棚卸しとは|意味や目的を交えて棚卸し手順をわかりやすく解説

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  • 棚卸しとは、期末在庫の数量を確認し、会計上の期末棚卸資産の金額を確定させる作業
  • 棚卸しの手順は、タグ方式とリスト方式があり、リスト方式はシステムなどの導入が必要
  • 適切な棚卸しを行うには、在庫管理システムの導入が有効である

棚卸しとは、商品や消耗品などの、期末在庫の数量を確認し、会計上の期末棚卸資産の金額を確定させる作業を指します。本記事では、棚卸しの意味や目的を交えて、棚卸しを行う手順や棚卸し在庫の評価計算の方法をわかりやすく簡単に解説します。

目次

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  1. 棚卸しとは
  2. 棚卸しの手順
  3. 棚卸し在庫の評価計算方法
  4. 棚卸しを行う際の注意点
  5. 棚卸しを効率化する方法
  6. 適切な棚卸しを行うには在庫管理システムが有効
  7. まとめ

棚卸しとは

棚卸しとは、企業や組織が保有する商品や消耗品などの在庫品を定期的に点検して数量をカウントし、実際の在庫量と会計帳簿に記載された在庫量とを比較するプロセスです。棚卸しは、会計情報を正確かつ信頼性のある状態に保つための重要な作業になります。

棚卸しで商品や消耗品などの正確な在庫データを把握することにより、会計上の資産として計上され、資産評価が適切に行われて、財務諸表に正確な情報が反映されます。棚卸しの実際の作業は、在庫商品などを数えて計測し、数量を記録することです。

棚卸しは、飲食店やスーパーなどでも行われています。本記事では、棚卸しの意味や目的に加えて、棚卸しを行う手順や棚卸し在庫の評価計算方法、棚卸しを行う際の注意点、棚卸しを効率化する方法などについて分かりやすく解説します。

棚卸しの目的

棚卸しの目的は、在庫データを正確に把握することで財務諸表に正確な資産額を確保し、企業の資産評価を適切に行うことです。また、正確な在庫情報を保持することで、過剰在庫・不足在庫・不良品などが特定でき、コスト管理の面でも効果があります。

ここでは、棚卸しの主な目的として以下の項目に沿って詳しく解説します。

実在庫と帳簿上在庫を照らし合わせる

棚卸しによって、実際の在庫と帳簿上の在庫が一致しているかどうかを確認し、在庫の正確性を保つことが大きな目的の1つです。在庫に関する誤った情報は、会計情報や経営判断に誤りをもたらす可能性があります。

実際の在庫と帳簿上の在庫を比較することによって、不正な在庫操作や盗難が発覚する可能性があります。棚卸しは、不正行為を発見して未然に防ぐための手段としても有効です。

また、棚卸し中に劣化や破損したアイテムを特定し、対策を講じることも可能になります。

在庫は企業の資産として会計帳簿に記載されるため、在庫状況の把握は会計情報の正確性を保つ上でも重要です。棚卸しによって、資産評価や財務諸表における在庫の正確な情報を提供し、会計の透明性や正確性を高めます。

資産の価値を確認する

在庫品は会計帳簿に資産として記載され、会計上の価値が計上されます。しかし、実際の在庫と帳簿上の情報が一致しない場合、資産の正確な価値を確認することは難しくなります。棚卸しにより、実際の在庫量とその評価額が帳簿と一致するかどうか確認できます。

資産の正確な価値を知ることは、資本の適切な配分にも効果があります。企業は資本を最適化し、効果的な運用を行うことが求められるため、正確な資産評価に基づいて資本を適切に配分することにより、生産性を向上させることが可能です。

また、資産の価値を正確に把握し認識することにより、戦略的な経営判断に活かすことができます。例えば、在庫の適切な評価を通じて、在庫の最適な保有量や供給チェーンの改善策を検討することが可能になります。

チャンスロスを防ぐ

チャンスロス(機会損失)とは、在庫の劣化や不足などで受注に対して販売できる商品がなく、貴重な販売機会を損失してしまうことを指します。棚卸しによる適切な在庫管理は、このようなチャンスロスを防止して、企業が利益を上げるためにも効果的です。

棚卸しを行うことにより、長期保存による在庫の不具合や劣化、数量間違いによる在庫の不足を発見できます。これにより、販売可能な在庫数が明確化されるため、顧客や取引先からの要望にスムーズに応えることができ、信頼獲得に繋がるでしょう。

もし、多くの商品に仕入れ時にはなかった劣化や損傷が見られる場合には、倉庫内の環境や保管方法を見直す必要があります。

棚卸しを行う時期や回数

多くの法人は、年次棚卸しを行います。通常、事業年度の終わり時期として、3月31日や12月31日などの会計年度の最終日に行われることが多いです。また、特に在庫が多い業種では、必要に応じて四半期ごとや半期ごとに中間棚卸しを行うこともあります。

個人事業主の場合は、棚卸しの頻度は事業の性格により異なります。一般的には年次棚卸しが多いですが、特に大規模な在庫を持っていない場合は必要に応じて行うことがあります。また、税務申告などの期限に合わせて棚卸しを行う場合も多いです。

小売業の場合は、年次棚卸しに加えて季節ごとや年末商戦前など、在庫や需要が増える時期にも追加の棚卸しを行うことがあります。また、定期的な在庫管理を目的として、週次や月次の棚卸しを行うことも一般的です。

期末商品棚卸高にも関係がある

期末商品棚卸高は、企業や事業主が会計年度や財務報告期間の終わりに、保管している製品や商品の在庫の総額を指します。期末商品棚卸高は通常、以下の方法で計算されます。

 期末商品棚卸高 = 期初在庫 + 仕入れ – 売上

ここでの期初在庫とは、期間の初めに持っていた在庫の価値であり、仕入れは期間中に仕入れた商品の価値、売上は期間中に販売した商品の価値です。

期末商品棚卸高は、会計上の正確性や利益計算、資産評価の際に重要な役割を果たします。正確な在庫評価は、企業の財務諸表に反映され、株主価値や税金の計算の正確性にも影響を与えます。

棚卸しの手順

実際に棚卸しを行う手順としては、主に、スケジュールを決める、担当者やチームを指名する、担当場所を割り振るなどがあります。また、棚卸しの方法やツールの確認、必要な資材の準備も必要です。ここでは、主な方法として以下の方式の詳細ややり方を解説します。

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タグ方式の棚卸しの手順

タグ方式は、在庫品の名前や数量を記入するタグ(棚札)を用意して棚卸しをする方法です。在庫品ごとに数量を確認し、タグに記入して製品や棚などに貼り付けます。全ての在庫品にタグを貼り付け終えたら、タグを全部回収して在庫品の数量などを確認します。

メリットは、全ての在庫品の数量を数えてタグに記入してから貼付する方法なので、数え忘れや漏れを防げることです在庫品の一覧表などを用意する必要はなく、タグを利用して貼付するだけなので、どの業種においても取り入れやすいでしょう。

デメリットとしては、タグに記入し貼り付けた後に回収する作業があるため、時間や手間がかかります。また、漏れ防止のためにタグを連番管理する必要があり、大量の在庫品の場合は管理が煩雑になります。

リスト方式の棚卸しの手順

棚卸しの対象となる全ての在庫品のリストを作成する方法です。このリストには、品名・品番・数量などが含まれます。このリストをもとに実際の在庫と比較し、数量を記入します。在庫品がリストに記載されていない場合や数量に差異がある場合は、それを記録します。

メリットとしては、特別な技術や装置が不要で、手書きのリストやスプレッドシートのリストを使用できることです。リストと実際の在庫を比較するだけなので、人的エラーの発生が少なく、ほとんどの業種に適しており、さまざまな種類の在庫品に対応できます。

デメリットとしては、実際の在庫品を手作業で確認するため、大規模な在庫の場合、時間と手間がかかります。

棚卸し在庫の評価計算方法

在庫品の正確な評価は、財務諸表に反映され、企業の財務報告や税金計算、株主価値の評価などに影響を与えます。そのため、会計や税法のルールに従って正確に計算が行われる必要があります。ここでは、在庫の評価計算方法を解説します。

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棚卸し在庫の評価計算方法

  1. 原価法を採用した場合
  2. 低価法を採用した場合

原価法を採用した場合

原価法は、在庫品を評価する際に、仕入れた時点での実際の仕入れ価格を基に計算する方法です。この方法では、最新の仕入れ価格が在庫の評価に使用され、在庫品の単価が実際の取引価格に近いものとされます。

原価法には、いくつかの方法があり、以下にその内の6項目について詳しく解説します。

個別法

個別法は、棚卸し在庫を評価する際に、在庫品ごとにその仕入れ価格を追跡し、個別の評価を行う方法です。この方法は、在庫品ごとの特定の取引価格を正確に反映するため、特に高価な宝石や貴金属などの特殊な在庫品に適しています。

具体的には、在庫品を品名・品番・シリアル番号などの識別子で識別します。各在庫品には、仕入れ時の仕入日・仕入先・仕入れ価格などの情報の関連付けが可能です。棚卸し期間の初めに各在庫品の仕入れ価格を期初の在庫数量と掛け合わせ、その総額を計算します。

棚卸し期間中に仕入れ・販売された在庫品は、仕入れや売り上げの金額などを個別に記録します。そして、棚卸し期間終了時点で各在庫品の期末在庫数量を確認し、各在庫品の仕入れ価格を期末在庫数量と掛け合わせ、その総額を計算して評価を行います。

先入先出法

先入先出法は、在庫品の評価において最初に仕入れた商品が最初に販売されたものとみなして計算する方法です。この方法は、先に入ってきた在庫品から払い出されると仮定するため、最新の在庫品には最新の仕入れ価格が適用されます。

棚卸し期間の初めにその時点の在庫数量と仕入れ価格を使用して計算し、期初在庫の評価を行います。また、棚卸し期間中に新たに仕入れられた在庫品には、その仕入れ価格を記録します。

そして、棚卸し期間終了時点で残っている在庫品の評価を行います。期初在庫の評価額に仕入れを加え、売上を差し引いた後に期末在庫の評価額が計算されます。これにより、棚卸在庫の正確な評価が可能です。

総平均法

総平均法は、年または月の期間中に取得した棚卸資産の総額を、取得した総数量で割って年または月当りの平均取得単価を計算する方法です平均単価に棚卸数量を掛けて期末の資産を計算し、評価します。

棚卸し期間の初めに期初在庫の評価を行うため、期間開始時点での在庫数量とその時点の平均単価を使用して計算します。また、棚卸し期間中に新たに仕入れられた在庫品について、その仕入れ価格と数量を記録します。

棚卸し期間中に販売された在庫品は、その仕入れ価格を使用して評価されます。棚卸し期間終了時点で残っている在庫品の評価を行うために、期末の在庫数量と総平均単価を掛け合わせて計算します。これにより、棚卸在庫の正確な計算と評価が可能です。

移動平均法

移動平均法は、在庫品を評価する際に、期間中に仕入れた商品の単価の平均値をその都度計算し、在庫の評価に使用する方法です。この方法は、仕入れ価格の変動を時系列で反映する比較的単純な計算方法となっています。

棚卸し期間の初めに期初在庫の評価として、期間開始時点での在庫数量とそのときの移動平均単価を使用して計算します。また、棚卸し期間中に新たに仕入れられた在庫品について、その仕入れ価格と数量を記録します。

そして、棚卸し期間終了時点で残っている在庫品の評価を行うため、期末の在庫数量と期間中の移動平均単価を掛け合わせて計算します。移動平均法は価格変動を滑らかに反映するため、在庫の評価が相対的に安定します。

売価還元法

売価還元法は、在庫品を評価する際に商品の販売価格などの売価から利益率を逆算して仕入れ価格を計算し、在庫の評価に使用する方法です。この方法は、小売業や流通業においてよく使用され、特に価格変動が激しい商品に適しています。

棚卸し期間の初めに期初在庫の評価を行うため、期間開始時点での在庫数量とそのときの仕入れ価格を使用して計算します。また、棚卸し期間中に新たに仕入れられた在庫品について、その仕入れ価格と数量を記録し、販売された在庫品はその売価にて評価します。

そして、棚卸し期間終了時点で残っている在庫品の利益率を計算します。利益率は、売価から仕入れ価格を引いた額を売価で割ったものです。具体的な計算式は以下の通りです。

 利益率 = ((売価 – 仕入れ価格) / 売価) * 100

利益率を使用して、期末在庫の仕入れ価格を計算します。期末在庫の評価額は、期末の在庫数量と計算された仕入れ価格を掛け合わせて計算し、評価します。

最終仕入原価法

最終仕入原価法は名称の通り、在庫品の評価において棚卸し期間中に最後に仕入れた商品の仕入れ価格を使用する方法です。最新の仕入れ価格を反映するため、価格変動が激しい商品に適しています。

期初在庫の評価のために、棚卸し期間の初めに期間開始時点での在庫数量とその時点の最終仕入れ価格を使用して計算します。また、棚卸し期間中の新たな仕入れや在庫品の売上は、それぞれの価格と数量を記録します。

そして、棚卸し期間終了時点で残っている在庫品の評価を行います。期末在庫の評価としては、期末の在庫数量と最終仕入れ価格を掛け合わせて計算します。

低価法を採用した場合

低価法は、在庫品を評価する際に在庫品ごとに最低価格を設定し、その最低価格を下回る仕入れ価格があった場合、その最低価格を評価に使用する方法です。この方法は、在庫の評価を安全に行う場合に使用され、価格変動が大きい商品などに有効です。

低価法では、在庫品ごとに最低価格を設定します。この最低価格は、主に商品の市場価格よりも低い価格で設定されます。棚卸し期間中に仕入れた商品の仕入れ価格がその商品の最低価格を下回った場合には、最低価格を評価に使用します。

低価法は、在庫の評価を保守的に行って損失を最小限に抑えるための方法です。特に、価格変動が大きい商品やリスクを最小限に抑えたい場合に活用されます

棚卸しを行う際の注意点

棚卸しを行う際にはいくつか注意点があります。棚卸し前に計画を立てて、具体的な目標とスケジュールを設定しましょう。また、棚卸し方法を選択し、適切な手順とプロセスを確立します。棚卸しを行うためのチームを組織し、役割を割り当てましょう。

加えて、棚卸し作業中には正確なデータの収集を目指しましょう。棚卸しの結果、不一致が発生した場合は、その原因を調査して修正するプロセスを確立します。不正確な在庫情報は会計処理などで問題を引き起こす可能性がありますので、要注意です。

棚卸しデータからレポートや分析資料を作成し、在庫管理プロセスを改善するために活用します。棚卸しを通じて特定された問題や改善の余地がある場合、それを検討して後の在庫管理に反映させましょう。

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入出荷の時点で数量を間違えて記載している場合がある

棚卸しを手作業で行う場合、人為的なミスによって数量が漏れたり、重複して記録されたりして在庫数量が正確にカウントされない可能性があります。例えば、在庫が100個あるのに誤って90個と記入してしまい、10個の在庫が見落とされるケースなどがあります。

また、似たような品目がある場合、誤って異なる品目を同じものとしてカウントすることがあり、品目の識別が難しい場合は混同のリスクが高まります。在庫数量や仕入れ価格を手動で記録する場合、記録が遅れたり後から記録し忘れたりすることもあります。

さらに、手作業による在庫の評価や合計金額を計算する際に、計算ミスが生じる可能性があります。例えば、在庫の総額を計算する際に誤っていくつかの在庫品の価格を足し忘れるなどのケースが発生します。

予め棚卸しルールを設定しておく

棚卸し方法のルールを設定していない場合、問題点が生じる可能性が高まります。混乱や不正確性が生じるほか、在庫品目の識別が困難になり、似たような品目が混同される可能性があります。例えば、色やサイズが異なる商品を正確に区別できないことがあります。

また、棚卸しルールがないと、在庫数量をカウントする方法が統一されない可能性があります。その結果、同じ商品でも異なる担当者が異なる方法でカウントすることがあり、混乱が生じます。

棚卸し前に明確な棚卸し方法のルールを設定し、チェックリストやガイドラインを使用して、実施すべき手順やルールを確認しましょう。明確なルールの設定と遵守によって正確な棚卸しが可能となり、作業の効率性と信頼性の向上にもつながります。

棚卸しを効率化する方法

正確な棚卸しは、企業にとって不可欠な業務プロセスの一部です。しかし、棚卸し作業は時間とリソースを多く消費するため、作業効率の低下や人為的なミスの発生につながることがあります。

ここでは、棚卸しを効率化する方法として、以下の5項目について詳細を解説します。

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棚卸しの計画を立てる

棚卸しを行うに当たり、事前に計画やスケジュールを立て、部門で計画に沿って協力して作業を行うことが重要です。また、季節商品は需要が高まる時期に集中的な棚卸しを行うことで、正確性を高めることができます。

棚卸しの担当者やチームメンバーを編成して役割を割り当て、各人の責任範囲を明確にすることも重要です。例えば、データ記録・数量カウント・品目識別などのタスクを分担することで、作業の効率性が高まります。

自社在庫に適した方法で行う

自社の在庫数や業界の動向に合わせて最適な棚卸し方法を選択することは、効率的な在庫管理を行う場合に非常に有効と言えます

大量の在庫品目があり、手作業でのカウントが難しい場合には、リスト方式が有効です。在庫品目のリストを作成する事により、数量などの情報が迅速に記録できます。これにより、データの正確性と作業効率が向上します。

また、在庫数が膨大である場合には、後述する在庫管理システムの導入がおすすめです。在庫管理システムにより、バーコードスキャニングやICタグ読み取りなどのテクノロジーを利用して、在庫品目をリアルタイムで把握できるため、正確で効率的な棚卸しが実現します。

棚卸し表を作成する

棚卸し作業を効率化するために、Excelを利用して棚卸し表を作成することで、データの整理・計算・分析などの簡易化が可能です

Excelのシートに在庫品目のリストを作成し、品名・品番・数量・仕入れ価格などの必要な情報を記入します。また、別のExcelシートを使って、カウント用のシートを作成し、実際の在庫カウントを記録します。

棚卸しの際に、このカウント用シートを使用して品目ごとに数量を記録しましょう。カウントが終了した時点で、カウント用シートのデータを実際の在庫データと比較します。Excelの関数を使用して差異を計算し、不一致の品目の特定・原因究明に努めましょう。

その後、Excelを活用して棚卸しの結果を分析し、在庫の状況・損失・収益などの情報を計算して、レポートの作成を行います。レポートには、不一致品目・調整・在庫の評価なども含まれます。

なお、国税庁の規定に基づき、作成した棚卸し表は、その事業年度の確定申告書提出期限日の翌日から最低7年間保存しなければならないことに注意が必要です。

参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

システムを導入する

棚卸しを効率化に行うためにはシステムの導入がおすすめです。以下にシステムに搭載された機能の例をいくつか挙げ、それぞれの特徴や具体的な利点を解説します。

バーコードスキャニングシステムは、各在庫品にバーコードラベルを貼り付け、スキャナを使用して在庫の読み取りと記録を行います。これにより、手作業よりも迅速で正確な在庫カウントが可能です。

RFID(Radio Frequency IDentification:無線認識技術)システムは、RFIDタグを使用して無線で在庫品を識別し、データを記録します。大量の在庫でも迅速に高い精度でデータを収集可能です。在庫の移動や位置をリアルタイムで把握でき、在庫ロスの低減に役立ちます。

在庫管理システムは、在庫データを一元化してデータベースを管理します。リアルタイムの在庫情報が提供されるので、製品の最新の在庫状況が確認できます。また、在庫データベースを構築し、在庫の記録・追跡・分析を効果的に行うことが可能です。

アウトソーシングを活用する

棚卸し業務は、アウトソーシングを活用して外部に委託することも可能です。棚卸しは業務量が膨大で多くの時間と人的リソースが必要になるため、アウトソーシングを活用することにより、人件費を削減し自社の社員がコア業務に集中できるようになります

また、棚卸しでは数え間違いや記入漏れなどの人為的ミスが発生しやすい傾向にありますが、アウトソーシングを活用すればプロのノウハウや経験を活用できるため、制度の向上が期待できることもメリットです。

ただし、アウトソーシングは外部委託で、自社の情報を外部に伝える必要がある性質上、情報漏洩などのリスクが高まります。また、業務精度や費用は選定する委託先により異なるため、慎重に検討しなければなりません。

適切な棚卸しを行うには在庫管理システムが有効

在庫管理システムは、在庫アイテムの追跡と記録を自動化します。バーコードスキャン・RFIDテクノロジー・手動入力などを使用して、在庫の数量・位置・移動履歴をリアルタイムで記録可能です。

システムは過去の売上履歴や需要パターンを分析し、将来の需要を予測します。これに基づいて適切な在庫レベルを維持し、過剰在庫や品切れを最小限に抑えることが可能になります。

メリットは、手作業での在庫管理に比べて正確で信頼性が高く、ヒューマンエラーを軽減できることです。また、在庫のリアルタイム追跡と予測は、生産計画・調達・配送などの業務プロセスを効率化し、在庫不足や過剰在庫による問題も軽減できます。

在庫管理システムとは?機能や種類、メリット・デメリット解説

在庫管理システムとは、在庫情報や棚卸しなどの在庫管理に関するデータの管理ができるシステムです。本記事では、在庫管理システムをよく知らない・導入を検討している方に向けて、在庫管理システムのメリット・デメリットや選び方、さらにWebで自作できるのかを解説します。

まとめ

棚卸しはビジネスにおいて重要なプロセスであり、正確な在庫情報を維持し、会計・税務の効率性を確保するために不可欠です。また、棚卸しの際にはスケジュールを設定して適切な方法で棚卸しチームを編成し、役割分担を明確にする必要があります。

さらに、棚卸しは正確なデータ収集が重要です。記録数と実数の不一致が発生した場合には、原因を調査して修正プロセスを確立しましょう。誤った在庫情報は会計上の問題を引き起こす可能性があるため、的確な対応が必要になります。

計画的なアプローチと最新のテクノロジーを駆使して、棚卸しプロセスを最適化し、正確で効率的な棚卸しの実施を目指しましょう。

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