AIチャットボットとは|仕組み・目的・メリット・デメリットを解説

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  • AIチャットボットでは、人同士のような自然なコミュニケーションを行える
  • AIチャットボットを利用することで、問い合わせ業務の負担を減らすことができる
  • AIチャットボットを導入する際は、自社の課題やコストを確認する必要がある

AIチャットボットとは、AI(人工知能)を活用し、人間同士のようなコミュニケーションができるプログラムのことです。本記事では、AIチャットボットの仕組みや目的、導入するメリットデメリットの他、導入する際に大切になるポイントについても解説します。

目次

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  1. AIチャットボットとは
  2. AIチャットボットの仕組み
  3. AIチャットボットの導入目的
  4. AIチャットボットのメリット
  5. AIチャットボットのデメリット
  6. AIチャットボットを導入する際のポイント
  7. まとめ

AIチャットボットとは

チャットボットは、コンピュータープログラムを通じてテキストベースの対話を行うシステムです。AIチャットボットは、人工知能(AI)機械学習の技術を駆使して、チャットボットがユーザーが入力した内容を理解し、適切な回答を提供できるようにしたもので

AIチャットボットはウェブサイト、アプリ、メッセージングプラットフォーム上での顧客対応、情報提供、タスクの自動化など、さまざまな用途で活用されます。

非AIチャットボットとの違い

「チャットボット=AI」だと思われる方もいるかもしれませんが、チャットボット自体はAIではありません。チャットボットの中でも、AIが搭載されているものを「AIチャットボット」と呼びます。

では、AIチャットボットと非AIチャットボットには具体的にどのような違いがあるのでしょうか。非AIチャットボットの特徴とともに見ていきましょう。

非AIチャットボットは「シナリオ型」

非AIチャットボットは「シナリオ型チャットボット」とも呼ばれ、予め設定されたシナリオに基づいて対話します。「人工知能」と比較して「人工無能」と呼ばれることもあります。

非AIチャットボットは予め質問と回答の選択肢が決められており、ユーザーは提示された選択肢の中から自分が知りたい内容に近いものを選ぶのが一般的です。チャットボット側もユーザーの選択に合わせてテンプレートで回答します。

まずは大まかなカテゴリを選び、その中からさらに細かなカテゴリや内容を選んで絞っていくことで、最終的にユーザーの知りたい情報に辿り着くことができます。

これに対してAIチャットボットでは、ユーザーは自由に文章を入力することができます。AIが入力された文章を理解し、学習済みのデータの中から最も関連性の高いものを選んで回答を提示してくれます。

非AIチャットボットは「チャット型のFAQ」

非AIチャットボットはFAQページの代わりとして使われることが多いです。通常のFAQではユーザーが自ら情報を探さなければならないため、手間がかかることもあります。そこでチャットボットを導入することで、ユーザーが素早く欲しい情報に辿り着くことができます。

そのため、非AIチャットボットは対話形式で簡単に回答に辿り着くことができる「便利なFAQ」という立ち位置にいると考えられます。

対してAIチャットボットは、「人間によるサポートの代替」として捉えることができます。ユーザーが質問や要求を自由に入力できる柔軟性があるため、人間との対話に近い体験をすることが可能です。

また、AIによって高度な対応力を発揮するので、FAQ的な活用方法にとどまらず、ECサイトにおける販促などより幅広く活用することができます。

AIチャットボットの仕組み

AIチャットボットでは、まず始めにAIがデータを学習する必要があります。この技術を機械学習と言います。柔軟かつ適切な回答を提供するために、多くのデータを学習させなければなりません。

事前に用意されたデータだけではなく、実際の対話データもAIは学習することができます。そうすることで、回答の精度を向上させていきます。

ユーザーの入力内容を理解するのには、自然言語処理(NLP)という技術が使われています。自然言語とは人間が書いたり話したりする言葉のことで、同じ意味でも表現が異なるなどの「ゆらぎ」がありますが、この技術を用いれば「ゆらぎ」があっても正確に意味を認識できます。

AIチャットボットにも種類がある

AIチャットボットは、従来の「データベース検索型」と比較的新しい「言語生成型」に分けられます。それぞれのタイプの仕組みと特徴について解説していきます。

データベース検索型のAIチャットボット

データベース検索型では、自然言語処理技術の中でも「自然言語理解(NLU)」を用いています。自然言語理解とは、人間が発する自然言語を機械が解釈できる形式に変換する技術です。これにより、ユーザーによる入力内容を理解しています。

回答についてはあらかじめ管理者によって用意されたものがあり、ユーザーの入力内容をもとに、回答集であるデータベースで自動的に検索を行って最も適合性の高い回答を抽出します。

回答は人間が用意したものであるため間違った情報を提供してしまうことはありませんが、回答集の中にマッチするものがなかった場合、ユーザーは知りたい情報を手に入れられない可能性があります。

言語生成型のAIチャットボット

文章や画像を自ら作り出す「生成AI」が登場したことから、言語生成型のAIチャットボットも生まれました。このタイプでは、自然言語理解(NLU)に加えて「自然言語生成(NLG)」という自然言語処理技術も使っています。

データベース検索型は回答集の中から最適なものを選ぶ形式ですが、言語生成型はユーザーの入力内容に対してより自然な回答になるように、回答文章をその都度生成します。回答のもととなるデータを学習させれば、AIがそれをもとに回答を生成してくれます。

事前に回答の用意がなくても関連するデータがあれば回答を提示できるため、従来のAIチャットボットに比べて回答の幅が広がり、ユーザーのニーズにより合致した情報を提供することができます。長く複雑な質問や今までにない質問にも的確に答えられる可能性が高まります。

AIチャットボットの導入目的

AIチャットボットの主な導入目的は、ユーザー体験の向上と業務効率の向上を達成することです。ここでは、それらの目的について詳しく解説します。

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効率的な情報提供

AIチャットボットは、シナリオ型の非AIチャットボットのようにユーザーの選択によってカテゴリ(内容)を絞り込む作業が必要なく、即座に適切な情報や回答を提供します。ユーザーは迅速に回答を得られるため、ストレスなくチャットを利用することができます。

顧客サポートとしての活用すれば顧客にとっての利便性が高まるのはもちろん、社内ヘルプデスクとしてAIチャットボットを活用すれば、業務に必要な情報をすぐに手に入れることができるので、業務効率や生産性が向上します。

問い合わせ件数の削減

AIチャットボットは、ユーザーからの質問に対して自動的に回答を提供します。特に言語生成型は対応できる範囲が幅広いです。これにより、カスタマーサポートチームなど担当従業員が対応すべき問い合わせが削減され、負荷が軽減されます。

情報提供だけで解決できるような問い合わせについては、AIチャットボットを用いてユーザーの自己解決を促すことで、従業員は人間の介入が必要となる、より複雑な問題に集中することができます。

顧客満足度の向上

AIチャットボットは24時間365日対応可能です。自動回答なので、混みあっていて繋がらない、順番待ちをさせられるといったこともありません。ユーザーは自分の都合に合わせていつでもサポートを受けることができます。

また、プログラムによって作動しているので、有人対応のようにスタッフによって対応の仕方やクオリティにバラつきがあるといったことも起こりません。ユーザーの質問や要求に一貫したクオリティで対応します。

このような特徴は、特に顧客サポートの目的でAIチャットボットを利用した場合に大きなメリットを発揮します。いつでも安定したサポートが受けられることは、顧客満足度の向上に寄与します。企業だけでなく、自治体などでも活用できるでしょう。

自治体におすすめのAIチャットボット2選|選び方のポイントも解説

高精度な問い合わせ対応が可能なAIチャットボットは、各地の自治体でも導入が進められています。住民からの多様な問い合わせにも24時間対応でき、人手不足解消にも期待ができます。この記事では、自治体におすすめのAIチャットボットや選び方のポイントを解説します。

AIチャットボットのメリット

AIチャットボットは、多くのメリットをもたらす先進的なテクノロジーです。企業や組織にとって顧客対応や業務プロセスの最適化に大きく貢献します。ここでは、AIチャットボットのメリットについて解説します。

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業務負担や人手不足を解消できる

AIチャットボットは自動応答能力を持ち、大量の問い合わせに迅速かつ同時に対応できます。これにより、カスタマーサポートや問い合わせ対応の業務負担が軽減されます。残業などの問題も解消されるでしょう。

人手不足の場合にも効果的です。多くの問い合わせ対応をAIチャットボットに任せることで、少ない人手でも業務を回せるようになります。AIチャットボットの導入には費用がかかりますが、人件費はかからないので結果としてコストの削減に繋がることもあります。

顧客との接触機会を増やせる

例えば電話による顧客サポートしか提供されていない場合、顧客によっては電話をかけることにためらいを感じることもあるでしょう。それに対してAIチャットボットは有人対応ではないため心理的なハードルが低く、気軽に利用しやすいです。

また電話サポートでは、混みあっていてなかなか対応してもらえず、顧客が諦めてしまうといったケースも起きやすいですが、AIチャットボットならば同時に複数ユーザーの対応ができるので、取りこぼしを防ぐことができます。
問い合わせは企業にとって顧客の声を直接聞ける貴重な機会なので、全ての問い合わせを取りこぼさずにデータ化できることは、製品やサービス、施策の改善機会や新たなビジネスチャンスが増えることにもなります。

マーケティングに活かせる

AIチャットボットはマーケティングにおいても大きなメリットを提供します。まず、ユーザーとの対話を通じて貴重なデータを収集し、ユーザーの嗜好やニーズを理解できます

これに基づいて、企業はマーケティングにおいてより顧客に寄り添った施策、より売上向上に効果的な施策を打ち出すことができます。

また、ECサイトなどでAIチャットボットを用いて顧客に製品やサービスに関する情報を提供したり、顧客のニーズを聞き取ってマッチする製品やサービスを薦めたりすれば、AIチャットボット自体がマーケターとして活躍することもできます

AIチャットボットのデメリット

AIチャットボットは多くの利点を提供しますが、いくつかのデメリットも存在します。デメリットについて十分に理解し、適切に活用することが重要です。ここでは、AIチャットボットのデメリットについて解説します。

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導入にあたって時間やコストがかかる

AIチャットボットの作り方には、大きく2通りの方法があります。1つは自社オリジナルのAIを構築してチャットボットを作る方法、もう1つはAI搭載済みのツールを導入してデータを学習させる方法です。

より簡単に導入できるのは後者ですが、まず適切なツールの選定が必要であり、それに加えてカスタマイズやトレーニングも必要なため、手間はかかります。どちらの導入方法を選択するにしても、十分な時間とコストをかけられるよう計画を立てることが重要です。

全ての問い合わせに対応できるわけではない

AIチャットボットのデメリットの一つは、全ての問い合わせに対応できないことです。AIチャットボットは非AIチャットボットと比べて柔軟性がありますが、学習済みデータの範囲外のことについては対応できません

データにない内容の質問に答えられないのはもちろん、特に人間の感情や複雑なコンテクストを理解するのは難しく、ユーザーの要求に適切に対応できないことがあります。このため、一部の問い合わせや特別なケースには人間のサポートが必要になります。

定期的なメンテナンスを要する

AIチャットボットは変化するユーザーのニーズや業務プロセス、製品やサービスの内容に適応するため、継続的なトレーニングやアップデートを行う必要があります。また、過去の対話データから改善点を抽出し、適切な調整を行うことも重要です。

これらのメンテナンス作業には時間とリソースが必要であり、メンテナンスを怠ると性能や品質が低下する可能性があります。

AIチャットボットを導入する際のポイント

AIチャットボットを導入する際にはいくつかのポイントを考慮する必要があります。特に以下で解説するポイントを考慮しながら、AIチャットボットの導入を成功させましょう。

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自社の課題と現状を把握・分析する

AIチャットボットを導入する際には、まず自社の課題と現状の把握・分析を行いましょう。具体的な課題や目標を明確にし、どのようにAIチャットボットを活用していくか検討します。

また、既存のプロセスやシステムとの整合性を考慮し、AIチャットボットをシームレスに統合できるかを確認します。課題と現状の明確な把握は戦略の基盤となり、効果的な導入を実現します。

予算・コストを明確にする

AIチャットボットを導入する際は、予算とコストを明確にしておきましょう。まず、導入にかかる初期コストやツールの料金を詳細に把握し、さらに運用メンテナンスにかかるコストまで見積もりを算出しておきます。

予算の明確化は、十分な予算を確保すると同時に予期せぬコスト増加を回避し、プロジェクトをスムーズに進行するために重要です。

自社に見合った機能を持ったツールを選定する

AIチャットボットを構築できるツールは数多くありそれぞれ機能も異なります。自社に合わないツールを選択すると、大きなデメリットが生じる可能性があります。

例えば、機能が豊富にある機能は便利ではありますが、自社に必要のない機能が多くてはコストが高騰するばかりで費用対効果がよくありません。使いこなせずに運用が難しくなる可能性もあります。逆に機能が不足している場合は、思っていたような効果が出ないでしょう。

ツールを使ってAIチャットボットを導入する際は、慎重な評価と選定プロセスを通じて、最適なツールを見つけ出すことが、導入成功のカギです。無料トライアルを行っているツールもあるので、可能であれば事前に使用感を試してみると良いでしょう。

AIチャットボットを比較検討する際に必要な知識|おすすめ9選も紹介

AIチャットボットはAIによる学習で精度が向上していくため、ビジネスの成長にも対応しやすいです。本記事では、AIチャットボットを比較検討する上で知っておきたい、非AIチャットボットとの違いやおすすめポイントを解説し、おすすめのAIチャットボットを紹介します。

まとめ

AIチャットボットは、人工知能(AI)を駆使してユーザーとの対話を行うツールであり、企業に多くのメリットを提供します。問い合わせ対応の自動化により、業務負担の軽減や人的リソースの有効活用ができます。

ECサイト上でのマーケティングなど問い合わせ以外にも幅広いシーンで活用できるうえ、ユーザーとの対話によって得られたデータはビジネス成長の糧となります。

AIチャットボットは、企業の競争力を高める強力なツールです。自社の課題と現状からどのようにAIチャットボットを活用するかを検討し、その機能性を最大限に引き出して戦略的に活用しましょう。

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