポート体制が充実しているか
人事管理システムに問題が発生した場合、迅速な対応が不可欠です。どのような範囲のサポートが提供されかを確認することにより、問題発生時に適切な支援を受けることができます。これにより、システムの停止時間を最小限に抑え、業務の中断を防げます。
また、システムの内容に関する問い合わせやトラブルの際、適切な担当者に連絡できるかどうかがポイントになります。電話などによる問い合わせ方法やサポート窓口が明確で、連絡が円滑にできるかどうかを確認しましょう。
さらに、システムに問題が発生した場合にサポートが利用できる時間帯も重要です。24時間対応しているか、平日のオフィス時間内のみかなど、サポート対応時間を確認し、組織の業務時間に合わせてサポートを受けられるかどうかを確認しましょう。
まとめ
人事管理システムは企業や組織の人事業務を効率化し、従業員情報を一元化するための重要なツールです。システムの価格は導入形態によって異なり、クラウド型とオンプレミス型などで特徴が異なります。
また、価格は導入形態や機能の選択によって変動します。労務管理向け・勤怠管理向け・人事評価向け・採用管理向けなど、さまざまなタイプがあり、それぞれ価格相場が異なります。無料版も存在しますが、ユーザー数や機能制限などの制約があります。
システムを選ぶ際には、組織のニーズ・予算・セキュリティ要件・サポート範囲などを総合的に判断し、費用対効果を検討することが重要です。これらを考慮して、自社にとって適切な人事管理システムを選びましょう。
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